FC2ブログ

ワーグナーのパルジファルを基にした現代音楽:ベルンハルト・ラング(Bernhard Lang) の楽劇『パルツェフール』


ベルンハルト・ラング
(Bernhard Lang, 1957/2/24 - )
本ブログではお馴染みのオーストリアの現代音楽家ですね。ジャズベースや徹底反復、ラップや再構築といった今の時代の多様性前衛を代表する現代音楽家の一人です。代表作の"モーツァルトなんか嫌いだ"もインプレ済みです。

今回は後期、まだ存命ですがw、の中心となるモナドロジー(Monadologie)シリーズの一環作品です。モナドロジーは既存作品の再構築で、今までにも "ハイドン:Monadologie IX" や "モーツァルト:Monadologie XXIV"、"ベートーヴェン:Monadologie XXVII" 等を取り上げていますね。そこには既存の引用やループ等の電子処理による反復といった再構築が施されてB.ラングの現代音楽ver.となっています。XIIIはインプレ済みです。


ParZeFool (Monadologie XXXIII, 2016)
基はワーグナーの"パルジファル"ですから、それを知っていればCD3枚と長いですが問題なく配役とストーリー展開はわかりますね。ラングはワーグナーがパルジファルの構築から初演に至るまでの経緯を調べて再構築しているそうです。またブーレーズの演奏のアナライズも実施している様ですね。
ライナーノートでは"Down the rabbit hole"とあります。不思議の国のアリスがウサギが掘った穴に落ちて体験する世界の事ですから、さてどうなるでしょう…

実際の舞台では月面基地に場所を設定していて、そこも前衛です。前衛オペラで観たかったかも。

演奏は、シモーネ・ヤング指揮、クラングフォルム・ウィーン、アルノルト・シェーンベルク合唱団です。
配役は、Daniel Gloger(ParZeFool), Magdalena Anna Hofmann(Cundry), Wolfgang Gankl(Gurnemantz), Tomas Tomasson(Amphortas), Martin Winkler(Clingsore), 他






前奏曲・第一幕
まず有名な前奏曲から全く違います。基音は類似性を感じますが単音ノイズ風から入ります。もちろん無調で反復ですが気配は似た感じが無きにしもあらず…なるほど。

アンフォルタス王の湯浴みも同様に雰囲気を似せながら、歌詞にも執拗な反復を使います。完全な無調パートもありますが、基本は調性は薄いものの旋律感のある徹底反復の流れです。クンドリは少し狂気を感じさせるパートもありますし、パルツェフールは如何にも愚か的で面白いです。シュプレッヒゲザングではありません。

室内楽の演奏もマリンバやアコーディオン等の使い方が面白く、上手く生かされている感じですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  有名な前奏曲ですね。



第二幕
前奏曲はサックスも入って得意のフリージャズ風です。魔法使いクリングゾルのライトモティーフかと思いましたが、そうではない様ですね。クリングゾル役のマルティン・ヴィンクラーのバス・バリトンが良いですね。この第二幕ではその後もフリージャズ風の展開が現れます。山場のParZeFoolの名前が明かされるシーンでは"パルジファル"と聞こえますね。後半はパルツェフールのダニエル・グローゲルの熱唱です。カウンターテノールなのでちょっと…ですが。


第三幕
ここでは演奏に即興ポリフォニー的なパターンも出てきます。騎士として現れるパルツェフールは、カウンターテノールなので何となく締りに欠ける感じです。実際の舞台は月面基地ですから何か面白さがあるのかもしれませんね。でも最後まで愚かなパルジファルの印象が拭えず、これが一番足を引っ張った気がしてしまいます。えっ、そこが前衛ですか?!



何と言っても執拗な反復が強烈です。前衛ですが、声楽は微分音の様な特殊唱法を出すのが難しいからでしょうが、無調混沌にはなっていません。そういう意味では、今の時代の楽劇と言って良いかと思います。ストーリーも分かりやすいですね。(唯一飲み込めなかったのはカウンターテノールの採用です。それが真髄だと言われると困りますね)

原作よりは短いとはいえ約3時間、でも思いの外流れよく聴く事が出来ました。"I hate Mozart"の様にDVDを追加してくれたらもっと良かったのですが…



▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kokoton

by kokoton
.
    




・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




カレンダー
10 | 2019/11 | 12
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ようこそ
カテゴリ
ありがとう