メシアン 歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」のストーリーと音楽。カンブルラン/読響の本邦初演を前に…

オリヴィエ・メシアン(Olivier Messiaen, 1908/12/10 - 1992/4/27)の唯一のオペラで大作『アッシジの聖フランチェスコ (Saint François d'Assise, 1975-83年)』全3幕8景で4時間半かかります。
音楽だけでなく台本もメシアンになりますね。


11月のカンブルラン/読響のコンサートを前に予習です。
アッシジの聖フランチェスコ 読響


ストーリー

聖フランチェスコの人生を3幕(8場)にしています。1,2幕でフランチェスコの逸話(レプラ患者*の奇跡、鳥への説教)を、最後に自身の昇華へとたどり着く様になっています。

【第1幕】3場で1時間10分
①「La Croix, 十字架」
 perfect joyを求めるブラザー・レオーネとのシーンです。フランチェスコは十字架に答えがあるといいます。
②「Les Laudes, 賛歌」
 The leper(レプラ患者)*を愛する為の出会いと試練へ向けてのフランチェスコが祈ります。
③「Le Baiser au Lépreux, レプラ患者への接吻」
 第一幕の山場です。病と怒りのThe leperに愛を伝えるフランチェスコ、天使も現れて神の心を伝えます。フランチェスコが接吻で病を直し奇跡を起こします。(ちょっとグッときます)

【第2幕】も3場で2時間!!
④「L’Ange voyageur, 旅する天使」
 旅人に姿を隠した天使がヴェルナの森の修道院を訪れて"Predestination (救済の予定説)"を問います。ブラザー達は答えられず、最後に旅人が天使だったのではと思います。
⑤「L'Ange musicien, 音楽家たる天使」
 天使はフランチェスコの前にも現れ、viol(古楽器)を奏でて答えは音楽にあると諭します。
⑥「Le Prêche aux oiseaux, 鳥への説教」
 言わずと知れた緑のオーク林の鳥達のシーンです。鳥たちに説教を施すと、世界中の鳥たちが合唱で応えます。

【第3幕】は2場で1時間10分 (一部YouTubeで観れます)
⑦「Les Stigmates, 聖痕」
 聖フランチェスコの前に現れた巨大十字架、そして五つの光。それによりキリストと同じ五つの傷痕、聖なる証が残されます。
⑧「La Mort et la Nouvelle Vie, 死と新しい生命」
 死に瀕するフランチェスコの周りに天使やThe leper、小鳥たちが集まりる中フランチェスコが最後の神への言葉を口にします。死を迎え、合唱が復活を歌い上げてエンディングとなります。



Saint François d'Assise / Olivier Messiaen
  
左がメッツマッハーのDVD。右はケント・ナガノのCDです。
(DVDはmac標準DVDplayerではうまくいかずVLCで再生しました)

彼方の閃光」でも素晴らしい演奏を残しているメッツマッハーのDVDを観てインプレしておきましょう。CDはケント・ナガノ盤を所有しています。


音楽

ラスト作品『彼方の閃光』に近いメシアンの最終の姿です。特徴的な三つ、透明感のある美しい旋律、鳥の声にも使われれるパルス的な打音、短旋律の速い展開、いずれもホモフォニーやモノフォニーが多く 混沌ポリフォニーの比率は低いです。そこに声楽が抑揚を抑えて入ります。第3幕では合唱パートが厚くなり、ラストは壮大で展開が少し違います。
静的な中にディナーミクが表出するパートは宗教色を抑えめに後期メシアンらしいカラフルな色彩音が溢れて素晴らしいです。

前衛現代音楽家でも宗教曲を書くとその色合いが強くなる事が多いですがそれも弱く、初期の音列配置でもなく、安心してメシアンを楽しめますね。(第3幕合唱パートは若干宗教色が感じられますが)


歌詞と歌唱

神への言葉と祈りに近い宗教色の強さが目立ち、いわゆるオペラのストーリー展開とは異なります。歌い方も表情は薄く、表情の強弱 ディナーミクは演奏側がメインですね。(レプラ患者のThe leperだけは感情が強いですが)


舞台・演技

今回は音楽メインのインプレなので舞台演出等々については記述を控えますが、いずれもシンプルです。オケは舞台奥に位置取り、演技舞台は広くありません。演技も動きの強さは抑えられていますね。


オペラと言うよりも、煌めきと色彩感のある晩年のメシアンらしい素晴らしい音楽です。メシアンの傑作と呼ばれるにふさわしいのですが、いかんせん5時間近くかかります。CDで音楽だけを楽しむにはキツイですね。
やっぱり映像付きの方が字幕(英文)がついてストーリーがわかりやすく楽しめるのでDVD盤がオススメです。

メッツマッハーはディナーミクの切れ味を強くしながらカラフルでキラキラしたメシアンの素晴らしさを掘り深く表現していますね。
ケント・ナガノもディナーミクを生かしますが、煌びやかさよりシャープさです。鋭い切れ味で音楽が突き刺さります。個人的には色彩感のメッツマッハーに軍配です。
両者ともに録音がよく、ダイナミックレンジが広いので楽しめますね。


【後日記】行けなくなっちゃいました…残念 T_T



*レプラ患者とはハンセン氏病患者の事ですね。そのThe leperを黒と黄色の衣装にしている事に違和感を覚えます。今の時代の演出なら配慮があってしかるべきと思いますが、作曲当時の時代反映の結果かもしれません。読響は重い皮膚病としているようですね。




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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