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ルトスワフスキ(Witold Lutosławski) の 交響曲全集(THE SYMPHONIES), サロネン/ロス・フィルで聴くと楽風の変化を感じられますね


ヴィトルト・ルトスワフスキ
(Witold Lutosławski, 1913/1/25 - 1994/2/7)
ポーランドを代表する現代音楽家ですね。ポーランドの現代音楽黎明期に活躍した顔ぶれをポーランド楽派と称する事もありますが、グレツキやペンデレツキに比べると前衛性が高く個人的には好みになります。

楽風は新古典派から、無調前衛の影響を受けて十二音技法やチャンス・オペレーションに手を染めています。とはいえルトスワフスキ流にaggregates(十二音和音)やad lib.動律*(アドリブ, アレアトリー)、チェーン形式(アドリブと通常の繰り返し)の様に自己消化した手法です。実験音楽様相も取り入れますが、後に旋律を生かす様なスタイルに回帰していますね。

*スコアの小節線による各声部間のテンポの調和を廃して自由なアゴーギクの反復に委ねる。復帰タイミングは指揮者指示。


THE SYMPHONIES
Esa-Pekka Salonen / Los Angeles Philharmonic
ルトスワフスキが作った交響曲は以下の四曲です。
第一番(1941-1947年):新古典派、第二番(1966-67年):十二音和音無調、第三番(1972-1983年):偶然性・アドリブ、第四番(1993年):一部の伝統回帰、と言った様相です。(作曲年代はCDライナーノートを参照しています)

このエサ=ペッカ・サロネン指揮 ロス・フィルのアルバムでルトスワフスキの作風の変化も感じられると思います。ちなみにサロネンとルトスワフスキの関係は深く、交響曲第3番4番の世界初録音を行なっています。(本録音:第3番はグラモフォン賞受賞)






■ 交響曲 第一番, 1941-1947年 (28-34歳)
民族音楽的な新古典派の四楽章形式ですね。ハイテンポで広がりのある第一楽章、暗く鬱で濃厚な緩徐の第二楽章、キョロキョロと表情豊かな第三楽章、派手さが際立つ第四楽章です。
いずれもドン・シャン的な派手なリズムと強音パートが印象的です。ストラヴィンスキーの色合いも感じられてコンサートで取り上げられたら盛上がると思いますね。

この後、J.ケージの「ピアノとオーケストラのためのコンサート」(1958年)を聴いて作風を一変させる事になります。


■ 交響曲 第二番, 1966-67年 (53-54歳)
十二音和音ベース無調の二楽章形式です。一楽章は打楽器+管楽器で音はパンクチャリズム的点描で無調、木管のアレアトリーではメシアンの様な音色も感じられる反復が存在しますね。混沌無調(無拍)ではなく各声部間のコントロールは感じられます。音密度は減り、曲調としては美しさを感じます。
二楽章は弦楽器が入りグリッサンドやトリル・トレモロで弦の唸りがウワァ〜ンと共鳴します。クラスターも現れてまさに今の時代の空間音響系の様相です。楽章の対比も含めてとても面白いですね



■ 交響曲 第三番, 1972-1983年 (59-70歳)
偶然性とチェーン形式の単一楽章(実際には二楽章**でアタッカ)です。第二番の二つの楽章を混濁させた進化系の様相です。時折強烈な四連符パルス音が流れを堰き止めるのが楽章構成のポイントだそうです。ポリフォニカルに音が混ざりますが、基本旋律が存在して変奏の様な感じもしますね。そこにad lib.動律ある様です。とはいえ声部間に極端なズレや混沌は見られません。その辺りがルトスワフスキなのでしょうね。全体印象は躍動です。

**ルトスワフスキ本人解説による曲構成は細かく、第4番も同じく、実際に沿ってインプレするのは大変です。次回の第3番聴き比べでは詳細内容に沿ってインプレします。



■ 交響曲 第四番, 1993年 (80歳)
晩年の姿を見られる単独楽章作品(実際には二楽章でアタッカ)です。一変して鬱な新古典派回帰的な印象から入ります。ここでもad lib.動律とチェーンは使われている様で混奏ポリフォニーと新古典派的な流れが交錯しますね。演奏時間の短縮もあり、多様性がより研ぎ澄まされた流れを感じます。




前衛隆盛当時としては中途半端な印象だった気がしますが、今の時代の多様性主義現代音楽ではもっと再評価されても良いと思われるくらい面白さがありますね。

嬉しいのは第二番を中心としたルトスワフスキの楽風変化が楽しめる事です。このアルバムで現代音楽に馴染んでみるのもオススメですね




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ジャンル : 音楽

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後期ロマン派以降、現代音楽とマーラー交響曲(#5, #6, #9)を中心に楽しんでいます。


[2017年12月9日]
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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