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イアン・ボストリッジ 二回目の録音 シューベルト「冬の旅」ピアノは現代音楽家の トーマス・アデス


イアン・ボストリッジ Ian Bostridge
"冬の旅"に関する書籍も出していたり、同曲ツアーをしたり、ハンス・ツェンダー編曲オケ版も演じたりと、現代の名リート歌い手でスペシャリストの一人でしょうか。2枚目のリリースですね。

来日コンサートは過去二回、ブリテンの「戦争レクイエム」と「イリュミナシオン」に行きましたが、後者は良かった記憶があります。本年の「冬の旅」来日には行っていませんw

ピアノのトーマス・アデスも現代音楽をメインとするこのブログでは注目です。イギリス人現代音楽家で、過去インプレもしてあります。楽風も前衛ではなくブリテンの再来と言われていて、ピアニストとしても活躍しているので今回の起用も自然なのかもしれません。



冬の旅 Winterreise, Op.89 D911
今更の今更ですが、ストーリーは以下ですねw
シューベルト『冬の旅』は、川が凍る冬の寒さの中、①裕福な女性に振られた男性が、失恋で惨めな旅に向かう ②前半は元の恋人への未練 ③後半は死への旅路 ④最後は唐突なライアー弾きとの出会い

もう何十年も聴いていないと思います。印象に残るのは、クールな表現と寄り添うpfの「ディスカウ/ムーア(1971:DG)盤」、表情のあるメゾソプラノに色付けpfの「ファスベンダー /ライマン(1988:EMI)盤」ですね。






序曲となる"1. おやすみ"での印象は、ボストリッジのテノールに艶と抑揚表現がある事でしょうか。アデスのpfも淡々とした繊細さの中に緩やかなアゴーギクを感じますね。"2. 風見の旗"ではpfが対位的な立場を奏でる感じになりますね。歌詞に合った流れを作っている感じです。

"4. 氷結"では速めの流れに乗ってpfと気持ちの高ぶりを込めていますね。そして"5. 菩提樹"ではまずpfに気持ちが入って出て来ます。そこに思い出を語る様にテノールが続きます。甘美な優しさではありません。続く"6. 溢れる涙"も同じ流れを引き継いでいます。ここで歌詞に同期した感情表現を明確にしている事がはっきりします。

"8. 回想"は揺さぶりがとても強いです。"11. 春の夢"では美しい夢をメヌエットの様に表現し、現実をpf共に強烈に演じ、アゴーギクを交えたコントラストを付けています。"13. 郵便馬車"は軽妙にテンポを上げ、"14. 霜おく頭"ではスローに落として死を望むコントラスト付けが明確ですね。

"21. 宿屋"の墓場のシーンはスローで静、抑揚を緩やかに付けて鎮む気持ちをはっきりとさせています。ラストのpfは一般とは逆のクレシェンドですね。"22. 空元気"は予想通り、明るく明瞭感強い流れを作っています。ここまでで唯一明るさが歌われますね。
ラストの"24. 辻音楽師"では老人の回すライアーの音色を細い音色をpfが象徴的に奏で、テノールは状況を語る様に歌います。



淡々とした流れに秘める気持ちではなく、歌詞の内容に沿って気持ちを込めて抑揚強く歌う方向ですね。pfも単に寄り添うだけではなく、主張がありますね。 情感濃い「冬の旅」です。

個人的には前者の表現の方が好みではありますが、シンプルな曲なのでボストリッジの様な色付けの差別化で楽しめますね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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