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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 80CD聴き比べです [#4 / CD:41-50]

第4回のマーラー9番インプレは、ヤンソンスやシャイー, ジンマンといった実力派、それにシェルヘンとマデルナの変化球師弟コンビで計10CDです。冒頭はコンサートにも行ったラザレフ/日フィル盤です。
これで聴き比べも50CDまで来ましたね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現在#6回 80CD
 #1:10CD
バーンスタイン[x5 ★☆], アバド[x2 ★☆], ラトル[x2 ★], ゲルギエフ
 #2:20CD
カラヤン[x4 ★☆], テンシュテット[x3 ☆], クレンペラー[x3], ノイマン[x3], ベルティーニ[x3 ☆], クーベリック[x2], 井上道義[☆], 小林研一郎
 #3:10CD
インバル[x3], ドゥダメル, サラステ[☆], バルビローリ[☆], ジュリー二, ドラティ[㊟], ムント, 朝比奈隆
 #4:10CD 本投稿
ラザレフ, ヤンソンス[x2], シャイー[★☆], ジンマン, バルシャイ, W.モリス, シェルヘン[㊟], マデルナ[x2 ☆]
 #5:20CD
ノット[★☆], ハーディング[☆], ギーレン[x2 ㊟], 小澤征爾[x2], シノーポリ[x2 ㊟], ザンデルリング[x4], コンドラシン[x2], ミトロプーロス[x2], サロネン, アルブレヒト[x2 ☆], マズア
 #6:10CD
ショルティ[x2], ロペス=コボス, 金聖響, スラドコフスキー, セーゲルスタム[☆], ゴレンシュタイン, 高関健, 山田一雄, ミュンフン



アレクサンドル・ラザレフ, Alexander Lazarev
日本フィルハーモニー交響楽団
[JPS] 2013-10/27
日フィル首席指揮者時代(現:桂冠指揮者兼芸術顧問)に東京芸術劇場で振ったマーラー9ですね。このコンサートには行っていました ▶︎▶︎ インプレです
第一楽章
第一主題はやや速め、第二主題後半盛上げて反復、テンポを上げて第三主題に繋げます。やや速めながら癖のない提示部です。展開部はやや速めの流れですがパワーパートと緩やかさとのコントラストを付けています。
第二楽章
主要主題・第一トリオはやはり速めでシャッキリ感があります。第二トリオはトーンダウンさせますが楽章としては速い流れに変わりありません。
第三楽章
主要主題は標準的テンポ・表現になり、副主題はやや穏やかに現れます。中間部は緩徐ですがややテンポを揺さぶっています。ラストはマーラーの言う通り「きわめて反抗的に」です。
第四楽章
主要主題は暖色の優しさですね。やっぱり速めで、第一エピソード以降も色濃く哀愁美ではありません。しかし第二エピソード後半からは一転スローダウン、ターン音型を美しく生かしながら消え入ります。
・・・・・
速さとコントラストでシャキッとしたマーラー9ですね。悪くありませんが箱庭的コンパクトにまとまった感じです。速めの設定がそうさせているかもしれません。

上記コンサートのインプレとのギャップが面白いですね。タクトが降ろされるまでの長〜ぃ"間"が残されているのは嬉しいです。(CDはエンジニアが音作りに参画しているのでホールの音構成とは違ってきて当然ですね)




マリス・ヤンソンス, Mariss Jansons (2録音)

(#1)
Oslo Philharmonic
[SIMAX] 2000-12/13,14
ラトビア人指揮者ヤンソンスがオスロフィルの首席指揮者最後の年にマーラー9を振った録音ですね。
第一楽章
第一第二主題と反復、第三主題は王道の流れで心地よく展開部に入ります。展開部は緩急のコントラストを強調してメリハリが効いていますね。再現部でも締まりのある流れですね。
第二楽章
主部主題、第一トリオ、第二トリオ、共にクセのない流れで構成されて安心感がありますね。レントラー的リズム感は弱いです。
第三楽章
主部の二つの主題はリズムよく、第二トリオから中間部は哀愁を漂わせて最後は激しく結びます。流れは本流的で安心感はありますね。
第四楽章
序奏・主要主題、第一エピソードは本流的、第二エピソードは速めです。速い流れから山場を作り、『亡き子をしのぶ歌』引用からコーダは静的美しさです。
・・・・・
安定傾向が強く引き換えにワクワク度が低いマーラー9です。演奏はやや速め主体、切れ味はありますね。




(#2)
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[BR-KLASSIK] 2016-10/20,21
オスロフィルの16年後、現在ヤンソンスが首席指揮者を務めるバイエルン放送交響楽団とのマーラー9、昨年の録音ですね。
第一楽章
第一主題は緩やかに変わっていますね。そして第二主題への変化が滑らかながら強調されます。第三主題も大きく奏でて、展開部は陰影の大きさを出し入れよく進みます。演奏時間も2'以上長くなって、緩急の"緩"を生かしたスケール感が感じられます。
第二楽章
ここでも細かなアゴーギクとディナーミクでコントラストを付けて奥行きのある演奏へと変化しています。リズムも良い感じです。
第三楽章
主部から第一トリオはリズムと切れ味がドイツ風に感じますw 第二トリオからも広がりのある流れですね。
第四楽章
主要主題も程よい揺らぎが広がりを感じます。第一エピソードでの哀愁度は低めで第二エピソードは大きく奏でます。ラストは思いの外 暖かめです。オスロフィルより1'半くらい短くなっているのですが、ラストに感じる速めの流れと消え入り感不足は残念かも…
・・・・・
緩急のコントラストをうまく生かした演奏です。感じるのは ほっこり暖かな流れのマーラー9。そこが好みを分けるでしょうか。




リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly
★☆
Royal Concertgebouw Orchestra
[DECCA] 2004-6/14-18
シャイーがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 首席指揮者最後の年の録音ですね。
第一楽章
序奏・第一主題はスロー、第二主題で暗く落として反復では雄大になります。第三主題を大きく奏でると展開部で暗転・重厚に、そして変化の激しい展開を見せます。再現部は大きく優美に入り後半からコーダは静的に美しく消え入ります。
第二楽章
レントラー主部主題はスローで硬い動き、第一トリオはスケルツォの様にゆったりとリズミカル、第二トリオは優美です。全体を通す3/4のリズムが生かされて心地よい楽章ですね。
第三楽章
主部主題はリズミカルに、第二トリオからの中間部を懐広く穏やかに、ラストは迫力です。
第四楽章
「愛の死」引用の序奏からvn主要主題は弦楽の美しさです。第一エピソードも暗く淀んだ哀しみと美しさでラストを予感させるかの様です。第二エピソードから山場を大きく描き、『亡き子をしのぶ歌』引用からアダージッシモのコーダへのppp静的美しさは素晴らしいですね。
・・・・・
完成度の高いマーラー9です。緩急バランスが良く、全パートに心地よさを感じます。




デイヴィッド・ジンマン, David Zinman
Tonhalle Orchester Zürich
[RCA] 2009-9/28〜10/1
1995–2014年にジンマンが音楽監督を務めたトーンハレ管とのマーラー9ですね。
第一楽章
スローで緩やかな第一主題、第二主題の翳りも薄めにして第三主題を高らかに山場を作ります。長い展開部は陰鬱に入りスロー基準に揺さぶりながら再現部の静かなコーダを結びます。
第二楽章
主部主題レントラーは華やかに、第一トリオも切れ味よく優美、第二トリオは穏やかに流れます。全体優美ですね。
第三楽章
主部主題はハイテンポで軽快に、中間部からは穏やかさですが後半山場とラストは力があります。
第四楽章
第一楽章を思わせるスローで緩やかな主要主題。第一エピソードは広がりのある流れですが情感は弱め、第二エピソードも同様ですね。緩い揺さぶりを経て『亡き子をしのぶ歌』引用からはpppの指示通りに静かに結びます。このラスト静音はスローが生きましたね。
・・・・・
感情移入を抑えゆったりとした、スローのマーラー9。薄味で緩さを感じてしまうかもしれません。




ルドルフ・バルシャイ, Rudolf Barshai
Moscow Radio SO
[BIS] 1993-4/13
イスラエル亡命後のバルシャイが初めてロシアに帰った時にモスクワ放送交響楽団を振ったマーラー9番です。
第一楽章
第一二主題は大きく、その後も緩急をうまく使い締まりの良い流れです。
第二楽章
マーラーの指示の様に粗野的なレントラー主題は重厚に進み、複合三部形式のBパートは力強い流れです。Cも穏やかですが強さを感じますね。山場は抑え気味ですね。
第三楽章
ここでも堂々たる前半を作り、中間部はやや速めに流します。ラストは重厚さを生かして迫力いっぱいです。
第四楽章
「愛の死」引用は重厚な美しさ、主要主題も重々しいです。第一エピソードも弦が重さを保ち、第二エピソードへは美しく繋ぎます。そこから大きく山場を作り、厚みのある流れからアダージッシモのコーダは静的で美しいです。アプローズは熱烈です。
・・・・・
威風堂々、コンサート受けしそうなマーラー9ですね。個人的には線の細さが欲しいきがしますが、この流れもありかもしれません。




ウィン・モリス, Wyn Morris
Symphonica of London
[IMP] 1978-5
マーラー解釈では名が知れた?くせ者の一人、好きなウィン・モリスです。オケは詳細が良く分からない「シンフォニカ・ロンドン」とのマーラー9ですね。
第一楽章
序奏・第一主題は違和感なく、第二主題も落差をあまり付けずに入ります。反復は穏やかから劇的に、重厚な展開部に入ります。再現部もバランスが良いです。クセのない代わりに特徴も薄い演奏ですね。
第二楽章
主部主題レントラーは正統に、切れ味良い第一トリオから穏やかな第二トリオにトーンを落とします。流れに少し緩さを感じます。
第三楽章
主部主題、第二トリオから中間部はここでも正統、ですが後半で少しスローになって暴れてくれます。間延び感は拭えませんがモリスの個性が垣間見れました。
第四楽章
主要主題、もちろん正統。第一エピソードは澄んだ音色を聴かせ、第二エピソードもその流れから大きな波に繋ぎます。『亡き子をしのぶ歌』引用からの美しさもキッチリ静音でコーダに繋げます。
・・・・・
正統ですが各楽章のパート構成にメリハリが薄く、何かスッキリしないマーラー9です。とてもW.モリスとは思えませんw
唯一の救いは第三楽章のラストですね。




ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen

Wiener Philharmoniker
[ORFEO] 1950-6/19
5番6番では本領を発揮したシェルヘン先生がウィーンフィルを振った盤です。9番はもう一枚BBC-SOとの録音(非正規盤)もありますね。
■ 第一楽章
とにかく速めのスタート。そしていつの間にかペースは戻ってきます。この独特のアゴーギク、シェルヘン教祖ならではでしょう。
■ 第二・三楽章
レントラーは全体的にもっそりですが、ここでも変化は激しいです。第三楽章はリズムよく流れ一般的な解釈で走り抜けますが、コーダは驚異のアッチェレランドを見せます。
■ 第四楽章
予想に反して標準的スローに入ります。微妙なアゴーギクを振ってはいますが王道的解釈でしょう。ラストも美しいです。
・・・・・
もちろん変則、よくもVPOをここまで手なずけたと言った感じでしょうか。とは言え5番6番に比べれば大した事はなく?、古いので音も最悪ですからシェルヘン先生に興味がなければ無用でしょう。私には大切なCDですw
ちなみにマーラー9番としては世界最速演奏(第一楽章単独も)になります。




ブルーノ・マデルナ, Bruno Maderna (2録音)
現代音楽家にして奇才指揮者マデルナのマラ9は3録音残されていますね。(所有は2CD)
指揮は上記H.シェルヘンに師事しています。師に倣ってARKADIA盤の第二楽章(13'21")は世界最速演奏になりますね。


(#1)

BBC SO
[BBC Legends] 1971-3/31
マデルナがBBC管を振ったマーラー9番です。
■ 第一楽章
提示部から感情の出し入れの激しさを見せます。長い楽章ですが出し入れの強さで聴かせますね。ラストは美しいです。
■ 第二楽章
テンポの速いレントラーで始まり、複合三部形式の各パートもアゴーギクやディナーミクも極端に振らずに軽快そのもの。山場はハイスピードです。
■ 第三楽章
ロンドも速めで入りメリハリのある演奏ですがやや落ち着きが足りない感じですね。中間部以降は緩やかな美しさも見せながら、ラストはハイスピード一体感をもって締めています。
■ 第四楽章
最終第四楽章も入りはやや速いですが不思議と違和感は感じません。第一エピソードも速く、第二エピソードは穏やかです。アゴーギクを細かく振って緩急を付けながら山場を盛り上げて、「太陽の輝くあの高みでの美しい日」引用を美しく奏でて消え入ります。(拍手の入りが早すぎ!)
・・・・・
Scherchenの影響を感じる緩急独特アゴーギク、それに追従するBBC-SOの演奏も良いですね。この流れもありで、好きな一枚。




(#2)
Orchestra Sinfonica di Torino della RAI
[ARKADIA] 1972-12/22
1年9ヶ月後、トリノ・イタリア放送交響楽団(現:RAI国立交響楽団, Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI)を振ったマーラー9盤です。
■ 第一楽章
スローな入りですが、全体的には速くなりディナーミクも強めになっています。怪しげな雲行きといった気配でしょうか。
■ 第二楽章
テンポの速いレントラー、複合三部形式の各パートとも速くアゴーギクはその分薄くなっていますね。山場は強烈なハイスピードで、オケも着いて行くのがいっぱいです。
■ 第三楽章
ここでも速めでメリハリのある演奏ですが、忙しないのは同じですね。中間部はもったいぶった情感さを強く、その後スローにしてラストは強烈ハイスピード!!
■ 第四楽章
最終第四楽章も入りは穏やかに変わっていますね。実は演奏時間が1'半近く伸びています。「愛の死」引用テーマは速めに素っ気なくなっています。第一エピソードはやや遅くなり優美さから揺さぶり強い劇的山場へ向かいます。「太陽の輝くあの高みでの美しい日」引用を同じ様に美しく、そして静寂に消え入ります。
・・・・・
アゴーギクの振り幅が大きく揺さぶりの強い変化球マーラー9番です。でも抑え処はしっかり、ラストなどは王道そのもの。それが"どっちつかず"な印象を残しているかも。せっかくなら魔球にして欲しかったw
シェルヘン先生が上にいなければ、㊟印!!






もう少しかと思っていたのですが、全集物など見直すとまだまだありそうです。整理が悪い?!




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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