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2019年3月19日 シルヴァン・カンブルラン『果てなき音楽の旅』w/ ピエール=ロラン・エマール, 読響 at 紀尾井ホール

読響常任指揮者最後の月にカンブルラン自ら選んだ現代音楽アンサンブル作品、場所も紀尾井ホールとうってつけです。

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音響系からスペクトル楽派に至る前衛の流れを並べましたね。前半はカラフルな音が交錯する音響系、後半は現在の空間音響系に直接的に繋がっていく二曲です。(という事で少々古い年代のチョイスではありますが)

 ▶️「このブログでいう現代音楽」に流れを載せてあります。





オクタンドル, Octandre (1923年)
エドガー・ヴァレーズ (Edgard Varèse, 1883-1965)

前衛前夜、ストラヴィンスキーを感じる3パートの小曲(for フルート, クラリネット, オーボエ, バスーン, トランペット, トロンボーン, ダブルベース)で、打楽器が無くヴァレーズらしからぬ楽曲ですね。しかしカンブルランはヴァレーズの煌びやかな反復旋律構成をカラフルに仕立てました。特に管楽器トゥッティでの色彩感溢れる音色は見事で、ホールに響き渡りましたね。
P.ブーレーズ盤(Sony)よりもやや速めで、華やか明快な展開でした。次のメシアンとのつながりの良さも感じました。




7つの俳諧, Sept haïkaï (1962年)
オリヴィエ・メシアン (Olivier Messiaen, 1908-1992)
I.導入部 - II.奈良公園と石燈籠 - III.山中湖-カデンツァ - IV.雅楽 - V.宮島と海中の鳥居 - VI.軽井沢の鳥たち - VII.コーダ

セリエル的な点描とメシアン和声がカラフルな楽曲ですね。III.ではピエール=ロラン・エマール(Pierre-Laurent Aimard)の鳴りの良いpfカデンツァと、アンサンブルの鳥の声のポリフォニーの煌びやかさ、二つの対比が素晴らしかったですね。もう一つのメインVI.はpfとアンサンブルが共にポリフォニカルに絡み、美しい混沌を作りました。
ヴァレーズもそうでしたが、強音パートでの煌びやかな色彩が、ここでも光りましたね。
エマールのpfもこの曲としては主張が明確でアンサンブルとのコントラストを作ってくれたと思います。




4つの小品, Quattro Pezzi (1959年)
ジャチント・シェルシ (Giacinto Scelsi, 1905-1988)

シェルシは弟子のヴィエーリ・トサッティ(Vieri Tosatti)と共同制作で、一音の響きを倍音解析するこの代表曲を作りました。後の"スペクトル楽派"の源流とされますね。
一つの音を色々な楽器で共鳴させる様な楽曲で、旋律(音形?)はありません。グリッサンドによる微分音やトリル・トレモロを組み込んでいます。パートが進むごとに音の重なりと音量が増し、第4パートでは発生する倍音のうねりがホール空間に響き渡りました。
まさに今の時代の空間音響系の原点を味わえましたね。素晴らしい演奏でした。




「音響空間」から“パルシエル”, Les espaces acoustiques: Partiels (1975年)
ジェラール・グリゼー (Gérard Grisey, 1946-1998)

上記シェルシとローマで出会い、スペクトル解析倍音を元にした"スペクトル楽派"の流れをトリスタン・ミュライユと共に作りました。「音響空間」は基音Eの倍音構成で、今回のパート3.パルシエルは18人編成ですね。(▶️ 楽曲構成のインプレへ)
 シェルシ「4つの小品」との違いは微分音を弦楽器の旋律に載せている事、リズムを付ける事でしょう。とは言え、ともすると類型に陥りかねません。カンブルランはここで表現を倍音押出しから、繊細な旋律(or音形?)に軸足を変えました。これでシェルシの進化系という事が伝わりましたね。
そしてエンターテイメントはラスト3'の消え入るノイズに仕込まれていました。楽器をケースにしまう音、スコアの最終ページに貼られたトレース紙を弄る音、カンブルランは赤いタオルで汗を拭きます。ラストはスポットライトがシンバルを構える打楽器奏者に当たりそのまま真っ暗に。そこでpppで打たれて終わりました。
完全にやられましたね。曲の聴かせ方だけでなく、演出も一工夫で本当に楽しませてもらいました。




先ずはキーとなるシェルシの「4つの小品」を生で聴けたのが嬉しかったですね。グリゼーと並べて聴く事で、時代の先端性を強く感じる事が出来ました。

カンブルランが好きそうな?!色彩感ある4曲と見事な演出で素晴らしかったですね。

欧州では前衛現代音楽の指揮者として実績が大きいので、最後にそのカンブルランの顔を見られました。このコンサートに来られて本当に良かったです


オーディエンスは現代音楽好きが多かったので、もちろんスタンディング・オベーション。アンサンブルメンバーも足を踏み鳴らし、起立を拒否して拍手をカンブルランに譲るお馴染みの様子がありました。メンバーがステージから去っても拍手は止まず、カンブルランの再登場。素晴らしいコンサートには付き物ですが、いよいよラストだなぁという気配も感じましたね。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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