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前衛演出が光る バイロイト音楽祭2019 ワーグナー 楽劇「タンホイザー」を NHKプレミアムシアターで

今や恒例となったNHKでバイロイト、今回は楽劇「タンホイザー」の新演出です。

タンホイザーと言うと、ドレスデン版かパリ(ウィーン)版かと言うのも気になりますが、今やバイロイトは前衛演出ですから、今回のトビアス・クラッツァーは何を仕込んでくるかそれも楽しみです。(ベースはウィーン版でした)
そしてもう一つの注目は、ゲルギエフのバイロイト初登場ですね。



(第一幕です。その後もありますね)


演出
クラッツァーの演出は、女神ヴェーヌスが棲むヴェーヌスベルクを移動サーカス団として、その中のピエロをタンホイザーとして設定しています。そしてヴァルトブルクでは舞台裏までも表現に入れてバイロイト音楽祭そのものを表しています。大画面映像(PM)も駆使して表現に抜かりありません。

注目に値する変則設定もありましたね。ヴェーヌスが「愛の本質」を問うヴァルトブルクの歌合戦に紛れ込む、第三幕冒頭シーンではエリーザベトがヴェーヌスベルクに と言う本来あり得ない設定でした。愛の本質を対比させたのでしょうか?!

最も驚きなのはアリア「夕星の歌」の前、帰りを待つエリーザベトと慕うヴォルフラムの驚きの愛のシーンですね。そしてラストも救済はなく、二人のシーンを上手く捻っていました。これぞ前衛のバイロイト音楽祭です!!


舞台・衣装
序曲はサーカス団のムービー(PM)を導入部にしていますね。そしてヴァルトブルクの舞台設定はバイロイトの風景も現れ、抽象的な舞台設定もあります。

衣装もそうですが、舞台も現代設定と当時(と思われる)設定の混用ですね。また舞台裏白黒映像(PM)と生舞台の二重表示もあります。統一性に欠ける感はありますが、変則な演出には合っていたかもしれません。


配役
タイトルロールのグールトですが、バイロイト2015年のトリスタンは個人的には今ひとつに感じました。ここでも歌唱はヘルデンテノールらしい高音の伸びなのですが、何か釈然としないのは個人的な好みの問題でしょうか。ただ第三幕の演技は素晴らしかったです。他男性陣の印象はあまり強くありませんでした。

女性陣。ヴェーヌスのツィトコーワは役柄がサーカスの女主人なので愛欲のヴィーナスとは程遠く、タンホイザーの流れに合っているとは思いづらいです。mezも色気はありません。
エリーザベトのダヴィドセンは伸びやかなsopが素晴らしかったですね。演技や表現は強めです。どちらかと言うと少々鬱的な印象があるのですが。(固定概念でしょうかw)


音楽
ゲルギエフのバイロイトですねぇ。もうちょっと揺さぶるのかと思いましたが、舞台があると演奏はよほど突飛なパートでもない限り目立つものではありませんね。(演出の評価結果と同期する気もします)


興味深かったのは本来全く異なる世界であるヴェーヌスベルクとヴァルトブルクを混ぜた同時出現でしょう。欲望的と精神的の「愛の本質」を直接対比させる驚きの設定です。期待に違わぬ前衛演出の"タンホイザー"でしたね。

ヴェーヌスベルクが三人のサーカス団と言うコンパクトな世界で、愛と官能の象徴とする印象が薄いのは残念でした。でも、それを補ってあまりある前衛的な展開で ラスト救済も何か感動的でした。



<出 演>
 ・タンホイザー:ステファン・グールド [Stephen Gould]
 ・エリーザベト(領主のめい):リーゼ・ダヴィドセン [Lise Davidsen]
 ・ヴェーヌス(ヴェーヌスベルクの快楽の女神ヴィーナス):エレナ・ツィトコーワ [Elena Zhidkova]
 ・ヘルマン(テューリンゲンの領主):ステファン・ミリング [Stephen Milling]
 ・ヴォルフラム(歌手である騎士):マルクス・アイヒェ [Markus Eiche]
 ・ヴァルター(歌手である騎士):ダニエル・ベーレ [Daniel Behle]
 ・ビテロルフ(歌手である騎士):カイ・シュティーファーマン [Kay Stiefermann]
 ・ハインリヒ(歌手である騎士):ホルヘ・ロドリゲス・ノルトン [Jorge Rodriguez-Norton]
 ・ラインマル(歌手である騎士):ヴィルヘルム・シュヴィングハンマー [Wilhelm Schwinghammer]
 ・牧童:カタリーナ・コンラーディ [Katharina Konradi]

<合 唱> バイロイト祝祭合唱団
<管弦楽> バイロイト祝祭管弦楽団
<指 揮> ワレリー・ゲルギエフ [Valery Gergiev]
<演 出> トビアス・クラッツァー [Tobias Kratzer]
<美術・衣装> ライナー・ゼルマイア
<照 明> ラインハルト・トラウプ
<映 像> マヌエル・ブラオン


収録:2019年7月25日 バイロイト祝祭劇場(ドイツ)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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