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現代音楽の源流・古典『セリー主義 〜 ブーレーズ / ノーノ / シュトックハウゼン 作品集』は、今聴いても新鮮!…かな?


New Dimension Music
20年くらい前のアルバムです。「20世紀の遺産」シリーズの中の一枚で、21世紀を前に発売されていましたね。今思うと、当時はセリエル主体の現代音楽が終わりを迎えて、総括されたのですが次が見つからない、今の様に情報も無かった気がします。
監修の東大・長木先生は現代音楽の解説で話を聞いた事や、この数年前に発売された「グスタフ・マーラー全作品解説辞典」でもお馴染みだったので手にしましたね。

"無調 → 十二音技法 → トータルセリエル" と進んだ、今や "古典現代音楽"、をダルムシュタットを中心に推進した前衛三羽烏の三人をピックアップしたアルバムです。基本中の基本ですね。この後1970年代にセリエル(セリー主義)は停滞期に入って事実上崩壊し、多様性主義となって現代に続いていいますね。
 ▶️ 「このblogで言う現代音楽」を参照下さい

ブーレーズとシュトックハウゼンは21世紀まで、ついこの間まで活躍していたのですが、今や旧世代のビッグネーム現代音楽家の印象でしょう。今更のインプレになるとは思いますが再度聴いてみようと思いました。演奏は超豪華布陣でブーレーズがM.ポリーニ(pf)、他はC.アバド指揮/VPO, BPOです。







ピエール・ブーレーズ (Pierre Boulez, 1925-2016)
この三人の中では最も好きな現代音楽家です。そのカラフルな音色はもちろん師であるメシアンからの流れを感じます。ポストセリエルからはJ.ケージに触発された「管理された偶然性」や、多様性から電子音楽に展開しています。そして、何と言っても今の時代の現代音楽の拠点の一つIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)創設が将来に渡って一番の功労になるでしょうね。晩年は現代音楽界のドンでしたね。

ブーレーズの現代音楽なら全貌を一望できて楽しめるアルバムComplete Works」が超オススメです。

ピアノソナタ第2番, Second Sonata for Piano (1948年)
 ブーレーズ初期の代表作で、バリバリのセリエル時代作品です。基本の十二音列「D-A-D#-G#-C#-F-G-Bb-B-C-F#-E」がスコア冒頭に置かれた十二音技法作品ですが、聴いただけで無調との違いがわかる人はそうそういないでしょう。十二音の基本音列を主題と考えてなのか、古典的四楽章形式ですね。pfはM.ポリーニです。(以前も紹介済みですが)
 いかにも音列配置的です。点描であり、音の跳躍もあって長音はほぼありませんね。もちろん所謂(いわゆる)旋律はありません。この時代らしい調性感を一切排除した音楽です。四楽章あって緩徐楽章も超絶技巧性も存在するのですが、みんな同じに聴こえます。それこそがセリエルでしょう。理論絶対優先、エンターテイメント置き去り時代の現代音楽の鋭さがあります。スコアを手に基本音列の逆行や反行がどの様に作られているのか、音価の分配は、そんな興味が必要かもしれませんね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  第一楽章だけですが、スコア付きです。





ルイジ・ノーノ (Luigi Nono, 1924-1990)
個人的には三人の中で一番全体像が薄いのがノーノの気がします。セリエルはノーノだけシェーンベルクからの流れを受けていて、ポストセリエルに入ってからもその点描音列的な構成を維持して、ブーレーズやシュトックハウゼンと対立していますね。初期はもちろんセリエルで、その後中期から後期はポストセリエルとしてテープや電子音楽へ舵を切っています。

進むべき道はない、だが進まなければならない…アンドレイ・タルコフスキー, Non hay caminos, hay que caminar … Andrej Tarkowskij (1987年)
 ノーノ晩年の作品で最後の管弦楽作品、サントリーホール「国際作曲委嘱シリーズ」委嘱品で初演、「カミナンテス三部作」の中の第二作品ですね。シュトックハウゼンも用いた他編成オケ作品で、7群化されたオケ配置になります。今回は短時間ver.で17'弱ですが、ロングver.もある様です。
 入りは超静音で、音そのものを聴くというノーノの技法(その後のヴァンデルヴァイザー楽派系?)を用いていますね。そしてその中にパルス的なクラスター音が登場します。静からの烈の出現は、多様性化以降の現代音楽典型の一つでしょうね。ここではかなりそのコントラストが強烈です。シーン…ドカン…シーン…、の様な"音"ですね。空間に響くクラスターは、ヴァレーズやクセナキスを想像するかもしれません。この時代としては目新しさは低く、空間音響系の現代音楽として違和感はありませんね。問題はコンサートでないと7群の音を味わえない事でしょう。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  25'ver.です。


愛の歌, Liebeslied (1954年)
 初期作品で混声合唱と室内楽作品で、歌詞は極短い愛の散文詩です。宗教音楽の和声を強く感じますが、十二音技法的な展開がされているのでしょうか。現代音楽家が宗教曲を書くことは珍しくありませんが、ノーノは政治的な色合いはあっても宗教色はあまり感じないのですが。




カールハインツ・シュトックハウゼン
(Karlheinz Stockhausen, 1928-2007)
セリエルからトータルセリエルへ、群作法や 旋律を許すフォルメル技法といったセリエルの可能性を最も追求した印象があります。特徴的なのは「:一週間の七つの日 (1977-2003)」や「クラング:1日の24時間 (2004-2007未完)」といった長編連作を作る事ですね。タイトルを見てもシュトックハウゼンが時間軸に興味があったのを感じますね。"光"などは作成年数が長く、技法的には様々です。

グルッペン, Gruppen (1955-57年)
 前期のセリエルからトータルセリエルへそして電子音楽へと移行する時代の代表作ですね。オケを3群化していて、その後の音響空間への足がかりでもあります。
 この曲を聴くときはボリュームを上げる事が必要ですね。そして音が出てくる方向を感じわけですね。その音が部屋を満たす感じを味わいたいわけです。カラフルな音が響く中に自分を置く感じでしょうか。楽風は点描的なセリエルから半歩前進した感じで、音列も表情を感じる様になっています。所謂旋律はありませんが、音空間を彩るのは明瞭です。3群オケ(通常のオーディオですと左右くらいしかわかりません)の即興的混沌ポリフォニーから協調性まで味わえますね。まぁ、それでも古臭いと言われれば…ですが。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  オケ配置が良く分かりますね。アンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏です。





セリエルベースで一番興味深いのはやっぱりシュトックハウゼンでしょう。楽曲選択がセリエルの可能性を見せる様に組まれているのは素晴らしいですね。一番セリエル的な曲を初めに持ってきて、やっぱりこれか、と思わせながらその先を見せてくれます。一曲だけ1980年代を入れているのも効果的です。この時代背景の現代音楽を聴いてみたい方にオススメですね。ライナーノートの長木先生の解説はもっとあっても良かった気がします。

残念ながら多群オケ作品の本当の響き、空間音響系、はCDでは味わえませんね。最近はコンサートでも殆ど見られません、5.1サラウンドなら大丈夫?! (このCDは非対応ですがw)




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