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現代音楽の超絶ピアニスト:イアン・ペース(Ian Pace) の「Floating, Drifting」を聴く


Floating, Drifting
Ian Pace (イアン・ペース: pf)
イギリス人ピアニストのI.ペース(b.1968)は現代音楽を得意とする技巧派ですね。何と言っても、マイケル・フィニスィーのピアノ曲「音で辿る写真の歴史 (History of Photography in Sound)」で知られるところでしょう。そちらを参照下さいね。

今回は現代音楽家5人の作品ですが、メインは30'を超える二曲(J.L.アダムズとM.ピサロ)で、他三曲は3'に満たない小曲です。アダムズは電子ハロー(太陽の円光)であり、ピサロは静寂の島に囲まれた音だと言っていますね。後者はヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)ですからすぐに想像が付きますが。

パーカッションはサイモン・リンブリック(Simon Limbrick)です。







ジェルジ・リゲティ
(György Ligeti, 1923-2006)
今更紹介も不要なハンガリーのビッグネーム現代音楽家ですね。今回は初期作品の11パートのピアノ小曲集(バガテル)"ムジカ・リチェルカータ"から#7ですね。各曲には解説もありエチュードの様な感じです。#7も左右の手の動きの解説がありますね。

Musica Ricercata: No. 7 (1951-53)
 左手の速いトリルに右手が旋律を奏でます。その旋律は機能和声で美しいですね。2'40"はあっという間です。



マイケル・ゼヴ・ゴードン
(Michael Zev Gordon, 1963-)
ユダヤ系イギリス人現代音楽家で、元はオーボエ奏者だった様です。作曲はオリヴァー・ナッセンやフランコ・ドナトーニに師事していますね。

Crystal Clear (2003)
 1'04"の冷たく音数の少ない美しいピアノ曲ですね。一曲目からの繋がりを感じます。



ジョン・ルーサー・アダムス
(John Luther Adams, 1953-)
アラスカの自然に影響を受けた米現代音楽家ですね。若い頃はロックのドラマー、今でもティンパニスト(パーカッショニスト)としての活動もある様です。ポップベースでもありますね。

Four Thousand Holes (2010)
 'for piano, percussion and tape'という事で、テープによるノイズからフェードインしてきます。細かいパーカッション(サイモン・リンブリック)の音色と特徴的な左右協調和音のpfが透明感ある流れを作ります。pfは点描となりテープはロングトーンのシンセ音、ノイズは小さくポツポツといっています。澄んだ流れは変わりませんね。指が鍵盤を走り回る様な技巧性を見せつけるパートはありません。響く和音を中心としたpfで、終始澄んだ美しさを漂わせているのが印象的です。その和音が電子ハロー(太陽の円光)なのでしょうか。



ルチアーノ・ベリオ
(Luciano Berio, 1925-2003)
これまたビッグネームの伊現代音楽家ですね。今回の作品はソロ楽器曲と声楽曲を取り上げる事が多い年代からの一曲です。

Wasserklavier (1969)
 2'13"の澄んで静かなアルペジオのピアノ曲です。ほぼ調性の美しさです。



マイケル・ピサロ
(Michael Pisaro, 1961-)
米現代音楽家でギタリスト、ヴァンデルヴァイザー楽派の一人です。詩をテーマにした音楽やフィールドレコーディングも精通して、楽曲は欧米やアジアの音楽祭でも取上げられています。ノースウェスタン大学で作曲と音楽理論の教職にもついていました。

Floating, Drifting (2001)
 始めの55"は無音です。その後もポツポツと単音が静かに鳴らされます。殆どは無音か残響ですから、いつ音が出るのか…まさにヴァンデルヴァイザーです。普段は気にもしない部屋の中の"雑音"がケージの4'33"の様に気になります。
問題はオーディオのボリューム設定が正しいかがわからない事でしょう。それがヴァンデルヴァイザーの楽曲のを部屋で聴く際のハードルでしょうね。



ペースのアルバムなので無調の超絶技巧曲集かと思いきや、機能和声の美しさ溢れる優しいピアノ曲が並びました。音数も少なく、指が鍵盤を走り回る事はありません。驚くと共に素晴らしさを感じましたね。持っていて良かったと思わせてくれる一枚です。

今日はXmasイブですね。そんな日にかけておくにもマッチします。超クールなBGMとしても秀逸です。ヴァンデルヴァイザーに興味を持った方にもオススメですね。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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