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エレーヌ・コルレット(Hélène Collerette)のヴァイオリン・ソロ集『Norigine』カナダと北欧の現代音楽


Norigine エレーヌ・コルレット (vn. Hélène Collerette)
カナダ(ケベック)出身のフランス人ヴァイオリニスト、コルレットの無伴奏ヴァイオリンソロ集です。フランス国立管弦楽団のコンサート・ミストレスを務めるそうですね。

とは言え全く知見は無く、興味の対象は演奏者ではなく作曲者の方になり恐縮です。








ジャック・エテュ
(Jacques Hétu, 1938/8/8 - 2010/2/9)
カナダの現代音楽家でモントリオール音楽院で習い、タングルウッドでも学んでいますね。フランスでH.デュティユーとO.メシアンというビッグネームにも師事しています。

Variations Op.11
 主題と5つの変奏、6パートの楽曲です。主奏から調性を軸足にした神経質・幽玄な旋律が組み合わされています。そこに切れ味の良いコルレットのヴァイオリンが被って、力感を見せながらも繊細さがあって素晴らしいですね。
基本は速い流れで微妙なダブルストップや技巧パートもあり、ヴァイオリニストが好みそうです。この後の曲もそうなのですが…



スヴァンテ・ヘンリソン
(Svante Henryson, 1963/10/22 - )
スウェーデンの現代音楽家で、今回一番の注目になります。チェロとコントラバス奏者ですが、ヘヴィ・メタルとジャズの活動をしていますね。オスロ・フィルの首席コントラバス奏者でもありました。

Sonata For Solo Violin
 基本は調性の薄さを感じるレベルになり無調無拍の混沌ではありません。基本はスローな幽玄さで、所謂(いわゆる)北欧らしい風景感を感じるかもしれませんね。もちろん高速技巧パートもあり聴き応え十分です。主旋律の変奏と反復を感じますから、無理やり言うならポストビヨンド・ミニマルの方向性w。



エサ=ペッカ・サロネン
(Esa-Pekka Salonen, 1958/6/30 - )
フィンランドの指揮者で現代音楽家ですね。もちろん紹介文は割愛ですw

Lachen Verlernt
 繊細幽玄で調性はよりいっそう薄くなります。スコアを見ないと無調かどうかわからない感じですね。もちろん旋律感は明確で、音色を細く そして太くと表現を変化させています。ここでもコルレットの表現力が生きていますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  teaserで、サロネンを前に弾いています。CDの方がキレキレですね




セルジュ・アルキュリ
(Serge Arcuri, 1954/6/10 - )
カナダの現代音楽家で、モントリオール音楽院で作曲とアナリーゼを学んでいますね。またモントリオール大では電子音楽も習っています。

Soliloque 1
 繊細で幽玄な楽曲です。今までの楽曲も同じ傾向が強く、またこのパターン?!的に感じてしまいます。楽曲も演奏も良いのですが、流石にここまで並べられると…



カール・ニールセン
(Carl Nielsen, 1865/6/9 - 1931/10/3)
言わずと知れたデンマークの音楽家ですから、紹介割愛です。

Praeludium Und Thema Mit Variationen Op.48
 ここで気づくのは、幽玄繊細さは既にニールセンが作っていたという事実の再確認ですね。ここまでの四人の楽曲の傾向の元にあります。大きな違いはベースにあるのが機能和声である事でしょう。北欧的な後期ロマン派に、幽玄な調性の薄さをスパイスにした音楽ですね。表情も一番付いて楽しめます。ビッグネームは伊達では無いという事ですね。



予想以上にエレーヌ・コルレットのvnが良かったですね。力強さと繊細さを合わせて音で表現してくれるのは魅力です。

楽曲は前衛系ではなく、今の時代らしい調性の薄さを生かした幽玄さを並べた感じです。残念なのは似た様な楽曲ばかりで、ラスト一曲を聴けばそれで良かった?!



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