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バーバラ・ハンニガン(Barbara Hannigan)の注目作『La Passione』は、指揮も充実の素晴らしさですね

アルファ ・レーベルはインパクトのある作品を出してくれますが、これはハンニガンのソプラノだけでなく指揮者としての活躍も楽しめるアルバムですね。


Soprano & Conductor
バーバラ・ハンニガン (Barbara Hannigan, 1971/5/8 - )
このblogではご贔屓の現代音楽を得意とするカナダ人女性声楽家で指揮者のハンニガンですが、指揮者として2019-20シーズンよりエーテボリ交響楽団(Gothenburg Symphony Orchestra)の首席客演指揮者を務めていますね。

近々の彼女の予定も興味深く、4月にはデンマークの"レオニー・ソニング音楽賞"を受賞します。この賞はストラヴィンスキーやバーンスタインの他にマイルス・デイヴィスも受賞しているのが良いですね。そして5月27,28日にはミュンヘン・フィルに客演してマーラー交響曲第4番の指揮とソプラノです。これは大注目ですね(前半2曲は本アルバムのノーノとハイドンです!! ハンニガンとアルバムの注目度の高さがわかりますね)


Album Title
ラ・パッショーネ, La Passione
今回のアルバムは受難をテーマとして、ハイドンと現代音楽家(と言っても少々古いですが)二人を並べています。もちろんソプラノと指揮で、演奏は"Crazy Girl Crazy"以来繋がりの強いルートヴィヒ管弦楽団(LUDWIG Orchestra)です。

本作は前作"ウィーン世紀末"でピアノを担当し先月2/14に亡くなったレインベルト・デ・レーウ(Reinbert de Leeuw)に捧げられています。







ルイジ・ノーノ
(Luigi Nono, 1924-1990)
政治色の濃かったノーノの中期作品で、アルジェリアの独立運動家"ジャミラ・ブーパシャ (1938-)"を元にしています。フランス当局からの虐待・拷問を訴えた女性活動家です。

ジャミラ・ブーパシャ Djamila Boupacha (1962)
 約5'のソプラノ独唱曲です。ハンニガンが得意とする現代音楽の声楽で、伸びやかなハイトーンで抑揚が強く表情豊かな表現主義的です。抑圧された陰鬱さよりも、"勇気へのオマージュ"と言ったハンニガンの表現がピッタリですね。



ハイドン
(Franz Joseph Haydn, 1732-1809)
残念ながらこのブログの守備範囲外なので、作曲家と作品に関するコメントはありません。

交響曲 第49番「受難」ヘ短調
I. Adagio - II. Allegro di molto - III. Minuet/Trio
各楽章ごとにインプレは出来ませんが、アゴーギクとディナーミクを同期させる強い揺らぎを感じますね。長い緩徐楽章の I. は特に印象的です。II. でもアレグロらしいテンポに強いディナーミクのコントラストを付けていますね。情感深く まるでロマン派の作品を聴いている様なタクト・演奏で、古典曲が得意でない私も楽しめました。



ジェラール・グリゼー
(Gérard Grisey, 1946-1998)
グリゼーの代表作の一つで、四つの死(天使・文明・声・人類)を世界の文明のTextを元にしていて、死の瞑想になっています。ハンニガンはこの曲を得意としてアンテルコンタンポラン(Ensemble InterContemporain)とも共演していますね。

全5パートがノイズで繋がれています。楽曲内容についてはカンブルラン盤でインプレ済みです。

限界を超えるための4つの歌 Quatre chants pour franchir le seuil
I. La mort del'ange - II. La mort de la civilisation - III. La mort de la voix - IV. La mort de l'humanité - Berceuse
[part I] は風の様なノイズから煌めく様な旋律が現れて幽玄な流れを作ると、いきなり緊迫したsopが割り込みます。アサンブルの揺らぎとsopの息がピッタリです。
[part II] では神秘的で緩やかな弦の音色に、緩やかに寄り添うsopの流れ。緩徐楽章の位置付けです。
[part III] はいきなりのオケとsopの叫び。澱んだ流れがアンダンテ風に流れながら、叫びが繰り返されます。
[part IV] は全パート共通のノイズから入りますが、そのまま打楽器の混沌へと雪崩れ込みます。それまでのオケの暗い澱みは緊迫の打音空間へと変化して、管楽器群が割り込んで激しい混沌を作るとsopが乱入 主導権を握ります。sopは狂気を見せてオケを連れ回し、力比べです。見事な聴かせ処を作りましたね。
[part V] は静めて納めます。

微妙に調性感を残した幽玄さと空間音響、ハンニガンはオケを暗く混沌として澱んだ流れを主体に、そこにsopで緊張感を張り渡らせます。自らが歌いアンサンブルをコントロールするメリットが生かされて、そのコントラストと一体感が素晴らしいです。グリゼーの意図よりもsopが表に出ているかもしれませんが。
(ちなみにカンブルラン盤は煌めくオケの流れが主役でsopは抑え目です)



何と言ってもソプラノ・指揮共にグリゼーの曲の素晴らしさですね。この一体感と完成度はハンニガンの表現力・力量を示したと言って良いのではないでしょうか。

ハンニガンの音楽監督的方向性は強い出し入れによる表現主義風ですね。古典のハイドンでも見せた指揮力と、現代音楽表現の才を楽しめるオススメの一枚です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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