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今の時代の欧エクスペリメンタリズム音楽『ドナウエッシンゲン音楽祭 Donaueschinger Musiktage 2018』



Album Title
Donaueschinger Musiktage 2018
毎年お馴染みのCDですが、年々その魅力が薄れて来ている感じがしますね。一つには一年遅れでのリリースという事、開催年のステージの一部でさえYouTubeで観られるという事、インスタレーションの場合はステージ映像が必須という事、等々があると思います。

そして今回もCD2枚組でのリリースですね。以前はDVD付きとかCD4枚組とかもう少しNEOSが力を入れた時代もありましたが…
とは言えお約束の欧州前衛実験現代音楽の流れですから、インプレしておきましょう。







CD1
イヴァン・フェデーレ
(Ivan Fedele, b.1953)
イタリアの現代音楽家で、ミラノ音楽院でピアノを習い、サンタ・セシリア・アカデミーでドナトーニに作曲を師事していますね。

Air on Air, for amplified basset horn and orchestra (2018)
I Floating on air… - II Squalls on the water surface... - III Calm... - IV In the eye of the storm... - V The pounding sound of the storm... - VI Crumbled air...
 クラリネットの古楽器バセットホルン(アンプに通しています)の協奏曲です。神経質で繊細な音色、徐々に激しさを増して上昇・下降音階を奏でます。サブタイトル通りの嵐の様相を表現しているのは分かり易いですね。静まって嵐の目に入ります。無調でホモフォニーなアンサンブルなので、あまり尖った曲調ではありません。バセットホルンの技巧的なパートもありますが、反復が強いですね。嵐の荒れたパートなどは即興的なポリフォニーでも良さそうな…いずれにしても、新鮮さは無いかもしれません。



マーリン・ボング
(Malin Bång, b.1974)
ストックホルム在住のスウェーデンの女性現代音楽家ですね。B.ファーニホウ、G.グリゼー、P.マヌリ、と言ったビッグネームにも師事しています。アンサンブルや管弦楽、エレクトロニクス系の楽曲を得意としていますね。ドイツのオケからの委嘱も多い様です。

splinters of ebullient rebellion, for orchestra (2018)
 溢れる特殊奏法のノイズ、そして即興的混沌、所謂(いわゆる)音楽ではありません。"グリグリギギギイィィィ"、でもこれがドナウエッシンゲンでしょう。少しボリュームを上げて、混沌の音の中に自分を置いてみる。そんな楽しみ方がピッタリ来ますね。師である上記三人よりもラッヘンマンの方向性かと。中間部で現れる手回しオルゴールの静的で美しい旋律が色合いを添えています。全体構成も良く楽しめますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  2018年のドナウエッシンゲン音楽祭の映像そのものです!!
  数々の特殊奏法を見る事ができます




マルコ・ストロッパ
(Marco Stroppa, b.1959)
イタリアの現代音楽家でイタリアで学んでいますが、米国でも心理学等 多岐のジャンルを学んでいます。ブーレーズの下でIRCAMでも習い、後にラッヘンマンの後任で教鞭にも立っていますね。

Come Play With Me, for solo electronics and orchestra (2016–2018)
1. Come - 2. Play - 3. With Me - 4. RUN - 5. GUN - 6. STRIKE - 7. SCRATCH
 全7パートの構成が込み入っている楽曲ですね。基本は混沌ですが、特殊奏法やノイズではありません。パートによって無調ポリフォニカルに旋律が交錯する流れや、ホモフォニーの様な構成も作られ、中には調性的なパートも存在しています。音響系パートやクラスターもあり、良く練られた楽曲構成で表情豊かではありますが、統一感は低いかもしれません。ラスト一曲だけの方が締まったかも。エレクトロニクスの使われ方がよくわかりませんね。



CD2
アガタ・ズベル
(Agata Zubel, b.1978)
ポーランドの女性現代音楽家で、スタートは声楽家ですね。作曲は調性音楽から始まって、電子音楽を導入する様に至っている様です。ポーランドの現代音楽祭"ワルシャワの秋"での活躍や、"Elettro Voce"という声楽と電子音楽のユニット活動もありますね。

Chamber Piano Concerto, for piano(s) and ensemble (2018)
 点描的で初期セリエルの名残りの様な、ヴェーベルンを今に引きずり出してきた様な、そんな楽風です。でも、反復や調性感, 即興的カオスが入って古さを感じさせないのがポイントでしょう。多様性になるでしょうが、帰ってきたポスト・セリエル?!的で以外に楽しめます。



ミレラ・イヴィチェヴィチ
(Mirela Ivičević, b.1980)
ウィーン在住のクロアチア女性現代音楽家で、ザグレブとウィーンで習い、グラーツではベアト・フラーに師事していますね。現在はパフォーマーでもある前衛アンサンブル"Black Page Orchestra"の創設者の一人として活躍しています。(インスタレーションでしょうねェ)

 ★ちょっと脱線、Black Page OrchestraをYouTubeで観てみる?
   エレナ・リコワ(Elena Rykova)の"101% mind"、ライヴです。面白いです!!


CASE WHITE, for ensemble (2018)
 "速・遅"と"静・クラスター"、そのコントラストを執拗な反復・変奏で彩る流れです。もちろん無調で旋律感は極薄く、類型の危険性も感じますが今の時代の前衛っぽい楽しさがありますね。



フランチェスコ・フィリデイ
(Francesco Filidei, b.1973)
イタリアの現代音楽家でオルガン奏者です。シャリーノやマンゾーニに学び、IRCAMでも習っているそうです。

BALLATA N. 7, for ensemble (2018)
 ppな音構成は微妙な調性感の美しさを持って流れます。背景の低弦音が少しづつ強まると、テンポも緩やかに上がって、パルス的な強音が挟まれます。後半はその対比が強く、そして混沌となって行きます。"静の中に現れる強音"、それはシャリーノですね! 後半にオーディエンスの笑い声が聞こえます。何でしょう?



ヘルマン・マイヤー
(Hermann Meier, 1906–2002)
スイスの現代音楽家で、このアルバムで唯一21世紀に入って亡くなっていますね。年代から行くとメシアンと同じ、シュトックハウゼンらの前衛世代よりも20年ほど年上、ヴェーベルンよりも約20年くらい年下ですね。それでも十二音技法やセリエルに触れて、独特の前衛実験音楽方向の楽風だった様です。

Stück für großes Orchester und Klavier vierhändig, HMV 62 (1965)
 「大規模オーケストラと四手ピアノの為の作品」1965年ですから時代は前衛の隆盛期でしょう。処々で三度・五度の音色や反復が入って多様的ですが、基本はポスト・セリエルの色合いを濃く感じますね。ブラインドで聴いても、目新しさを感じる事は無いと思います。流れに変化はあって、以外に絶賛したりして…w



今回は女性コンポーザー三人が楽しませてくれましたね。とは言え、アルバム全体としては突出したオリジナリティは味わえず、Younes Baba-Aliの"Tic Nerveux"様なCD化の難しい注目作品が漏れるのは残念な事です。

来年あたりはDVDオンリーで出してくれると嬉しいかも。だったら、YouTubeでいい??!! 難しい時代になりましたね。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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