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マイケル・フィニスィー の「音で辿る写真の歴史 (History of Photography in Sound)」をイアン・ペースのピアノで聴く


マイケル・フィニスィー
(Michael Finnissy, 1946/3/17 - )
フィニシーやフィニッシーとか日本語表記が曖昧ですが、イギリス人でロンドンの王立音楽大学で学んだ"新しい複雑性"の現代音楽家にしてヴィルトゥオーゾ・ピアニストですね。現代音楽の超絶技巧系ピアノ曲作曲家を代表する一人です。

楽風はポスト・セリエル。音の跳躍の大きいセリエルのヴィルトゥオーゾ初期(1960年代)から、静音パートを生かした聴きやすい方向性へと変化していますね。また過去の作曲家作品のトランスクリプションや民族音楽にも方向性を見出しています。教育にも熱心で、ニコラス・ハッジスやイアン・ペイス・他の現代音楽ヴィルトゥオーゾ・ピアニストを見出してもいますね。


音で辿る写真の歴史 (1995-2001年)
History of Photography in Sound
フィニスィーと言えば1972年から2005年にかけて作られた「ヴェルディ編曲集:全36曲 (The 36 Verdi Transcriptions)」になる訳ですが、並ぶ代表曲ですね。

CD5枚set/全11曲/5時間超のピアノ・ソロ曲集で音楽自叙伝です。5年間かけて演奏者のイアン・ペース(Ian Pace)の為に書かれ*、初演(2001年:英国王立音楽院)・初録音(本CD)されています。二人目の全曲演奏者マーク・ヌープ(Mark Knoop, クヌゥプとも)も出てきていますし、ペースの再演もある様です。

*ペースが1996年にフィニスィー50歳の誕生日を祝ってピアノ作品の全曲演奏会を行った事への返礼だった様で、当初は5books9曲だったそうです。






History of Photography in Sound

[CD1] 1. Le Démon De L'Analogie - 2. Le Réveil De L'Intraitable Réalité [CD2] 1. North American Spirituals - 2. My Parents' Generation Thought War Meant Something [CD3] 1. Alkan-Paganini - 2. Seventeen Immortal Homosexual Poets - 3. Eadweard Muybridge - Edvard Munch [CD4] 1. Kapitalisch Realisme [CD5] 1. Wachtend Op De Volgende Uitbarsting Van Repressie En Censuur - 2. Unsere Afrikareise - 3. Etched Bright With Sunlight

CD1-1は流麗な流れではありますが音の跳躍感も感じられ、セリエル的点描で静と強の組合せが明白です。opening-chapterとの事で初期のイメージを取込んでいるのでしょうか、-2では流れの良さが強まります。

CD2-1ではいきなり旋律感のある入りを見せ激しさも表現します。点描的表現は変わりませんが音の跳躍は明らかに減り、調性的コード和音が見られて、タイトル通りにアイヴズを始めとる米現代音楽への関連を見せているのかもしれません。途中で大きく休符を挟んだ演奏になるのも特徴的です。-2では旋律感と反復・変奏が強まりますね。

CD3-1はタイトルの二人を主に、シューマンやリストのフィルターも入れてあるそうです。アルカンの"Trois Grandes Etudes Op.76"を模した、左手・右手・両手の三部構成になります。イメージ以上に静的なセンスが強く、動機と変奏が一層感じられますね。-2では強fas・弱slowの対比が明確に、-3では静美な旋律が主導する新しい展開を感じます。

CD4-1は三部構成で、それぞれが間奏曲で繋がれているそうで3B(Beethoven, Bach and Busoni)のイメージとか。ブゾーニという処がフィニスィーですね。得意とする他音楽家のトランスクリプション(というか再構築)?、冒頭は明らかに"運命"を感じますが、流れはやや点描回帰かもしれません。長くて退屈?!

CD5-1は暗く静かで調性にさらに近づいた和声と音数の少なさで表情を作ります。とは言え耳馴染みの良い旋律は存在しませんし点描表現なのですが。-2も方向性は似ていますが途中で現れる民族音楽的な和声と調性旋律が印象的ですね。-3では点描反復(変奏)のキラメキと民族音楽和声を見せます。



フィニスィーのポスト・セリエル系のピアノ難曲の楽風推移が冒頭の紹介通り伝わります。
言えるのは点描的表現から抜け出さないという事で、それが"前衛の停滞"の証だと感じます。インスタレーションや多様性を中心とした現在の主流から行くと古典的な現代音楽の印象は免れませんね。

この系譜を多様性に至る現在までCD7枚組に大きくまとめたのが「Darmstadt Aural Documents Box 4・Pianists」という事になるでしょう。

英文のみで100ページ近いライナーノートにフィニスィーに関して1/3ページほどの簡易紹介しかありません。殆どがイアン・ペースによるもので、曲の詳細解説さえフィニスィー本人でないという不思議さです。(現役なのに?)



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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