マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 40CD聴き比べ [#2 / CD:21-40]

マーラーの6番、パワープレイが嵌れば言うことなしですね。一方で冷めたクールさもありで楽しめます。好きなので色々なパターンで気に入った演奏が多いかもしれません。
今回は変化球と魔球の二人、N.ヤルヴィとH.シェルヘンを含めた20CDのインプレです。ストックはそれほどありませんが、これで40CDになりますね。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.6 の聴き較べです (現在 #2回 40CDまで)
 #2: 20CD 本投稿
 #1: 16CD
 #0: 4CD バルビローリ聴き比べ




【後日記】ヴァンスカのマーラー6が出たので追記です
オスモ・ヴァンスカ, Osmo Vänskä
Minnesota Orchestra
[BIS] 2016-11
現在音楽監督を務めるミネソタ管弦楽団(Minnesota Orchestra)とのマーラー5番はややクセ者的な印象もあったのですが、チクルス第二弾の6番はどうでしょう。
第一楽章
スローで抑えめの第一主題、モットーは美しくアルマの主題ではそれを広げる様に華やかですがスローのアゴーギクが気になりますね。反復後の展開部も力強さはあっても冷静さが常に背後にいます。再現部では少し躍動感が感じられるかもしれません。
第二楽章
アンダンテを持ってきました。主要主題・副主題ともにごく普通の優美さ、中間部も流れは同じですが明るさが現れますね。美しい緩徐楽章ですが個性は薄いです。
第三楽章
スケルツォですね。主要主題は客観的で迫力や興奮を否定しているかの様です。クールとは違いますね。トリオは優美なスケルツォですが、それ以上でもありません。
第四楽章
序奏は緊張感の漂う素晴らしい流れかと思いきやスローモッソリに落ち込みがっかり。長い序奏から提示部の第一主題と経過句は勇壮ですがアゴーギクを殺して抑え込み、第二主題も同様です。展開部は序奏と同じく揺さぶりの効いた前半パートとフラット単調さの行進曲以降の組合せです。再現部も同じですが、それでもこの楽章が一番良いかもしれません。
・・・・・
よそよそしく掴みどろこの薄いマーラー6番です。この曲は興奮かクールさかですが、はっきりしないのはどうも…好みの問題になるかもしれませんね。
シベリウス・アカデミー同期生サロネンやサラステのマーラーの様にはいかない様です。




ジョナサン・ダーリントン, Jonathan Darlington

Duisburger Philharmoniker
[Acousence] 2008-6/18.19
このブログで超ご贔屓の管弦楽セット、ジョナサン・ダーリントン(Jonathan Darlington)とデュイスブルク・フィルハーモニー管弦楽団(Duisburger Philharmoniker)です。マーラーは第5番でも素晴らしい演奏を残していますね。→ このブログ内のダーリントンの投稿記事

第一楽章
重厚オーソドックスな第一主題の行進曲、そしてアルマの主題(第二主題)は情熱溢れる美しさです。展開部の二つの主題は重厚ですが、挿入部では不安感を隠す様なスローの静寂さに。再現部も響の良い華々しさです。
第二楽章
アンダンテを採用しています。緩やかで優しさを感じる第一主題に哀しみをたたえる様な第二主題、中間部はその流れから山場へ向かいますが全体として穏やかさを重視した緩徐楽章です。
第三楽章
従ってスケルツォ、主部は第一楽章の回帰的で華やかさ。トリオはスケルツォらしい優美さになります。
第四楽章
序奏は極端な揺さぶりは使いませんがややスロー。提示部第一主題は跳ねる様なリズムで第二主題に続きます。この曲の難解パート展開部ではスローとコントロールの効いた激しさで落ち着いた表現です。再現部でも同様に過度の興奮を避けながら山場を盛り上げます。コーダは暗さ控え目、ラストの一撃は約束通りです。
・・・・・
重厚にして華々しい第一・四楽章、穏やかさと優美さの第二・三楽章、このコントラストの付け方がダーリントンの音楽ですね。Liveですが、録音も素晴らしくクールなマーラー6番でおすすめです。




サイモン・ラトル, Simon Rattel (2録音)
ラトルは1987年と1989年に同曲を振っていますが、あまりに落差が大きいです。


(#1)

Berliner Philharmoniker
[BPH] 1987-11/14.15
ラトルが初めてBPOを振ったライヴ、それがこのマーラー6番でした。その15年後にBPO主席指揮者・芸術監督に着いたわけですね。
第一楽章
切れ味と緊迫感の第一主題とモットー、そこからコントラストよく第二主題を華麗に奏でます。速めの流れと相まって締まりある演奏が爽快です。
第二楽章
アンダンテの主要主題は優美さが心地よく副主題も哀愁感がいいですね。スロー静音パートも透明感があり、中間部の広がりに心地よくつなげます。山場は哀しみが溢れ、グッと来ますね。
第三楽章
落ち着いた中に切れ味良い主部主題、変拍子を生かした洒脱なトリオはまさにスケルツォです。後半は出し入れが強くなり情熱が伝わりますね。
第四楽章
序奏は揺さぶり少なく、第一主題を王道的に締まり良く、経過句のhrも朗々と鳴らすと第二主題は軽快そのものです。展開部・再現部もこの楽章の持つ激しさと華々しさのコントラストがよく、大きな見晴らしが快感です。ラスト一撃ではフライングがありますがBPOのご愛嬌w
・・・・・
ピッと張ったテンションが心地よい流れを作るマーラー6。不要な揺さぶりを排した速めのテンポと切れ味がマッチしました。
初ライヴでラトル得意の陰影付けは薄まり、カラヤン呪縛のBPO色が強いかもしれません。好きな一枚です!!




(#2)
City of Birmingham SO
[EMI] 1989-12/14-16
上記BPOの2年後録音、ラトルが鍛え上げたバーミンガム市響とのマーラー6番です。
第一楽章
提示部第一主題は重厚、モットーで抑えてアルマの主題は優美ですが、反復でなぜか間延び感が残ります。展開部・再現部でもスローパートでの緩さが気になりますね。やや締まりに欠ける感が強いです。
第二楽章
アンダンテですね。主部の二つの主題はスローでふんわり・もわ〜っと穏やか、掴み所がわかりずらいです。中間部以降も同様の流れで、山場以外は強烈な間延び感です。(汗)
第三楽章
スケルツォ主要主題は切れ味よく、ここまでで一番良い流れです。トリオもスケルツォらしい優美さがいいですね。
第四楽章
長い序奏は混沌さよりシャープさで、アレグロ・エネルジコからは流れよく提示部第一主題に入ります。そこから経過句、第二主題は特出はありませんが安心感がありますね。ただ展開部への繋ぎで緩さを見せる様に、その後もスローの間延び感が顔を出してしまいます。アップテンポの騎行などは締まっているのですが。
コーダでは三発目のハンマーが聴こえます。
・・・・・
BPOとは打って変わったスロー基本。そのスローが靄った見晴らしの良くないマーラー6です。アゴーギクや管楽器も処々で今ひとつ感が残りますね。

この2年の大きな違いは?? こちらは手兵ですからラトルのマーラー6、2年前はBPOの個性が出たマーラー6ということになるでしょう。




パーヴォ・ヤルヴィ, Paavo Järvi

Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[major BD] 2013-6/29,30
現N響首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが、当時首席指揮者だったフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振ったBD盤(第5番とカップリング)です。
第一楽章
やや速めで、行進曲は落ち着いて、アルマの主題は広がりを大きく進みます。展開部の穏やかさと再現部の切れ味も良いですね。
第二楽章
主部主題はテンポを抑えて適度重厚さ、トリオは一転スローで抑えめのシンプル。パーヴォも踊るスケルツォです。
第三楽章
アンダンテは主部の二つの主題はスローで澄んだ美しさ、同じ流れで中間部を超えると叙情高く山場を盛り上げて静かに締めくくります。美しい緩徐楽章ですね。
第四楽章
序奏は鬱でスローの揺さぶりからアレグロ・エネルジコで走ると、提示部行進曲は切れ味良く経過句を含めて進み、第二主題もシャープです。キーとなる展開部はスローの美しさと切れ味の表情変化を見事に付けて、行進騎行ではアゴーギクを振って来ます。再現部も同様に出し入れの良い流れを作り、コーダを鎮めてラスト一撃です。
・・・・・
切れ味の鋭さと美しい穏やかさのコントラスト、見晴らしの良いマーラー6ですね。広がりがあるBDの録音の良さも大きく寄与しているでしょう。
(ダイナミックレンジの広い録音の良さでハンマーの音がこんなに良く聴こえたのは初めてですね。逆にラスト一撃が弱く感じて弱点に思えるくらいですw)

同じ放送局系であるN響をベルリンで振った(2017年2月28日)演奏より一枚上手ですね。




ネーメ・ヤルヴィ, Neeme Järvi (2録音)
息子パーヴォとは違う、速さとメリハリの父ヤルヴィの本領発揮のマーラー6ですね。
ネーメの二つの録音、第一楽章提示部(再現有り)は20'程度でとても速い演奏です。参考にその演奏時間を並べておきますね。
      RSNO 日フィル
 第一楽章 20:01 20:52
 第二楽章 11:32 11:41
 第三楽章 13:37 13:05
 第四楽章 27:07 27:29


(#1)

Royal Scottish National Orchestra
[CHANDOS] 1992-11/8,9
ネーメ・ヤルヴィが1988年にロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席指揮者を退いた後の演奏ですね。現在は桂冠指揮者を務めます。
第一楽章
第一主題の入りから驚きのハイスピードです。アルマの主題も速くて優しさよりもそっけなさです。(笑) 展開部の挿入部ではスローにテンポを落とし、再現部で再びハイスピードに激しさを加えます。
第二楽章
スケルツォ主部主題も速くてキレキレ、トリオでは美しさを見せ揺さぶりをかけながら小ロンドCパートへ入ります。激しい出し入れが切れ味を感じさせてくれます。
第三楽章
やや速めから標準的になり、緩徐楽章の色合いを残すように哀愁の音色を奏でます。山場の盛り上げも美しく見事ですね。
第四楽章
王道系です。序奏は程々の揺さぶり、提示部行進曲は華やかさと切れ味、経過句から軽妙な第二主題につなげます。展開部は出し入れと陰影強くメリハリの効いた、このパートらしい切れ味が光ります。再現部でもその良い流れをつなげてコーダからラスト一撃です。
・・・・・
第一楽章、こういう変化球は大好きですね。速さのN.ヤルヴィの面目躍如。そして全体を貫く切れ味と怒涛のマーラー6番です。
演奏の切れ味も素晴らしいですし、音質もCHANDOSですから☆の方が良かったかな!!
(☆と㊟は紙一重ですw 個性派・クセ者でも楽しめるものが㊟ですね)




(#2)
日本フィルハーモニー交響楽団
[JPS] 2000-6/23
RSNOとの8年後、ネーメ・ヤルヴィが現在 客員首席指揮者を務める日フィルを振った演奏です。RSNOとの比較で聴いてみました。
第一楽章
第一主題はRSNOよりはテンポは遅いですがそれでも速め、アルマの主題はやや速め程度の提示部、展開部も標準的な演奏で基本速め、再現部は迫力で暴れ気味になりラストは突っ走ります。再現部はこちらの勝ち!!
第二楽章
スケルツォ主部主題もやや速め程度になり、トリオ以降も特徴的な揺さぶりは減っています。
第三楽章
アンダンテは速めで感情移入を避けた淡白さです。もちろん後半山場は迫力ですが全体的に美しさや哀愁は弱いです。
第四楽章
序奏は所々で暴れます、そこから提示部行進曲から経過句へは疾走、第二主題は軽快ですが弱い感じ。展開部は揺さぶりを生かして、厄介なこのパートをコントラスト良く見晴らしを付けます。続く再現部が素晴らしく、適度に暴れながら盛り上げが見事です。コーダのスローは影を感じさせる流れからラストの一撃です。
・・・・・
RSNOに比べると前半楽章のテンポも"速め"くらいで、後半の王道さも不足気味です。それでも充分に一癖モノを楽しめるマーラー6。
日フィルも好演で、RSNO盤を知らなければ㊟印です。




マルティン・ジークハルト, Martin Sieghart
The Arnhem Philharmonic Orchestra
[EXTON] 1994-3/19
交響曲第5番では残念な演奏だったオーストリア人指揮者ジークハルトと常任揮者を務めていた時のアーネム・フィルです。
第一楽章
第一主題は重厚勇壮で、アルマの主題は情感深い良い流れの提示部です。展開部も締まりのある第一主題からスローの挿入部へ重厚さの余韻を残す様に入り平安な流れにつなぎます。再現部は提示部の回帰で、コーダからフィニッシュも素晴らしい見晴らしの良さです。
第二楽章
スケルツォ主部の主題は第一楽章第一主題の流れを汲んで締まりが良いですね。重厚さをベースにトリオで一息つく感じです。マーラーの指示通り「重々しく」です。
第三楽章
緩やかで穏やかな第一主題、哀しさ覚える第二主題、その緩徐の流れから後半の山場を盛り上げます。スローさで時折気がぬける様な気配は気になりますが。
第四楽章
あまり変化を付けない序奏で入ります。提示部第一主題は勇壮、第二主題では穏やかに流れます。展開部コントラストの強い演奏で、アゴーギク・ディナーミクを振って濃い演奏です。スローの流れが素直に受け入れられないパートもありますが。再現部もスローから迫力で山場へ進み、輝かしい管楽器パートからコーダへ入り、ラストの一撃を迎えます。
・・・・・
90'を超えるスローな重厚さを全面に押し出したマーラ−6番です。もう少しスローさを抑えれば全体が締まったかも。また、録音・ミキシングでの作品作りも強く感じ、それもオケを助けている気がしますね。




レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam
Danish National Radio Symphony Orchestra
[CHANDOS] 1990-9/24-26
フィンランドの怪人セーゲルスタムは個人的には現代音楽家の印象の方が勝ちますね。首席指揮者(1988–1995)を務めたデンマーク放送交響楽団(DR放送交響楽団)を振っています。第5番では素晴らしい演奏を見せてくれましたね。
第一楽章
行進曲主題はシャープに、アルマの主題はディナーミクで優しさを見せますが両者クセはありません。特徴的なのは展開部・再現部のスローパートを強調している事でしょう。
第二楽章
スケルツォ主部主題は第一楽章の印象を継続する様に進み、ここでもトリオをスローに明確に落として優美さを強調します。
第三楽章
第一主題は柔らかな音色で、第二主題では色合いを哀しみに変えます。優しさの中から山場を作るマーラーの緩徐楽章らしさに溢れたアンダンテになっています。セーゲルスタムは山場を押さえ気味でいいですね。
第四楽章
序奏は揺さぶりは少ないながら、不安感を掻き立てて提示部に流れ込みます。行進曲から経過句を経て第二主題まで冷静に奏で展開部へ。ここでもスローをうまく使い、過度の興奮や重厚さはありません。再現部もコーダも冷静です。気になったのはコーダでハンマーの様な音を感じた事、そうであればハンマー三発演奏ですが。
・・・・・
シャープさとスローの出し入れ(Agogik)がセーゲルスタムらしいですね。興奮と重厚さを排して、クールでスマートなマーラー6です。好きな盤ですね。
突撃型演奏が好きな方には向かないかも。




アントニオ・パッパーノ, Antonio Pappano
Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia
[EMI] 2011-1/8,10,11
パッパーノが音楽監督を務める聖チェチーリア音楽院管弦楽団を振ったマーラー6です。
第一楽章
第一主題はスローにして重厚、モットーで抑えると第二主題アルマの主題を華やかに奏でます。展開部・再現部は強弱コントラストを生かして派手で壮大ですね。管楽器の華やかさが光ります。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は重厚、変拍子のトリオは優美でまさにスケルツォ。この二つの旋律が小気味好く、メリハリのある流れを作っていますね。
第三楽章
抑えの効いた主要主題はスローに美しく、イングリッシュホルンの副主題も同様に美しい流れを作ります。中間部以降も情感強い山場を含めて、美しい緩徐楽章になっていますね。
第四楽章
長い序奏は力強さと暗さのコントラストを付けて明瞭に、アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は抑え気味の行進曲から経過句で盛り上げると、軽快な第二主題へと見晴らしの良い流れを見せてくれます。展開部・再現部は行進曲や騎行を切れ味よく派手で劇的に、コーダは暗く沈みラストの一撃へ繋げます。
・・・・・
見事なライヴ、派手で華々しい明瞭なマーラー6。気持ち良さが欲しい人にはこれでしょう。☆を付けたくなります。




ベンジャミン・ザンダー, Benjamin Zander (2録音)
英国人指揮者ザンダーは1979年に自ら立上げたセミプロのオーケストラ、ボストン・フィルハーモニー管弦楽団(小澤征爾さんのいたボストン響 BostonSymphonyOrchestraとは違います)を率いてますね。コンサートの前にはプレトークで、毎回コンセプトを解説しているそうです。


(#1)
Boston Philharmonic Orchestra
[Carlton] 1994-3
その手兵ボストン・フィル(略ならBPO?笑)を振ったマーラー6です。
第一楽章
勇壮な第一主題ですがモットー弱音でスロー化、アルマの主題では広がりのよい美しさで対比がいいですね。展開部のスローパートを強調して間延び感、それ以外はややありきたりで少々退屈な第一楽章です。
第二楽章
スケルツォです。主要主題はキレはありますが重心が軽め、トリオもやや速めで軽量。あっさり過ぎかも。
第三楽章
主要主題、副主題共に適度に優美ですがフラット気味、ぬるま湯です。中間部以降も変化は薄いです。
第四楽章
陰鬱薄めの序奏から提示部第一主題は流れに乗りますが抑揚が不足気味、第二主題でも表情変化は適度ですね。展開部もモヤモヤしています。再現部の締まりが一番いいかもしれません。
・・・・・
モワッとしたマーラー6です。オケもイマイチで気持ちが入っていません、残念ながら。
ハンマー三発でしたね。




(#2)
Philharmonia Orchestra
[TELARC] 2001-5/22-25
上記の7年後、フィルハーモニア管を振ったマーラー6です。興味深いアルバムで、第四楽章はハンマー3発(初期稿)と2発(改定)の二つのヴァージョンを残しています。また全楽章の解説コメントCD付きで、どうも解説をしないと気が済まない?様ですw (マーラー5番でも同様に解説語りCD付きでしたね)
第一楽章
重厚な第一主題からアルマの主題は華々しくスロー重視の提示部です。展開部以降も演奏の締まりは良いのですが、全体のスロー感が今ひとつで集中力が途切れます。
第二楽章
スケルツォ主要主題は締まりを感じます。トリオ後半もうまく変化を付けていますね。堂々としています。
第三楽章
主要主題は少し抑揚を付け優美で前楽章とのコントラストがいいですね。副主題はスローを生かした哀愁さがうまいです。中間部以降も適度な揺らぎが生きた展開です。
第四楽章
序奏は陰影薄めアゴーギクは振っていますがスローが気になります。第一主題から第二主題への流れや展開部以降もボストンフィルと似ています。スローが気になるもののオケの締まりが全然上でその分が楽しめます。
・・・・・
スローが足を引っ張るマーラー6です。第二第三楽章は楽しめますが、特筆はと問われれば…??
何よりオケの差を感じましたね。




ゲオルク・ショルティ, Sir Georg Solti

Chicago Symphony Orchestra
[DECCA] 1970-3,4
言わずと知れたショルティが育て上げた手兵 シカゴ交響楽団とのマーラー6ですね。
第一楽章
速さで突き進む第一主題、派手に奏でるアルマの主題、乗っけからまさにショルティ/シカゴ響炸裂です。展開部も勇壮さメインに柔らかな響のコントラスト、激しさを増しながら再現部へ突入するとコーダを派手派手しく納めます。
第二楽章
第一楽章の流れをそのままに主要主題は速め迫力、怒涛の進撃です。トリオは優美なスケルツォに変化させコントラスト付けが上手いですね。
第三楽章
アンダンテらしい優美な流れの主部二つの主題、中間部では明るさと美しさから大きく山場を作ります。厚いアンダンテ。
第四楽章
序奏は陰鬱さは薄く重厚中心に変化を与えています。提示部第一主題と経過句は迫力の行進です。第二主題もその流れのまま続きます。展開部・再現部も緩急はありますが突撃性大重視です。3発目のハンマー?の様な音がしますが。
・・・・・
いかにもショルティ/シカゴ響、怒涛の迫力のマーラー6ですね。とにかく勇壮な戦闘シーンです。




アントニ・ヴィト, Antoni Wit
Polish National Radio Symphony Orchestra
[NAXOS] 1992-12/15-19
カラヤンの助手を務めていたポーランド人指揮者ヴィトですが、何と言ってもNAXOSで数多くの録音を残している事で知られていますね。そのヴィトが1983-2000年の間音楽監督を務めたポーランド国立放送交響楽団との録音です。
第一楽章
第一主題は勇壮、モットーで静まりアルマの主題は華やかです。展開部ではスローパートを強調しているのが特徴的ですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は抑えめで、トリオはスローに落とします。最後の主要主題では迫力を見せますが、楽章としては控えめの感じがしますね。
第三楽章
主部の二主題は穏やかそのもの、中間部もやや抑え気味に山場を作ります。
第四楽章
序奏は静的、第一主題は行進曲を明確にしていますがやや弱め。展開部・再現部共にコントラストは弱めです。
・・・・・
穏やかさが印象に残るマーラー6ですね。迫力もあるのですが強烈さは弱いですね。炭酸の弱いコーラみたい?!




ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen

Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
[MEMORIES] 1960-10/4 =mono=
さてシェルヘン先生です。ライプツィヒ放送交響楽団(現:MDR交響楽団)を振ったマーラー6ですが、大カット短縮演奏です。よく言われるのは第5番ですが、こちらも負けず劣らずの狂気を味わえます。(MEMORIESから再発されましたね)
第一楽章
第一主題・第二主題共に猛烈なハイスピードで管楽器はもつれ気味。提示部の繰り返しはもちろんカット!! 展開部・再現部も早回しで聴いているみたいですw
第二楽章
アンダンテを持ってきました。ここでは特別大きな異常性を見せませんね、中間部入りと山場でいきなりテンポアップは凄いですがそのくらい。シェルヘンは緩徐楽章は猛スピード化させない傾向ですね。(第5番では逆に超スロー化しています)
第三楽章
爆速スケルツォです。小ロンド形式で主要主題とトリオを繰り返すわけですが、そんなかったるい事しません。当然カット!! あっという間に終了、演奏時間は約半分w
第四楽章
序奏はコントラスト良く、アゴーギクが強いくらいです。まぁ一般的には充分"変"ですが。提示部第一主題からスピードアップ、でも第二主題も含めてそれほど過激ではありません。展開部はテンポは揺さぶりの強い程度の感じですが、後半はカ〜ット!! なのでハンマーは一発になっちゃいますw。再現部も似た流れで中盤をカット!! でもコーダはごく普通ですね。
・・・・・
爆速、奇怪、カット短縮のマーラー6です!!
詳細は楽章インプレの通り。音は劣悪ですが、一度聴いてみてほしいですねw




ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン, Jaap van Zweden
Dallas Symphony Orchestra
[dsolive] 2013-3
オランダのズヴェーデンはコンセルトヘボウ管のコンマスから指揮者になっています。来年2018年からニューヨークフィルの音楽監督に就任が決まっていて、早くも3月には新たな手兵を率いて来日しマーラー5番を演奏しますね。(もちろんチケット購入済みですw)
これは音楽監督を務めたダラス交響楽団を振ったマーラー6になります。
第一楽章
第一主題は少々まとまりの悪さと管楽器も危なげですがクセはありません。モットーからアルマの主題は優美です。展開部も再現部もバランスの良い音出しを感じます。
第二楽章
スケルツォです。主部主題からトリオもクセはなく安心の流れで切れ味もありますね。見事ですが何か一つ個性が欲しい感じです。
第三楽章
静的で美しいアレグロ。主部の主題も透明感があり、中間部でも牧場の広がりの様なのびやかさを見せます。本流の演奏ですね。
第四楽章
序奏の揺さぶりや陰鬱感は弱めですが良い流れで、第一主題から経過句も行進曲らしい切れ味で進みます。その流れからの第二主題も爽やかですね。展開部・再現部でも処々で間延び感はありますが山場を大きく奏でて、行進曲や騎行を勇壮に進みます。特徴に欠けるのは残念ですが素晴らしい演奏です。
・・・・・
音も良く クセも無く きれいにまとまったマーラー6です。その分、指揮者の意図や個性を楽しみづらくワクワク感がありません。初めて聴くならおすすめでしょう。




ジョナサン・ノット, Jonathan Nott

Bamberger Symphoniker
[Tudor] 2008-10/27-31
現東響の音楽監督であるジョナサン・ノットが16年間首席指揮者を務めたバンベルク交響楽団とのマーラー・チクルスからのマーラー6です。ノットは現代音楽で著名なアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督も務めていた事もあり、現代音楽を積極的に取り上げるので好きですね。
第一楽章
速い第一主題、アルマの主題も優雅ですが速めです。展開部ではスローとのコントラストをうまく付け、再現部では激しさを増して来ます。コーダも第一主題を陰影強く、ラストは華々しさです。
第二楽章
スケルツォです。第一楽章の第一主題の流れを感じる主部主題で、切れ味抜群ですね。トリオでは一転させて優美そのもの、見晴らしと締まりの良さが感じられます。
第三楽章
アンダンテの主部二主題は緩やかな優しさの緩徐楽章です。マーラーの緩徐楽章につきものの山場も大きく奏でます。ただ、流れのキーになる中間部に明確さが欠けるのが気になり残念です。
第四楽章
個性が出やすい序奏はあまり弄りません。切れ味の行進曲から心地よい第二主題の提示部。展開部は落差の大きなコントラストが特徴的に付けられます。この辺りがノット節とでもいう感じでしょうか。再現部前半を緩く、第一主題再現からは一気に走り、コーダは暗く沈めます。
・・・・・
コントラストと切れ味のマーラー6です。指揮者とオケが流れの強弱・遅速表現を共有していることがわかります。陰影が強く好みが分かれるかもしれませんが主張が明確で好きですね。アンダンテ中間部は見逃しましょうw




ジェフリー・サイモン, Geoffrey Simon
Northwest Mahler Festival Orchestra
[NWMF] 1998-7/19
(自主制作盤の様で、残念ながらamazonでは見つかりません)

オーストラリア人指揮者J.サイモンは米国でチェロをシュタルケルに師事、指揮を英国で習って米オケで活動していました。現在は英国を活動拠点に、レオポルド・ストコフスキー協会の会長でもあります。
米アマチュアオケのノースウェスト・マーラー・フェスティヴァル管弦楽団の指揮者兼顧問時代の演奏で、同音学祭1998年のLiveです。
第一楽章
速い第一主題をモットーでスローダウンさせ、その流れにアルマの主題を乗せて行きます。ありそうで無いうまい流れですね。展開部では速い流れとスローを対比良く見せてくれます。
第二楽章
スケルツォも速めの主要主題で第一楽章との繋がりがいいですね。(議論と好みはあるでしょう) トリオは適度に落として美しくメリハリがあります。
第三楽章
主要主題と副主題では一転してスローで甘美です。中間部前で哀愁を見せて中間部では明るさを広げラストの山場を盛り上げます。が、この展開は楽器の実力が出るので厳しいかも…
第四楽章
序奏はスローで陰影の少ない、陰影深くは無理でしょうが、流れです。第一主題は落ち着いて適度なテンポですがHrは苦しい、第二主題はそのままのテンポで続きますが揺さぶりがうまく付けられていますね。展開部も王道的な抑揚を付けて表情豊かです。二発目ハンマーは壊れた様な音がしますw 重厚&パワー王道的流れですね。
・・・・・
基本は速さでスローとのコントラストを見せるマーラー6です。オケの技量はHrの酷さを頂点に次元は低いですが最終楽章は気持ちが伝わります。それがアマやユースのオケの楽しさですね。^^/
録音も今ひとつでrec.レベルが低く大きくヴォリュームを上げる必要がありましいた。




モーリス・アブラヴァネル, Maurice Abravanel
Utah Symphony
[Vanguard] 1974-5

(入手可能なら全集で持っていてもアブラヴァネルは面白いですね)

アブラヴァネルは第二次大戦でユダヤ迫害を逃れてオーストラリアに渡った後、米国ユタ州でユタ響の発展に寄与していますね。ユタ交響楽団を30年以上(1947–1979)に渡り磨き上げたアブラヴァネルのマーラー6です。
第一楽章
やや速めの第一主題はモットーでペースを落としてアルマの主題で広がりを見せます。現在では絶滅種の繰り返し無しの提示部です。それ以外はクセの少ない第一楽章ですね。
第二楽章
スケルツォも速く入り、約束通りにトリオで優美にスロー化させます。流れは自然体で肩が凝りません。
第三楽章
優美な主要主題から副主題は哀愁を感じて素晴らしい流れです。中間部で明るい光を照らして山場を盛上げて納めます。感情移入を避けているのですがグッとくるものを感じます。
第四楽章
序奏の陰影は少なめ、第一主題の適度な興奮から第二主題が穏やかな風を吹き込みます。展開部も適度なテンポ変化を付けて気持ち良いですね。過度の興奮を避けて流れ重視の最終楽章です。
・・・・・
アブラヴァネルらしいテンポ変化とナチュラルな演奏がマッチして心地良いマーラー6です。力む様な興奮を排してオケの馬脚を表さない流れかもしれませんが、アンダンテでは心を打たれるものがあります。

㊟印を付けた第5番の様な変化球とは対極にある自然体の演奏で興味深いですね。でも第一楽章提示部の反復無しver.は今や貴重かも。一聴の価値ありです。




パク・ヨンミン, Young Min Park
Bucheon Philharmonic Orchestra
[Sony] 2015-9/8,9
ギーレンに師事し、ラ・フォル・ジュルネ金沢でも来日経験のあるパクが2015年から音楽監督を務めるプチョン・フィルハーモニック・オーケストラ(1988年創設)を振ったマーラー6です。
第一楽章
第一主題は勇壮、アルマの主題は伸びやか優美な提示部です。基本は真正直な演奏ですが、展開部のスローは間延び感、再現部もキリッとした切れ味が欲しい感じです。
第二楽章
アンダンテを持って来ました。主部の二主題は穏やかですが、全体スローさの中に気持ちが伝わってこないもどかしさを感じます。
第三楽章
主部主題、トリオ共にまとまりは良いのですが、角を落とした様な何か一つ欲しい流れです。
第四楽章
序奏は派手さとコントラストが効いています。提示部第一主題行進曲は流れよく入るのですがスローの緩さが出ますね。第二主題も印象は薄いです。とは言えこの楽章の展開部・再現部が一番スパイスが効いています。まぁそう言う曲ですが。
・・・・・
スロー基本で安全運転のマーラー6。音も良くミスもクセもないのですが、情熱や個性といった訴えかける何かが感じられません。最終楽章展開部以降が元気になりますが、時すでに遅しかな。
(スローの揺さぶりはギーレン仕立て?!w)






次は数枚ストックしているテンシュテットをメインにインプレしようと思っています。



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・2017年12月9日
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