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アルノルト・シェーンベルク『ヴァイオリン協奏曲』6CD聴き比べ:ハーン, アモイヤル, ザイトリン, バレンボイム, ファウスト, エディンガー


ヴァイオリン協奏曲 Op.36 (1934-1936年)
アルノルト・シェーンベルク (Arnold Schoenberg, 1874-1951)
ヴェーベルンに献呈された渡米後の作品で、十二音技法で書かれているそうですが聴いただけではわかりませんねw
好きなヴァイオリン協奏曲の一つで、バリバリの超絶技巧曲。かつ30分以上殆ど弾きっぱなしの様なヴァイオリニストにはタフな楽曲です。曲調は年代からいっても新古典主義的な印象になり、聴きごたえがあって素晴らしいですね。

楽章内の構成は少し端折って印象重視のインプレです。
(第一楽章:アレグロ、第二楽章:アンダンテ、第三楽章:フィナーレ・アレグロ の機能和声時代の基本構成ですね)



全体インプレ (vn/cond.)
① ハーン/サロネン:バランスの良さですね

② アモイヤル/ブーレーズ:研ぎ澄まされた先鋭さです

③ ザイトリン/クーベリック:クールなvn協奏曲です

④ M.バレンボイム/D.バレンボイム:落ち着いた中庸さです

⑤ ファウスト/ハーディング:繊細さの表現力です

⑥ エディンガー/マデルナ:豪快キレキレですね
 ・オススメCDは最後にあります



個別インプレ


ヒラリー・ハーン (Hilary Hahn : vn)
エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen, スウェーデン放送響)




H.ハーンのvnは朗々と鳴って歯切れも良くバランスの良さを感じます。バリバリの技巧感には少々欠けるきらいはあるかもしれませんが、安定性重視の様な流れです。第三楽章は素晴らしく、リズムに乗った流れは聴かせてくれます。
サロネンのオケも同様に響の良さがあって出し入れもあり、重量感や幽玄さではなく交響曲的な印象をうけました。全体の印象は明瞭さ、陰のない明るさのサウンドを響かせてくれましたね。この曲としては何か一つ尖ったものが欲しかった気もします。




ピエール・アモイヤル (Pierre Amoyal : vn)
ピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez, ロンドン交響楽団)




アモイヤルのvnは繊細で細い切れ味を感じ、鋭利な刃物の様ですね。細く冷たい音色は好きなvnの音色で、引いた感じの時も鋭いキレを感じます。グリグリとヴィルトゥオーゾを魅せるのではなく、やや引き気味で神経質・繊細・切れ味のvnです。第二楽章の神秘さは光りますね。最後のカデンツァはキレキレです。
全体的には"静"の緊迫感のオケは流石はブーレーズといった感じです。その中にディナーミクの振りで陰影付けがされて幽玄さを感じますね。手を触れたら切れそうな鋭いコンチェルトで好きな一枚です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




ズヴィ・ザイトリン (Zvi Zeitlin : vn)
ラファエル・クーベリック(Rafael Kubelík, バイエルン放送響)




ザイトリンのvnは細からず太からず、キレ過ぎず伸び過ぎず、な印象です。常に落ち着いてクールですね。この演奏だけを聴けばすごくキレキレに感じるでしょうが、それはこの曲の本質ですね。印象的なのは第一・第三楽章終盤のカデンツァと多少緩徐的な第二楽章の落ち着きでしょうか。それがザイトリンらしい美しさを奏でている感じですね。
クーベリックとオケの方が引いては押しといった多少表情のある演奏を繰り広げて、揺さぶりもかけている様な感じです。ただこの曲としては行儀が良く、vnが少しスマート過ぎに感じますね。




マイケル・バレンボイム (Michael Barenboim : vn)
ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim, ウィーンフィル)




マイケル.Bのvnは少し引き気味で落ち着いた感じでしょうか。線が細い感じで、強引な音色は発しません。アレグロでは中庸さが強く突き進む感じやキレは弱いですが、緩徐楽章は伸びやかな音色でエモーショナルさが処々にありますね。第一・第三楽章カデンツァは揺さぶりますが、ややギクシャク感です。
父であるダニエル.BとVPOは緩急を強めながらvnを追い込む様に演じています。とは言え炸裂する様な演奏はしませんね、VPOですから。どちらかと言えばこちらも落ち着いた感じですね。
この曲としては薄味で、vnは切れ味が弱く感じるかもしれません。(録音の問題もあるかもしれませんが)




イザベル・ファウスト (Isabelle Faust : vn)
ダニエル・ハーディング(Daniel Harding, スウェーデン放送響)




ファウストのvnは激情ではなく表現力でしょう。落ち着きながらも先鋭な音色を主体にしていますね。全楽章通して劇的なパートや技巧優先の切れ上がる様な演奏はありません。聴かせどころのカデンツァでも表現力優先ですね。
オケも鳴りよく、出し入れを強く、この曲らしい急変化を上手くコントロールしていてvnを生かしている感じですが、怒涛の盛り上がりは避けていますね。
全体としては劇的・技巧性方向よりもコントロール・繊細な表現の演奏ですね。




クリスティアーネ・エディンガー(Christiane Edinger:vn)
ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, Saarländischen放送響)



BrunoMaderna-Schoenberg-arkadia.jpg
(ジャケット写真です)

上記CDとは一線を画す強烈な演奏です。エディンガーのvnは表情濃く、彫りの深い演奏です。オケとの録音レベルでもvn主導的になっているのもあるかもしれませんが、第一楽章の導入部からキレキレです。いかにもヴィルトゥオーゾ的で、これ見よがしなスタンスが心地よいですね。カデンツァは揺さぶりが強くキレキレ。このパターンに遠慮は無用でしょう!!
マデルナのオケもまさに協奏的にvnに絡みます。振りの大きなディナーミクとアゴーギクのマッチはまるでDialogue、両者のせめぎ合いの様なやりとりが強烈。素晴らしいですね。

「ペレアスとメリザンド」や「浄夜」を含むマデルナの尖がったシェーンベルク集(2CD)で、所有している全CD中でも個人的名盤。指折りのお気に入り盤で超おすすめ盤になります。現代音楽家としても素晴らしいですが、シェルヘンに師事した指揮者のマデルナは最高です。




おすすめは、②アモイヤル(vn)/ブーレーズ と ⑥エディンガー(vn)/マデルナです。

一枚というなら、圧倒的に素晴らしいエディンガー(vn)/マデルナ盤ですね。問題は入手困難な事ですが…




当初は2019年1月10日のコパチンスカヤ(vn)/大野和士/都響のコンサートを前に予習でした。(同曲CDインプレを追記して比較数が増えました)
 コパチンスカヤの結果は ▶️ こちら



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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