今の時代の米現代音楽ならこの一枚, ジュリア・ウルフ(Julia Wolfe) の Anthracite Fields を聴く
好きな米女性現代音楽家ジュリア・ウルフ(Julia Wolfe, 1958/12/18 - )は、もちろんBang on a Can(以降BOAC) の創設メンバーの一人ですね。前衛とは一線を画すニューヨーク・ミニマルで、諸々紹介済みですので割愛です。
このアルバムは2015年末に発売された室内楽と声楽のためのオラトリオで、ペンシルベニア州の炭鉱労働者たちの過酷な環境を歌ったジュリア・ウルフらしい主張性の強い五楽章形式の楽曲になります。
その前年2014年に出たSteel Hammer(アメリカ開拓史伝説のアフリカ系アメリカ人"ジョン・ヘンリー"を歌っています)を思い出しますね。共に米歴史をモチーフとした構成ですね。
ちなみにAnthraciteとは高炭化度の無煙炭の事で米国が最大埋蔵量を誇って
います。良質石炭で当時は花形でしたが、現在の石炭業は微々たる規模です
フィラデルフィアのMendelssohn Clubによる委嘱作品で、2015年度ピューリッツァー賞音楽部門を受賞しています。ジュリア・ウルフは委嘱を受けて、炭鉱夫やその子供達の多くにインタビューを行い、様々な角度から表現したと書いています。(政治的な問題についても直面したそうです)
演奏はもちろんBOAC All-stars、合唱はThe Choir of Trinity Wall Street(cond. Julian Wachner) になります。2014年4月26日初演時の合唱は当然ながらMendelssohn Club Chorusでした。
Anthracite Fields / Julia Wolfe
1. Foundation
1869-1916年の間の炭鉱夫の事故リストに乗った名前(姓)を歌っています。John名でAからRまでですね。
暗く淀む中に狂気の様な騒音、採掘機?の様な、が時折入ります。ドローンですが、歌詞は途中から詠歌の様に唱えられ声部の厚みを増します。その間も時折機械騒音の様なノイズが割り込み暗い空間音楽ですが、後半は声楽の厚みが宗教曲的に響く様に変化しミニマル的演奏も現れます。20'近い最も長い第一楽章で、素晴らしいです!!
2. Breaker Boys
炭鉱で働く子供達はBreakerと呼ばれるシュートに運ばれる石炭から不純物を素手て取り除く作業をしていたそうで、それを歌っています。
テンポのあるミニマルで始まり、Mickyのかわいそうな運命から歌詞が進みます。途中ロンドの様に被りながら'Micky'が反復され、宗教曲的な展開やロックの様な様相も見せます。いかにもBOAC、ジュリア・ウルフの音楽と言った感じです。
3. Speech
アメリカ鉱山合同組合(the United Mine Workers of America)の会長ジョン・L・ルイスのスピーチ原稿だそうです。ルイスは鉱夫の安全や環境改善に務めたという事です。
テープやレコードのノイズの様な音を入れています。重厚な独唱and合唱曲の趣です。
★試しにYouTubeで観てみる?
語りはギターのMark Stewartになります
4. Flowers
一人の女性バーバラ・パウウェルのインタビューにある庭の花、それが互いに助け合える環境の象徴、に基づいているそうです。歌詞はそこにある花の名前を書いています。
美しいフォークソング風のギターの音色に合唱が被ります。ここでも合唱はロンド風になり、演奏も含めミニマル色を濃くしていきます。
5. Appliances
石炭エネルギーがもたらす光と、その影についてです。詳細はぜひライナーノートの原文と歌詞を参照ください。
合唱に変化はありませんが、演奏もここでは主張しています。BOACらしい楽器編成の音色が生かされていますし、パワー溢れる激しいパートも存在します。そんな混沌の中にミニマルが波打ち迫力満点です。"怒りの日"の様な強烈さを感じますね。凄いです!!
★試しにYouTubeで制作ドキュメンタリーを観てみる?
アメリカの歴史的背景から構築されたテーマ、そして今の米現代音楽を代表するBOACらしいサウンド、まさにアメリカの今の音楽です。
米現代音楽、決して前衛ではありません、を聴くときに絶対オススメの一枚です。
オラトリオ構成も素晴らしく、これからもジュリア・ウルフから目が離せません。
◇このblogのジュリア・ウルフ関連投稿記事
このアルバムは2015年末に発売された室内楽と声楽のためのオラトリオで、ペンシルベニア州の炭鉱労働者たちの過酷な環境を歌ったジュリア・ウルフらしい主張性の強い五楽章形式の楽曲になります。
その前年2014年に出たSteel Hammer(アメリカ開拓史伝説のアフリカ系アメリカ人"ジョン・ヘンリー"を歌っています)を思い出しますね。共に米歴史をモチーフとした構成ですね。
います。良質石炭で当時は花形でしたが、現在の石炭業は微々たる規模です
フィラデルフィアのMendelssohn Clubによる委嘱作品で、2015年度ピューリッツァー賞音楽部門を受賞しています。ジュリア・ウルフは委嘱を受けて、炭鉱夫やその子供達の多くにインタビューを行い、様々な角度から表現したと書いています。(政治的な問題についても直面したそうです)
演奏はもちろんBOAC All-stars、合唱はThe Choir of Trinity Wall Street(cond. Julian Wachner) になります。2014年4月26日初演時の合唱は当然ながらMendelssohn Club Chorusでした。
1. Foundation
1869-1916年の間の炭鉱夫の事故リストに乗った名前(姓)を歌っています。John名でAからRまでですね。
暗く淀む中に狂気の様な騒音、採掘機?の様な、が時折入ります。ドローンですが、歌詞は途中から詠歌の様に唱えられ声部の厚みを増します。その間も時折機械騒音の様なノイズが割り込み暗い空間音楽ですが、後半は声楽の厚みが宗教曲的に響く様に変化しミニマル的演奏も現れます。20'近い最も長い第一楽章で、素晴らしいです!!
2. Breaker Boys
炭鉱で働く子供達はBreakerと呼ばれるシュートに運ばれる石炭から不純物を素手て取り除く作業をしていたそうで、それを歌っています。
テンポのあるミニマルで始まり、Mickyのかわいそうな運命から歌詞が進みます。途中ロンドの様に被りながら'Micky'が反復され、宗教曲的な展開やロックの様な様相も見せます。いかにもBOAC、ジュリア・ウルフの音楽と言った感じです。
3. Speech
アメリカ鉱山合同組合(the United Mine Workers of America)の会長ジョン・L・ルイスのスピーチ原稿だそうです。ルイスは鉱夫の安全や環境改善に務めたという事です。
テープやレコードのノイズの様な音を入れています。重厚な独唱and合唱曲の趣です。
★試しにYouTubeで観てみる?
語りはギターのMark Stewartになります
4. Flowers
一人の女性バーバラ・パウウェルのインタビューにある庭の花、それが互いに助け合える環境の象徴、に基づいているそうです。歌詞はそこにある花の名前を書いています。
美しいフォークソング風のギターの音色に合唱が被ります。ここでも合唱はロンド風になり、演奏も含めミニマル色を濃くしていきます。
5. Appliances
石炭エネルギーがもたらす光と、その影についてです。詳細はぜひライナーノートの原文と歌詞を参照ください。
合唱に変化はありませんが、演奏もここでは主張しています。BOACらしい楽器編成の音色が生かされていますし、パワー溢れる激しいパートも存在します。そんな混沌の中にミニマルが波打ち迫力満点です。"怒りの日"の様な強烈さを感じますね。凄いです!!
★試しにYouTubeで制作ドキュメンタリーを観てみる?
アメリカの歴史的背景から構築されたテーマ、そして今の米現代音楽を代表するBOACらしいサウンド、まさにアメリカの今の音楽です。
米現代音楽、決して前衛ではありません、を聴くときに絶対オススメの一枚です。
オラトリオ構成も素晴らしく、これからもジュリア・ウルフから目が離せません。
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