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フィンランドの現代音楽 ヨウニ・カイパイネン(Jouni Kaipainen) は欧州前衛の残像?!


ヨウニ・カイパイネン
(Jouni Kaipainen, 1956/11/24 – 2015/11/23)
ヘルシンキ生まれのフィンランド人現代音楽家です。シベリウス音楽院でお馴染みのサッリネンやへイニネンに習っている北欧現代音楽家のメインストリーマーなのですが、基本は無調で技法的には欧州前衛の十二音技法からポスト・セリエルへと進みました。従って北欧風景の様な楽風ではありませんね。

 ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧


Meet The Composer: Jouni Kaipainen
フィンランドのレーベル"FINLANDIA"が北欧音楽家を2枚組CDで紹介する"Meet The Composer"シリーズの一枚ですね。
CD2枚に7曲を詰め込む為に年代順にはなっていませんが、せっかくですからインプレは年代順にしようと思います。(作品番号ではなく完成年です)

演奏はE.P.サロネン/BBC-SO、他諸々ですね。






Ladders to Fire (Concerto for Two Pianos), Op. 14 (1979年)
3パートのピアノデュオ曲ですね。無調点描的で音列配置のpfです。1979年の作ですが既に行き詰まったセリエルそのものの気配で、静も動も全てが古いモダニズム色です。


Trois morceaux de l'aube, Op. 15 (1980–81年)
チェロとピアノのデュオ、2パートの楽曲です。pfがvcのグリッサンドを交えた無調の音色に変わり、三度・五度と言った和声や反復が出てくるので聴き易い方向には進んでいる様です。美しさを感じるかもしれません。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Trio I, Op. 21 (1983年)
3パートの室内楽です。相変わらず基本は点描的ですが、トリル・トレモロ・反復変奏と言った表情が現れてきます。調性を感じる様な流れも見えて多様性の現代音楽に踏み込んでいるのかもしれません。


String Quartet No. 3, Op. 25 (1984年)
"弦楽四重奏曲 第三番" です。何処となくアルディッティSQが演奏しそうな刺激的で技巧性の高い楽曲になっています。幽玄さもあり、静と動のコントラストも生きています。グリッサンドと反復、そして切れ味の弦楽奏ですね。ここまででは一番面白いでしょうね。


Symphony No. 1, Op. 20 (1980–85年)
一楽章の交響曲です。年代が広いので作風が交錯している様です。即興的点描の強音パートが散見するのは古い楽風、それ以外は1980年代中期のイメージでしょう。静の中に現れる打楽器含むクラスターや緊張感ある構成はポスト・セリエル時代の趣を感じますね。


Conte, Op. 27 (1985年)
ピアノ・ソロ曲です。音の跳躍が大きく点描的、基本はセリエルを引きずる感じです。旋律感もある事はあるのですが、'85年でこれは古すぎでしょうか。


Antiphona SATB (Super ‘Alta Trinitá Beata’), Op. 40 (1992年)
唯一'90年代の声楽曲です。宗教曲の様な和声で、児童合唱団と男声合唱のantiphonal-choirs構成です。そこにヴォーカリーズでの揺さぶりが掛かっているのが特徴的でしょう。そこはこのアルバム唯一の面白さかもしれません。



1979年の無調点描から調性を取り戻す様に舵を切り、1980年代中盤には類型的な前衛現代音楽の流れになっています。イメージはこの時代の欧州前衛の残照の様な印象を受けますね。

何かオリジナリティ、北欧らしい風向き か全く独自の技法とか、があれば興味をひくのではないかと思います。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。


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