FC2ブログ

ノルウェーの現代音楽:A.ヌールハイム/O.マトレ/J.O.ネス「Snarks In The Kitchen」は、おすすめの一枚ですね


Snarks In The Kitchen
A.Nordheim / J.Ø.Ness / Ø.Matre
3人のノルウェーの現代音楽家の作品集ですね。魁(故人)、中堅、若手によるトロンボーン作品集で、ソロからトリオそして室内楽や電子音楽とヴァリエーション豊かに並んでいます。それぞれ色々な分野の作品からインスパイアされているそうです。

 ▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧

メインのトロンボーン演奏はノルウェーのスヴェッレ・リース(Sverre Riise)になります。







アルネ・ノールヘイム
(Arne Nordheim, 1931/6/20- 2010/6/5)
ノルウェーの現代音楽家ビッグ・ネームですね。日本語表記がヌールハイムだったりと不確定なのが困りますが。ノルウェー国立音楽アカデミーで学び、デンマーク(コペンハーゲン)でヴァン・ホルンボーに師事し、その後フランスに渡りパリで電子音楽を学んだ 北欧電子音楽の草分けです。
本作品はルイス・キャロルの「スナーク狩り」をもとにしていますね。伝説の生物スナークを探します。

The Hunting of the Snark, for trombone solo (1976年)
 トロンボーンのソロです。いきなりグリッサンドのTbで生物感を作って意表を突きます。もっそりとした生き物の息遣いや存在感、Tbのミュートや技巧、音色を使い分けて面白い世界を表現していますね。面白いです!!

Vevnad (The Tapestry) (1993年)
 トロンボーン、チェロ、電子音楽のトリオです。どう聴いてもピアノが聴こえますが、それがエレクトロニクスでしょうか? 曲は静的で調性を軸とした反復動機がホモフォニーに絡みます。ラストはポリフォニーのカオスです。

The Return of the Snark (1987年)
 トロンボーンとテープ(事前録音, Sverre Riise)のコラボです。背景に渦巻く様な電子ノイズ、そこにI.の様なTbが乗ってきます。TbはI.よりもストイック混乱的で、背景音と合わせて混沌ノイズですね。テープは様々な音を包括して空間音響的でもあります。ディレイやサンプリングの気配も感じますが…
流れに構成感やストーリー感があって面白いですね。




オーヤン・マトレ
(Ørjan Matre, 1979/11/6 - )
ノルウェーの若手現代音楽家で、ノルウェー国立音楽アカデミーで学んでいます。室内楽や管弦楽を得意としていますが、欧州のエクスペリメンタリズムとの直接的な関わりはなく北欧をメインの活躍の場としている様ですね。

"… but I must have said this before", for trombone, cello and piano (2010年)
 単音(低音)アルペジオのピアノの残響、協調するグリッサンドのチェロとトロンボーン、スロー無調の旋律に乗って共鳴する不思議な音空間です。残響と共鳴、反復とTb特殊奏法の織りなす空間ですね。これも楽しいです。




ヨン・オイヴィン・ ネス
(Jon Øivind Ness, 1968/3/30 - )
ノルウェー国立音楽アカデミーで学び、複調多調から始まり四分音符から微分音の方向を持っていますね。楽曲は米・欧でも取り上げられています。

Moray (The Piece Formerly Known as Phekph Piphtolph)
 トロンボーン、チェロ、ピアノ三重奏曲です。低音でテンポの速い反復が三者で協調します。前半は低音響くポスト・ミニマル的陶酔音楽です。中盤スローテンポ化(中間部か展開部?)でTbとVcに微分音が入って、等拍の様にも展開して面白い流れを作ります。後半は再現部的変装ですね。

The Dangerous Kitten, for trombone and sinfonietta (1998年)
 ネスを特徴付ける楽曲「危険な子猫」だそうで、cl三本がオケとは別に陣取っているそうです。タイトルはフランク・ザッパ(Frank Zappa)の"The Dangerous Kitchen"(子猫誕生からの日記)から、また"イパネマの娘"やノルウェーで子供達が歌う"The Animals of Africa"からもヒントを得ているとか。
オケ/トロンボーン/クラリネットの無調ポリフォニーの入りから、ホモフォニーに変化してきます。いずれ飛び跳ねる跳躍音階が特徴的です。調性ベースの旋律と言う北欧系の流れを汲みつつ前衛に軸足を移す、新しいノルウェー現代音楽を感じますね。旧来の静的広がりではないカラフルな音高密度です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




実験的なヌールハイム、前衛らしいマトレ、カラフルなネス。なんとも素晴らしい三者三様のノルウェー現代音楽です

いずれも共通しているのは、ただの混沌に陥らずにストーリー性や構成感を持っている事でしょう。多様性現代音楽の必聴おすすめの一枚ですね。





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます