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マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 50CDを聴き比べてみました [#3 / CD:41-50]

この夏は暑いので部屋でテンシュテットの4CDを中心に10CDほど聴いてみました。これで50CDになりますね。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.6 の聴き較べです (現在 #3回 50CDまで)
 #3: 10CD (本投稿)
 #2: 20CD
 #1: 16CD
 #0: 4CD バルビローリ聴き比べ


クラウス・テンシュテット, Klaus Tennstedt (4録音)
マーラー振りと言われた時に個人的にまず浮かぶ好きな一人ですね。亡くなって今年で20年とは本当に早いものです。1983年から1991年の8年間に四つの正規録音を残しています。手兵ロンドンフィル(LPO)と1983年のセッションとライヴ。その三年後1986年のニューヨーク・フィル客演ライヴと1991年LPOのライヴです。密度が高くライヴが多いので興味深いですね。


(#1)
London Philharmonic Orchestra
[EMI] 1983-4/28,29 5/4,9

(右は1983年のセッションと1991年のライヴを含めたマーラー全集16CD)

まずはLPO首席指揮者に就任した年のセッションです。
第一楽章
インテンポ(多分)で勇壮な第一主題からパッセージで鎮めてアルマの主題を華やかに奏でます。揺さぶりを適度に入れて快感ですね。展開部もキレのある第一楽章変奏を中心にして静を奏でるスローな挿入部、その後もコントラストが強い分、好みは分かれるでしょう。スローパートはもっそり感があるかもしれません。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は一楽章第一主題の写し的に入ります。トリオでスローながら弾む様に感じるのはスケルツォらしさを生かしたのでしょうね。ここでも強いコントラストです。
第三楽章
主要主題は予想通りスロー、副主題もスローをキープしますが哀愁も弱めです。表情が薄いスローで間延びした感じがしますね。中間部もややギクシャクですが山場は壮大です。
第四楽章
スロー陰影の強い序奏から第一主題で切れ上がり、パッセージで盛り上げると第二主題は爽快に駆け抜けます。展開部以降はスローで山場を引っ張るのでくどさがあるかもしれません。行進曲や騎行のスローは厳しいですね。
・・・・・
強調されたスロー多用が好みの分岐点となるマーラー6ですね。アゴーギクとディナーミクで、スローの静と勇猛、速い勇壮が強いコントラストを描きますが重心はスロー。個人的には少々スローやり過ぎの様な…




(#2)
London Philharmonic Orchestra
[LPO] 1983-8/22
セッションの約四ヶ月後のライヴですから興味は尽きませんね。LPOレーベルから後年(2009年)に発表されました。
第一楽章
セッションと似た提示部ですが揺さぶりは減り、速めになってスッキリとしたキレを感じます。展開部の挿入部の静も適度なスローになり、その後再現部にかけてもスローを抑えて速さに重心を移しシャープになりましたね。なんとセッションよりも1'30"以上速くなっていました。
第二楽章
スケルツォは速めの主要主題からトリオは控えめスローで優美になりましたね。コントラストはありますが、速め軸足で軽快です。
第三楽章
主要主題・副主題ともスローですが、副主題では哀愁が感じられる様になりました。感情が現れて聴きやすくはなりましたが、この楽章だけは強いスロー傾向のアンダンテです。
第四楽章
少しスローを抑え刺激的序奏、テンポアップして第一主題を快速に飛ばし第二主題で軽快さに広がりを見せます。展開部以降もスローの気になる揺さぶりはありますが、速さに軸足を移しているので聴きやすなりましたね。セッションより2'も速くなっていますw
・・・・・
セッションより軽快シャープなマーラー6になりました。速さに軸足を移して、落ち着かないスロー揺さぶりはあっても印象は正反対かもしれません。演奏時間は大きく短縮され、色々と試していたのかもしれませんね。




(#3)
New York Philharmonic
[MEMORIES] 1986-10/23
上記3年後、LPO音楽監督時代(1983-1987)のNYP客演Liveですね。NYPはズービン・メータが首席指揮者時代です。
第一楽章
勇壮な第一主題の少し速めのテンポに違和感はありません。第二主題も広がりのある優美さを見せて王道的提示部です。'83年ライヴに似た速めパターンですが重心が低い感じです。
第二楽章
スケルツォ主要主題も速めの中に落ち着きを見せる良い流れになりました。スローに落とすトリオは美しさです。このコントラストは良いですね。テンポ変化も自然です。
第三楽章
主要主題にも美しさが感じられる様になり、'83ライヴに似たスローな流れですがブラッシュアップされたアンダンテですね。
第四楽章
序奏から提示部、再現部以降、流れは'83ライヴに似ていますがNYPの音の華やかさと まとまりが一枚上手でワクワク感があります。
・・・・・
速め主体にスローの対比が落ち着いた流れのマーラー6です。基本は'83ライヴと同じですがNYPとの顔合せが吉と出たのかもしれません。
MEMORIESなので録音は大幅値引きして聴く必要がありますがw




(#4)

London Philharmonic Orchestra
[EMI] 1991-11/4,7

(右は1983年のセッションと1991年のライヴを含めたマーラー全集16CD)

NYPの5年後の手兵LPOとのライヴです。1987年に首席指揮者を退き癌との闘病中でしたね。(桂冠指揮者になっています)
第一楽章
提示部第一主題からの流れは揺さぶりも'83セッションに戻った感じですが、演奏も練れて心地よいですね。展開部からも'83セッションに戻ったスロー揺さぶりですが、締まりがあって"もっそり感"はありません。元々勇壮パートは良いので、これぞライヴならではの緊張感の賜物でしょうか。スローはより強調され演奏時間はセッションよりも1'くらい長くなっています。
第二楽章
スケルツォも流れは'83セッションに近いですが、切れ味の主要主題にスローで弾むトリオの対比に磨きがかかった様です。
第三楽章
一貫してスローを通したアンダンテですが、主要主題の美しさはこれが一番でしょう。副主題の哀しみや中間部の明るさとの対比も聴かせてくれ、スローが生きました。
第四楽章
スロー主体にコントラストの強い序奏、切れ味の第一主題からパッセージ、軽快な第二主題はいつもの通り。展開部以降でスローの揺さぶりを取り戻しますが、ここでは広がりを感じてスケールの大きな演奏になっています。突撃しない行進曲も同様です。コンサート会場なら素晴らしかったでしょうね。
・・・・・
スローを最大限生かして勇壮さと対比させた個性的マーラー6ですね。色々試して最後は'83セッション回帰のスローに戻っています。(演奏時間はさらに長くなっています)

テンシュテットが拘った姿がここに結実したのでしょう、今まで違和感の強かったスローが生きていますね。LPOの演奏も見事です。(最終楽章展開部の行進曲をスローに振ってくる演奏は超個性的で他に聴いた事がありません。テンシュテットは悲劇的の何を表現したかったのでしょう)




マリス・ヤンソンス, Mariss Jansons (2録音)
ムラヴィンスキーの助手を務めていたラトビア人指揮者、今や人気ベテラン指揮者の一人ですね。もう一枚オスロ・フィルとの正規録音(2009)があるのですが見た事がありません。


(#1)
London Symphony Orchestra
[LSO Live] 2002-11
LSO(ロンドン交響楽団)を振ったマーラー6。LPO(ロンドン・フィル)では首席客演指揮者を務めていましたが録音は残していませんね。
第一楽章
軽快な第一主題、アルマの主題もさっぱりとこなしています。展開部も勇壮さは弱めで平和的パート重視ですね。
第二楽章
アンダンテです。主要主題、副主題(第一トリオ)共に沈んだ気配でだるい感じが強いです。中間部も印象に残りません。
第三楽章
主要主題はさっぱりと流し、トリオも何気なくテンポダウンしてきます。気持ちが入っている感じが伝わりませんね。
第四楽章
序奏は少しモヤモヤ、それでも第一主題は何とか勇壮さを見せますが流れは今ひとつシャキッとしません。展開部以降もそんなバランスで、時折元気さいっぱいですが時すでに遅し。
・・・・・
淡白あっさりのマーラー6です。何か元気もなく魂の抜けた様な…
ハンマーの音色もこもって、録音も一因?




(#2)
Royal Concertgebouw Orchestra
[RCO Live] 2005-8/22,9/7,8
2004-2015年首席指揮者を務めたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を振ったマーラー6です。オリジナルレーベル「RCO Live」はヤンソンスが着任した年から始まりました。
第一楽章
第一主題は抑揚がありメリハリが付きました。アルマの主題でも情感を感じさせる様になっていますね。その後も流れはLSOと同じだと思いますが明確な表情付けになりました。
第二楽章
アンダンテです。LSOの沈没気配から一般的な情感になって中間部も山場も明瞭です。基本的に抑え気味なのは変わりません。
第三楽章
切れ味が良くなった主要主題、トリオでもトーン変化を効かせていますね。
第四楽章
序奏の陰影付けは弱めですが、提示部は第一主題とパッセージを心地良く第二主題の穏やかさに繋ぎます。展開部・再現部では広がりの良い響きを奏でますね。
・・・・・
程よい抑揚で表情の伝わる、安心して聴けるマーラー6です。クセを感じないのはアゴーギクよりもディナーミク主体での色付けだからでしょう。(ベースはLSOと同じで色付けだと思います)
演奏も録音もこちらが上ですが、うまくまとまり過ぎですかね。それがヤンソンス/RCO?!




マイケル・ティルソン・トーマス, Michael Tilson Thomas
San Francisco Symphony
[SFS] 2001-9/12-15
MTTが1995年から長く音楽監督を務めるサンフランシスコ交響楽団とのお馴染み自主制作盤マーラー6ですね。過去の来日でも良いマーラーを聴かせてくれました。
第一楽章
第一主題から第二主題は感情移入を抑えテンポをうまく効かせたクールさ、展開部も適度な抑揚でパッセージの表現は心地良いですね。
第二楽章
スケルツォです。ここでも適度な揺さぶりで主要主題とトリオを組合わせています。興奮や優美よりもクール。特にトリオでのテンポの変化はうまいですね。この辺りがMTTでしょう。
第三楽章
主要主題は全体の流れに合って美しさ、副主題はスローに哀愁を醸して中間部は明るさを見せてほっとさせてくれます。スロー基本に緩徐らしさを全面に打出していますね。
第四楽章
序奏は基本的スローで抑えています。提示部はコントロールの効いた第一主題からパッセージ、第二主題と繋ぎます。展開部もうまく抑揚を付けて心地良い広がりを感じます。再現部も普通は目立たない第一主題回帰前のスローがいいですね。
・・・・・
興奮や切れ味とは一味違う落ち着いたクールなマーラー6です。ディナーミクは抑えて落ち着いたアゴーギクの味付けが絶妙です。アンダンテが緩徐抑えめなら絶対ですね。
私はゲイではありませんがw好みのMTTです。




ダニエル・ハーディング, Daniel Harding
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[BR KLASSIK] 2014-3/20-22
第9・10番では素晴らしいCDを残したハーディングですが、何回も行っているコンサートでは未だに当たった事がなく相性の良くないマエストロ代表です。(笑)
バイエルン放送交響楽団(首席指揮者はヤンソンス)を振ったマーラー6ですね。
第一楽章
第一主題をやや速めに、モットーからアルマの主題は優美、コントラストをうまく付けています。展開部も速め基調で緩急よく見晴らしの良い流れですが、全体的には個性に欠けるのが残念な気がします。
第二楽章
アンダンテを持って来ましたね。主要主題から第一トリオはテンポにもクセのない優雅さで、中間部(第二トリオ)も同じ流れの延長上にあり、大きな流れです。
第三楽章
ここでもクセのない主要主題にトリオで重心の低い腰の座ったスケルツォです。
第四楽章
個性的な序奏も捻りよりどっかり重厚さ。提示部はややスローの堂々たる第一主題から経過句、自然なつながりの第二主題です。この曲のピーク展開部は出し入れの明確な大きな流れを見せてくれます。
・・・・・
重心の低い独オケ教科書的なマーラー6です。悪くないのですが何かワクワクするオリジナリティで楽しませて欲しい気がします。


実はFM放送録音に同年(2014年)の12/5にベルリンフィルを振ったマーラー6のLiveがあります。個性に乏しい教科書から王道へ。重心の低さを上回る地響きの様な重圧感と切れ味を示し、アンダンテでは哀愁を引き出す、表情の豊かさと強力なオケの一体感です。我儘軍団の好き嫌いは別にしてBPOサウンドでしょう。ハーディングも指揮していて楽しかったのではw
ふとカラヤン/BPOのシャンゼリゼ6番(非正規盤)を思い浮かべました。




朝比奈 隆, Takashi Asashina (2録音)
朝比奈さんといえばブルックナーでしょうが、創設者であり54年間手兵であった大阪フィルハーモニー交響楽団と2枚のLive録音を残していますね。いずれも大フィルレーベルから出ています。


(#1)

Osaka Philharmonic Orchestra
[大阪フィル] 1979-9/7

AsahinaMahler6.jpg
(ジャケット写真です)

大フィル東京定期演奏会、71歳の時のライヴですね。今ほどマーラーが演奏されなかった1970年代のLiveです。
第一楽章
第一主題は速めで落ち着きに欠けるきらいがあります。モットーは強音で切替てあっさりと、アルマの主題は速めながら優美です。展開部も基本は速く、ディナーミクともに挿入部で落とされるくらいです。とにかく速いです!
(実は演奏時間表記25'32"は大間違いで、実際は20'56"ほど。これは提示部再現有りでは世界最速のN.ヤルヴィに迫りますね。Kaplan Foundation表記も間違っています。)
第二楽章
スケルツォです。主要主題は標準的でくせがありません。トリオで穏やかさを見せて、後半はこのコントラストが明瞭になりますね。
第三楽章
アンダンテですが、主要主題は抑揚を抑えて副主題のobも流れは感情をあまり見せません。静かに流れますが演奏に今ひとつ落ち着きがありません。後半はここでも盛り上げてきます。(気になるのはテンポはそれほど速くないのに演奏時間が12'53"少しと短いです。ここでも表記12'08"は間違いですね)
第四楽章
序奏は出し入れは強めですが、もやっとした感じです。第一主題はリズムよく力感を見せ駆け抜け、第二主題で晴れ晴れとした表情に変えて良い気配です。残念なのはオケの技量が少し… ところがこの曲のメインの展開部になると荒れた中に情熱が溢れて炸裂します。見事に気持ちは伝わりました。
・・・・・
突進する第一楽章の速さと最終楽章の情熱という異色のマーラー6です。オケの力量も十分ではありませんし これを名盤とする事もないでしょうが、最終楽章は指揮者とオケが一体となった気持ちが伝わりグッと来ます。




(#2)
Osaka Philharmonic Orchestra
[大阪フィル] 1992-2/18
その13年後、大阪定期公演での演奏で84歳でのタクトです。
第一楽章
第一主題はバランスが向上しているのがわかります。モットーからアルマの主題でも落ち着いていますね。処々速いですがテンポもより一般化してその分特徴が薄まっている気もします。全体の演奏レベルが格段に上がってるのはわかります。
第二楽章
主要主題は速めで切れ味があり、トリオでは適度に穏やかになります。全体的には速いスケルツォになっていますね。
第三楽章
主要主題は美しさを増して副主題も哀愁を奏でます。演奏レベルも安定し、美しいアンダンテですが没個性といえなくもありません。中間部の揃いは今ひとつかも。
第四楽章
序奏は適度にコントラスト付けて第一主題はテンポアップ、第二主題でスッキリ感を出していますが提示部としてはキレがあまり良くありませんね。展開部もスローのアゴーギクがもっそり感を作り、パワーパートでも演奏の一体感にやや欠けて見晴らしがあまり良くありません。この楽章は少々残念です。
・・・・・
欠点も大きく減った代わりに'79年の様な個性・情熱も薄まったマーラー6ですね。演奏レベルの向上は明白ですが凡百に埋もれそうで、心に残るのは'79年盤になるでしょうか。
(録音に一部ノイズが入りますが、未発表音源なのでご愛嬌w)



まだまだコンドラシンなど変わったのもありますので、徐々にアップしたいと思います。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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