ホーカン・ハーデンベルガー の「20世紀のトランペット音楽」を聴く

現代音楽を得意とするヴィルトゥオーゾ・トランぺッター、ホーカン・ハーデンベルガー(Håkan Hardenberger, 1961 - )の現代音楽ソロ・トランペット曲集ですね。
7人の現代音楽家の作品で、武満さんとワトキンスの曲はハーデンベルガーの為に作られています。また、ベリオの「セクエンツァX」のみピアノでペーター・ソロモン(Peter Solomon)が入ります。


Sonatina for Solo Trumpet (1974)
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ (Hans Werner Henze, 1926/7/1 - 2012/10/27)の「ソロ・トランペットのためのソナティナ」は三楽章形式の楽曲、中期の作品です。
技巧曲ではない計4'の小曲です。点描的な音の流れですが音列配置ではありません。機能和声と無調の両方に足を跨いだ様なソロ曲です。微妙な立ち位置がヘンツェですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  スコア付きです。



Paths (In Memoriam Witold Lutoslawski) (1994)
武満徹 (1930/10/8 - 1996/2/20)さんの晩年の作品「径 - ヴィトルド・ルトスワフキの追憶に-」で5'ほどの小曲です。
武満さんらしい細い幽玄さがtpにマッチしているかは少々??な部分はありますが、そこは武満サウンド。ミュートのかかった繊細な音色とオープンとのコントラストは美しいです。それが何を意図し表しているのか気になるところです。


Sequenza X per tromba in do (1984)
ルチアーノ・ベリオ (Luciano Berio, 1925/10/24 - 2003/5/27)のセクエンツァXがメインの様ですね。ベリオの代表作「セクエンツァ」は楽器別ソロ曲集で、そのNo.10「トランペットと共鳴のためのピアノ」ですね。
前曲の延長線上の様な音から入りますが、細かなフラッタータンギングが特徴的です。無調ですが音列配置でも、音の飛躍が大きな混沌でもありません。pfはほとんど明確な音色は出さず、tpの音色の共鳴を生んでいるそうです。流れるフレーズにフラッタータンギングが入り、そこにパルス的に単音が発せられます。背景に薄く残る共鳴音が印象的ですね。この曲が一番面白いです

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Josh Roganのtpで、共鳴を引き出すためにpfに吹き込む様子がわかりますね。pfはペダル操作をしています。



Old/New (Study for Solo Trumpet) (1986)
マウリシオ・カーゲル (Mauricio Kagel, 1931/12/24 - 2008/9/18)作曲で、「若い奏者のための新しいトランペット作品集*」にフィーチャーされたファンファーレ・コレクションの一曲です。
というわけで1'の超小曲。ミュートの陰鬱さが特徴的で、いわゆるファンファーレではありませんね。これならマイルスの方が俄然面白い?! 過激さや意外性、パフォーマンスといった表現主義的印象のカーゲルですが…残念。


Emotion (1992)
アントワーヌ・ティスネ (Antoine Tisné, 1932/11/29 - 1998/7/19)はフランスの現代音楽家、印象に薄いのですが本来表現主義の傾向が強いようですね。
デイヴィッド・ニーマン(David Niemann)の詩"エモーション"とのセット?ですが、意味不明ですw それが前衛? でも曲調はここまでの流れを超えるものはなく、不協和音的な旋律の楽曲です。


La mort de l'aigle for Trumpet in C (1993)
マイケル・ブレイク・ワトキンス (Michael Blake Watkins, 1948 - )はイギリス人現代音楽家。「死せるイーグル」は詩人ホセ=マリア・ヘレディア(Jose-Maria de Heredia)の作品からインスパイアされているそうです。
暗く哀愁を感じる旋律は後期ロマン派の調性さえ感じます。そこに不協和音を入れた感じで変化はありません。同じような曲ばかりで、そろそろ飽きて来ましたがw


Die grosse Schildkröten-Fanfare vom Südchinesischen Meer
ジェルジュ・リゲティ (György Ligeti, 1923/5/28 - 2006/6/12)の「《南シナ海》からの《ビック・タートル・ファンファーレ》」も前述「若い奏者のための新しいトランペット作品集*」の中の一曲で30"の超小曲です。
明確な4/4拍子のリゲティらしい楽しさ、でも響の悪いファンファーレで尻切れトンボです。30"ではねぇw


*「若い奏者のための新しいトランペット作品集」:トランペット奏者・音楽学者であるエドワード・タール(Edward Tarr, 1936/6/15 - )編纂による23曲の作品集


類似性が強い楽曲が並びます。現代音楽としては冒険性は低く、超絶技巧や新たな特殊奏法も感じられません。
そのためトランペットの表現や技巧を尽くすというほどのバリエーションや新鮮さは味わえませんでした。逆にトランペットの限界を感じる様な印象になってしまったのは残念。もっと色々やってくれるかと思いました。





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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