ドイツの現代音楽家 ミヒャエル・クヴェル(Michael Quell) の『室内楽 第二集』を聴く
ミヒャエル・クヴェル
(Michael Quell, 1960 - )
(Michael Quell, 1960 - )
フランクフルト生まれで学んだドイツ人現代音楽家ですね。作曲・音楽理論だけでなく哲学も学んでいています。楽器はクラシック・ギターも専攻していて、楽曲の中に微分音(microtone)ギター曲が入るのが特徴的ですね。現在はフルダ(Fulda)在住で作曲のかたわらアナリーゼ等音楽理論を教えているそうです。
また、その傍らで「多領域での作曲の機会と可能性のやりとり (Deal with the opportunities and possibilities of composition in interdisciplinary dialogue)」と言った学術活動にも力を入れている様で、理論家ですね。
また、その傍らで「多領域での作曲の機会と可能性のやりとり (Deal with the opportunities and possibilities of composition in interdisciplinary dialogue)」と言った学術活動にも力を入れている様で、理論家ですね。
Chamber Music・Vol. 2
デュオからアンサンブルまでの室内楽集になります。最近発売の第二集を先にインプレしようと思います。所謂(いわゆる)欧エクスペリメンタリズムの楽風です。
演奏はアンサンブル・アヴァンチュール(Ensemble Aventure)、ピアノは日本人の岡部亜希子さんですね、他ゲストメンバー(ギター)になります。
演奏はアンサンブル・アヴァンチュール(Ensemble Aventure)、ピアノは日本人の岡部亜希子さんですね、他ゲストメンバー(ギター)になります。
■ Dark Matter (2011)
for oboe, clarinet (bass clarinet) and bassoon
静の空間に三つの木管が単音を並べます。特殊奏法も入って来ますね。倍音も検討されているかもしれません。混沌ポリフォニカルな旋律構成もあり、単音のロングトーンとの対比もありますね。後半に出てくるトリル・トレモロの対話も面白いです。空間音響系ではないのですが、空間を感じて興味深いです。
■ φαντασία – lass die Moleküle rasen (2016)
for soprano and speaking pianist
タイトルはギリシャ語で "想像力" だそうです。Sopシュプレッヒゲザングですね。声を楽器として聴く様なイメージです。ピアニストも"speaking pianist"とある通りで、語りも入れて来ますw 単音アルペジオ主体ですが特殊奏法もある様ですね。
■ Meister Eckhart und Suhrawardī: der Klang der Schwinge des Gabriel – ḥikmat al-ishrāq (2017)
for four microtonal guitars and piano
四つの微分音ギターとピアノ曲です。微分音の微妙な音のづれが奏でる美しさも存在する面白さから、速弾き即興ポリフォニカルな混沌、そしてトリル・トレモロの反復、と言った変化と構成感があります。
まぁ、ギターなどはフレットがあってもチョーキングすれば微分音になる訳ですから。
まぁ、ギターなどはフレットがあってもチョーキングすれば微分音になる訳ですから。
■ Staubaggregation (2017)
for flute, double bass and piano
フルート、コントラバスのピアノトリオです。単音的な特殊奏法から入り、主は三つの楽器のdialogの様な構成です。時に興奮したり、冷めたりと表情を変えるのも面白いですね。
■ A Blurring Cloud – Geschöpfe der Fahrt (2012)
for violin, guitar and piano
ヴァイオリン・ギターとのピアノトリオで、ここでも入りは三楽器の単音の並びです。一つ前の"Staubaggregation"より空間的静音パートが長く、その原型の様な印象ですね。一番面白いかも。
★試しにYouTubeで観てみる?
アンサンブル・アヴァンチュール(Ensemble Aventure)の映像配信で、ピアノは岡部亜希子さんですね
★試しにYouTubeで観てみる?
アンサンブル・アヴァンチュール(Ensemble Aventure)の映像配信で、ピアノは岡部亜希子さんですね
■ String II – Graviton (2015/2016)
for ensemble in nonet formation (flute, two clarinets / bass clarinet, bassoon, horn, violin, viola, violoncello, double bass)
ノネット(九重奏)ですね。ここでも特殊奏法の単音的な流れから入るのは同じです。楽器数が増えて、音数での混沌が広がっていますね。従ってフリージャズに近い即興ポリフォニーの印象が大きいです。少し古臭い印象かも…
基本は無調混沌ですが、単音の響き〜ポリフォニカルな混沌〜トリル・トレモロ反復、と言った楽曲構成が存在しますね。
楽曲を一つの流れにしない事で現代音楽が陥る変化の乏しさの罠を避けている様な感じです。楽曲自体は少し古いポスト・セリエル時代風ですね。
楽曲を一つの流れにしない事で現代音楽が陥る変化の乏しさの罠を避けている様な感じです。楽曲自体は少し古いポスト・セリエル時代風ですね。
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