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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 80CDの聴き比べです [#6 / CD71-80]

マーラー第9番も今回(#6)の10枚で80CDまで来ました。全て聴いてインプレするにはまだ時間がかかりそうですが、一枚一枚違って楽しいですね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現在#6回 80CD
 #1:10CD
バーンスタイン[x5 ★☆], アバド[x2 ★☆], ラトル[x2 ★], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x3], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆], 小林研一郎
 #3:10CD
インバル[x3], ドゥダメル, サラステ[☆], バルビローリ[☆], ジュリー二, ドラティ[㊟], ムント, 朝比奈隆
 #4:10CD
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[★☆], ジンマン, バルシャイ, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:10CD 本投稿です
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 高関健, 山田一雄, ミュンフン



ゲオルク・ショルティ, Georg Solti
鳴りの良さとパワーのイメージが強いショルティ(w/シカゴ響)のマーラーですが、9番(正規盤)はロンドン響とシカゴ響の録音を残しています。アクの強さがマーラーに合うかは好みの問題もあるでしょうね。

(#1)
London SO
[DECCA] 1967-4/28-5/11
帯同して来日したこともあるロンドン響とのマーラー9ですね。1967年録音で、当時はこんなにマーラーに人気がなかったと思います。(少なくともSP→LP時代の父は長い交響曲は嫌いでしたね)
第一楽章
第一主題は息遣いのごとく表情を見せ、第二主題は葛藤を演ずる様です。その後も表情豊かな展開部で楽しませてくれます。暗雲と嵐、常に"風雲急を告げる"的パワー表現メインですけどw
第二楽章
主要主題はもったいぶった調子でややスロー、第一トリオはテンポを上げて切れ味、第二トリオでも図太さを感じます。とにかく強側のメリハリ、疲れますね。
第三楽章
主要主題はオケの鳴りが全開、副主題(第一トリオ)では多少肩の力を抜きますが気合がすごいです。中間部(第二トリオ)は落としますが背後に力がこもっているのがわかります。ラストは爆走!!
第四楽章
主要主題は太くて濃く、暑いお風呂みたいです。第一・第二エピソードも朗々とした鳴りでスローや閑を排して力感いっぱい。聴き終わったら疲れてぐったり。
・・・・・
太く力漲るマッチョなマーラー9です。個性的ですが狂気というわけではなく暑苦しいだけ?、この曲の哀愁や情感には接点がないので残念です。
スキヤキを濃い割下で肉だけガッツリ早食い口いっぱい、みたいなw 好きな方にはオススメです。(爆) えっ、㊟印付けろ?? ですかねぇ。




(#2)
Chicago SO
[DECCA] 1982-5
ショルティと言えば音楽監督(1969-1991)だったシカゴ響。そのマーラー9ですね。上記15年後の演奏ですが、こちらはどうでしょう。
第一楽章
第一主題・第二楽章ともに抑えが増して静的に澄んだ音色に変化しています。反復から第三主題も適度な激しさを見せてバランスがいいですね。展開部も落ち着いてクセがなくなりお手本的、見晴らしよくなりました。後半スローが気になるのは演奏時間も3'以上長くなったからでしょうか。
第二楽章
全体の流れは似ていますが、少し肩の力が抜けて聴き疲れは弱まりました。第一トリオ以降もスロー気味です。
第三楽章
LSOと同傾向、全開運転です。中間部は少し速くなっている感じです。
第四楽章
通して同じ様な流れですが、少しスロー化して楽になった感じです。それにしても何かが伸し掛る様に強く重いです。ラストの静音はオマケみたい。
・・・・・
力強いマーラー9です。一部は一般化しましたが、いずれにしろ力感。ならばいっその事ロンドン響に一票でしょうか。




ヘスス・ロペス=コボス, Jesús López-Cobos
Cincinnati Symphony Orchestra
[TELARC] 1996-5/5,6
本年(2018年)3月2日に亡くなったスペイン人指揮者ロペス=コボスが首席指揮者(1986-2001)を努めていたシンシナティー響を振ったマーラー9、他には2,3,10番を残していてファンがいますね。
第一楽章
第一主題から第二主題への変化の流れは適度、そこからの反復と第三主題(コデッタ?)も安心して聴けますね。展開部も奇を衒ったパートはなく、標準王道的な落ち着きです。どちらかと言うと穏やかさの印象でしょうか。
第二楽章
主要主題から優美さ、第一トリオも刺激的変化を避けてマイルドに、第二トリオはよりマイルドで少し長く感じます。
第三楽章
主要主題は切れ味よく、副主題も同じ流れ。中間部は色合いは変えますがテンポ変化は少なめです。ラストもパワーはふるいますが刺激は薄いですね。
第四楽章
主要主題の穏やかな広がりの良さは得意とする処でしょう。流れの延長で第一エピソード、第二エピソード共には情感は適度ですが、後半からコーダのターン音型では静的に落としてこの曲らしさを聴かせます。
・・・・・
まとまりの良いマイルドなマーラー9です。抑え気味のアゴーギク・ディナーミクで個性・刺激には欠けるかもしれません。刺激物の苦手な貴方におすすめですw




金 聖響, Seikyo Kim
Kanagawa Philharmonic Orchestra
[Octavia] 2011-5/28
在日韓国人指揮者の金(キム)さんは2009年から2014年まで神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めました。その時代の録音になります。その後いろいろ問題があったのは残念な事です。
第一楽章
序奏・第一主題は緩やかに、第二主題からは重厚さを見せる教科書的な流れです。反復最後の第三主題にかけてもきっちりと盛り上げています。展開部も陰鬱さとアレグロ・リゾルートからの激しさと良いコントラストで堂々本流ですね。ただキッチリとしている気配が強すぎて機械的な流れです。
第二楽章
主要主題はゆったりレントラー、第一トリオでキリッと表情を上げてリズムよく、第二トリオは穏やかに、と正攻法です。山場も約束通りに盛り上げますが、教科書通り的で表情が感じられません。
第三楽章
ここでも主要主題から副主題を全く違和感なくリズミカルに、中間部でターン音型を美しく奏でます。規格品ですが何かが足りません。
第四楽章
vnのターン音型は美しく、第一エピソードは陰鬱さを軸とする流れをきれいにつけています。第二エピソードも後半からはコーダに向けた流れが作られています。何かが欠けている様な、個性に欠けるのが個性?!
・・・・・
不要な揺さぶりを殺して教科書の様なマーラー9です。レシピ通りの料理が好きな貴方向き?
ただこの曲に欲しい情熱や思い入れが、ライヴにもかかわらず伝わらないのが唯一最大の問題かもしれません。




アレクサンドル・スラドコフスキー, Alexander Sladkovsky
Tatarstan National Symphony Orchestra
[Μелодия] 2016

(コンドラシンとスラドコフスキーが1,5,9番を振った面白いset物ですね)

スラドコフスキーが首席指揮者で音楽監督を務めるタタルスタン国立交響楽団を振ったマーラー9ですが、両者ともよく知りません…
第一楽章
スローの序奏・第一主題から第二主題は激しさに表情を変え二面性を見せてきます。第三主題ももちろん激しさです。展開部も静のスローと烈のファストの明確な表情付けが、陰鬱さ・美しさ・激しさを生かす展開です。明瞭な第一楽章ですね。
第二楽章
歯切れの良いレントラーの主要主題から第一トリオをいきなりテンポアップ、第二トリオでスローダウンします。微妙ではなく明瞭なアゴーギクです。
第三楽章
主要主題は少々慌ただしい感じで副主題で少し取り戻し、絡んだ後に中間部で澄んだ音色からラストは精一杯盛り上げます。わかりやすいですね。
第四楽章
第一主題は予想通り一楽章回帰的にスローです。第一エピソードの鬱さは情感に欠けますし、第二エピソード後半からのターン音型のエモーショナルさは弱いです。山場は盛上げますが…
・・・・・
すっきり明快なマーラー9です。主題・動機ごとに明瞭にアゴーギクを振り替えています。個性も含めて微妙な"わび・さび"のアンジュレーションは弱いです。(この曲に一番欲しい物かもしれません)




レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam

Danish National Radio Symphony Orchestra
[CNANDOS] 1991-9/23-25

(第7番とのカップリング3CDです)

北欧の怪人、フィンランドの指揮者セーゲルスタムです。個人的には多作の現代音楽家のイメージが勝ちますが、来日した指揮でも楽しませてもらいましたね。DR放送交響楽団(デンマーク放送交響楽団)首席指揮者時代(1988–1995)の演奏です。
第一楽章
とてもスローで大きな第一主題です。第二主題もその流れでスロー、そこから大きく山場を築いて反復、第三主題は落ち着きを払った雄大さです。展開部もスローを基本として奥行きのある流れを作っています。
第二楽章
主要主題スローで落ち着いたレントラーですが切れ味があります。第一トリオは威風堂々と、第二トリオは落ち着かせる様な優しさですね。山場は抑え気味で、この楽章のスローだけ今ひとつ感があるかもしれません。
第三楽章
主要主題と副主題は標準的なテンポで歯切れがいいですね。中間部のターン音型は最終楽章を印象付ける美しさです。ラストの緊迫は見事!決まりました。
第四楽章
主要主題は緩やか優美です。第一エピソードでは入りのcbからコーダ終焉に向けた気配を漂わせる構成です。第二エピソードも山場を含めて感情が溢れ出て、後半からコーダにかけての静音ターン音型パートの素晴らしさは格別かもしれません。
・・・・・
セーゲルスタムらしいスロー、雄大さと情感のマーラー9です。単純な静スロー・激ファーストの様なアゴーギクではないのがセーゲルスタムらしさでしょう。思い入れを感じられてとても好きな一枚です
CHANDOSの音の良さも一役買っているでしょう。




マルク・ゴレンシテイン, Mark Gorenstein
State Symphony Orchestra of Russia (Svetlanov SO)
[MDG] 2010-2/20
釜山フィルの首席指揮者も務めたゴレンシュタイン、ロシア国立交響楽団の音楽監督(2002-2011)時代の録音です。
第一楽章
緩やかスローの第一主題は美しく第二主題は変化は少なめに入って大きく広げます、反復後の第三主題も含めて王道ですね。展開部もスロー基本で大きくバランスの良さがありますが、やや刺激に欠けて時折スローの間延びも感じます。
第二楽章
レントラー主題もスロー強調ですが、第一トリオではしっかりと締めて、第二トリオは緩やか。山場もスローなので強調感に欠けますね。
第三楽章
主要主題はリズミカルで重さを付けて良い流れを作ります。第一トリオも流れに乗って緊張感を保ち、第二トリオで緩やかにターン音型では美しさを強調しますがその後が弱いです。でもラスト山場は暴れて面白く、この楽章が一番でしょう。
第四楽章
主題は得意の雄大さが光ります。第一エピソードは暗く鬱に入りスローを生かして大きく広げて良い流れを作り、第二エピソードは一転速めで入ります。山場(mixingバランスが?)から徐々にスローに戻し、ターン音型を緩やかに納めます。
・・・・・
緩やか広々スローなマーラー9ですね。スロー主体でアゴーギクが薄く、強音パートに締まりに欠けるのが残念ですね。
良い処もあり、ジャケットも好きなのですが。




高関健, Ken Takaseki
群馬交響楽団
[ALM] 1999-3/21
高関さんが群馬交響楽団の音楽監督時代(1993 - 2008年)の録音ですね。
第一楽章
第一主題から第三主題までメリハリが不足している感じです。展開部もスローパートのモヤッとした感じが拭えないのはアゴーギクやディナーミクの弱さだけでなく、管楽器の音色もあるかもしれません。強音パートは適度に暴れて面白いですが、前途多難を感じました。
第二楽章
主要主題は速めですが何かスカッとしません。第一トリオは流れに乗ってシャープさが感じられます。速い展開はいける様ですね。第一楽章よりまとまってきました。
第三楽章
主要主題はマーラー指示の様に荒々しさがありなかなかです。第一トリオもその流れに乗り、第二トリオの静展開ではやはり何かこもった気配になります。ラスト山場は見事です。
第四楽章
不安を感じたスローの主要主題は落ち着いた演奏になります。第一エピソードは繊細なのですが、寂寞感や情感に繋がりません。第二エピソードは山場があるので、そこはこなしています。
・・・・・
今ひとつ見晴らしの良くないマーラー9です。全体的には荒れたパワーパートは面白さがありますがスローのモヤモヤが拭えず、この曲の持つ哀しみや美しさと言った情感が、テクニカル的にも、弱く感じました。




山田一雄, Kazuo Yamada
新日本フィルハーモニー交響楽団
[fontec] 1986-6/7
ヤマカズさんが新日本フィルを振ったマーラー9ですね。本当は第5番同様映像付きで見たいところです。
第一楽章
緩やかで緊張感を漂わせる第一主題と第二主題、そして反復からの第三主題は雄大です。展開部は陰鬱な流れからJ.シュトラウスの引用で明るさを見せ、流れよく山場へと進みます。鬱パートと山場の組合せは明確にコントラストを付けてきますがしっかりとアゴーギクがコントロールされて心地よいですね。再現部の間延び感が少し残念ですが。
第二楽章
レントラー主題は速く軽快な勇み足風に、第一トリオで一般的なテンポ設定に戻し明快な三拍子を付け、第二トリオでスローダウン。三つの顔を明確にしていますね。
第三楽章
主要主題は速めに少し乱暴で切れ味よく、第一トリオでは流れに乗った落ち着きを見せて、第二トリオはまさに中間部らしい美しい流れを作り出します。ラストも暴れて見事な構成感ですが、真面目過ぎかもw
第四楽章
主要主題は第一楽章で感じた様な緩やかな緊張感が少し弱いですね。第一エピソードを支配する静は全体スローでコーダをイメージさせ、第二エピソードはテンポアップして山場を迎えた後スローに落としコーダへ繋げます。
・・・・・
構成感もあり、きっちり真面目なマーラー9です。スローの優しさとコントロールされた強音パートをどう見るかで評価は分かれるかもしれません。
個人的にはコンサートならではの一体感や興奮が欲しいところです。少し羽目を外してもいいかも。指揮台のヤマカズさんの音が聞こえますねw




チョン・ミュンフン, Myung-Whun Chung
Seoul Philharmonic Orchestra
[DG] 2013-8/29,30
韓国生まれの米国人指揮者チョン・ミュンフン、ソウル・フィル(ソウル市立交響楽団)音楽監督時代のマーラー9番です。
第一楽章
第一主題はスローに続く第二主題も柔らかさ重視で、反復から第三主題で山場を作ります。展開部もスロー穏やかメインに山場を築くコントラストが明確ですね。好きな流れですが無表情的で、再現部はもやっとしてしまいます。
第二楽章
主部主題はややテンポを上げてリズムよく、第一トリオも大きくは変えずスケルツォらしいです。第二主題は静でスローに落とします。
第三楽章
主部主題・副主題はいきなりのアップテンポ、中間部で静で薄く展開します。ラストも盛り上げますが、なぜか訴えて来ません。
第四楽章
主要主題は弦楽器で大きく奏でます。第一エピソードは薄く良い流れですが無表情、ラストがコーダの様なのはやり過ぎでは。第二エピソードも早々と前半からエンディングに意識を持って行っている感じです。
・・・・・
第一・第四楽章の静を強調したマーラー9です。ただ、この曲に欲しい情熱や思い入れとは無縁ですね。






聴いた印象を素直に少しづつアップしていきたいと思っています。数々のヴァリエーションからこの曲の全体像が感じられると嬉しいと思います。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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