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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 135CD聴き比べです [#5 : 21CD]


"マーラー 交響曲 第9番" の聴き比べ、第5回は好きなノット盤や発売されたばかりのハーディング盤からコンドラシンの本邦初演LIVE 等、21CDのインプレです。

Mahler Symphony No.9
 #5:21CD
ノット[★☆], ハーディング[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン[☆], アルブレヒト[x2 ☆], マズア

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


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マーラー9 投稿記事 | 指揮者 一覧

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ジョナサン・ノット, Jonathan Nott

★☆
Bamberger Symphoniker
[Tudor] 2008-9/15-19

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 amazon CD   amazon CD 

(ノットのマーラーは全集で買って後悔しませんね)

現東京交響楽団の音楽監督を務めるノットが16年間首席指揮者だったバンベルク響とのチクルスからです。


【第一楽章】
優美で奥に哀愁を感じさせる静スローの第一主題、第二主題は不安感から緊迫感へ流れ込むコントラスト付けがしっかりと。提示部反復からの第三主題は派手で華やかに鳴らします。展開部序奏はかなり鎮めた暗鬱さ、ワルツ引用も緩やかな明るさに留め、その後繰り返されるピークを強烈に鳴らします。後半の葬送は緊張感を漂わせ、再現部は大きな波の'うねり'のごとく。
この楽章本来のアンダンテ"静"とピーク"烈"のコントラストを磨いた流れになっています。

【第二楽章】
主部主題第二動機の付点リズムは程々にレントラーな流れをキープして進み、第一トリオは力感をましてリズムを刻んで、心地良いメリハリを付けています。第二トリオはトーンを落として鎮め、主部回帰のピークは力感溢れる鳴りで駆け抜けます。
レントラーらしさを生かした第二楽章です。

【第三楽章】
主部主題は切れ味を見せてやや狂乱的にテンポアップ、第一トリオでトーンダウンしますがテンポはキープされシャープな流れです。回帰する度に激しさが増してパワープレイに、そこに第二トリオがターン音型で落ち着きを入れますがテンポは速めで殊更に鎮める事はしません。普通は最終楽章をイメージするのですが、速くピークは大きくです。ラストは怒涛で強烈に "più stretto" します。
狂乱的な流れを見せる第三楽章でマーラーの指示を表現しています。

【第四楽章】
主部主題は少し強めの入りから緩やかな哀愁をスローに奏で気持ちが入り、fg動機からは一層の濃さを見せます。一転して第一エピソードは入りの低弦から静に鎮めて終盤を予測させます。このコントラストが見事です。哀しみ溢れるピークの後のターン音型パートも同様に静に鎮めます。
第二エピソードも同じ流れを作っていますが、ピークは鳴らしきります。後半からコーダは一層静スローを強めて行き "ersterbend" します。
コントラストある構成感の最終楽章に仕上がりました。


コントラストを生かした高完成度のマーラー9です。全楽章に取り込まれた "静はスローを大きく、烈はファストを強く" は通常よりもはっきりと付けています。

常に緊張感を持たせて緩みは無く、中間楽章 特に第三楽章の素晴らしさが光ります。ノットの描く見事な楽章構成で個人的ベスト5の一枚です!


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ダニエル・ハーディング, Daniel Harding (2録音)

(#1)

Swedish Radio Symphony Orchestra
[harmonia mundi] 2016-9/8-10

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ハーディングが2007年から音楽監督を務めるスウェーデン放送交響楽団との録音です。


【第一楽章】
緩やかな序奏から第一主題は僅かに弦楽を揺らし感情を込め、第二主題は神経質な流れを作り、広がりの反復から第三主題は華やかに鳴らします。展開部前半は"暗-明-烈"を表情を付けて聴かせて、中盤の回帰主題群はアゴーギクのコントラストで緊張感を作り、後半の葬送は彩を感じさせる上手さで見事です。
表情豊かでコントラストのある素晴らしい第一楽章です。アゴーギク/ディナーミクのバランスが生かされています。

【第二楽章】
主部主題は二つの動機の揺さぶりで絡みを作り表情が華やか、第一トリオはテンポを上げて弾ける様に心地良く、第二トリオは緩やかなレントラーです。回帰の主題ではテンポアップで荒々しさを表現してマーラーの指示通りでしょう。
レントラーらしさ満点の第二楽章です。

【第三楽章】
主部主題は落ち着いた入りからテンションを上げて刺激的流れに、第一トリオでは軽妙感を演出して表情変化を与えます。速めな流れはキープされて主部回帰では力感を増し、第二トリオではターン音型の流れをエモーショナルに奏でて最終楽章を予感させます。もちろんピークは激しくラストは猛烈に 'più stretto' です。
全体構成も見事ながら第二トリオからフィニッシュまでの素晴らしさが際立ちます。

【第四楽章】
主部主題は色濃く入りスローでエモーショナルさの強い弦楽奏で、fg動機からは神経質さも見せて来ます。第一エピソードは鎮めた低弦で静に厳かに、澄んだ流れで続けて徐々に上げて感激的な流れを作ります。
第二エピソードも構成は似て管楽器になった入りからピークに向かい、ピークは一層の音厚となって溢れる感情で響き渡ります。後半からはターン音型を浮遊感で鎮めてコーダへと、スローを強めて生に別れを告げます。


隅々まで表情を与えた見事なマーラー9です。それぞれの主題・動機に明確な流れを作り、隙の無い構成感で聴かせます。クセや変則性も皆無です。

適度なテンションが常に流れをコントロール。指揮者とオケの一体感が作る素晴らしさです。


本アルバムは2016年9月8-10日のセッションですが、翌2017年7月24日のヴェルビエ祝祭管弦楽団(Verbier Festival Orchestra)とのLiveを聴く事ができます。
Mahler “Symphony No. 9” (Daniel Harding • Verbier Festival Orchestra, 24 Jul 2017)
実はヴェルビエ祝祭管はユース・オケです。高望みは無理と言う事も考慮は必要でしょう。

【後日記】2024年2月にこの録音が配信のみでリリースされました。(上記URLは無効になります)





  【後日追記】

(#2)
Verbier Festival Orchestra
[Verbier Festival Gold] 2017-7/24

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上記2017年7月24日のヴェルビエ音楽祭(スイス)でのマーラー9です。フリーで配信されていたものが配信専用でリリースされたのではないかと思われます。


【第一楽章】
第一主題は弦楽に緩い揺さぶりを入れ、第二主題は約束通りに暗転させ、第三主題もしっかりと鳴らします。教科書的提示部です。展開部前半の"暗-明-烈"のコントラストはピークの激しさを強く、その後のピークも激しさを見せて来ます。個性は薄めですが強音パートを利かせる第一楽章です。

【第二楽章】
主部主題は不点音符の刻みを強く表現、鳴りの太い流れキープして第一トリオも弾ける様なリズムで、第二トリオもシンプルですが太いです。主題回帰のピークでは揺さぶりを入れてから慌ただしく。
落ち着きが無く全体的に太いレントラー楽章になりました。

【第三楽章】
主部主題は多声的流れでテンポを上げて力感程々に、第一トリオは肩の力を抜いて、第二トリオも変化率は低めです。ターン音型も太くて最終楽章をイメージさせてくれません。ラストはテンポを上げて激しくストレット、このパターンが得意の様です。
一本調子で駆け抜ける第三楽章です。ラストは上手くまとまりました。

【第四楽章】
主部主題は太く濃い弦楽奏、あまり聴かない暑苦しさです。第一エピソードも低弦を響せて低重心で流れはやはり太く、哀愁感は行方不明。第二エピソードも繊細さは低く淡々と進みピークは気持ち良く鳴らし上げます。一回目のピークで終わりにしたら楽曲成立した感じですw
コーダにかけてのターン音型も鳴りがあって未練たらたら、これでは "ersterbend" できません。


太い鳴り一気通貫の珍しいマーラー9です。アゴーギクとディナーミクを生かして機微を聴かせるなんて面倒な事はしません。

緩徐性の低いマーラー9もあるのかもしれませんが、それを成立させるのは難しいでしょうねェ。
ヴェルビエ祝祭管はユース・オケでした。それを考慮すると妥当にまとめるよりもこっち方向を選んだ?!


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ミヒャエル・ギーレン, Michael Gielen (2録音)

個人的には現代音楽の擁護者といった指揮スタイルも含めて興味の尽きないギーレンですが、マーラー9番は首席指揮者を務めた現南西ドイツ放送交響楽団(SWR Sinfonieorchester)との録音が2枚正規盤として残されています。



(#1)

SWF-Sinfonieorchester Baden-Baden
[Intercord] 1990-Apr. Aug.

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バーデン=バーデン南西ドイツ放送交響楽団の首席指揮者時代のマーラー9です。


【第一楽章】
第一主題から第三主題までをディナーミク強く情感を高めた提示部。展開部も静のスローを鬱と哀に、強音パートをスピード感と切れ味にコントラストを付けて素晴らしいです。処々で細かな癖があるのもギーレンらしい?!

【第二楽章】
主部主題はなんともスロー、第一トリオは程よいテンポに戻して心地よく鋭いレントラー、そこから穏やかに第二トリオへ入ります。スローの主題が特徴的ですね。

【第三楽章】
主部主題と副主題は刺激的にやや刺々しく絡んで流れ、中間部でテンポを大きく落としてコントラストをつけています。

【第四楽章】
主部主題はナチュラルに弦楽の美しさを湛えて、第一エピソードは細い静音から情感を込めつつも速めの流れで展開しラストでスローに持ってきます。第二エピソードも速めで入りスロー静音に落としてコーダへ向かう流れの上手さです。


表現的揺さぶりとメリハリのマーラー9です。静音パートは大きくスローにハイテンポを交えて、そこに一癖入れるので好みは分かれるかもしれません。

でもギーレンらしい好きな演奏です。






(#2)
SWR-Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
[Hanssler Classics] 2003-6/27-7/4

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1996年にバーデン=バーデンからフライブルク・コンツェルトハウスへ本拠地を移しバーデン=バーデン・フライブルク南西ドイツ放送交響楽団に名称変更。ギーレンは1996年まで首席指揮者を努めていました。(その後2016年にシュトゥットガルト放送交響楽団と統合されて現在に至っています)


【第一楽章】
第一第二主題を緩やか厚めに、第三主題で大きく波を立てます。展開部はコントラストを強く付けて重厚です。クセは減って堂々の風貌になりました。

【第二楽章】
主部主題はやっぱりスロー、第一トリオもややスロー気味ですがレントラー感はあります。第二トリオでスローに落とし後半をアップテンポで切れ味を見せますが全体としてスロー感が強くなっています。

【第三楽章】
主要主題と副主題はややスローになり絡みも刺激は減りました。テンポアップ後の中間部で再びスローにします。基本はスローですね。

【第四楽章】
主要主題は微妙なアゴーギクを振った美しさになっていて、第一エピソードは細い静音から速めに流れて情感を戻すのは同じです。第二エピソードも速めに入ってスロー化させる流れは変わりません。ディナーミクを抑えた事で厚みを感じます。


クセはあるものの堂々としたマーラー9です。極端な静音ディナーミクを減らし重厚さが出ましたね。とはいえスロー中心のアゴーギクは個性的です。

ならば昔のクセ者の流れに心惹かれるものを感じてしまいますが。(汗)


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小澤征爾, Seiji Ozawa (2録音)


(#1)
Boston SO
[Philips] 1989-10

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言わずと知れたボストン響の音楽監督時代のマーラー9番です。


【第一楽章】
第一主題と第二主題を抑えて冷静な流れから展開部へ入ります。展開部もクールで静的パートと激情パートのコントラストがコントロールされています。再現部も"計算尽く"の流れを感じます。

【第二楽章】
主部主題はややスロー穏やかに絡んで第一トリオでシャキッと気配を変え心地よいスケルツォになります。第二トリオは緩やか穏やかです。後半の山場も暴れる事なく全体として穏やかさのスケルツォですね。

【第三楽章】
主題と副主題は心地よい勇壮感と軽快感で絡んで進み、中間部では穏やか伸びやかで山場へ繋ぎます。ラストもマーラーの指示通りに荒々しく、見晴らしの良い楽章です

【第四楽章】
序奏・主題の美しい広がりは第三楽章からの対比が心地よいですね。第一エピソードは暗い静音パートと弦楽緩徐パートの広がりが美しです。第二エピソードもうまくアゴーギク・ディナーミクを振って哀愁ある美しさが際立ちます。この流れからのラストの静的美しさはフィットしています。


全て小澤さんコントロール下、ライヴとしてはマイルドでまとまりすぎの感が気になるマーラー9です。

ただ、第三楽章から最終楽章は素晴らしく全体この流れだったら絶対☆ですね。






(#2)
Saito Kinen Orchestra
[Sony] 2001-1/2-4

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BSOとの12年後、これまた言わずもがなの創設者であり総監督を務めるサイトウキネン・オーケストラを振った演奏です。


【第一楽章】
タメの効いた第一主題と揺らぎを持った第二主題、金管の半音下降からの反復と第三主題の緊張感が素晴らしいです。展開部・再現部共に緊張感とオケの漲るパワーを感じられます。ただこの楽章としては厳つい気配が強すぎの気がします。

【第二楽章】
主部主題は穏やかな流れ、第一トリオでピシッとするのはBSOと同じです。その後も良く似ていますが演奏の切れ味はこちらが上です。

【第三楽章】
主題と副主題は切れ味よく絡み、伸びやかな中間部以降ですが前半がややフラットに感じます。ラストのパワーは見事です。

【第四楽章】
序奏・第一主題は重厚感、第一エピソードも重さが際立ちます。第二エピソード緩徐パートはそっけない感じです。ラストに向けても線の細さより朗々と鳴る気配です。


この曲に欲しい哀しみや美しさが弱いマーラー9です。通して重厚、緩徐パートも厚い音色だからかもしれません。

演奏が素晴らしいのでコンサートで聴いたら賞賛してしまうかもしれません。(汗)


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ジュゼッペ・シノーポリ, Giuseppe Sinopoli (2録音)

シノーポリと言えば学研肌でスローという印象でしょうか。それと指揮中に倒れて亡くなった事。個性的ですが音楽的な好印象が残っていません。



(#1)
Philharmonia Orchestra
[DG] 1993-12

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シノーポリが首席指揮者を努めていたフィルハーモニア管を振ったマーラー9です。


【第一楽章】
緩やかで甘美な第一主題、第二主題で曇らせますがテンポはキープされます。そこから揺らぎを入れて反復、第三主題から派手に盛上げます。展開部も"静音=スロー強調"の定義?で、強音パートとの明確なコントラストを作ります。

【第二楽章】
主部主題と第一トリオは適度なテンポ設定、第二トリオでも特異性はなくレントラーらしさはあるものの印象は薄めです。長い…

【第三楽章】
マーラーの言う"きわめて反抗的に"とまでは行かないかもしれませんが、前楽章より切れ味はあります。

【第四楽章】
主部主題は暖色系のややスローで哀愁ではないでしょう。第一エピソードは静音パートも含め速めになります。第一楽章での流れの設定とは全く異なります。ラストのvaの動機(F♯,G,A,G)だけ音が大きめなのもとても不自然さを感じます


第一楽章のスローと強音パートの印象は第四楽章で崩されたり、統一感に欠けるマーラー9です。






(#2)

Staatskapelle Dresden
[PROFIL] 1997-4/6

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上記4年後、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者として振ったマーラー9です。スロー化が全楽章で進み、82分から93分を超える演奏になっています。特に第一楽章は世界最遅演奏(32'57")です。


【第一楽章】
第一・第二主題はさらに遅くなり気配も薄くなっています。強音もスロー化して反復、第三主題も大スロー化。何でもかんでもスローになってます。スロー再生で聴いているみたいです。世界最遅の第一楽章ですからね。

【第二楽章】
一部パートを極端にスロー化しり変な揺さぶり構成になっています。ディナーミクの弱側がスッと消えたり、流れを遮る様な奇妙なアゴーギクを振ったり。立派なクセ物楽章になりました。

【第三楽章】
ありきたり印象の主部主題と副主題はやや速めに…あれっ普通??…ところが中間部で一転大スロー化!! ここからはディナーミクも加わってクセ物と化します

【第四楽章】
主部主題はスローが増して甘美ですが、乗っけから揺さぶってきます。第一エピソードは速め繊細…ですが、弦楽の山場からは昂ぶりを否定する様なスローと煽りが入ります。第二エピソードは平穏な流れで1回目の山場を迎えますが、ターン音型からスローになり2回目の山場は抑え目の大スローです。その後は超静音スローでコンサートなら素晴らしいでしょう。


スローで揺さぶりのクセ物マーラー9です。特に第一楽章のフラットスローは密度が希薄になって窒息しそうですw その後はアクの強い?流れがたっぷりと味わえますね。なんとラストは美しいです。

クセ物マニアの貴方に絶対おすすめです!!


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クルト・ザンデルリング, Kurt Sanderling (4録音)

日本でもお馴染みの父ザンデルリング。マーラーの9番は4枚も正規録音を残しています。(もう一枚フィルハーモニア管との非正規盤がありますが…)



(#1)
Berliner Sinfonie-Orchester
[Deutsche Schallplatten] 1979-2/28,3/2,8

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鍛え上げた手兵 ベルリン交響楽団*(東独)の芸術監督/首席指揮者を1977年に退いた2年後の録音です。
* 現: ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団


【第一楽章】
スローな序奏と第一主題、第二主題から反復で大きな波を奏でます。第三主題の激しさから暗転して展開部に入りますが少しモヤモヤした感じですね、山場はパワフルですが。再現部は落ち着いた流れで悪くありません。

【第二楽章】
主部主題と第一トリオは硬派なレントラーとスケルツォで、第二トリオはやや緩めて流れる様なスケルツォ、後半は情感を上げますが真面目過ぎかもしれません。

【第三楽章】
主部主題と副主題の絡みは教科書的で変化に乏しく、中間部やラストでも変化量が不足気味の第三楽章です。

【第四楽章】
序奏・第一主題は厚めの音で入ります。第一エピソードは細く入って厚くなりますが没個性的です。第二エピソードも生真面目で、流れにアゴーギク・ディナーミク等の個性が感じられません


破綻の無い落ち着いて計算された真面目なマーラー9です。

でも、何か大切な一味が足りません。そこが問題なのですが。






(#2)
BBC Philharmonic
[BBC Legends] 1982-7

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ベルリン響の3年後、BBCフィルハーモニックを振ったマーラー9です。


【第一楽章】
スローな出だしは変わりません。第三主題から展開部も同様ですが、自然体の流れと程良いコントラストがありますね。

【第二楽章】
ここでも主部主題から第二トリオまでは穏やかさのレントラーとスケルツォになっています。全体としてやや緩さが強くダレますが。

【第三楽章】
主部主題と副主題の絡みはフラット、中間部も変化が薄いです。ラストはもっと強烈さが欲しい処です。

【第四楽章】
序奏・第一主題は緩徐色を強めています。第一エピソードも第二エピソードもその流れで緩徐的です。ただ単調で感情移入は薄くフラットさが拭えません


特徴が薄く緩いマーラー9です。特に第二第三楽章にマーラーの指示する「粗野」や「反抗的」が欠ける感じです。






(#3)
NDR Symphonieorchester Hamburg
[Profil] 1987-11/7

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BBC-Pとの5年後、北ドイツ放送交響楽団(現:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)との演奏です。非正規盤から昨年正規盤となって話題になりました。


【第一楽章】
序奏から第一主題は適度にスローですが第二主題と反復も含めて緊張感があります。第三主題も緊迫感がいいですね。展開部、再現部共に適度な揺さぶりと荒れが締まりのある演奏にしています。

【第二楽章】
主部主題はカッチリ、そこから流れを作り第一トリオは表情変化させて明確なリズムを刻みます。スローダウンの第二トリオも全体の流れを生き生きさせています。後半は荒れ気味に。

【第三楽章】
主部主部と副主題は落ち着いた絡みから軽妙さを見せ、中間部で約束通り牧歌調にチェンジしますが、ラストはコントロールが効き過ぎかもしれません。

【第四楽章】
第一主題は大きく優美さを見せます。そして第一エピソードも重心の低い豊かな表情を見せてくれます。第二エピソードも哀愁漂う表情を見せながら山場を作り、『亡き子をしのぶ歌』引用の浮遊感から消え入ります。


安心して聴ける王道的マーラー9です。適度な揺さぶりと興奮もあって、初めて聴くのにも良いかもしれません。

指揮者よりもドイツオケの個性の気がします。この演奏だけ色合いが違うのが明白ですから。(オケの個性を尊重したタクトの場合はそうなるのは多々あります)






(#4)
Philharmonia Orchestra
[ERATO] 1992-1/24,25

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NDR響の5年後、名誉指揮者を務めたフィルハーモニア管弦楽団を振った演奏です。


【第一楽章】
出だしは再びスローに戻って、第二主題への流れは変化が薄く反復もモッソリ。第三主題も見晴らしがよくありません。展開部・再現部もスローモヤモヤです。

【第二楽章】
主部主題のtbが奇妙なヴィブラートですが、流れはレントラーが生きています。第一トリオはスロー、例によって落ち着かない変化です。第二トリオもスローの揺さぶりでモヤモヤ感が拭えません

【第三楽章】
主部主題と副主題はリズミカルですが変化に乏しく退屈、でも中間部では表情を一転させます。ラストは約束通りに少し乱舞して見せます。

【第四楽章】
入りは美しい緩徐です。第一エピソードは抑揚が抑えられてフラット、第二エピソードもその延長で、通して長く感じてしまいます。


82年BBC-Pの延長線上にある、もどかしさ満点のマーラー9番です。モッソリ・モヤモヤ、体調不良かもw

結局ザンデルリングは個人的好みには合致せず、その個性を封殺されたNDR主導の演奏(#3)が唯一という事に思えてしまいます。


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キリル・コンドラシン, Kirill Kondrashin (2録音)


(#1)
Moscow Philharmonic Orchestra
[Meloydia] 1964-5

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コンドラシンが15年間首席指揮者を務めた手兵モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団を振った古い演奏です。


【第一楽章】
美しく軽い第一主題、第二主題も重さは控え目に、反復でも重厚さより明るさを感じます。展開部も軽めながらスピード感と切れ味の山場で、再現部も速め軽量です。胃もたれしない流れですね。

【第二楽章】
主部主題は落ち着きから優美に、第一トリオはややもったいぶっていますが良いスケルツォ感です。第二トリオも大きく変化はさせずに穏やかです。

【第三楽章】
主部主題・副主題共に速め軽やかで中間部も速く変化量は少なめです。12'を切って流れは速いです。

【第四楽章】
序奏・主題は透明感ある美しさで、第一エピソードは哀愁を感じる流れからhrが主題を美しく奏でていい緩徐パートです。第二エピソードも哀しみを感じる美しさから山場を作り、この流れはラストの消え入るターン音型にベストマッチでこの楽章として好みです。透明な美しい哀しみの音色は、静かな"ersterbend 死"のイメージに近い印象なのかもしれません。


やや速めライトウェイトの肩のこらないマーラー9です。最終楽章の静的な美しさは好みです。

とは言えコンドラシンにしては淡白でしょうか。






(#2)
Moscow Philharmonic Orchestra
[ALTUS] 1967-4/16

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(5CDsetの"来日公演集成1967"です。下がマーラー9のみですが見当たりません)
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1967年東京文化会館でのマーラー9番日本初演の記念すべき録音です。マーラー人気が近年の事であるのが今更ながら再認識されますね。


【第一楽章】
美しい緩やかさの第一主題から興奮を避けた第二主題、それを大きく構えた反復と第三主題の提示部です。展開部も落ち着きはらい緩やか優美からアレグロ・リゾルートで興奮の山場を作りコントラストの良い流れ。彫りが深く、美しさと暗い重さのバランス良い楽章です。

【第二楽章】
主部主題は優美です表情豊かです。第一トリオは派手め第二トリオを優美にと、濃厚なスケルツォ楽章です。

【第三楽章】
主部主題・副主題は切れ味と軽快さのバランスよく流れて中間部は速めです。緩やかな揺さぶりを感じます。

【第四楽章】
揺さぶりを感じる主題、第一エピソードは繊細な音色からマーラーらしい弦楽の美しい山場を作ります。第二エピソードも静音パートは素晴らくコーダへの静的流れはいいのですが、せっかくの山場も静的でクールです。


コンドラシンらしい陰影付けの明快なマーラー9です。山場強音パートに激情さや狂気があれば素晴らしかったでしょう。

1964年の(#1)よりもこちらの方が好きですね。


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ディミトリス・ミトロプーロス, Dimitris Mitropoulos (2録音)

B.ワルターの跡を継ぎニューヨーク・フィルの音楽監督(1949-1958)を務めたミトロプーロスはL.バーンスタインにバトンを渡したわけですが、米国にマーラーを広げた功績も大きいですね。
第9番は1960年にNYPとVPOの両オケを振った録音が残されていますが、その違いも驚きです。
今回紹介は両方ともCDセットでmonoになります。(両者所有CDですが他マイナーレーベルからも数多く出ています)



(#1)
New York Philharmonic
[Music&Arts] 1960-1/23

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 amazon CD 

バーンスタインが引き継いだ1958年、名称をニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団からニューヨーク・フィルハーモニックに改名した元手兵を1960年に振ったマーラー9です。


【第一楽章】
第一主題は適度な揺らぎ、第二主題も大きくは表情を変えませんが第三主題前後からは大きく盛りたてます。展開部は静音パートでうまく間を使いながらNYPらしいパワフルさを活かしています。

【第二楽章】
主部主題は速く、テンポを下げた第一トリオでは切れ味を見せます。第二トリオはやや速めな優美さです。

【第三楽章】
主部主題は切れ味とリズミカルを合わせながらの重量級、副主題は軽やかに絡みます。中間部ではシンプルな美しさ、スローに落としてラストは見事なパワープレイです。

【第四楽章】
主部主題は緩やかに美しく入り、第一エピソードでは美しい哀しみの流れから情感を盛上げます。第二エピソードはスローで哀しみのターン音型を最大限生かします。山場を大きく、『亡き子をしのぶ歌』引用からコーダは美しく消え入ります。


パワーのマーラー9ですです。速め主体の流れで一昔前のスタイルですが、第四楽章の素晴らしさで1960年のNYPの実力が味わえます。






(#2)
Vienna Philharmonic Orchestra
[Memories] 1960-10/2

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上記同年10月に親交の厚かったウィーンフィルを振ったマーラー9番で、逝去(1960-11/2)一ヶ月前の演奏です。


【第一楽章】
スローになった第一主題から第二主題へは表情を変えずに、反復後の第三主題で盛上げます。展開部は静音スローを鬱的に表し、対比よく切れ味と迫力を見せます。今風の流れになっています。

【第二楽章】
主部主題は一気にスロー化(標準的に)されました。歯切れよく流れ第一トリオでも遅めでシャープ、第二トリオは緩やか穏やかです。その後は緩急交えた流れです。

【第三楽章】
主部主題はここでも重量級、副主題はスローでモッソリになっています。中間部は美しさを演出して、ラストは派手ですが落ち着いています。

【第四楽章】
主部主題は変わらず美しい流れですが、第一エピソードは速めになり静的哀しみの表情が薄くなっている感じですね。第二エピソードも速めになって、この楽章の逆変化が不思議です。山場を大きく情感を付けるのは同じですが。


NYP(#1)から大きく変わって教科書的なマーラー9になってしまいましたいます。演奏時間は80分と6分ほど長くなってスローを生かした演奏ですが、これで標準的な時間でしょう。

同年の録音ですから、オケの違い(NYPとVPO)が明白と言う事でしょう。指揮者はオケの個性を尊重したタクトもよく振ります。


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エサ=ペッカ・サロネン, Esa-Pekka Salonen


Philharmonia Orchestra
[signum] 2009-3/22

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指揮者の顔がありますが元は現代音楽家で、M.リンドベルイやサーリアホと実験音楽合奏団Toimiiを組んでいたりしました。1983年にMTTの代役として急遽フィルハーモニア管弦楽団を指揮。2008年から同楽団の首席指揮者を努めていて、来日公演でも素晴らしいマーラーを聴かせてくれました。


【第一楽章】
第一主題は緩やか緩やかに、第二主題へも適度な刺激、大きく広げて反復から第三主題を見事に盛上げています。展開部前半"暗→明→烈"のコントラストは'烈'強調、続く第二主題主導の中盤はアゴーギクで適度な重厚さに、後半の'葬送の列'は明瞭で陰はありません。アゴーギクと速めのテンポで明快な流れを作りました。

【第二楽章】
主部主題はスローに歯切れよくリズムを刻み、第一トリオはテンポアップしてここでも良いリズムが印象的です。第二トリオでは穏やかなスローに転じて展開がスッキリとしています。その後もテンポ変化とリズム感が魅力的な爽快レントラーです。

【第三楽章】
主部主題と副主題は速めで気持ち良くリズムを刻み華やかに、中間部でもやや速めに流れを作り、ターン音型も哀愁は入れますが最終楽章の予告編にはしません。ラストは一気にパワー&ストレットで派手に盛上げて終わります。アゴーギクとディナーミクを生かす見事なバランス感、お見事!!

【第四楽章】
序奏から主部主題は優しさと哀しみの情感を強めます。緩やかなアゴーギクも効果的ですね。第一エピソードでは静に鬱な哀しみを載せますが、木管と弦パートで速めに推移し山場へ向かいます。重心は低めキープで気持ちが入り、アゴーギクでこのパートらしさが光ります。興味深い流れで見事です。第二エピソードでも速めのテンポで入りますが哀愁感はキープ、山場へしっかり繋いで感情を溢れさせてきます。今まで経験のないアゴーギク構成でサロネンの意図が生かされました。ターン音型からは静的叙情性を'間'を使って高め、コーダからフィニッシュは静かに消え入ります。


スッキリ明瞭明快さと新しいアプローチのマーラー9です。アゴーギク主体のバランスがとてもいいです。特筆に値する中間楽章の気持ち良さと第四楽章の新しさに拍手です。

第一楽章を少しスローに澄んだ静的哀愁で構成させればよりベターですが、やっぱりでしょう!!


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ゲルト・アルブレヒト, Gerd Albrecht (2録音)

4年前(2014年)に亡くなられた読響の常任指揮者としておなじみのドイツ人指揮者アルブレヒトは、二つの録音を残しています。しかも両者異なる方向性での好演! 残念なのは共に市場に出る事が少ないという事でしょう。



(#1)

Philharmonisches Staatsorchester Hamburg
[insider] 1991-9

albrecht-mahler9-hamburg.jpg
(聞いた事のないレーベルでamazonには登録が無い様です)

1988年1997年に音楽総監督を務めたハンブルク州立歌劇場、そこの管弦楽団であるハンブルク・フィルハーモニカーを振ったマーラー9です。


【第一楽章】
緩やか優美な第一主題、第二主題から反復そして第三主題ではうまく緊張を与えます。展開部以降もスロー基本で緩急良く堂々とした構えの王道演奏です。

【第二楽章】
ここでも緩やかな流れで構成されています。スローが強めの主部主題から第一トリオ、そして第二トリオと変化と締まりが良いですね。

【第三楽章】
主部主題はキレよく入り副主題も少し穏やかに、中間部でのシンプル&スローの落とし方がうまいです。構えの大きさが響きます。ラストも気合の入った迫力です。

【第四楽章】
主要主題はスローに哀しみの美しさを奏でます。第一エピソードもその流れで沈んだ美しさから入り、終盤のターン音型を意識した素晴らしい流れです。もちろん第二エピソードは山場も含めて哀しみの美しさが見事に表現され、コーダから消え入ります。お見事!!


スロー基本で堂々としたマーラー9です。重心は低く鬱や哀の静的美しさと緊張はこの曲の本道でしょう。

入手難が問題ですがおすすめの一枚で、コンサートで出会えたら大喝采ものです。






(#2)
Yomiuri Nippon Symphony Orchestra
[YNSO] 1997-12/13

albrecht-yomikyo_mahler9.jpg
(会員配布盤の為amazonには登録が無い様です)


上記の9年後、読売日本交響楽団の常任指揮者(1998-2007)を務めたアルブレヒトが就任の一年前に振ったマーラー9番です。(読響とのマーラー5番はいただけませんでしたが…)


【第一楽章】
序奏・第一主題はやや速めでシャープ、第二主題の表情変化は少なめですが金管で盛上げて反復し第三主題をビシッと決めます。展開部も速め基本で揺さぶりを含めて切れ味とテンションの張った流れです。キレキレのシャープな第一楽章です。

【第二楽章】
主部主題は抑揚を付け、第一トリオも流れに乗りリズミカルでシャープ。第二トリオで穏やかな色を見せますが後半の動機の絡みは速めの流れです。

【第三楽章】
主部主題は速めでテンションが張っています。副主題で軽やかになりますが絡んで速めで勢いを付けて進みます。中間部では穏やかに一休み? その後は揺さぶりを強めながらラストの速く切迫した強烈な山場を作ります。

【第四楽章】
主部主題は美しいのですが緊張した揺さぶりが強いです。第一エピソードは一転して暗く静かに落とし繊細さを見せつけ、山場は速めです。第二エピソードも速めに入りそのまま二度の山場を作り、その後はラストに向けたターン音型を揺らぎを付け美しく落とします。


緊張感みなぎるマーラー9です。速め設定*で揺らぎとテンションが強く、哀しみや美しさより緊迫さです。

初顔合わせがもたらしたのかこの張り詰めた空気は一聴の価値ありです。(非売品というのが残念!)


*演奏時間が81’から71'と大幅に短くなっています


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クルト・マズア, Kurt Masur

New York Philharmonic
[TELDEC] 1994-4

kmnypm91994.jpg
 amazon CD 

3年前に亡くなった日本でもおなじみのマズアがニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督時代のマーラー9です。


【第一楽章】
第一主題から第二主題への流れは一般的ですがhrが強めの録音で気になります。抑揚を強めて切れ味良い反復から第三主題へ。展開部前半は暗さ強調から緩やかにシュトラウス引用の明るさへと上手く、厄介な中後半もアゴーギクで見晴らしの良さを作り葬送は速めです。再現部は軽めの印象ですが広がりを感じます。上手い緩急で見晴らしの良い楽章になっています。

【第二楽章】
主部主題は二つの動機とも軽量で落ち着いて、第一トリオは速く重さは回避。第二トリオでスロー穏やかに、後半の山場もテンポアップに流してドッカリと居座る感じではありません。力強さよりも軽妙優美なレントラー楽章です。

【第三楽章】
主部主題は切れ味よく速め軽快に、第一トリオはその延長線上で軽妙に、力強さを増しつつ中間部(第二トリオ)では穏やかに軌道修正、後半のターン音型は最終楽章を予告します。ラストはしっかりストレットで締めています。

【第四楽章】
主部主題は情感強く入り広がりを作り、fg動機をスローに流して弦楽の流れに重みを増して行きます。第一エピソードでは静的暗転から叙情をたたえる大きな流れを作り、静のラストで一気に鎮める上手さです。第二エピソードは哀愁色、そこから山場をスローで大きく鳴らして溢れる情感のピークを作ります。続くターン音型はコーダへ向かう準備になり、主題の変奏と『亡き子をしのぶ歌』引用からは透明感ある美しさを見せてpppに終息します。
気持ちの入った見事な最終楽章になっています。


中間楽章のアンバランスが残念なマーラー9です。特に第二楽章を軽妙に仕上げているのが気になります。

中間楽章を切れ味良く仕上げて締まりあるマーラー9にして欲しかったですね。最終楽章などは本当に素晴らしいのですから。






全集物を中心にまだまだ残っていますので、追記していくと思います。


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