マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 180CD聴き比べ [#11 : 151-160]
マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)交響曲第5番の聴き比べも今回の10CDで160CD(含DVD/BD)まで来ました。まだありますね。
Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs
★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
☆:個人的お勧め
㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)
#1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
#2:20CD M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
#3:25CDインバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ, スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
#4:20CDハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
#5:5CD アバド追悼アバド[x5 ★☆]
#6:15CDマゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
#7:10CDガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
#8:15CDサラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
#9:15CDカサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
#10:10CDゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
#11:10CD 本投稿シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト[☆], エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス[☆], スターン
#12:20CDバリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), ナタリア(アンサンブル)
リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly (2録音)
日本でも人気のシャイー。イメージはロイヤル・コンセルトヘボウとゲヴァントハウスですね。その両オケとマーラーの5番を残しています。
★
Royal Concertgebouw Orchestra
[Decca] 1997-10
常任指揮者(1988-2004)を勤めていた時代のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とのマーラー5ですね。
■ 第一部
晴れやかなファンファーレからスローでディナーミクの葬送行進曲、第一トリオも激しさより華やかな鳴り、第二トリオの哀愁も美しさを感じますね。
第二楽章第一・第二主題の対比は標準的ですが、音に艶やかさがあります。展開部"烈→暗→明"のコントラストも、再現部第二主題のピークも、鳴りの良さと落ち着きが光ります。
■ 第二部
スケルツォ主題はゆったり大きく、レントラー主題は緩やか優美そのもの。第三主題も美しさと僅かに感じる哀愁、変奏パートもアゴーギクがフィット。展開部ではテンポアップでスッキリさせて、再現部は華やかな第三主題からコーダを派手派手しく飾り立てます。優美なスケルツォを代表する素晴らしい第三楽章ですね。
■ 第三部
第四楽章は落ち着いて甘美さを抑えたクールな美しさのアダージェットです。イイですね。
最終楽章提示部二つの主題をスッキリと見晴らし良く、展開部も入りから派手に速めに進みピークを快感に鳴らします。再現部山場からコーダは盛大です。見晴らし良い第三部です。
晴れやか華やかなマーラー5です。激しさも哀愁も、それ以上に鳴りの良さが際立ちますね。その手の方向性が好きな方にはベスト・マッチでしょう。
落ち着いて音が華やかなのはコンセルトヘボウらしさが発揮されているのでしょう。やっぱり☆でしょうかねェ
落ち着いて音が華やかなのはコンセルトヘボウらしさが発揮されているのでしょう。やっぱり☆でしょうかねェ
Gewandhausorchester Leipzig
[Accentus] 2013-2/21,22 DVD
RCOから16年後、カペルマイスター(2005-2016)を務めたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との映像付き録音になります。
■ 第一部
葬送行進曲は少し速くなっていますね。第一トリオは程よい激しさになり、第二トリオ哀愁も落ち着いた流れになっています。
アタッカで入った第二楽章第一主題は切れ味鋭く、第二主題はやや速めながら哀愁はマイルドです。展開部・再現部も基本の流れがシャープさになって、コントラストが明快です。気持ち良い主流派の第一部になりました。
■ 第二部
スケルツォ主題はリズムカル華やかに、そしてレントラーの優美さへ繋ぐ流れの良さ。第三主題オブリガートホルンは朗々と、ここはRCOより見事。変奏パートもシャープなアゴーギクです。続く展開部と再現部も三主題の間に切れ味でコントラストを付けています。もちろんコーダはハイスピード疾走です。RCOの優美さから 締まってシャープなスケルツォになっています。
■ 第三部
主部は速めで甘美さを避け感情抑え気味、途中アゴーギクとディナーミクで濃厚な流れも見せる少し変則的なアダージェットです。
最終楽章も提示部でフーガ的良い流れを上手く作り、展開部は終始切れ味良く、再現部の山場、そしてコーダ・フィニッシュをキレキレに仕留めます。(シャイーはプレストを生かすためにラストのアッチェレランドを否定していますね。それでもしっかり走らせていますが)
王道で完成度の高いマーラー5ですね。明らかにドイツ・オケのマーラーらしい切れ味の演奏で快感を味えます。
RCOとゲヴァントハウス、二つのオケの個性を見事に引き出したシャイーの素晴らしさですね。指折りの二つなのに☆を付け難いのは、クセ(独特の個性)を感じないからかもしれません。
RCOとゲヴァントハウス、二つのオケの個性を見事に引き出したシャイーの素晴らしさですね。指折りの二つなのに☆を付け難いのは、クセ(独特の個性)を感じないからかもしれません。
このセットで2014年に来日、マーラー第7番良かったですね。
アレクサンドル・スラドコフスキー, Alexander Sladkovsky
[Melodiya] 2016
ロシア人指揮者スラドコフスキーが首席指揮者・芸術監督を務めるタタルスタン国立交響楽団を振ったマーラー5ですね。
■ 第一部
少し揺さぶりを入れたファンファーレから淡々とした葬送行進曲も僅かなアゴーギクを感じます。第一トリオはスタンダードな激しさ、哀愁の第二トリオは速めあっさりから揺さぶります。
第二楽章第一主題は速めで強音主体、第二主題はあっさり風味です。展開部は第二主題の揺さぶり、すんなり行くかと思った再現部も山場に揺さぶりでクセを見せますね。不安定な流れで落ち着かない第一部です。
■ 第二部
スケルツォ主題は微妙なリズムを与え、レントラーは優美ですが僅かに揺さぶりを入れています。すでに耳が疑って素直に聴けなくなっています。第三主題は変奏パート含めクセが無いのですが、短い展開部はテンポ変化を付けます。再現部の三つの主題も強いテンポ変化になり、コーダは猛烈。何が焦点なのか不明な第三楽章です。
■ 第三部
第四楽章はスローで奇妙〜な揺らぎと、山場・ラスト大音響の超変則アダージェットです。これはかなり変わってますねェ。
第五楽章はまず第二主題が速くコデッタでスローにと中途半端、展開部では不自然な揺さぶりをトッピング、再現部は見事に正攻法でコーダはしっかりアッチェレランド、なんとも中途半端な最終楽章です。
方向性がバラバラで落ち着かないマーラー5です。随所に振られたテンポ変化から、丸々スタンダードなパートもあったりディナーミクも利かせたりと、流れが定まらりません。
そんな中アダージェットだけは強烈なクセで魅せてくれましたw
そんな中アダージェットだけは強烈なクセで魅せてくれましたw
ソン・シーヨン, Shiyeon Sung
[DECCA] 2016-6/9
韓国人女性指揮者シーヨンが首席指揮者を務める京畿道立オーケストラを振った演奏です。残念ながら両者知見がありません。
■ 第一部
僅かにアゴーギクを感じる葬送行進曲、第一トリオは速めでややバランスに不安を残し、スタンダードな第二トリオからの静的収束はどこかまとまりの弱さが残ります。
第二楽章は提示部の第一・第二主題も、展開部"烈→暗→明"のコントラストも、再現部の両主題も ほぼ標準仕様ですが、何処かオケの不安定さが気になる第一部です。
■ 第二部
スローなスケルツォ主題は間延び感、レントラー主題はスロー揺さぶりです。第三主題オブリガート・ホルンの音色がこのオケを象徴している感じで、それなりに聴こえる中に何処か不安定さを感じさせます。一部スロー以外は概ね標準的ですが何処か不安感の第三楽章です。
■ 第三部
第四楽章は染み入る様な美しさですが、不安定なスローが落ち着かないアダージェットです。
第五楽章は第一主題スローから第二主題でテンポを戻しますが、一体感を欠く慎重さを感じます。展開部は標準的ですがモッソリ、再現部山場からコーダはこの曲らしさです。最後まで気持ち良く聴かせてくれませんでしたね。
不安感を残す慎重な運転のマーラー5です。流れは標準仕様に多少のスローをスパイスにしていますが、特徴的なものはありませんね。あるとすれば全て一体感の弱さに集束されている感じです。
至る処に心許なさが残り、スカッとした見晴らしの良さが欲しいと思いました。
至る処に心許なさが残り、スカッとした見晴らしの良さが欲しいと思いました。
エド・デ・ワールト, Edo de Waart
Netherlands Radio Philharmonic
[RCA] 1992-10/17
(個人的所有は下の全集になりますね)

オランダ人指揮者エド・デ・ワールトがオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めていた時のマーラー・チクルスからの演奏です。
■ 第一楽章・第二楽章
遅めながら締まりある葬送行進曲から一転第一トリオ(第二主題)で派手にと、緩急があります。第二楽章は強い第一主題と落ち着いた第二主題でソナタを構成しますが、激しさより落ち着いた印象の第一部です。
■ 第三楽章
重厚なスケルツォ主題から優美なレントラーへ、展開部・再現部・コーダともコントラスト良く気持ちの良い第二部です。
■ 第四楽章・第五楽章
アダージェットは僅かなアゴーギクを使い澄んだ音色の好きなパターンです。最終楽章は見晴らし良く両主題をフーガ風展開して展開部の山場は適度に、そして再現部の山場を大きく盛り上げてコーダのコラールに繋げます。ラストはアッチェレランドでビシッと締めます。
ワールトらしくスローの美しさと迫力が好バランスのマーラー5です。いいですよね。
クリストフ・エッシェンバッハ, Christoph Eschenbach
[ELS] 2001-1/12
ピアニストにして指揮者、エッシェンバッハが北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者を務めていた時の演奏です。残念ながら非正規盤ですが、他に正規録音CDを2枚出しています。(未所有です)
■ 第一楽章・第二楽章
スローな第一主題の強音は暴れます。第二主題(第一トリオ)は適度にテンポアップですが、ここでも少々荒れる気配を見せて面白いです。第二楽章第一主題は荒々しく一転美しく第二主題へ繋げて、全体としては荒れる強音とスローのコントラストの第一部です。
■ 第三楽章
スケルツォはそれらしく流れ良く、レントラーも優美で心地よいです。展開部・再現部も緩急で表情豊か、見晴らしの良い第二部ですね。コーダからフィニッシュはシャープです。
■ 第四楽章・第五楽章
アダージェットは12'と長め、アゴーギクが振られて緩急強めですが悪くありません。第五楽章はテンポ速く主題を絡ませて展開部山場は荒れ気味に、そして壮大に再現部山場を築きます。ラストはそのままコーダからフィニッシュへ駆け上がります。
スローパートはともかく、緩急と荒れる強音パートが楽しいマーラー5です。DDDstereoとある通り非正規録音としては音もいいですね。
フランク・シップウェイ, Frank Shipway
[RPM] 1996
所有盤とは異なりますが、同録音かと...(Kaplan Foudationにより録音は1996年一回です)
シップウェイがロイヤル・フィルハーモニー管を振った英国セットの演奏です。
■ 第一楽章・第二楽章
派手さと陰鬱さの第一楽章葬送行進曲、華々しい第二主題と目一杯鳴らします。第二楽章も派手な第一主題からソフトな第二主題へと目まぐるしさの第一部です。
■ 第三楽章
華やかすぎるスケルツォから静的に引いたレントラー、このコントラストが全体を通していますがそれ以外の変化に乏しく長く感じます。ラストは激走ですがw
■ 第四楽章・第五楽章
アダージェットはスローで冷たさを感じる美しい流れですが、強音パートの響きは大きすぎ。第五楽章は二つの主題がシャープな音色で上げていき、自然な流れで展開部山場を迎えます。再現部山場からラストまでは派手で華々しいです。
20bit録音32bit編集を売りにしてます。それだけでなくミキシング・マスタリングでの作意が大きく反映されていますね。
派手でキラキラ、不自然さが気になるマーラー5です。
派手でキラキラ、不自然さが気になるマーラー5です。
パーヴォ・ヤルヴィ, Paavo Järvi
[major BD] 2011-6/25,26
当時首席指揮者だったパーヴォ・ヤルヴィがフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振った演奏です。所有はBD(第6番とカップリング)で、DVDもありますがCD発売がありませんね。
■ 第一楽章・第二楽章
落ち着いた葬送行進曲で始まる第一楽章、第二主題(第一トリオ)もテンポアップはしますが攻撃的ではなく、第二トリオも殊更に落としません。第二楽章第一主題は切れ味良く、第二主題は丁寧さを感じます。展開部のチェロパートは美しく、通して興奮よりも耽美な第一部ですね。
■ 第三楽章
スケルツォはスローで入り、レントラー主題も入りはスローでまさに優美です。第二トリオもスローで美しく、*オブリガート・ホルンは指揮者横の起立演奏でソロの扱いです。厄介なこの楽章をうまくこなして、流麗な第二部ですね。
■ 第四楽章・第五楽章
アダージェットは暖色系の流れですね。もうちょっと薄く細く演奏してもらえると嬉しかったですね。最終楽章はうまく間をとった入りで緩やかに上げていきます。展開部山場を広がり良く盛り上げて、再現部の山場からコーダは雄大で見事。ラストのアッチェレランドもビシッと決めました。
*オブリガートホルンをソロ風にコンマスの横に置いたのはメンゲルベルクが実施したわけですが着座でしたね。
hr響の演奏も丁寧でまとまりが素晴らしく、流れの美しいマーラー5です。アダージェットが好みなら☆かも。BDの録音の良さもあるでしょう。
アンドリス・ネルソンス, Andris Nelsons
Lucerne Festival Orchestra
[accentus DVD] 2015-8/19,20
(所有はDVDサイズのデジパック仕様ですが...)
ラトビア人指揮者ネルソンスがアバドの後を引き継いたルツェルン祝祭管弦楽団の音楽監督時代の演奏ですね。所有はDVDでCDは出ていない様です。
■ 第一楽章・第二楽章
ファンファーレから第一主題へは大きく落とします。憂いを帯びた葬送行進曲から第一トリオへはテンポと切れ味を上げた展開になりますね。第二楽章は第一主題の激しさに始まり第二主題ではトーンを落として展開部・再現部も癖のない流れでコーダ前の雄大感が良いですね。
■ 第三楽章
スケルツォ主題は優美、レントラーは美しさが溢れますね。第三主題オブリガート・ホルンの鳴りも良く、優しを感じる提示部です。展開部もスローを美しく描きます。コーダの切れ味とのコントラストも見事です。
■ 第四楽章・第五楽章
第四楽章は、それまでの良さを最大限生かした流れで山場の甘美さも殺し透明感の静音をクールに奏でます。屈指のアダージェット、好きなパターンです。第五楽章も序奏・第一主題・第二主題が優美に流れます。その後の二つの山場を見事に超えて、コーダは切れ味、そしてラストは見事なアッチェレランドでした。
拍手喝采、最後はスタンディングオベーションで、指揮者への拍手では演奏者は起立を譲り足踏みで答えるという最高のコンサートの姿がありました。(DVD/BDでapplauseを最後まで見たのは初めてですw)
スロー静音の美しさを生かし、激しさよりも憂いと優美、広がりを感じる一味違うマーラー5ですね。演奏もまとまりが良く、おすすめの一枚。ネルソンス侮れず!
BD盤もあります。えっ、高いですねぇ。
マイケル・スターン, Michael Stern
[SR] 1997-7/12
(所有はCDですがamazonでは見つかりません)
米人指揮者スターンが*ザールブリュッケン放送交響楽団の首席指揮者に就任して1年後の演奏ですね。*現 ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(Deutsche Radio Philharmonie Saarbrücken Kaiserslautern)
■ 第一楽章・第二楽章
葬送行進曲は落ち着いて、第二主題(第一トリオ)では適度な激しさ、第三主題からトーンを強めに落とします。第二楽章は速めな第一主題から、第二主題も陰鬱ながら速めに変化させます。基本速めの中、特徴的なのは展開部のトリオ?の静音スローですね。ややアゴーギクにクセのある第一部です。
■ 第三楽章
第一主題はスケルツォらしさ、第二主題レントラーも優美ですが、いずれ速めです。その後も同展開で、時折静音パートでスローになります。落ち着かない感の第二部ですね。
■ 第四楽章・第五楽章
アダージェットは予想通りにスロー、あっさり風味は良いのですがフラットです。最終楽章は良いリズムで主題をフーガで絡めます。山場、コーダは見事。この楽章が一番クセがありません。
速めベースで一部静音ではスロー、落ち着かないマーラー5です。ここまで感情を殺したアダージェットも珍しいかも。
次はいよいよ残しておいた、ワルターやメンゲルベルク(アダージェットのみCDあり)と言ったマーラーを知っている人、米国にマーラーを紹介しバーンスタインにバトンタッチしたミトロプーロスと言った古い音源のインプレをしようと思います。