M.T.トーマス指揮/サンフランシスコ交響楽団 の2019年再録音『マーラー 交響曲 第6番』18年ぶりの印象は
マイケル・ティルソン・トーマス
(サンフランシスコ交響楽団)
(サンフランシスコ交響楽団)
M.T.トーマス(以下MTT)が25年間(1995-2020)首席指揮者・音楽監督を務めたサンフランシスコ交響楽団とのマーラー6、最後のシーズンに18年ぶりの録音が発売されました。2001年と同じく9月12〜15日のLiveからというのも面白いですね。退任後はもちろん桂冠指揮者だそうです。
・18年前のマーラー6との聴き比べは ▶️ こちら
(2019年9月12-15日)
(配信のみで、現状CD未発売の様です)
■ 第一楽章
18年前よりも重厚さが感じられる第一主題からパッセージでは緩め、アルマの主題を大きく広げます。流れ自体は標準的ですが、アゴーギクが付いて表情があります。展開部も第一主題を切れ味よく、挿入部もスロー静での表情を感じますね。ところが再現部はあっさり、コーダも同様です。前回録音よりも表情は出ていますが、それでも淡白な印象でしょうか。
■ 第二楽章
スケルツォです。主要主題は気持ち速めでシャープに、中間部(第一トリオ)は洒脱なリズムの変化を付けていますね。木管の第二トリオでの変化は薄めです。
■ 第三楽章
主要主題は美しさの流れです。スローだったテンポは標準的になりました。副主題で少しスロー化させて哀愁感を強めて、流れにコントラストが付きましたね。中間部は自然な明るさの広がりになりました。この楽章は以前の録音よりも心地良いアンダンテになりましたね。
■ 第四楽章
序奏はスローで抑え気味、アレグロ・エネルジコから流れ良く提示部へ入って行きます。抑えた感じの第一主題、第二主題も淡白です。展開部の両主題もそれなりのメリハリはありますが、'それなり'的。再現部は第一主題回帰からの騎行が個人的ポイントなのですが、何か一つ吹っ切れません。
標準的でタンパクにまとまった感のマーラー6です。クールと言う感じでもなく、感情を込めると言うのでもなく、'なんとなくほどほど'的印象ですね。MTTという期待値と整合しないだけかもしれませんが。
この曲は炸裂する感情か、もしくは抑えの効いたクールさか、どちらかの方向性が欲しい気がしてしまいます。
この曲は炸裂する感情か、もしくは抑えの効いたクールさか、どちらかの方向性が欲しい気がしてしまいます。