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ベンジャミン・ブリテンの『春の交響曲』5CD聴き比べ:ブリテン, ガーディナー, ヒコックス, ラトル, プレヴィン


ベンジャミン・ブリテン
(Benjamin Britten, 1913/11/22 - 1976/12/4)
今更のブリテンで、いつも書く事ですが前衛全盛期に生きていますがそこに踏み入れる事はありませんでした。でも調性の微妙さは聴いてわかりますね。前衛と新古典主義の時代ですが、どちらでもない英国音楽で、このブログでも現代音楽家のCDリストには入れていません。



春の交響曲
Spring Symphony, Op. 44 (1949年)
メリハリのあるブリテンらしい曲ですよね。12曲全歌曲で、元はラテン語で書こうとしたらしいので俗語オラトリオ(orカンタータ?)的な四部構成で、4楽章の交響曲になっています。個人的な楽しみ方は次の通りですね。

【第一部】
一番長い"序奏"と続くキャラクター色の濃い3'以下の四つのパートのコントラストですね。聖歌的で後半強い流れの序奏 "1.Shine out" を幽玄さと切れ味で、続く短いパートでは "4.The Driving Boy" の少年少女合唱団の明るさに期待しますね。
【第二部】
緩徐楽章に当たる三曲です。序奏と似た構成の三曲目 "8.Out on the Lawn I lie in Bed" の澄んだ流れがメインですが、その前の二曲を上手く繋げて欲しいです。
【第三部】
スケルツォに当たる楽章になる三曲でしょうか。テンポの良さがあると良いですね。アタッカで繋がる "9.When will my May come" と"10.Fair and Fair" のテノールとソプラノのコントラストが聴き処です。
【第四部】
"12.Finale"の一曲構成です。やっぱり派手に切れ味よくブリテンらしく、ですね。特に後半の"Sumer is icumen in"は明るく。








5CDの全体インプレです

 ① ブリテン本人 :押し出しの強さで、ブリテンらしい?!
 ② ガーディナー:バランスとクールさで、完成度を感じます
 ③ ヒコックス :朗々たる鳴りの良さがあります
 ④ ラトル   :意外にも落ち着いた聴き易さです
 ⑤ プレヴィン :表情ある楽しさはプレヴィンならでは

個人的オススメは最後に。





個別インプレです


①ベンジャミン・ブリテン
 (コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団)



【第一部】序奏は幽玄で濃厚、主張の強さを感じます。続く小曲は明るさの中に陰影付けがあります。"3.Spring…"の鳥の鳴き交わしは、重厚な背景音がすごいですね。
【第二部】少し暖かみを感じる春の足音の様な流れから、"8.Out on…" は広がりを感じる伸びやかさがあります。緩やかな明るさの緩徐楽章ですね。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノは演奏共にシャキッとした流れです。"11.Sound…"は弾む様なスケルツォになっています。
【第四部】終始炸裂的な音を使った歯切れの良さが際立ちます。起立整列してビシッとした印象です。"Sumer…"では花咲き乱れる派手な様相からフィニッシュです。

折り目正しい表情で、強音側のディナーミクが印象的です。




②エリオット・ガーディナー (フィルハーモニア管弦楽団)



【第一部】序奏は抑えた透明感のある幽玄さから、後半激しさを盛り上げます。続く小曲は明るさを前面にして、"4.The Driving Boy"は子供達の歌声に心地よさが良いですね。
【第二部】幽玄さと暖かみのバランス良い流れから、"8.Out on…" は静かで明るい日差しの森の中を歩く様に進みます。透明感を感じる緩徐楽章になっています。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノは抑えながらもアゴーギクの良さを感じてシャープです。"11.Sound…"の合唱団も素晴らしいですね。
【第四部】ここでもディナーミクで透明感ある入りから、アゴーギクを利かせて切れ味の強い流れです。力技よりも切れ味ですね。後半"Sumer…"は揺さぶりを効かせて明るさを作っています。
全体、オケと合唱団のバランスも優れますね。

アゴーギク/ディナーミクを効かせながらもクールです。




③リチャード・ヒコックス (ロンドン交響楽団)



【第一部】序奏は冷静で落ち着いた流れを作り、後半山場も迫力を付けますが客観的に感じますね。続く小曲は春の訪れを感じる様に、"3.Spring…"は歌唱も鳥の鳴き交わしも色濃く、"4.The Driving Boy"は子供達が元気です。
【第二部】明るさ主体の明瞭さの流れから、"8.Out on…" は聖歌的な印象が強く落ち着かせる様な緩徐を感じますね。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはメリハリが強い演奏と相まって朗々としています。"11.Sound…"は派手さとリズミカルなスケルツォです。
【第四部】落ち着いた入りから晴朗なハリのある歌唱が広がります。後半"Sumer…"は少しスローに狂乱風に鳴らします。

明瞭で朗々とした流れが特徴的ですね。




④サイモン・ラトル (バーミンガム市交響楽団)



【第一部】序奏の入りからアゴーギク/ディナーミクの振りを感じますね。鬱な気配から表情豊かな流れの緊張感、後半山場は意外に冷静です。続く小曲群はバランスの良さを感じますね。"4.The Driving Boy"は思いの外落ち着いた流れです。
【第二部】冷静な表現から、"8.Out on…" は静でスローを基本に緊迫感の流れです。やや暗めの緩徐楽章になっています。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはクールに落ち着いた流れに乗って、"11.Sound…"も興奮を排除して、落ち着いたスケルツォ楽章ですね。
【第四部】基本は冷静さかと思いきや、強音パートでは荒さを上手く見せます。出し入れのバランスが良く、それまでの楽章と一味違いますね。後半"Sumer…"もドンシャン的です。

抑え気味のコントラスト付けで聴き易い表現です。




⑤アンドレ・プレヴィン (ロンドン交響楽団)



【第一部】序奏は静的な深淵さで沈んだ流れから中盤で切れ味を見せて、山場もシャープです。続く小曲では表現力ある歌唱と演奏のバランスが良く、"3.Spring…"は演奏も歌唱も鳥の鳴き交わしも華麗、"4.The Driving Boy"は子供達が楽しげです。
【第二部】優しさを感じるプレヴィンらしい流れからの "8.Out on…" は、祈りを感じる様な神聖ささえ感じます。山場は抑え目にしてクールな緩徐楽章です。
【第三部】9.10.のテノールとソプラノはメリハリが付いてオケとのバランスが良く、"11.Sound…"も心地良いリズム感でまさにスケルツォですね。
【第四部】落ち着きから強音へ、小刻みからパワーへと、流れに表情が豊かです。"Sumer…"は締めくくりに相応わしい華々しさです。

表情豊かな歌唱とオケが心地良いです。





オススメCD
⑤プレヴィン:心地よい流れを楽しめますね
 (ブリテンの曲らしい音の張りが欲しいなら①ブリテン本人ですw)



 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  バーンスタインとニューヨークフィル、1963年5月3日のライヴ音源です。



■来月4日都響#897のコンサートを前に予習を兼ねて聴いて見ました。大野和士さんが得意としそうなメリハリがあるので期待できそうですね。
【2020年2月27日 記】新型コロナウィルスの影響で中止となりました。

■来月28日のNHKプレミアムシアターでは、ラトル/ロンドン交響楽団の2018年のライヴ映像が楽しめます。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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