マイケル・ティルソン・トーマス/サンフランシスコ響「マーラー 交響曲 第8番 "千人の交響曲"」と言うクールな逸品
最近の8番、A.フィッシャー/ネゼ=セガン/ゲルギエフ、を中心に前回は鉄板のバーンスタインをインプレしたので、今回はクールな名盤MTTです。これでマーラー8のインプレ連投はお休みしましょう。
Conductor | Orchestra | Date
マイケル・ティルソン=トーマス Michael Tilson Thomas
(San Francisco Symphony, 2008-11/19-23 Live rec.)
(San Francisco Symphony, 2008-11/19-23 Live rec.)
25年間に渡りサンフランシスコ交響楽団の音楽監督を務め、本年(2020)勇退するMTTと同オケの有名マーラー・サイクルからですね。所有している方が多い盤かと。
ちなみに3, 6, 7番はグラミー賞を受賞しています。8番も2010年受賞で、最優秀クラシック・アルバム賞と最優秀合唱パフォーマンス賞のグラミー賞ダブルタイトル作品ですね。
ちなみに3, 6, 7番はグラミー賞を受賞しています。8番も2010年受賞で、最優秀クラシック・アルバム賞と最優秀合唱パフォーマンス賞のグラミー賞ダブルタイトル作品ですね。
■ 第一部
提示部:第一主題「Veni, veni, creator spiritus!」は落ち着き払ったスタートです。第二主題の第一ソプラノからの重唱群は各パートが実力を見せますね。
展開部:入りの管弦楽奏も重唱もクールに進み、第一主題変奏の合唱は興奮は避けながらもビシッと締まった見晴らし良い山場を作ります。
再現部:第一主題出現からスッと緩めて山場を落ち着かせませす。コーダは少年合唱団の"Gloria…"が明るく、重唱群は高らかにアゴーギクを使って登り詰めます。
MTTらしさ全開, クールな中に見せるコントラストの良い第一部です。
展開部:入りの管弦楽奏も重唱もクールに進み、第一主題変奏の合唱は興奮は避けながらもビシッと締まった見晴らし良い山場を作ります。
再現部:第一主題出現からスッと緩めて山場を落ち着かせませす。コーダは少年合唱団の"Gloria…"が明るく、重唱群は高らかにアゴーギクを使って登り詰めます。
MTTらしさ全開, クールな中に見せるコントラストの良い第一部です。
■ 第二部
【1. 序奏:山峡・森・岩・荒地】
5度下降のピチカート主題を丁寧に作り、スローベース緩やかな変化を付けて情景描写をします。美しさを感じる序奏になっていますね。
【2. 緩徐:聖なる隠者たち】
「合唱とこだま」では序奏主題を再現部の様に丁寧に歌います。「法悦の神父」のバリトンは喜びを感じさせながら、「瞑想の神父」のバスは少し腰高ですが生き生きと全能者の愛を讃え、スカッとした男性ソロのパートとなっていますね。
【3. スケルツォ (アレグロ):天使たちと子供たちと】
「天使の合唱」はテンポアップでファウストの霊を天上界へと運びます。「祝福された少年たち」「若い天使たち」は軽妙さと明るさのハイテンポが心地良いですね
重要パートの「成熟した天使たち」では鎮めた合唱に続いてアルト(#1)が抑えながらも朗々と愛を歌い上げ、「未熟な天使たち」から「祝福された少年たち」は軽やかです。見事なスケルツォパートになっていますね。
【4. フィナーレ:マリア崇拝の博士、懺悔する女たち、栄光の聖母】
スケルツォから入り込んだ「マリア崇拝の博士」のテノールは、伸びの良さで緩いアゴーギクに乗りクールに聖母を讃えます。第一主題が現れると合唱が加わり神聖に、わざと大きな休符入れると大きくスロー化して合唱が再度現れるとても特徴的な流れですね。
「かつてのグレートヒェンの告白」(sop2)が伸びやかに現れて聖母に願いを歌います。「罪深き女」(sop1)は美しく、「サマリアの女」(alto1)は落ち着きを見せる低めのトーン、「エジプトのマリア」(alto2)はsopの様なハイトーンで、それぞれ願いを歌い上げます。聴かせ処 "贖罪の女三人の合唱" 三人の力量が生きた心地よさを感じます。
マンドリンの音色から「懺悔する女 (グレートヒェン)」が登場するとマリアに切々と祈りを伝えるのも良い感じですね。切れ味鋭いsopです。「祝福される少年たち」も明るさがあります。
ストーリー上のピーク「栄光の聖母」(sop3)は歌詞にピッタリの優しいsopで、心が暖まります。短い役ですがこの役最高の一人だと思います。
「マリア崇拝の博士」が喜びを表す様に登場、まさに聖母への感謝を表します。この流れが見事ですね。
【5. コーダ:神秘の合唱】
鎮まって「神秘の合唱」は祈りを感じます。実際には大団円を謳うので、ソリストが入って徐々に上げてラストは "Das Ewig-Weibliche Zieht uns hinan." を高らかに歌い上げます。
ストリー性を感激的に表現した第二部になっていますね。
5度下降のピチカート主題を丁寧に作り、スローベース緩やかな変化を付けて情景描写をします。美しさを感じる序奏になっていますね。
【2. 緩徐:聖なる隠者たち】
「合唱とこだま」では序奏主題を再現部の様に丁寧に歌います。「法悦の神父」のバリトンは喜びを感じさせながら、「瞑想の神父」のバスは少し腰高ですが生き生きと全能者の愛を讃え、スカッとした男性ソロのパートとなっていますね。
【3. スケルツォ (アレグロ):天使たちと子供たちと】
「天使の合唱」はテンポアップでファウストの霊を天上界へと運びます。「祝福された少年たち」「若い天使たち」は軽妙さと明るさのハイテンポが心地良いですね
重要パートの「成熟した天使たち」では鎮めた合唱に続いてアルト(#1)が抑えながらも朗々と愛を歌い上げ、「未熟な天使たち」から「祝福された少年たち」は軽やかです。見事なスケルツォパートになっていますね。
【4. フィナーレ:マリア崇拝の博士、懺悔する女たち、栄光の聖母】
スケルツォから入り込んだ「マリア崇拝の博士」のテノールは、伸びの良さで緩いアゴーギクに乗りクールに聖母を讃えます。第一主題が現れると合唱が加わり神聖に、わざと大きな休符入れると大きくスロー化して合唱が再度現れるとても特徴的な流れですね。
「かつてのグレートヒェンの告白」(sop2)が伸びやかに現れて聖母に願いを歌います。「罪深き女」(sop1)は美しく、「サマリアの女」(alto1)は落ち着きを見せる低めのトーン、「エジプトのマリア」(alto2)はsopの様なハイトーンで、それぞれ願いを歌い上げます。聴かせ処 "贖罪の女三人の合唱" 三人の力量が生きた心地よさを感じます。
マンドリンの音色から「懺悔する女 (グレートヒェン)」が登場するとマリアに切々と祈りを伝えるのも良い感じですね。切れ味鋭いsopです。「祝福される少年たち」も明るさがあります。
ストーリー上のピーク「栄光の聖母」(sop3)は歌詞にピッタリの優しいsopで、心が暖まります。短い役ですがこの役最高の一人だと思います。
「マリア崇拝の博士」が喜びを表す様に登場、まさに聖母への感謝を表します。この流れが見事ですね。
【5. コーダ:神秘の合唱】
鎮まって「神秘の合唱」は祈りを感じます。実際には大団円を謳うので、ソリストが入って徐々に上げてラストは "Das Ewig-Weibliche Zieht uns hinan." を高らかに歌い上げます。
ストリー性を感激的に表現した第二部になっていますね。
ストーリーを正視した完成度、構成はMTTらしいクールで心地良いマーラー8です。この曲のキー、重唱をになうソリスト8人が素晴らしくMTTの音楽と相まっているのが一番ではないでしょうか。
個性漲るバーンスタインの対極にいる、クールなアゴーギクで素晴らしい一枚ですね。これが個人的なベスト2になります。
個性漲るバーンスタインの対極にいる、クールなアゴーギクで素晴らしい一枚ですね。これが個人的なベスト2になります。
【コロナウィルス禍】
SFS音楽監督最後のMTTマーラーが6月に第8番で予定されていましたが、COVID-19の影響でキャンセルされていますね。本当に残念な事です。
SFS音楽監督最後のMTTマーラーが6月に第8番で予定されていましたが、COVID-19の影響でキャンセルされていますね。本当に残念な事です。