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クロノス・クァルテット(Kronos Quartet)の「Black Angels」を聴く


クロノス・クァルテット, Kronos Quartet
今更のクロノスですが、1973年デイヴィッド・ハリントン(David Harrington, #1vn)が創設した米現代音楽四重奏団ですね。チェロ以外は現在もオリジナル・メンバー(John Sherba, #2vn / Hank Dutt, va)です。このアルバムはオリジナル・メンバーなのでチェロは紅一点ジョーン・ジャンルノー(Joan Jeanrenaud)です。

米クロノスといえば殆どの方が欧アルディッティ、1974年創設のアルディッティ・クァルテット(Arditti Quartet)を思い浮かべるでしょう。同じ前衛現代音楽クァルテットですが、クロノスは古典からミニマル、ロック・ジャズ・民族音楽までとレパートリーは広いですね。アルディッティは欧前衛系を主体にしている点で異なりますが、これは米現代音楽シーンとの違いでしょう。
アルディッティQ.は昨年来日でも感じましたが、先鋭から円熟に舵を切っている様です。クロノスがどうなのか?、興味があるところですね。


Black Angels
本アルバムは興味深い点がいくつかありますね。一つはアイヴズの"They are there!"で、テープに残された本人の演奏との共演、もう一つはショスタコーヴィチ"Quartet No.8"という話題性の強い(興味のある方はググって下さい)の採用ですね。個人的には表題曲のクラム"Black Angels"が最大ポイントです。



Black Angels (1970年) / George Crumb
米現代音楽家ジョージ・クラム(1929/10/24 - )の代表作「ブラック・エンジェルズ1970-暗黒界からの13のイメージ」です。特殊奏法から引用まで、技法を駆使したベトナム戦争に触発された作品ですね。
エレクトリック弦楽の切れるような弦のトリル、ノイズ、そしてゴング、叫び(数字の13を各国語で。数字のカウントアップのつぶやきもあります。共に日本語あり)、等々。「電気昆虫の夜(Night of the electric insects)」といったパート・タイトルも含めて先鋭的表現は実に魅力的です。
大作ピアノ曲集「マクロコスモス」も早いところインプレしないといけませんねぇ。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  スコア付きでどうぞ。
  アンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble InterContemporain)の演奏もあります!!


Spem in alium / Thomas Tallis
16世紀の音楽家トマス・タリスの全40声部の作品で、クロノスのアレンジ版。一部パートを事前録音しておき演奏しています。技法的には面白いですがSacred Song(聖歌)ですね。

Doom. A Sigh (1989年) / Istvan Marta
ハンガリーの現代音楽家イシュトヴァン・マルタ(1952/6/14 - )の作品「運命、嘆息」です。
マルタがルーマニアの小村を訪れた際に録音した二人の女性の歌を元にしていますが、なんとも陰湿で不気味な流れです。その歌も入ります*1が不完全な録音と合わせてまるで泣き声の様、それに弦楽が哀しみの音色を薄く・失望を濃く合わせます。恐怖を覚えます
この後二人の女性は曲の元を追った独裁政権からの迫害に遭い、マルタは「二度と来ないで」と電報を受けたそうです。

They are there! (1917/1942) / Charles Ives
米現代音楽の父チャールズ・アイヴズ(1874/10/20 - 1954/5/19)がテープに残した演奏との共演です。アメリカンな陽気さで歌うアイヴズとピアノ。よく聴くとクラスターと不協和音が絡んでいます。ヒスノイズだらけの音に乗って時代背景も含めての演奏ですね。弦楽は薄いですがw

Quartet for Strings no 8 in C minor, Op. 110 (1960年) / Dmitri Shostakovich
ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の代表作ですね。時代背景と作曲の関係の話題性以外、曲に関しては特にコメントはありません…


個人的には次の二曲です。
一つはクラムの代表作「Black Angels」を聴くために所有しているアルバムで、その先鋭な曲を楽しみたいですね。もう一つはマルタの「Doom. A Sigh」で、この様な不気味で恐ろしい現代音楽は他に聴いたことがありません。
興味の尽きないアルバムです



*1 人が口ずさむ歌のテープをメインに曲を被せたパターンですとギャヴィン・ブライアーズ(Gavin Bryars)の名曲『イエスの血は決して私を見捨てたことはない, Jesus' Blood Never Failed Me Yet 』を思い浮かべます。よく似たパターンですが、こちらの方が先の1971年作、そして心に染みます。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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