フィリップ・マヌリ(Philippe Manoury) の「Fragments pour un portrait・Partira I」を聴く


フィリップ・マヌリ (Philippe Manoury, 1952/6/19 - )
好きな仏現代音楽家の一人マヌリはブーレーズ、シュトックハウゼン、クセナキスと言ったダルムシュタットのポスト・セリエルのエクスペリメンタリズムからスタートして初期1972–76年頃はセリエルの点描的音楽(Punctualism)でした。1980年代に入ってからは主流となる電子音楽に向かいIRCAMをベースにライヴエレクトロニクスでは米数学者Miller PucketteのソフトMax/MSP(ver.4, ver.5以降は映像用Jitterも取込み現製品名はMAX)を使っています。
その後は機能和声を同期させる様な多様性も見せる様になりましたね。

作風の基本は対比(shallow and deep, melodic and dissonant, placating and strident, stasis and progress, simplicity and complexity)と流れ(run-up—stop—tighten—burst—relax)と言われますが、印象は強音ポリフォニーでもあります。
ちなみに来年のコンポージアム2019(武満徹作曲賞選考員含む)はフィリップ・マヌリなのでとても楽しみです。


自画像のための断章 / パルティータ I
構成パートが多いアンサンブルと電子音響の作品になります。演奏はスザンナ・マルッキ (Susanna Mälkki)指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble InterContemporain, 現首席指揮者はピンチャー Matthias Pintscher)、にIRCAM。説明無用の仏現代音楽ユニットです。



Fragments pour un portrait, 7 Pieces for ensemble of 30 instruments (1998年)
 1. Chemins - 2. Choral - 3. Vagues paradoxales - 4. Nuit (avec turbulences) - 5. Ombres - 6. Bagatelle - 7. Totem
室内楽のポリフォニーで即興的なのですがありげなカオスではなく、その中に協調と空間音響の響きがあります。全体的に音密度は濃く、静より刺激とクラスター風の音楽です。音にキラメキを感じさせるのはメシアン→ブーレーズから流れる仏現代音楽ならではの気がしますね。やっぱり素晴らしいですね。スコアからは細かな昇音階・降音階が各所に見られますが、ト音記号・ヘ音記号・ハ音記号で各声部が構成されて譜面上での前衛性はありません。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  指揮はDavid Robertsonになります。アンサンブル三方配置が現代音楽らしいですね。
  CDよりrec.レベルがやたらと低く音が沈んでしまっているのが残念です。


Partita I for viola and live electronics (2006年)
 I - II - III - IV - V - VI - VII - VIII - IX
ヴィオラとライヴエレクトロニクス曲で、vaはクリストフ・デジャルダン(Christophe Desjardins)、電子音響はマキシム・ル・ソー*(Maxime Le Saux)が担当しています。
vaの音色が脳に蔓延する様なコンプレックスさ。もちろんライヴエレクトロニクスで合成されてvaポリフォニーになっていますが、それがMax/MSPでループやテープ(事前録音)他の何をどう駆使しているのかは不明です。(スコアには山型昇降音階音符の他に弦楽の秒数指定付きの波形が入っていますね)
無調ですが旋律が存在して互いに不協和音交錯にならないのはこの時代のマヌリらしい調性との融合でしょう。刺激的な音空間が味わえます。ボリュームを上げられない時はヘッドホンが良いかもしれませんね。


本流の欧エクスペリメンタリズム現代音楽でしょう。強音主体のポリフォニー即興風なのに煌めきと刺激のある(電子)空間音響系で個性的です。おすすめの一枚です。



*ル・ソーは本年8月の現代音楽の恒例祭「サントリーホール サマーフェスティバル 2018」にP.マヌリの「Le temps, mode d’emploi, 時間、使用法」日本初演で来日します。フェスティバルではJ.ヴィトマンのフィーチャーや、第28回芥川作曲賞選考演奏会では岸野末利加さんの参加もあり連日通う予定です。^^v



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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