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カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen) の『Amour / Der kleine Harlekin / Wochenkreis』を聴く


カールハインツ・シュトックハウゼン
(Karlheinz Stockhausen, 1928/8/22 - 2007/12/5)
今更シリーズの一員シュトックハウゼンですw このブログではシュトックハウゼンの他、ブーレーズやクセナキスと言った現代音楽の古典(前衛黎明期〜衰退期)のビッグネームはインプレを避けています。もちろん好きでVerlagを含めて枚数もそれなり所有ですが聴かなくなったのも事実で、本CDはシュトックハウゼンとしては最後に購入したものかもしれません。
少し懐かしさを感じる様になったので、インプレして見ようかと。もちろんビッグネームですから紹介は割愛ですね。


Amour / Der kleine Harlekin / Wochenkreis
1975-1988年という中期作品で、クラリネット系曲集になりますね。この時期は前衛の衰退期にありシュトックハウゼンもポスト・セリエルを目指していて、不確定性からフォルメル技法と呼ばれる小動機フォルメル構築に移行しています。
"Amour", Der kleine Harlekin"はそのフォルメル技法の展開になりますね。二局目"ハレルキン, 小さな道化"は舞台劇音楽で、演技しながらの演奏になっています。その傾向が次の大作「LICHT, 光」に繋がっていますね。

"Wochenkreis"は、そのシュトックハウゼンの代表作で約28時間かかるキリストの生涯を描いたオペラ「LICHT, 光:一週間七つの日」の「月曜日 (第二幕)」ですね。前衛隆盛期に流行った「筋書きのないオペラ」で、以前紹介したH.ラッヘンマンの「マッチ売りの少女」もそうですね。実際には演奏家が演技を伴う演奏をするオペラなので実に大変です。

演奏はシュトックハウゼンと親交のあったミケレ・マレッリ(Michele Marelli, cl & bh)とアントニオ・ペレス・アベラン(Antonio Pérez Abellán, synth.)になります。







Amour, 愛 (1976年) five pieces for clarinet
5パートの小曲集で30分弱になります。年代から行ってフォルメル技法的で調性のある小旋律の組合せを感じます。その小旋律はセリエル的で、旋律同士が会話をしている様です。印象的なのは"3.Die Schmetterlinge spielen(The butterflies are playing)"で静音で上昇・下降旋律で蝶の飛ぶ姿、テンポを落として止まったりする姿、を表現している事でしょう。反復も含めてそれまでのシュトックハウゼンらしからぬ表現で、初期のシュトックハウゼンなら本人真っ向否定に思えますねw


Der kleine Harlekin, ハルレキン (1975年) for clarinet
年代からも上記Amourと似た傾向にありますね。上昇・下降音階や反復を多用して調性のある旋律を奏でています。音列配置的なのも同じですね。一つ違うのは舞台劇音楽で本人が演技している為、ドタバタという足音が打楽器的に付随している事でしょう。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Karel Dohnal(cl)の"小さな道化"の演技も見ものですw



Wochenkreis, 週のサイクル (1988年) Duet for basset horn and synthesizer player
19パートの小曲計26'弱のバセットホルン(クラリネットの古楽器)とシンセサイザー曲ですね。バセットホルンのEvaとシンセのDialogue(ライナーノートのシュトックハウゼン談)で、表情がグッと豊かになっています。旋律に点描音列配置的な様子が残るのがシュトックハウゼンらしさでしょう。シンセのグリッサンド音は当時でもやや古さを感じたかもしれませんが、シンセならではの様々な音と特殊奏法を交えたバセットホルンの組合せは面白いですね。古さは否めませんが。



このソロ・デュオ作品ではこの時代らしい”制約から逃れ始めた前衛現代音楽"が感じられますね。旋律や反復と言った当初本人たちが拒絶していた音ですね。三曲の中ではやっぱり最後の"Wochenkreis"、この後時代は21世紀に向かって多様性の現代音楽に突入するわけです。

そんな事を頭に浮かべながら聴くのも一興かと。個人的にはシュトックハウゼンは"前衛の衰退期"(1968年〜)に入る前の尖った音世界の方が好きかもしれません。




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