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スザンナ・マルッキ指揮 / ヘルシンキ・フィル がクールに描く バルトークのバレエ音楽『木製の王子』と『中国の不思議な役人』


ベーラ・バルトーク
(Béla Bartók, 1881–1945)
普通のクラシック音楽ファンの方が聴ける所謂(いわゆる)現代音楽の限界と言われた事がありますが、コンサートでもよく取り上げられるハンガリーの現代音楽家ですね。今更ですが、年代的にはマーラーやドビュッシーの約20年後、ストラヴィンスキーやベルクと同年代になります。
今回はハンガリー民謡をベースにストラヴィンスキーや新ウィーン楽派の影響も取り入れた独自のスタイルが出来上がる初期舞台音楽ですね。『青髭公の城』もこの年代の作品で、舞台音楽三作はいずれも独特異様な世界観が際立つ1910-20年代の作品になりますね。


The Wooden Prince
The Miraculous Mandarin Suite
木製の王子』2017年 全曲版
ベーラ・バラージュ(Béla Baláczs)のシナリオによる一幕のバレエ曲です。ちなみに『青髭公の城』もバラージュの作品です。登場人物は王子と王女、かかし王子(木製の王子)と妖精で、かかし王子と遊ぶ王女が最後には王子と結ばれるお話です。7つの舞曲と6つの楽曲で構成されて約1時間の作品です。

中国の不思議な役人』1924/1927年 演奏会組曲版(Concert Suite)
バレエでも演じられる本来パントマイムの為の舞台音楽ですね。こちらの方がコンサートやCDでお馴染みではないでしょうか。ストーリーは悪党三人組が少女を使って宝石を纏った不気味な中国人の役人を誑し込み、逃げ廻る少女を役人が捕まえるというお話です。(組曲はそこまで) 三人組が宝石を奪って役人を殺そうとするが死なず、最後は血みどろの役人が少女と抱き合って死を迎えるのが全曲版のエンディングになります。

演奏は個人的ファンで現代音楽のスペシャリストでもあるフィンランド人女性指揮者スザンナ・マルッキ(Susanna Mälkki)、そして彼女が首席指揮者を務めるヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団(Helsinki Philharmonic Orchestra)です。マルッキの演奏なので今回聴く事にしました。






木製の王子, The Wooden Prince, Op.13, BB 74
序奏では森の深淵さが静的幽玄な流れからクレシェンドで表現され、第一舞曲は王女と妖精の様子が鎮んだ気配で奏でられます。第二舞曲は魔法をかけられた森の様子がクールです。決しておどろおどろしい気配ではなく澄んだ印象ですね。妖精に王子が邪魔される第三舞曲は緩徐で、暗く陰影の強い流れにしています。"プリンスのアイディア"は一転スケルツォ風の明るい展開を見せて、王女がかかし王子に辿り着き踊る第四舞曲(と続く二楽曲)の楽曲山場では激しさ表情変化を増して聴きごたえ十分ですね。ボロボロになったかかし王子から王子を見直す第五・第六舞曲は抑え目、王女が自棄なる第七舞曲も流れは同じです。ラストの"The Happy End"も抑えた流れから幽玄な旋律に陰を纏い、静的に終了させています。
全体としては澄んだ流れの中に幽玄さを生かした表現です。ストーリーと舞台を想像しながら聴くと、音楽がしゃしゃり出る様な流れを回避している気がしますね。クールです!!


組曲:中国の不思議な役人, The Miraculous Mandarin Suite, Op.19, BB 82
"Introduction"から"三人の男と少女"は軽妙に切れ味良く、"初めの獲物"(老人)から"二人目の獲物"(少年)は緩徐からリズムを色彩感良くいかにもバルトークらしい流れを作ります。そして"三人目の獲物"(中国の役人登場)も抑え目から鳴りの良い管楽器を生かした派手な後半へと作り上げていますね。"少女の踊り"はためらいながら踊り始める少女の様子が浮かぶ様な流れを上手くディナーミクを効かせ、"少女を追いかける中国の役人"でストラヴィンスキー風な舞曲感を強めています。(「火の鳥」のカスチェイみたいです)
ここでもクールな印象が先立ちますね。この曲の濃厚さを色濃く表現する事はありません。あくまで舞台を意識した流れを作っている感じで良いですね。




不協和音の強い両曲をクールに仕立てたS.マルッキのバルトークです。管弦楽曲としてというよりもあくまで舞台用楽曲としての完成度の高さを感じます。

より楽曲的完成度が感じられる「中国の不思議な役人」がお好みならーレーズ/シカゴ響の全曲盤(DG盤。Sony盤も良いですね)をおすすめします。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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