FC2ブログ

アンナ・ソルヴァルドスドッティル(Anna Thorvaldsdottir) の室内楽「AEQUA」を聴く


アンナ・ソルヴァルドスドッティル
(Anna Thorvaldsdottir, 1977/7/11 - )
このブログではおなじみでおすすめのアイスランド人女性現代音楽家のA.ソルヴァルドスドッティル(Anna Sigríður Þorvaldsdóttir)です。若手と思っていましたが、今や中堅になりましたねぇ。
UCLAサンディエゴ(UCSD)で習い博士号(Ph.D)を取得し、米国(Lincoln Center's Mostly Mozart Festival 等)・欧州(ISCM World Music Days 他)を活躍の場としています。2015年にはNew York Philharmonic's Kravis Emerging Composerにも選ばれていますね。

作風は暗く陰湿なドローンも含む空間音響系で、特殊奏法もその方向で使われています。


AEQUA
室内楽集になりますね。本人曰く、楽曲は自然からのインスパイアであり、構築物全体とその構成パートの対比があるそうです。というわけで?ソロ曲から編成の大きなチャンバー・ミュージックのコントラストが付けられていますね。

演奏は米現代音楽アンサンブルの"インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル(International Contemporary Ensemble)"+α になります。






Scape (2011), for piano
ピアノ・ソロ曲です。特殊奏法も含めて静的空間に音が分散します。低音の単音は残響音を生かしているのも特徴的ですね。暗い海に彷徨う深海魚の様です。ラストは電子ノイズが残ります。


Spectra (2017), for violin, viola & cello
弦楽三重奏曲です。民族和声を微かに感じる調性感の薄い陰湿スローの緩徐曲です。旋律があるので余計に鬱な雰囲気が伝わりますね。中盤ではテンポを上げて特殊奏法も交え無調の音世界に入ります。全体構成はソナタ的で美しさも感じますね。ここでも最後にノイズを残します。


Aequilibria (2014), for large chamber ensemble
上記"Spectra"の気配を残しながら、年代は逆ですが、アンサンブル曲にした様な気配です。スローに渦巻く暗がりの様な空間音響系になり、時折その中に光が差し込みます。宇宙空間の様な曲調で、ドローンになるでしょうか。


Sequences (2016), for bass flute, bass clarinet, baritone saxophone & contrabassoon
管楽アンサンブル作品ですね。特殊奏法を用いた幽玄な楽曲です。基本は暗さですが、低音反復が入って陶酔的な流れを感じますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Illumine (2016), for 3 violins, 2 violas, 2 cellos & 1 double bass
弦楽アンサンブルです。前の"Sequences"に比べると出し入れの表情変化があります。とは言え刺激的な流れではなく、あくまでスローの中に色を添える感じですね。


Reflections (2016), for violin, viola & cello
いかにも的なグリッサンドが使われ、静的空間にチョロチョロと小生物が出現するかの様です。少々古臭さを感じるでしょうか。


Fields (2016), for bass clarinet, percussion, piano, electric guitar, cello & double bass
楽器構成が興味深いアンサンブル曲で、旋律が存在して暗く美しい感情が現れています。それまでの曲にも美しさは顔を覗かせていましたが、ここでは大きくフィーチャーされていますね。調性との多様性は今の現代音楽の主流をなしていますから、一番今の時代らしいと言って良いかもしれませんね。楽器構成も生きています。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



もちろん無調前衛で、全体を通して暗くスロー、刺激を回避した流れです。以前よりも曲調の固定化が強まっている感じがしますね。ラストに特徴付けを残すのも目立ちます。

聴きやすい傾向にあると思いますが、この先A. ソルヴァルドスドッティルがどの様な方向へ向かうのか興味は尽きませんね。



♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
🎶 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kokoton

Author:kokoton
.
    




・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




ようこそ
カテゴリ
ありがとう