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マリス・ヤンソンスの『ブルックナー 交響曲 第9番』あまりに違う2CD同年録音 | バイエルン放送響 vs コンセルトヘボウ管


ブルックナー「交響曲 第9番」
今更のブル9なので紹介は割愛して、個人的な各楽章のインプレのポイントを事前にw

第一楽章:提示部(三主題)に対して、展開部(第一主題)+再現部(第二第三主題)の構築といった流れで、第一主題第七動機がポイントなのはもちろんです。
第二楽章:特徴的なのは重厚な主題を目立たせて、中間部を走らせる事ですね。ここでも細かく組合される動機が気になります。
第三楽章:構成が判りづらく、提示部(G.P.) - その変奏部(G.P.) - コーダとして聴いています。「生との訣別」主題との対比は欲しいですね。ラストの尻切れとんぼ感は避けて欲しいです。

ちなみに原典版採用ですね。年寄りには三楽章で終了するこのパターンが普通に聴けます。


マリス・ヤンソンス
(Mariss Jansons, 1943/1/14 - )
今回は同じ2014年録音の二つのオケでのブルックナー 9ですね。
・2014年1月:バイエルン放送交響楽団 [BRSO]
・2014年3月:ロイヤル・コンセルトヘボウ [RCO]

共にビッグネーム・オケですが、同時期に首席指揮者を務めていたのが凄いです。ドイツのオケとコンセルトヘボウを振ると全く異なる印象になるのは、例えばバーンスタインのマーラー9番などでもわかりますね。(サラステ・他もマーラーではドイツオケで振ると独特の色合いになる事はインプレしています)

ちなみに演奏時間は、
     [BRSO] [RCO]
第一楽章 23:56 → 23:05
第二楽章 11:06 → 10:52
第三楽章 22:08 → 20:44
となり、コンセルトヘボウの方がかなり速くなっていますね。さて、その違いは。





バイエルン放送交響楽団
(首席指揮者:2003年 - 現在[2019])
2014年1月13-17日 rec.




第一楽章
"ブルックナー開始"から始まる第一主題動機群はクリアーでメリハリがあり見通しの良さを感じます。第7動機では重心の低さを見せ重厚そのもの。第二主題はやや速めな穏やかさでトリオの様に雰囲気を変えます。第三主題のオーボエの絡みは哀愁を奏で、山場を大きく作ります。
展開部の第一主題動機は割とさりげなく、第7動機二回目の山場はその前ポリフォニカルな流れから大きく響かせます。
再現部は第二第三主題を揺さぶりを付けて色付けし、コーダは渦を巻きラストのトゥッティ山場は陶酔的です。


第二楽章
冒頭主題は浮遊感、第一トリオはスローに落として重厚さを全面に押し出し、第二トリオの戯けたオーボエとの強い対比を作ります。中間部トリオは軽快聡明で三者対比が上手く作られて、その後の動機の組合せも見晴らしが良いですね。


第三楽章
冒頭導入部はやや強めの広がりを、そこから静的に沈ませて「生との訣別」主題を大きく華やかに奏でます。その後少々ダレる感もありますが、第二主題の弦と木管は美しい広がりを感じます。G.P.(ゲネラルパウゼ)後はそれまで(提示部?)の動機に緩急付けて流れを作っています。コーダは静的な流れに緊張感を与えてラストは上手く余韻を残します。



緩急のアゴーギクを振りながらも見晴らしの良いブルックナー9です。ヴァントに聴き慣れていると揺らぎが気になるのですが、録音の良さと相まって心地よさを感じますね。

伸し掛かる様な重々しさは回避しています。第二楽章での動機群のメリハリの良さは素晴らしいです。




ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
(首席指揮者:2004年 - 2015年)
2014年3月19,21,23日 rec.




第一楽章
第一主題動機群は速めにシャープで緊張感があります。第7動機はその流れに乗った山場を作ります。その後も速めに第二主題も同じテンポでの穏やかさを構築、BRSOにあった中間部的な変化ではありませんね。第三主題のオーボエの絡みもさりげなく繋げてディナーミクを使って山場を大きく作ります。
展開部の第一主題動機はBRSO同様さらりと、第7動機も然程の強調はしていません。山場はかなり速めに強調されています。
再現部の第二第三主題は脚色は無く再現され、コーダはその流れからラストのトゥッティ山場をしっかり鳴らし切ります。


第二楽章
第一トリオは流れに乗った違和感のない重厚さを作り、第二トリオのオーボエとのさりげない対比を見せます。中間部トリオは当然軽快で三者対比は王道的安定感と言って良いでしょう。その後の動機の組合せでは緩急も入れて上手いです。


第三楽章
第一主題冒頭をまさに「トリスタンとイゾルデ」の様にスローに、その気配で鬱に変え「生との訣別」主題は流れに乗った山場感です。第二主題の弦と木管はシンプルですが、ディナーミクでの懐の広さを感じます。全休符後は全体速めの各動機群に対してディナーミク主体に色彩感と緊迫感の流れを作ります。コーダは静に澄んだ流れにして自らの交響曲の引用を使って安定感ある終結です。



速めですが統一感の強い王道的ブルックナー9です。アゴーギクの揺さぶりを避け全体の流れを重視した構成ですね。ディナーミクでの色付けの上手さを感じますね。

速めの設定をどう見るかはありますが、安心感ある堂々の演奏です。




緩急の表情を明確に付け見晴らしの良いバイエルン放送響、速めのテンポ設定で王道を行くコンセルトヘボウ。両者とも十分な聴き応えですね。

それにしても、テンポ設定、アゴーギク設定、あまりに異なる"同一指揮者/同年三ヶ月違い"の二つの演奏です。

これをオケの個性の違いでは片付けられないでしょう、少々違う感じもしますしね。武器を変えれば何でもできるゾ、っていうのがヤンソンスの答えなのでしょうか?!
(ヤンソンスが本当にやりたいブル9は? 気になりますね)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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