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ウィルヘルミナ・スミスのチェロで聴く、E.P.サロネンとK.サーリアホの『無伴奏チェロのための作品集』


Works for Solo Cello (Wilhelmina Smith, vc)
フィンランドの音楽家二人、指揮者の方が著名なサロネンと女性現代音楽家サーリアホのチェロ独奏曲集ですね。いつも書いていますが、二人はシベリウス音楽院時代にM.リンドベルイと三人でエクスペリメンタリズムの音楽集団"トイミー, Toimii"で活動を共にしていましたね。そんな二人の1980年代から2010年の作品四曲づつが並びます。

あまり関係ありませんが、実際に見た目ですと小柄なサロネンと大柄なサーリアホの印象ですねw

▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧

チェロのウィルヘルミナ・スミス(Wilhelmina Smith)は知見がありません。サロネンの招聘でロサンジェルス・フィルの首席客演奏者を受けているそうです。







エサ=ペッカ・サロネン (Esa-Pekka Salonen, 1958-)
指揮者としては日本でもお馴染みのサロネンですね。個人的には好きな指揮者です。作曲はF.ドナトーニ・他に師事して、今は指揮活動の中で作曲も進めているようですね。チェロ曲も得意としていますね。

YTA III (1986年)
 暴力的なボウイングに、特殊奏法ではありませんがノイズ的なサウンドでもあります。もちろん無調で前衛的ですが、よく聴くと反復・変奏を基本としているのがわかりますね。チェリストのコンサートにも向いていそうな感じです。

knock, breathe, shine (2010年)
 "knock"はピチカート主体で面白い流れを作っています。ここでも旋律は存在して、より調性を強く感じるようになります。
"breathe"は陰性な流れと民族音楽和声の融合の様な流れが面白いスローな楽曲です。
"shine"は和声は"breathe"の延長線上にあって、少しグリッサンドで抑揚を付けた感じです。
時代の繁栄でしょうか、無調ベース調性回帰的な多様性のチェロ三部作ですね。面白いです。

Sarabande per un coyote (2010年)
 "knock"の様なピチカートを用いた楽曲で、ここでも基本は旋律の反復と変奏です。不協和音ベースの調性的な和声と言ったらわかっていただけるでしょうか。

Chiacona GIUSEPPE COLOMBI (1635-1694年)
 バロック時代のイタリア人音楽家ジュゼッペ・コロンビの"シャコンヌ"を基にした楽曲です。2'46"のそんな楽曲ですw




カイヤ・サーリアホ (Kaija Saariaho, 1952-)
北欧系の現代音楽家としては珍しく、欧エクスペリメンタリズムの楽風を持っていますね。IRCAMでも習いエレクトロニクスにも精通しています。何回も紹介済みなのでこのくらいで。2014年には来日もしています。

Dreaming Chaconne (2010年)
 緊張感のある静音と挟まれる無音、神経質なvcの音色。シャコンヌを基本とした和声を緩やかに感じさせるのも流石です。3'強ですが、もっと長くても良いのでは。

Petals (1988年)
 細かいトリル・トレモロの繊細さは前曲に似ていますが、特殊奏法を入れてノイズ的展開なのが1980年代を感じさせるかもしれませんね。ポストセリエルからの特殊奏法全盛期の印象でしょうか。この二曲でサーリアホの変化(時代の変化)が感じられますね。

Sept papillons (2000年)
 ノイズ系で澄んだ音色、トリル・トレモロの反復、グリッサンドとノイズ、そんな組合せの7パートの楽曲です。いずれも静的繊細な流れのサーリアホらしい楽曲ですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Oliver Herbertによるcelloですが、処々かなり濃厚な演奏になっています。


Spins and Spells (1997年)
 ノイズ色と強弱コントラストが強い流れになっています。基本的にはサーリアホらしい構成だと思いますが、後年はより抑揚を抑えた方向に指向しているのがわかって面白いですね。




反復・変奏を基本としたサロネン、繊細な音色で前衛の時代の流れを感じさせるサーリアホ、と言った二人の個性。いずれも1980年代の前衛色、2010年の多様性色が感じられる興味深いカップリングですね。

同じフィンランドのサロネンとサーリアホ、そして時代の流れ。二つのコントラストをチェロで楽しめるアルバムになっていますね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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