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マーラー交響曲第6番 "悲劇的" 名盤珍盤 110CDを聴き比べてみました [#5 : 81-100]


#5回で100CDまで来ました。マーラーの交響曲で実績のあるブーレーズ、ベルティーニ 、インバルをメインに。第6番は曲が好きなのでどうしても☆が増えますね。


Mahler Symphony No.6 -- 110 CDs 

 ★:名盤 (一般的にいわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #0:4CD バルビローリ聴き比べ
バルビローリ[x4]
 #1:16CD
バーンスタイン[x3 ★☆], アバド[x5 ★☆], カラヤン[x3 (★)☆], ゲルギエフ, 小澤征爾, 井上道義[x2], プレートル[㊟]
 #2:20CD
ヴァンスカ, ダーリントン[☆], ラトル[x3 ☆], P.ヤルヴィ[x2], N.ヤルヴィ[x2 ☆], ジークハルト, セーゲルスタム[☆], パッパーノ, ザンダー[x2], ショルティ[☆], ヴィト, シェルヘン[㊟], ズヴェーデン, ノット, J.サイモン, アブラヴァネル, パク・ヨンミン
 #3:20CD
テンシュテット[x4 ☆], シャイー[x2], ヤンソンス[x2], MTトーマス[x2], ハーディング, 朝比奈隆[x2 ㊟], スヴェトラーノフ[x2 ㊟], セル[x2], バルシャイ, 井上喜惟, 山田和樹, クルレンツィス[★]
 #4:20CD
ギーレン[x3 ☆], シノーポリ, メータ, サロネン[☆], サラステ, ヤング, 大植英次[㊟], ボンガルツ[㊟], シュテンツ, ヘンヒェン[x2], アシュケナージ[x2], ヴロンスキー, タバコフ, シュワルツ, マーツァル, ネトピル
 #5:20CD 本投稿
ブーレーズ[x4 ★☆㊟], ベルティーニ[x3 ☆], インバル[x3], ルイージ[x3 ☆], レヴァイン[x2], フェルツ, ツェンダー[㊟], ガッティ, ファーバーマン, ドホナーニ
 #6:10CD
ハイティンク[x5 ★☆], ジンマン[x2], ペトレンコ, ハーヴェイ, ワールト, A.フィッシャー




ピエール・ブーレーズ, Pierre Boulez (4録音)

このブログでは現代音楽家の印象の方が強いわけですが、実はマーラーの良い録音を残しているブーレーズですね。



(#1)

BBC Symphony Orchestra
[Enterprise] 1973 mono


Mahler6-Boulez-BBCso1973.jpg

BBC響の首席指揮者(1971-1975)時代のマーラー6ですね。正規盤か微妙なイタリアのレーベルからのリリースです。


【第一楽章】
恐ろしくスローな第一主題の入りです。tpが怪しいですね。テンポを徐々に上げモットーでは標準的に、アルマの主題は鳴りの良い広がりです。提示部反復の第一主題は通常テンポに戻しますね。展開部の第一主題では引っ張る様な奇妙なアゴーギクを振ってからの炸裂です。第二主題は大人しい静的流れで、山場はスローから上げて行きます。ところがピークで奇妙なスローの揺さぶりに。再現部は普通に、コーダの葬送は暗く第二主題は晴れやか派手にです。
アゴーギク変化球の第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題はストレート、テンポと切れ味がスケルツォらしく素晴らしいですね。トリオも速めでシャープな美しさで、優しさではありませんね。木管の動機はスローに落としてコントラストが良いです。回帰するトリオでは少し揺さぶりをかけていますね。
変則パターン無しのキリッとしたスケルツォになっています。

【第三楽章】
主要主題は緩やか穏やかな中に微妙なディナーミクを付けています。第一トリオは哀愁感があって緩いアゴーギク、中間部(第二トリオ)は明確な明るさで変化を付けています。ラスト山場が強烈に速いと言うのが奇妙で珍しいですね。
アゴーギクで変化付けのアンダンテです。

【第四楽章】
序奏から揺さぶりを入れています。アレグロ・エネルジコから提示部第一主題はシャープな行進。切れ味のパッセージは主題と緊張感ある絡みでテンポアップし、第二主題は穏やかながら速いです。快速の提示部ですね。展開部チェロの動機から第二主題は揺らぎを強く現れ、激しい速度で山場へ駆け登ります。行進曲は抑えてクールですね。再現部第一主題は派手派手しく出現し、続く騎行を激烈に飛ばします。暴れ馬の様です!!


奇妙な揺さぶりの変化球と切れ味のストレート, 両面を持つマーラー6です。ハイレベルの曲者アゴーギクですが、パワープレイも堪能できますね。

変化球好きの貴方はぜひ一度打席に立って下さい! 普通にマーラーを聴くなら無用の一枚かもしれません、個人的には手放せませんが…






(#2)
★☆
Wiener Philharmoniker (VPO)
[DG] 1994-5


(右は全集です。ブーレーズのマーラーはオススメですね)

BBC-SOから約20年後、ウィーンフィルを振った良く知られたマーラー6ですね。大きく変貌しています。


【第一楽章】
スローに入る第一主題は重厚、徐々に上げて標準的なテンポに。アルマの主題は華やかです。提示部反復の第一主題は初めから標準テンポですね。展開部第一主題は重々しく、実は厄介な挿入部は各ソロ・パートの上手さとバランスの良さでgoodですね。流石はVPO! 再現部は文字通りの再現ですが、より色合いの濃さを感じます。コーダも同様です。完成度が高い第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は第一楽章の流れを受け継いで重厚で堂々と。若干速めのトリオは繊細な美しいメヌエットですが甘美に落とす事はありません。木管の動機も流れに沿った自然さでナチュラルです。全体を通して第一楽章の延長線上を感じますね。

【第三楽章】
この美しく優しい主題はまさにVPOの個性が発揮されたと思います。第一トリオも優しく哀愁が広がります。緩やかなアゴーギクがとても効果的ですね。中間部は雲が晴れるかの様に広がり、後半第一トリオ回帰の山場は壮大です。
6番最高のアンダンテの一つでしょう。

【第四楽章】
序奏はスローベースに揺さぶりを押さえ、二回目のモットーからアレグロ・エネルジコ達すると提示部第一主題を切れ味良く放ちます。パッセージも落ち着いてhrを朗々と鳴らし、第二主題が軽妙に現れます。展開部チェロの動機は抑えめに、第二主題は広大な音色です。第一主題からの行進曲は抑えながらも堂々ですね。再現部は第一主題回帰を華々しく迎えると騎行は切れ味鋭く駆け抜けます。


威風堂々とした完成度の高いマーラー6です。小細工無用、低重心盤石な構えといった風情ですね。優しく美しいアンダンテが色を加えているのも素晴らしいです。

VPOの鳴りの良さが最大限生かされているのも一つの大きな要因ですね。いつ聴いても間違いの無い一枚と言う感じです。






(#3)
Gustav Mahler Jugendorchester
[En Larmes] 2003-4/13

VPOの9年後、グスタフ・マーラー・ユーゲント管をルツェルンで振った非正規盤のマーラー6です。

ブーレーズは同年同月同オケで来日。マーラー6番は、4/18:大阪ザ・シンフォニーホール、4/21:東京サントリーホールで演奏しています。(実は大阪の録音が存在するのですが…)
東京公演では、シェーンベルクの"ペレアスとメリザンド"の名演を残していますね。


【第一楽章】
重厚な第一主題、途中からテンポを速めモットーから再びスローにします。アルマの主題は少し速めながら華やかですね。展開部第一主題は勇壮に、第二主題挿入部はVPOの様には行かずとも狙いは同じです。再現部はテンポを速めにしています。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は速めながら第一楽章延長線で、トリオはスロー&シンプルにして流れを切り替えます。ここでも速い設定ですね。木管の動機は少しスローにして雰囲気を作っています。

【第三楽章】
アンダンテですね。テンポは少しアップしていますが、主要主題の穏やかさはVPOと似てブーレーズの基本的な方向性は9年間でも変わっていない事を感じます。第一トリオも同じ様な流れで哀愁を作り、中間部は穏やかな明るさ、後半の山場は速く壮麗です。

【第四楽章】
陰鬱渦巻く序奏は割とあっさりとしています。第一主題はシャープに落ち着いてパッセージと共に進んで行き、軽妙な第二主題を迎えます。展開部の第二主題ではテンポをいっそう速めて切れ味を出し、行進曲は軽快なこなしです。再現部スロー静からの第一主題出現は華々しく、パッセージから飛び出して騎行は気持ちが入っているのが良くわかります。ユースオケの楽しさを感じられますね。


速いテンポでスッキリとしたマーラー6です。VPOのテンポ設定を速めて軽量化した感じですね。

ブーレーズの狙いと思われ、ユース・オケの演奏実力が十分発揮されています。この若々しい流れは"あり"ですね。音源も放送用レベルです。






(#4)
Lucerne Festival Academy Orchestra
[Accentus] 2010-8, 9


上記#3の7年後、2010年ルツェルン音楽祭でルツェルン音楽祭アカデミー管を振ったマーラー6です。ユースオケでの聴き比べが出来ますね。


【第一楽章】
スッキリとした第一主題ですね。アルマの主題は適度に優美で、全体的にスタンダードっぽい提示部になっています。なぜか展開部第一主題だけ変わったアゴーギクを振って(1973の様な)、挿入部はスローを強調し音は押さえた感じになりますね。再現部も今ひとつ切れ味が感じられないのが残念です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題はメリハリがありません。そうなると速めのトリオはそっけない感で、木管の動機も印象が残りません。

【第三楽章】
主要主題は速めの設定になり、この方が自然な流れに感じますね。ユースの場合はテンポ設定が少し速い方が良い感じでしょうか。スローに落とす第一トリオは弱い感じです。中間部はhrとtpの対話が良いですね。でも残念ながら弱々しいアンダンテです。

【第四楽章】
序奏はスロー基本でモヤっとした感じ、第一主題もやや遅めなので走れません。安全運転の提示部から展開部・再現部もどこかスッキリしない感じがしてしまいますね。それでも再現部第一主題回帰以降は元気を見せてくれた気がします。


スカッとしない曇り空の様なマーラー6です。テンポ設定が標準的で全体教科書的、そうなるとユースオケですからフラットになってしまいますね。

速めのテンポが生かされた "Gustav Mahler Jugendorchester" (#3)の様なユースらしい若々しさ見つかりません。ブーレーズ85歳、流石に厳しかったのでしょうか。





ガリー・ベルティーニ, Gary Bertini (3録音)

都響の音楽監督時代のマーラーが思い出されるベルティーニですね。なぜか都響はベルティーニとのマーラー全集を出しませんね。選集はあるのですが…



(#1)

Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
[Weitblick] 1973-4/30


ベルリン・ドイツ交響楽団(DSO)を振ったマーラー6ですね。


【第一楽章】
速くて切れ味のある刺激的な第一主題、モットーからパッセージでスッキリさせるとアルマの主題は派手で華やか若干速めです。提示部の反復はカット!です。展開部の第一主題は激しさを増し、第二主題は低弦が呪いの様なボウイングで唸っています。再現部第一主題は激走、コーダは荒々しく納めます。強烈ハイテンポ切れ味の第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は速く第一楽章の延長線上を感じさせる流れです。締まりが心地良いですね。トリオはブレーキを掛けてスローになっていますが優しいメヌエットには落としませんね。刻むリズムがピシピシ跳ねて印象的です。木管の動機も哀愁はほどほどでそっけないですが、この流れには合っていますね。

【第三楽章】
主要主題は流れを一変させるスローですが、優美さというよりキッチリ固い印象を受けます。第一トリオも同じ流れですが、少し緩やかさを付けていますね。第二トリオ(中間部)は明るい光が燦々と輝きます。ラスト山場は大きく鳴らして来ます。一癖モノのアンダンテになっていますね。

【第四楽章】
序奏からスローベースにディナーミクを振って彫りの深い流れを作り、モットーから走る気配を漲らせて、アレグロ・エネルジコから提示部第一主題は強烈キレキレに疾走します。パッセージで手綱を締め直して走らせると、第二主題もテンポをキープして提示部の流れはシャープです。展開部はチェロの強迫的動機から第二主題は派手な鳴りで大きな山場を作ります。適度なアゴーギクからの行進曲は当然の怒涛爆進です。思わず笑っちゃうほどですね。再現部も一呼吸の前半を超えると第一主題回帰から騎行は狂気の突進になります。爆裂爆走の最終楽章です。


テンポの速い硬派の突撃型マーラー6です。刺激と気合が全面に出た感じですね。また今の時代では聴く事のない、第一楽章提示部の反復カット版です。

決して素直なマーラー6ではありませんが、どうもこういう演奏が好きでになりますねぇ。






(#2)
Kölner Rundfunk Sinfonieorchester
[EMI] 1984-9/21


(右は全集ですね)

かのケルン放送響とのマーラー・サイクルからの一曲で、もちろん首席指揮者時代(1983-1991)の録音です。


【第一楽章】
第一主題は適度なテンポに乗って勇壮に、穏やかなパッセージからアルマの主題は派手で華々しくアゴーギクを効かせていますね。展開部は勇壮な第一主題とスローの第二主題のコントラストを明確に付けてきます。再現部第一主題はテンポアップして激しさ漲らせて、ラスト第二主題変奏もパワフルですね。怒涛で派手な第一楽章です。好きなパターンかもw

【第二楽章】
スケルツォですね。主要主題は一楽章の延長線上ですが、少しクールに納めていますね。中間部は穏やかなメヌエット風にギヤを切り替えて続く木管の動機はほどほどにと、良い流れを作っています。回帰でもう少し色付けをが欲しかった気もします。

【第三楽章】
アンダンテです。主要主題は穏やかマイルドに、第一トリオがそこに哀愁を付け加えて来ます。王道の流れです。第二トリオの中間部は陽光さす明るさを緩やかに表現していますが、全体少し緩さを感じるかもしれません。

【第四楽章】
序奏の揺さぶりは弱めの流れですが、アレグロ・エネルジコから提示部第一主題は歯切れ良い勇壮さです。パッセージも切れ味鋭く現れて第一主題と対位的に絡んでシャープです。第二主題もその流れを崩さずに入って来ますね。展開部は両主題を大きな鳴りで広げます。行進曲は快感の勇壮さ、ディナーミクのコントロールがとても効果的ですね。再現部も騎行パートは超ハイテンポで強烈に突き進みます。見事な締まりの良さです。


変化球なし真っ向勝負のマーラー6です。あまりにストレート過ぎるのが問題でしょうかw 個性あるアゴーギクのスパイスを一振りして欲しかったですね。

勇壮な第一・四楽章が見事なので、二つの中管楽章に締まりがあれば素晴らしかったと思います。






(#3)
Tokyo Metropolitan SO
[fontec] 2002-6/30


音楽監督時代(1998-2005)の都響とのマーラー6ですね。埼玉と横浜で行われたチクルスです。
マーラー6はこの21年前の1981年に東京文化会館の初客演で振っていますね。(#1と似た方向性で面白いのですが、残念ながら最終楽章は演奏が着いて行けませんでした)


【第一楽章】
低弦の弾む様なリズムを強調した第一主題、肩の力が抜けた流れです。アルマの主題は少し速めにマイルドな華やかさですね。展開部、再現部共に安定感抜群の流れを感じますね。手の内に入った演奏とでも言うのでしょうか。18年前のケルンRSOと比べると落ち着いた流れを感じます。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は落ち着いた流れで隙はありません。トリオも程よくテンポダウン、落ち着きは変わりませんね。木管の動機も違和感はありません。回帰でもアゴーギクの揺さぶりを上手く付けて来ます。

【第三楽章】
アンダンテですね。主要主題はややスローで透明感ある落ち着きに、第一トリオでもスローはキープして色合いを哀愁に変えて来ます。中間部は広がりある音色で明るさを見せて、緩やかな流れが全体を支配しています

【第四楽章】
陰影強い序奏を押さえて進み、テンポアップしてモットーへ。第一主題は爽快に、パッセージもhrの鳴りを生かします。第二主題は軽妙ですね。展開部の両主題の交感もほどほどに、行進曲も計算通りの刺激でしょう。ウッドクラッパーの音色が良いですね。再現部は押さえの効いた流れから騎行も落ち着きの中にコントロールされています。


落ち着いて行儀の良いマーラー6です。全パートで程よいテンポ、程よい刺激、全てがコントロールされた成熟した姿でしょうか。

円熟さと引き換えに角(つの)も削られた様な… ベルティーニの声が良く聞こえますね。





エリアフ・インバル, Eliahu Inbal (3録音)

マーラー振りの一人インバルですが、三回のマーラー・サイクルの内二回が都響とですね。それも約5年ほどしか開けていません。なんだか不思議な感じですね。



(#1)
Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt
[DENON] 1986-4/24, 26


フランクフルト放送響(現:hr交響楽団)とのチクルスからのマーラー6ですね。


【第一楽章】
スローな第一主題は途中から徐々にテンポアップで計算を感じますね。重厚さはほどほどです。パッセージを大きく落として、アルマの主題は緩やかな印象です。展開部スローの挿入部を極緩く、後半の山場も興奮を避けるかの様ですが、再現部は締まり良い行進曲で入りますね。コーダの葬送ではスローを強調、全体の流れは緩い印象です。

【第二楽章】
スケルツォですね。主要主題は緩いです。これがインバルの狙いなのでしょうね。トリオはいっそう落とします。木管の動機もドロ〜んとした感じです。残念ながら強烈な間延び感を拭えません

【第三楽章】
アンダンテはスローを避けて適度なテンポ設定ですが、それでも主要主題はのんびり感を醸して ぬるいコーヒーみたいですね。第一トリオは哀愁が漂いますが、主題からディナーミクが極度に弱くベターっとしています。第二トリオ(中間部)で何とか色合いを変えてくれますが、全体ユルユルです。微妙なポルタメントもよく聴こえる様な奇妙さも…

【第四楽章】
序奏は当然スローでアゴーギクは薄め、提示部第一主題からパッセージは程よくテンポアップしますが、アゴーギクが弱く耳と脳が疑っていて快感は伝わりません。展開部からも、処々で標準的なテンポと揺さぶりを見せます。それなら今までの緩いスローは何だったのでしょう??って感じになりますね。この楽章だけ特別コントラストが良いわけでもありませんし。


緩くてもわ〜っとしたマーラー6です。アゴーギクは振っていますが基本はスロー、個人的にはシャキッとして欲しい気分が先に立ちます。特に中間楽章のモワモワ感は強烈です。

クセ物の一枚ですが好みではないのでにはなりませんね。






(#2)
Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra
[fontec] 2007-12/19


都響のプリンシパル・コンダクターの前、特別客演指揮者以後でのマーラー・サイクルの6番ですね。フランクフルト放送響から21年後になります。


【第一楽章】
第一主題は重厚と言うよりも肩の力を抜く感じ、モットーからパッセージも段階的に落として、アルマの主題はスロー低重心の優美さが珍しいです。展開部は力感の第一主題変奏から、挿入部は表情を感じさせるスローで上手く奏します。再現部は勇壮さを増してテンポも上げて来ますが、第二主題は平凡な回帰です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は冷静さを感じます。そこへトリオが洒脱な色合いで入ります。ついでにインバルの唸りも着いて来ますがw

【第三楽章】
主要主題は微妙なアゴーギクを振っていますね。第一トリオは揺さぶりを消して哀愁から穏やかさに変化させて行きます。第二トリオ(中間部)では王道的に明るい光を感じさせてくれますね。

【第四楽章】
長い序奏はスローの緊張感で上手いですね。アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は締まりの良い疾走です。パッセージhrの鳴りが良く、第一主題との絡みも切れ味がいいですね。第二主題は軽快そのものです。展開部も教科書的にピシッとまとまって突き進みます。生真面目な完成度の高さと引き換えにスリルやワクワクする様な楽しさが薄まった感じですが、都響らしさかも。


クセも欠点も少ないお行儀の良いマーラー6です。多少の揺さぶりは付けていますが、コンパクトにあっさりとまとまった印象ですね。

個人的には何か+αが欲しい感じです。コンサートでもそうですが、インバルの唸りがやたらと聞こえますね。






(#3)
Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra
[Exton] 2013-11/2, 3


プリンシパル・コンダクター(2008-2014)時代、都響と二回目のマーラー・サイクルからの6番。上記(#2)の6年後になります。


【第一楽章】
第一主題は重心を低く力感の流れになっています。モットーからパッセージでも流れ良く鎮めてアルマの主題をスローに大きく広げます。展開部第一主題はビシッと決めて、挿入部スロー静も緊張感がありますね。(インバルが唸るフレーズがうるさいですがw) 再現部は勇壮さを見せながら進み、コーダも沈めた葬送から一気に走り抜けます。見晴らしの良い第一楽章になりました

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は落ち着いていますが切れ味は良いですね。重心を下げて流れを作るとトリオが静粛なイメージを作ります。上手い緊張感を作っていますね。続く木管の動機は殊更に哀愁を見せる事はしませんね。それぞれ回帰では色合いを加えて、表情のあるスケルツォになっています。

【第三楽章】
主要主題は緩やかなアンダンテで少しアゴーギクが振られ、第一トリオは透明感ある哀愁、中間部は力のある広がりです。それにしてもインバルの唸り声は歌い過ぎですね。

【第四楽章】
序奏は音の良さを感じます。提示部第一主題は姿勢正しく、パッセージも正面を見据えた感じです。第二主題は抑えた軽やかさで現れます。展開部は一呼吸入れる感じからチェロの強引な動機から第二主題が目覚める様に出現して大きく鳴らします。1stハンマーの後は行進曲を重心を低く堂々と進んで行きますね。静からの烈、再現部聴かせ処の第一主題回帰からの騎行パートは突撃突進で、素晴らしいです。


落ち着き払った堂々王道のマーラー6です。適度なアゴーギクとディナーミクがマッチして、録音も良く全方位良好です。興奮も排した出来過ぎ感が気になるかもしれませんが、それこそ都響の個性かと。m(_ _)m

マーラー6のインバルならこれでしょう。インバルのヴォーカリーズ(唸り声)で歌付きの6番になっていますがw





ファビオ・ルイージ, Fabio Luisi (3録音)

来日での印象はスラっとしたクールな印象のイタリア人指揮者ルイージ。マーラーの録音を多く残していて、6番も三つの録音があります。実は興味深い3録音で、隠れた名演もありますね。



(#1)

Suisse Romande Orchestra
[Espace] 1997-10/1


首席指揮者(1997-2002)時代のスイス・ロマンド管弦楽団を振ったマーラー6ですね。


【第一楽章】
第一主題は速めで切れ味 締まりよく、コラールのパッセージ後半でスローに鎮めるとアルマの主題は大きく華やかです。良く鳴らす提示部ですね。展開部は第一主題を厳しく、挿入部では静スローの幽玄さへと急変させ、hrのコラールもスローで落ち着いています。再現部の二つの主題は揺さぶりが強くなり、コーダの行進曲は陰鬱に。ラストは第二主題から派手に締めくくります。コントラストの良さが見事ですね。

【第二楽章】
スケルツォです。強烈な主要主題で激しさと速さが印象的です。トリオはスローダウンでシンプルに刻みます。極端にメヌエット風にはしないで変拍子を生かして、主部とのコントラストを作ります。木管動機は色合いを隠してトリオの延長上的ですね。回帰の各部は変化をつけて強烈な揺さぶりとなって、激しさと聴き応えあるスケルツォで前後楽章とのバランスもgood!ですね。

【第三楽章】
主要主題は穏かで肩の力が抜けた美しい哀愁ですね。第一トリオも悲しみを湛える様に良い流れで繋がり、ピークの悲しみからの中間部(第二トリオ)では大きく晴れ間を見せる様な明るさが広がります。後半の溢れる哀しみを大きく表現して、素晴らしい緩徐楽章になりました。

【第四楽章】
序奏から強烈なコントラストと緊張感で鳴らします。アレグロ・エネルジコからの第一主題はシャープにキレ良く、パッセージでスローダウンと珍しい構成を見せながら主題を絡めて進んで行きます。第二主題はその延長にあって優美、上手い流れですね。展開部vc動機から第二主題が現れるとテンポを上げてピークを作り、間を作った流れからの行進曲はリズムを強調して進みます。再現部も第一主題回帰は派手、騎行は劇的に進み快感ですね。コーダの低音金管が怪しいですがw
スローで激しさを上手くコントロールした最終楽章で類型性を回避していますね。

長いアプローズが入っていて、鳴り止まない拍手喝采から手拍子となって声援が湧き上がります。ルイージは何回もステージに現れたと思われ、素晴らしいコンサートであったに違いありませんね。



強烈なコントラストが素晴らしいマーラー6です。各主題・動機のテンポ・強弱設定がベストマッチの流れを作ります。最終楽章提示部パッセージでのスロー化の様な珍しい変化も上手く入れています。

中間楽章"スケルツォ→アンダンテ"の対比は特筆モノで、全楽章の繋がり感と構成の素晴らしさに貢献していますね。ハイコントラスト系6番としてオススメの一枚で、LIVEと言うのも見事です!!






(#2)
MDR Sinfonieorchester
[VKJK] 1998-2/7, 8


ルイージが上記スイス・ロマンド管と同時期に首席指揮者(1996-2007)を務めていたMDR交響楽団とのマーラー6です。スイス・ロマンド管(#1)の翌年の録音となるので興味深いですね。


【第一楽章】
速めの第一主題で切れ味よく、コラールのパッセージ後半スローは変わらずアルマの主題は少し抑え気味になりましたね。反復の方が力感があるかも。展開部第一主題はここでも激しさを見せ、挿入部での静スロー急変も同じですね。再現部二つの主題も激しさ、コーダは少し速くなって?いて陰鬱な行進曲からラストは派手なまとめです。激しいコントラストの(#1)から角が取れた感じですね。テンポ設定は似ています。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題はやはり速くて強烈ですが激しさは減っていますね。トリオのスローダウンはほどほどになって優美さが強まりましたね。バランスよくはなりましたが個性は無くなりました。木管動機は少し揺さぶります。

【第三楽章】
主要主題は優美な流れですが、前楽章とのコントラストが弱まったのは残念ですね。第一トリオも哀しみを感じる良い流れですが、途中で弱音に落としてピークにしますが弱め。中間部(第二トリオ)は見晴らしの良い明るさですね。ややスロー・フラットな流れから、後半の哀しみのピークは大きいですが表情は減っているかもしれません。

【第四楽章】
序奏もコントラストの刺激を削ってバランスは良くなりました。提示部第一主題はテンポアップでシャープですが、個性的なパッセージのスローダウンは弱くなってしまいましたね。第二主題は素直な軽快さを見せます。展開部vc動機からも特徴的なスローのコントロールは影を潜めて、行進曲も刺激はありますが平均的バランスになっています。再現部も同様の流れですね。


緩急の個性を見せつつバランスを崩さないマーラー6です。基本は(#1)と変わりませんが角を落とした感じですね。実はそこがコアの"魅力溢れる刺激"で、大切なものを失ったわけですが…

全然悪くないのですが、スイス・ロマンド管が頭にあると引き算になってしまいます。






(#3)
Wiener Symphoniker
[Wiener Symphoniker] 2011-1


MDR響の13年後、ウィーン交響楽団(VSO)の首席指揮者(2005-2013)時代のマーラー6ですね。第二楽章をアンダンテに変更です。


【第一楽章】
リズミカルで興奮を避けた第一主題、木管コラール後半スローはルイージらしくアルマの主題は華々しさですが抑えていますね。展開部第一主題の激しさも抑え気味、挿入部のスローも違和感のない自然な流れで、hrコラールもスロー抑えた印象ですね。再現部は第一主題の激しさをバランス良く増して、コーダ行進曲は陰鬱ほどほど、ラスト第二主題も抑えが効いています。興奮を排除したスタンダード色の第一楽章です。

【第二楽章】
アンダンテに変更して来ましたね。静美な主要主題は緩やかに、第一トリオは静の哀しみを強く表現します。ピークも感情は抑えて、中間部(第二トリオ)も緩やかな明るさになりました。淡々とクールに進み、後半の溢れる哀しみは抑えた感情ですがしっかりと。静で哀しみと美しさが染み入る緩徐楽章です。

【第三楽章】
従ってスケルツォですね。主要主題は速いですが激情や興奮は排除されてクール、トリオは穏かなメヌエット風に、木管動機は淡々と流します。主部回帰の激しさは抑えて、最後の一瞬の刺激はgoodスパイスですね。

【第四楽章】
序奏は落ち着いた流れになりましたね。提示部第一主題はキッチリとした行進曲、パッセージも標準的で、絡みやすい流れになりました。第二主題は淡々として表情変化は薄めです。展開部vc動機も力感は避けて第二主題も緩やかに大きく現れ、行進曲もクールに決めて歩みを進めます。再現部は静からの第一主題回帰は晴れかやに大きく入って、コラールから騎行は力感が戻ってシャープに決めます。


スタンダード色ですが端正クールなマーラー6です。10年を超える歳月は流れを大きく変えましたね。(#1)スイス・ロマンド管の激情的流れは何処にもありません。

でも、澄んだ上質な出汁の様な落ち着きが感じられます。このクールさもありかもしれませんね。第二楽章アンダンテ変更も、前後楽章の端正クールさにフィットします。





ジェームズ・レヴァイン, James Levine (2録音)

メトの顔のイメージが強かったレヴァインですが、事件は残念でした。マーラーに関してはRCAから全集(三つのオケで, 2番8番を除く)を出していて、独特の明瞭さがすぐに浮かびますね。この2録音ではスケルツォとアンダンテを入れ替えています。
【後日記】2021年3月9日、亡くなられました。R.I.P. Maestro LEVINE.



(#1)
London Symphony Orchestra
[RCA] 1978-2/7,9,10


(左は所有盤、右は全集です)

レヴァインが首席指揮者(1968-1979)を務めた時代のロンドン交響楽団とのマーラー6です。


【第一楽章】
刻む行進曲のリズムが心地良い第一主題から、アルマの主題は大きく音を広げます。適度なアゴーギクもあって気持ちの良い提示部です。展開部第一主題はキッチリと再現、第二主題からの挿入部は静ですが深淵より明瞭さが勝っていますね。再現部はハイテンポで勢いをつけて、アゴーギクある流れからコーダは第二主題を派手に鳴らします。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は歯切れ良く爽快、トリオも明るく軽妙にリズムを刻みます。木管動機はサラッと流す感じで哀愁感を抑えて、力感の主部回帰です。トリオの回帰は意外に抑えて優美さ主体ですが、最後の主部回帰は迫力です。

【第三楽章】
主要主題は優しさ溢れるアンダンテ、第一トリオも緩やかに哀愁が漂う流れです。大きく哀しみからの中間部(第二トリオ)は明るい光りを燦々と注ぎますね。最後の第一トリオ回帰は強烈に激しいです。凄いコントラストの楽章です!!

【第四楽章】
序奏は各動機のアゴーギクで差別化して、アレグロ・エネルジコから第一主題を締まり良く行進します。パッセージも軽快に現れ主題と絡み、第二主題は軽妙。展開部はvc動機で刺激を与えて第二主題を派手に鳴らして、行進曲はテンポアップ力感で突撃。再現部は緩やかな静から第一主題回帰で勢いを取り戻すと、騎行は快速・激走・爆走です!! とにかく派手な最終楽章です。


スカッと気持ちの良いマーラー6です。5番でもそうでしたがアゴーギクの振り方と明瞭さが特徴的で、これもありかなという感じですね。

この "無双の明快さ" が6番の一つの姿だとすれば、でしょうねぇ。






(#2)
Boston Symphony Orchestra
[BSO Classics] 2008-10/10, 11, 14
(amazonでは見つかりません)

LSOの30年後、小澤さんの跡を継いでボストン交響楽団の音楽監督(2004-2011)になった時代のマーラー6ですね。第二楽章をアンダンテに入替ています。


【第一楽章】
やや速めで勇壮な第一主題、アルマの主題も速めで大きく鳴らします。少しせっかちな提示部です。展開部は第二主題からの挿入部を少し速めに進めて、再現部は色合い濃く主題を鳴らします。コーダは葬送が暗く陰湿スローで、第二主題で一気に派手にとコントラストが強いです。ただアゴーギクが全体に弱まり、音色は濃いのですが淡泊な印象になりました。

【第二楽章】
アンダンテに変更ですね。主要主題はここでも速くなって淡々としていますが、第一トリオは穏やかな哀愁です。哀しみの山場は弱まり、第二トリオの明るさにつなぎます。最後の第一主題回帰ではしっかり鳴らしていますがLSOよりは控えめでしょう。

【第三楽章】
スケルツォですね。主要主題は随分と大人しくなりました。中間部はスローでペタッとした印象、木管動機も淡々としていますね。中間部回帰はアゴーギクを生かしますが、主部回帰は以前より抑えが強いです。

【第四楽章】
序奏はスローに重心を置いた感じなりましたが、提示部第一主題は速めシャキッとです。パッセージとの相性もいい感じで、第二主題は軽快ですね。展開部・再現部は全体的に速めで騎行などは派手ですが、楽章としてはLSOよりややコンパクトになった感じます。コーダで3発目のハンマー?!(微妙な音です)


速めで抑揚が減り(#1)の明快さが弱まったマーラー6です。音をよく鳴らすのは変わらないのですが。

レヴァインの鳴らす流れでは第二楽章もスケルツォの方がフィットする感じですね。





ガブリエル・フェルツ, Gabriel Feltz

Stuttgarter Philharmoniker
[Dreyer Gaido] 2008-2/15


フェルツが首席指揮者時代(2004-2013)のシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団を振ったマーラー6です。第5番では極端な二面性を見せて驚かせましたが、第6番はどうでしょうか?!


【第一楽章】
速め軽めから刺激を付ける第一主題、木管コラールで静にしてアルマの主題も速めに淡々としています。展開部は第一主題ピークを派手に、挿入部で静スローに落としてコントラスト付け。再現部の両主題には刺激と感情を与えて、コーダは第二主題で一気にテンポアップしフィニッシュを駆け抜けます。

【第二楽章】
スケルツォ主要主題は一楽章の回帰的で締まり良く、トリオはスロー優美なメヌエットからインパクトのある流れに。木管動機はその延長上です。最後の主部回帰では激しさと揺さぶりのフェルツらしさを覗かせました。

【第三楽章】
主要主題は緩やかな美しさで、第一トリオのコーラングレの哀愁美につなげ、ピークでは緩やかに大きく哀しみを湛えます。中間部(第二トリオ)はそれに対比する様に明るさで応えます。第一トリオ回帰では極静スローに落としてから、山場を大きく鳴らします。見事な構成の美しいアンダンテ、これもフェルツの一つの顔ですね。

【第四楽章】
長い序奏は彫りの深い演奏でここだけでも聴き応えがあります。アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は締まり良い行進曲、パッセージもシャキッとして張りがあり主題と絡んで見事に進むと、第二主題は軽妙優美のコントラスト。展開部は第二主題ピークを華々しく、第一主題からの行進曲はアップテンポからテンポ変化で揺さぶりながらクールな気持ち良さを見せます。再現部も第二主題をしっかり抑え第一主題が華やかに顔を出すと、切れ味の騎行で突き進みます。


美しいアンダンテと刺激的山場のマーラー6です。第5番の様な異様さはありませんが、ここでもその二面性を見せてくれますね。

特に第三・第四楽章の素晴らしさはハイレベルで、アンダンテは一つの完成形と言っていいと思います。この二つの楽章を聴くだけでも価値があります。





ハンス・ツェンダー, Hans Zender


Rundfunk-Sinfonieorchester Saarbrücken
[cpo] 1973-4/4-7


ツェンダーが首席指揮者(1972–1984)を努めた時のザールブリュッケン放送交響楽団とのマーラー6です。この時代らしく第一楽章提示部の反復はカットです。


【第一楽章】
重厚さを避けながら速めで切れ味ある第一主題、アルマの主題も速く少しテンポ変化を与えて来ます。提示部繰り返しカットですね。展開部第二主題からの挿入部もやや速めで極端には鎮めず、第二主題回帰からはシャープに。再現部の両主題は激しさ強め、コーダの葬送も鎮めるよりも力を溜めて第二主題の激しさに繋げています。ツェンダーらしい速くて淡々とした中に見せる激しさが快感です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題はハイテンポで切れ味抜群、第一楽章の連携性を印象付けます。トリオ(中間部)ではテンポを落としますが、それでもこのパートとしては速くてシャキッとしています。本来の緩やかさではありませんが、全然悪くありません。木管の動機でも速めであっさりと流し、トリオ回帰では少し優美さを見せますね。

【第三楽章】
主要主題は優美に、ディナーミクを付けて少しづつテンポを上げて行きます。第一トリオはやや濃い色で哀愁を奏で、ピークで大きく感情を溢れさせると、中間部(第二トリオ)のhpとhrが明るい光を投げかけます。テンポは速めキープです。第一トリオの回帰は大きく鳴らしますが、殊更の哀愁感はありません。繊細な哀愁ではなく濃厚なアンダンテになっています。

【第四楽章】
序奏はモットーから既にテンポアップ、アレグロ・エネルジコから第一主題はキレキレに突進。パッセージも速めで絡んで気持ち良く進むと、第二主題はチェンジペースで軽妙に出現ですね。展開部vc動機後の第二主題を一気に大きく広げて派手に鳴らし、行進曲はもちろん真骨頂で激しくキレキレです。再現部第一主題を爆裂させて、一気に騎行へ突入すると激走です。もう止められません! ツェンダーのマーラー炸裂です!!


速いテンポとキレキレ シャープのマーラー6です。スロー静音での表現は排除、突き進む快感の一方通行です。特に最終楽章は痺れる様な快感があります。

この流れに個性的な極端に速いパートを盛り込んだのが第9番と言う事になりますね。いずれ個性を放つツェンダーのマーラーです





ダニエレ・ガッティ, Daniele Gatti

Orchestre national de France
[DECCA] 2008?


フランス国立管弦楽団の主席指揮者(2008-2016)時代のガッティのマーラー6です。ガッティとレヴァインは不祥事が残念ですね。


【第一楽章】
リズムを刻んで弾みをつける様な特徴ある第一主題、アルマの主題は少しテンポアップで澄んだ音色で広がりを作ります。展開部の"烈(一主題)→暗(挿入部)→明(二主題)"の変化はアゴーギクでのコントラスト付け。再現部の二つの主題は少し刺激を増して、コーダの葬送はスローを避けて第二主題を走らせます。ディナーミクの振り幅が少し不足気味に感じますね。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は速く、一楽章との類型性を否定します。中間部(トリオ)はグッとスローに落として揺さぶりも付けています。メヌエット感はほどほどですね。主部とトリオで大きな緩急付けです。木管動機の表情変化は弱め、最後の主部回帰も激しさは抑えています。

【第三楽章】
主要主題は緩やかで穏やか、少し揺さぶりを掛けるのが気になります。第一トリオでも微妙にテンポ変化を与えています。この揺さぶりはアンダンテには向かないと思うのですが。山場を広げて、第二トリオはほのぼのとした明るさです。第一トリオ回帰からの山場は哀しみを溢れさせます。

【第四楽章】
序奏はメリハリが薄いですね。大きなクシャミが笑えますがw 提示部は第一主題をシャキッと行進曲、パッセージもバランス良く進め、絡みは本流的になっています。第二主題も約束通りの軽妙さで入ってから盛り上げます。展開部のvc動機は厳しく奏で、第二主題のピークを大きく広げます。コラールは派手に鳴らしますが、行進曲はアゴーギクでスローの変化を付けて来るので、気持ち良さに欠けますね。ここは突撃して欲しいパートです。展開部も第一主題は派手ですが、騎行は激しさからスローに落としてしまいます。力感はあるのですが、何か違います


アゴーギクの変化でまとめたマーラー6です。大きなテンポ変化と細かい揺さぶりの両輪ですね。フィット感が今ひとつのパートもありましたが。

ディナーミクが薄めでメリハリが不足気味なのも痛手だったと思います。ガッティは唸り過ぎですね。インバルじゃないんですからw





ハロルド・ファーバーマン, Harold Farberman

London Symphony Orchestra
[VOX] 1980-7/28, 29


米人指揮者のファーバーマンがロンドン交響楽団に客演したマーラー6ですね。最終楽章の演奏時間を見ただけで嫌な予感がしますがw


【第一楽章】
軽快なテンポ設定が心地良い第一主題、アルマの主題は明るく明瞭な鳴りです。展開部もクセはなく、挿入部(第二主題動機変奏のスロー)ではカウベルを利かせ気味と言うくらいでしょう。再現部も第一主題がやや速く 第二主題はややスローの対比ですが、標準仕様的印象。重厚さを避けてスカッと見晴らしの良い楽章ですね。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題はリズムの刻みが第一楽章第一主題的で同じ流れを主張しています。トリオはスローで緩いアゴーギク、個性と言うほどでもないでしょう。木管動機も少々印象が薄めですね。それぞれ回帰しますが、変化量は少ないです。

【第三楽章】
主要主題はスローに優しく、少し哀愁を感じます。第一トリオはコーラングレが哀愁感を濃く歌い、hrが少し明るさを戻します。ピークはスローに抑えて、中間部(第二トリオ)はhrの音色が美しいですね。山場も落ち着いています。

【第四楽章】
この曲の一つのキーである序奏は色合いが薄いです。アレグロ・エネルジコからの第一主題は約束通りに快速です。hrのパッセージもシャキッとして、両動機が軽快に進んで、第二主題はとても軽量です。展開部は第二主題のスローが気になる流れで、モタッとした行進曲も締まりません。再現部も第二主題はスローで幻滅、騎行は気合い良く締まっています。ただ、いたるところに振られたこの楽章のスローは合わないと思いますね。


スローパートの間延び感が強いマーラー6です。それ以外は平凡。唯一違うのはハンマーが三発だと言う事でしょう。

残念ながら、この曲の好みの方向性ではありませんでした。





クリストフ・フォン・ドホナーニ, Christoph von Dohnányi

The Cleveland Orchestra
[DECCA] 1991-5/20


ドホナーニがクリーヴランド管弦楽団の主席指揮者(1984-2002)時代のマーラー6です。その後は桂冠指揮者ですね。


【第一楽章】
堂々とした第一主題は勇壮、コラールを静めてアルマの主題は控えめに美しさを奏でます。個人的にはこの対比が好きです。展開部も主題の回帰はコントラスト良く、スローの挿入部は色合いが美しいですね。再現部は第一・二主題を約束通り派手さを増して、コーダは葬送を鎮めて第二主題を大きく鳴らします。明瞭で気持ち良い流れの第一楽章です。

【第二楽章】
スケルツォです。主要主題は肩の力を抜いた切れ味でクールに、トリオは瀟洒なメヌエットにしています。木管動機もその流れの延長上に有って主張は抑えています。最後の主部回帰は一瞬厳しく鳴らしますが、全体としては淡々としているかもしれません。

【第三楽章】
主要主題はリラックスで優美、副主題(第一トリオ)もクールな哀愁で、ピークは抑え気味に。中間部(第二トリオ)で明るさを広げ、山場は大きく鳴らして溢れる哀愁を奏でます。

【第四楽章】
序奏はあまりコントラストを付けませんね。アレグロ・エネルジコからの第一主題は快走して気落ち良さがあります。パッセージは落ち着いていて、第二主題も軽妙ですが変化は弱めでしょう。展開部vc動機はほどほどに第二主題を盛り上げ、行進曲は刻むリズムに気持ち良さがあります。再現部の第一主題回帰は華やかに、騎行はハイテンポでガッツリ走りますが暴れる事はありません


明確に流れをコントロールしたマーラー6です。テンポは僅かに速めで揺さぶりを抑え、興奮を抑えつつも程よくパワーも見せ、と方向性が揃っています。

完成度は高いのですがまとまり過ぎの印象が残り、勢いのついた荒々しさや感情移入が欲しい気がしてしまいます。(最終楽章は少し荒っぽさを見せますが、コントロールは効いています)







聴き始めると一気に聴けるのですが、なかなかその気になるきっかけがないのが問題ですw まだまだあるのですが…


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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