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シューベルト『冬の旅』:現代音楽に造詣が深い指揮者 ハンス・ツェンダー編 という変化球


ハンス・ツェンダー
(Hans Zender, 1936/11/22 -)
ドイツ人の指揮者で現代音楽家のツェンダー、やっぱり現代音楽の指揮に力量があり著名でしょう。このブログでも指揮者としてB.A.ツィンマーマンの曲を中心に数回インプレしていますが作編曲としては初めてです。

  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


冬の旅 Winterreise
誰でも知っている「菩提樹」が入るシューベルトの有名な独リートを、ツェンダーが管弦楽+テノールに編曲したヴァージョンです。数学的比率ノイズを使っていたり現代音楽にしていますが、ツェンダーらしいノイズや前衛性はかなり抑えられている感じですね。

[テノール] ユリアン・プレガルディエン (Julian Prégardien)
[演奏] ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団 (Deutsche Radio Philharmonie)
[指揮] ロベルト・ライマー (Robert Reimer)



シューベルト『冬の旅』は、川が凍る冬の寒さの中、①裕福な娘に振られた男が、失恋で惨めな旅に向かう ②前半は元の恋人への未練 ③後半は死への旅路 ④最後は唐突なライアー弾きとの出会い
という流れですが、詩の裏に潜む心理・真実は無粋なのでコメント出来ません。昔からお馴染みの曲で、頭で鳴っているのはフィッシャー・ディスカウとジェラルド・ムーア(pf)の1971年DG盤です。






"1. おやすみ"の入りはいきなりの執拗なノイズ系と反復で、原曲にありませんね。4分くらいで本来のpfの旋律から歌に入ります。そこは調性を大きく崩す事はありません。ただ強音側ディナーミクが大きく情感は激しいです。オケ・歌い、共に強烈にffとなり驚きます。一部ツェンダーらしいシュプレッヒゲザング的にもなりますが、前衛的な入れ込みは少ないです。

強烈な表現のままあっと言う間に"5. 菩提樹"ですが、優しさはあってもバックのオケが煩わしく感じてしまいますね。この曲の持つ優しさは続かず、強烈な表情をここでも見せます。続く"6. 溢れる涙"でもシュプレッヒゲザング的な表現が現れます。

美しい"11. 春の夢"は原曲の印象を弦楽器で作ります。途中でシュプレッヒゲザングや炸裂のコントラストを作り面白い流れになっていますね。"13. 郵便馬車"はラッパの音を忠実に鳴らすのが可笑しいですね。旅人はパワフルです。

"18. 嵐の朝"は1'21"もあって、頗る元気です。墓場である"21. 宿屋"では落ち着いた流れから、ラストをもっと大きくクレシェンドにして"22. 空元気"の激しさに繋げると思いましたが。22.では僅かですが調性を崩していますね。ここだけです。
ラストの"24. 辻音楽師"はライアーの音色が物悲しく響きます。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  テノールはお父さんのクリストフ・プレガルディエン(Christoph Prégardien)です。
  こちらの方が演奏(WDR交響楽団)も含めてCDより落ち着いた印象ですね。




感情爆発的なオケ版の「冬の旅」です。表現過多、全部が "22. 空元気" の様な「冬の旅」と言ったらわかっていただけるでしょうか。ただ基本の調性は残されていて前衛性は低いですから、派手な管弦楽版として楽しんでいただけるかと。

前衛現代音楽ファンとしては、全編ノイズ系とシュプレッヒゲザングの独り舞台とか、原型を留めない程の前衛でやって欲しかった気もします。その二つこそツェンダーの前衛音楽の柱ですから。



次回インプレはリートでの新譜「冬の旅」、I.ボストリッジの再録音です。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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