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サイモン・ラトル/バイエルン放送交響楽団 で聴く マーラー『大地の歌』| バーンスタイン, カラヤン と聴き比べ


大地の歌 (Das Lied von der Erde, 1908年)
グスタフ・マーラー (Gustav Mahler, 1860/7/7 - 1911/5/18)
今年ラトルはマーラーを続けて出したので、第6番に続いて"大地の歌"もインプレしましょう。

「大地の歌」全体の流れを少々荒っぽく言えば、テノール(男性)が歌う奇数番楽章は盃を重ねる詩、アルト(女性)が歌う偶数番楽章は人の心の詩、最後の第六楽章だけは自然と友を謳う訳ですが、全体として"人は死しても大地は残る"というお話ですね。個別の古い中国の詩の引用ですから、楽章間でストーリー展開がある訳ではありません。

アルト(orメゾソプラノ)のパートはバリトンの場合もあるので、今回はせっかくですからカラヤン/BPO | バーンスタイン/VPOと聴き比べてみようと思います。前者はアルト採用、後者はバリトン採用ですね。(バーンスタインはMez.採用Sony盤もあります)




サイモン・ラトル / バイエルン放送響
[Mez.] マグダレーナ・コジェナー, [テノール] スチュアート・スケルトン




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
アレグロですがペザンテの印象が強い楽章ですね。ファンファーレ主導の提示部はオケの切れ味が強く陰影が濃いです。テノールもテンションが高いです。展開部管弦楽は繊細さです。

第二楽章「秋に寂しき者」
緩徐楽章ですね。導入部の木管は抑えめで哀愁を細く奏でます。切れ味あるMezとオケとの一体感に僅かな乖離を感じます。展開部も変化は少なめで全体に表情が薄めに感じますね。

第三楽章「青春について」
短いスケルツォでしょうか。テノールも軽妙に入り、スローの中間部は陰を見せてコントラストを強めに付けています。

第四楽章「美について」
コモド(乙女)の中に走狗する(若者)トリオが入りますね。乙女は落ち着いたスローで歌い、中間部では若者が勢いのついたオケの演奏と共にテンポアップして元気が溢れますね。再現部も含めてコントラストが明瞭です。

第五楽章「春に酔える者」
凛々しいアレグロですね。勇ましい提示部を強調するテノール、キーとなる展開部でテンポを落とす二回目の調性感の変化はナチュラルです。再現部は元気復活ですね。

第六楽章「告別」
緩徐の提示部は、適度な重厚さのオケに繊細なMez.の組合せで、山場は伸びやかですが生真面目さが強い流れです。ややフラットに感じるかもしれません。中間部管弦楽パートは、情感の陰影付けが強くラトルらしさでしょう。再現部 王維の「告別」は表情がありますね。


落ち着いたMez.に対して表情豊かなテノールの組み合わせ。オケは明瞭な音使いです。クセはなくコントラストをはっきりとさせて、ラトルらしい「大地の歌」になっている感じです。
ラトル派の貴方におすすめですね。

旧盤(EMI)を比べると、バリトン採用で印象は異なりますね。演奏はバーミンガム市響の方が楽章によってのメリハリに差(一楽章は濃く二楽章は穏やかとか)があります、テノールは似た感じですが。











カラヤン / ベルリン・フィル
[アルト] クリスタ・ルートヴィヒ, [テノール] ルネ・コロ




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
提示部は導入ファンファーレ、オケそしてテノールも虚飾の無いバランスの良い流れを作って説得力を感じます。管弦楽の展開部もしゃしゃり出る事なく美しさを聴かせます。再現部もシャープな流れですね。

第二楽章「秋に寂しき者」
繊細な木管の導入部にアルトが入り、透明感があります。展開部は伸びやかで暖かさを見せ、山場を広がり大きく聴かせます。ルートヴィヒとオケのマッチングの良さを感じますね。

第三楽章「青春について」
ちょっと戯けた様にテノール、軽く弾むオケ、うまい流れを作るスケルツォで入ります。中間部は少し落ち着きを見せながら最後に回帰、全体の流れは統一感がありますね。

第四楽章「美について」
導入部コモドの乙女はオケと合わせて明るく明瞭に表情を付けて、中間部ではテンポアップし晴れ間を見せる様なオケに跳ねる様に歌います。再現部も合わせて伸びやか明るさが伝わります。

第五楽章「春に酔える者」
提示部テノールは伸び伸びと歌い、広がりがあります。展開部二回目のテンポダウンではHrを中心に調性感の変化を感じさせてくれるのが嬉しいです。そうなると続く再現部が生きて来ますね。

第六楽章「告別」
提示部は重厚さを避けたスローで落ち着いたオケとアルト、次第にアルトの表現力が増して山場に繋げます。オケが常に美しい澄んだバックを受け持っているのも好感触ですね。管弦楽の中間部は、緩やかで穏やかな流れに陰影を自然に付けています。再現部も含めて ルートヴィヒとオケの美しい楽章になっていますね。


アルトは繊細で伸びやか、テノールはクリーンなハイトーンで広がりを効かせます。オケは抑えながら澄んだ音色で引き立てます。興奮や華飾を排して 落ち着いた心地よさの「大地の歌」ですね。
その中に流石のルートヴィヒの表現力があって、やっぱり好きな演奏です。





バーンスタイン / ウィーン・フィル
[バリトン] フィッシャー=ディースカウ, [テノール] ジェームス・キング




第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」
入りのファンファーレから速めでテンションが高いです。オケもテノールもハイテンション、緩急はあっても戦闘的ですね。展開部管弦楽の印象が残りません。

第二楽章「秋に寂しき者」
バリトンは落ち着きはらっています。男性パートで聴くと歌詞の印象が異なって感じますね。ただ高音パートを柔らかく歌うのでオケとの緩徐バランスは悪くありません。展開部では光が差してくる様な流れを作っています。

第三楽章「青春について」
テノールの軽妙さには少し濃い味付けがあります。中間部でも味の濃さが表立っています。

第四楽章「美について」
導入コモドはゆったりと穏やかに歌い、中間部ではオケが華やかさを奏でてバリトンも生き生きと歌い上げます。テンポアップでの表情も面白いですね。流石はディースカウと言ったところでしょうか。

第五楽章「春に酔える者」
提示部テノールは適度なテンションで堂々と、展開部二回目のスローでの調性感の振りは弱めです。ここではテノールが落ち着きを見せましたね。

第六楽章「告別」
ゆったりとした提示部はまさにディースカウの真骨頂で素晴らしいですね。重厚さを避けて歌詞の一つ一つを丁寧に歌います。オケも尚更に丁寧な美しい演奏に聴こえてしまいますね。最高の楽章で一つの完成形では!


バリトンは優しさを湛え、テノールは少々くどめの対比です。オケも色付けが濃い演奏ですね。 役割(歌詞)と表現を明確にした「大地の歌」です。
何と言ってもフィッシャー=ディースカウの歌うマーラー、ここでも素晴らしい歌詞表現です。でも、この曲だけはバリトンよりもアルト(or Mez.)の方が好みです。




カラヤン盤とバーンスタイン(ディースカウ)盤の二枚はお気に入りなので、あえて載せてみました。特に ディースカウの歌う第六楽章の素晴らしさ、全体としたらルートヴィヒが歌うカラヤン盤という嗜好です。ワルター盤もいいので、そのうちにまた。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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