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望月京(Misato Mochizuki) の「エテリック・ブループリント三部作」を聴く


望月 京
(Misato Mochizuki, 1969/1/31 - )
前回に続き望月さんです。東京芸大卒業後にフランスへ渡って学んだ欧州エクスペリメンタリズム系前衛です。前回インプレを参照くださいね。
現在は国内や執筆でも活躍中で、明治学院大学で文学部芸術学科の教授を務めていらっしゃいます。本アルバムには「明治学院大学学術振興基金」のサポートと日本語で明記され、NEOSレーベルでは稀な日本語訳が載っていますね。


Etheric Blueprint
望月さんが影響を受けている邦楽から笙の古曲二曲と、天空の青写真(エテリック・ブループリント)で室内楽作品と言っていいでしょう。タイトル曲は三部作で三曲目はアンサンブルにエレクトロニクスが入ります。

笙の古楽二曲は演奏者である宮田まゆみさん、古楽演奏のみならず現代音楽奏者として世界で活躍、による選曲だそうです。
タイトル曲の演奏は杉山洋一指揮, mdi ensembleの演奏になります。エレクトロニクスはChristophe Mazzellaですが、残念ながらライナーノートを見ても経歴や具体的な使われ方には触れられていませんね。






盤渉調調子, Banshikicho no choshi (笙雅楽:10世紀以前)
"冬・水・北・黒"を象徴する曲だそうです。ロングローンの笙曲で音階変化は少ないです。この時代から空間を意識する曲だったという事ですね。


双調調子, Sojo no choshi (笙雅楽:10世紀以前)
"春・木・東・青"を象徴する曲だそうです。曲調はほぼ変わりません。同じ曲の延長線上、というよりも同じ曲に聴こえますね。アンビエントの楽曲の様です。


エテリック・ブループリント三部作, Etheric Blueprint Trilogy
  ・4D, for 9 players (2003年)
  ・Wise Water, for 9 players (2002年)
  ・Etheric Blueprint, for 9 players and electronics (2005-06年)

1. 4Dは笙の曲の延長線にある音色とトーンで繋がっている様です。ロングトーンと電子音の様な高音、エレクトロニクスは未使用のはず、が空間にちりばめられます。弦楽器の特殊奏法も現れてノイズが加わりますが、楽器間の関係はポリフォニーですね。望月さんらしく途中で曲構成を変化させます。現れる雅楽風和声や等拍も望月さんらしいです。ご本人曰く、見えるもの(3D)と見えないもの(4D)の対比を空間に散在させる、感じです。空間音響系ですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

2. Wise Waterは4Dラストと水の滴り音で繋がります。エレクトロニクスだと思いますけどねぇ。ジャジーなベース、それに各楽器が絡みます。新しい展開が見えますね。ここでも構成は変化して、テンポを速めたり、反復性を強めたりします。
"水と波動で異なる結晶ができる"ことや水の状態変化の姿を現すそうで、滴り音は構成の変化点で必ず現れます。

3. Etheric Blueprintは背景にノイズを配したパルスな刺激で始まります。ノイズはエレクトロニクスで、一部は特殊奏法かもしれません。"神の御技とそれを検知させる空気を揺らがせる電波の様な介在"を表現しているのでしょう。もちろんリズムや構成変化を挟んだお約束の手法です。
ラストはバッハ・ブラームス・B.マーリーらの細切れな引用とノイズで構成されています。



"第六感やデジャ・ヴと言った時空や文化を超えた不可思議な謎への取組、科学・数学・天文学・哲学・宗教・芸術の様な学問、を音楽で一つにした総合表現が究極の目標" (意訳)とご本人は言っておられます。その通り科学者や哲学者の執筆からのインスパイア作品も多いですね。壮大な構想で、本三部作の解説だけで辿り着けるものではないでしょう。

望月さんらしい構成変化と対比的流れで、好きな前衛現代音楽です。今の時点で目指す理想の高みを覗くのは凡人には難しいかもしれませんが、この先の作品が楽しみですね。



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