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アルノルト・シェーンベルク(Arnold Schönberg)『ヴァイオリン協奏曲 Op.36』4CD聴き比べ:名盤がありますね


アルノルト・シェーンベルク
(Arnold Schoenberg, 1874-1951)
言わずと知れたシェーンベルク、初期前衛時代と合わせてちょっとだけおさらいです。
後期ロマン派の最終期とも言える時期の傑作から始まり、1910年くらいに前衛の原点"無調"作品を世に送りました。そして"無調"に新しい音楽理論を当てはめた"十二音技法"を確立したのが1920年くらいなわけですね。
ただシェーンベルクは無調ですが調性に近い楽風を保持する様になり、1934年の渡米で更に調性回帰的になっています。
音楽理論的な前衛を推し進めたのは弟子で新ウィーン楽派の一人アントン・ヴェーベルンのトータル・セリエリズムであり、その流れを主流とした「ダルムシュタット夏季現代音楽講習会」をベースにシュトックハウゼン/ノーノ/ブーレーズが時代を支配して1970年代の"前衛の衰退"へまっしぐらに突進した訳ですね。


ヴァイオリン協奏曲 Op.36 (1934-1936年)
ヴェーベルンに献呈された渡米後の作品で、十二音技法で書かれていそうですが聴いただけではわかりませんねw
好きなヴァイオリン協奏曲の一つで、バリバリの超絶技巧曲。かつ30分以上殆ど弾きっぱなしの様なヴァイオリニストにはタフな楽曲です。曲調は年代からいっても新古典主義的な印象になり、聴きごたえがあって素晴らしいですね。
同じ新ウィーン楽派ベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に (1935年)」とほぼ同年代の作品で、初演もルイス・クラスナーですがシェーンベルクの方が超絶技巧曲のため初演が遅れています。

今回は期待度の高い2019年1月10日のコパチンスカヤ(vn)/大野和士/都響のコンサートを前に予習の聴き比べで、楽章内の構成は少し端折って印象重視のインプレです。




ヒラリー・ハーン (Hilary Hahn : vn)
エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen, スウェーデン放送響)




H.ハーンのvnは朗々と鳴って歯切れも良くバランスの良さを感じます。バリバリの技巧感には少々欠けるきらいはあるかもしれませんが、安定性重視の様な流れです。第三楽章は素晴らしく、リズムに乗った流れは聴かせてくれます。
サロネンのオケも同様に響の良さがあって出し入れもあり、重量感や幽玄さではなく交響曲的な印象をうけました。全体の印象は明瞭さ、陰のない明るさのサウンドを響かせてくれましたね。この曲としては何か一つ尖ったものが欲しかった気もします。




ピエール・アモイヤル (Pierre Amoyal : vn)
ピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez, ロンドン交響楽団)




アモイヤルのvnは繊細で細い切れ味を感じ、鋭利な刃物の様ですね。細く冷たい音色は好きなvnの音色で、引いた感じの時も鋭いキレを感じます。グリグリとヴィルトゥオーゾを魅せるのではなく、やや引き気味で神経質・繊細・切れ味のvnです。第二楽章の神秘さは光りますね。最後のカデンツァはキレキレです。
全体的には"静"の緊迫感のオケは流石はブーレーズといった感じです。その中にディナーミクの振りで陰影付けがされて幽玄さを感じますね。手を触れたら切れそうな鋭いコンチェルトで好きな一枚です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




ズヴィ・ザイトリン (Zvi Zeitlin : vn)
ラファエル・クーベリック(Rafael Kubelík, バイエルン放送響)




ザイトリンのvnは細からず太からず、キレ過ぎず伸び過ぎず、な印象です。常に落ち着いてクールですね。この演奏だけを聴けばすごくキレキレに感じるでしょうが、それはこの曲の本質ですね。印象的なのは第一・第三楽章終盤のカデンツァと多少緩徐的な第二楽章の落ち着きでしょうか。それがザイトリンらしい美しさを奏でている感じですね。
クーベリックとオケの方が引いては押しといった多少表情のある演奏を繰り広げて、揺さぶりもかけている様な感じです。ただこの曲としては行儀が良く、vnが少しスマート過ぎに感じますね。




クリスティアーネ・エディンガー(Christiane Edinger:vn)
ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, Saarländischen放送響)



BrunoMaderna-Schoenberg-arkadia.jpg
(ジャケット写真です)

上記3CDとは一線を画す強烈な演奏です。エディンガーのvnは表情濃く、彫りの深い演奏です。オケとの録音レベルでもvn主導的になっているのもあるかもしれませんが、第一楽章の導入部からキレキレです。いかにもヴィルトゥオーゾ的で、これ見よがしなスタンスが心地よいですね。カデンツァは揺さぶりが強くキレキレ。このパターンに遠慮は無用でしょう!!
マデルナのオケもまさに協奏的にvnに絡みます。振りの大きなディナーミクとアゴーギクのマッチはまるでDialogue、両者のせめぎ合いの様なやりとりが強烈。素晴らしいですね。

「ペレアスとメリザンド」や「浄夜」を含むマデルナの尖がったシェーンベルク集(2CD)で、所有している全CD中でも個人的名盤。指折りのお気に入り盤で超おすすめ盤になります。現代音楽家としても素晴らしいですが、シェルヘンに師事した指揮者のマデルナは最高です。唯一の問題は入手困難な事ですが…




クールな演奏が好きな方はザイトリン(vn)/クーベリック、バランスの良さならハーン(vn)/サロネンですね。

おすすめは、研ぎ澄まされた先鋭さのアモイヤル(vn)/ブーレーズ と 豪快キレキレのエディンガー(vn)/マデルナ。でも、何をおいても圧倒的に素晴らしいのがエディンガー(vn)/マデルナ盤です。

年明けのコパチンスカヤはこれ以上の出来も期待できそうで、楽しみですね。
[後日記] その結果は? ▶️ こちら




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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