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マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 190CD聴き比べ [#11 : 151-170]


マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)交響曲第5番の聴き比べも今回の20CDで170CD(含DVD/BD)まで来ました。
後半に1960年台以前の古い録音をまとめて置いてあります。


Mahler Symphony No.5 -- 190 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル[x2], ドホナーニ, 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, マーツァル[x2], シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:20CD 本投稿
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト, エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス, スターン, デプリースト, ワルター[☆], ミトロプーロス[㊟], ケンペ, ロスバウト, パレー[㊟], ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ルドルフ・シュワルツ
 #12:20CD
クルンプ, バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ズィロウ・チャン, フックス, フロマン, ブリッグス(オルガン), トレンクナー&シュパイデル(ピアノDuo), ミヒャエル・ナナサコフ(ピアノDuo), ナタリア(アンサンブル), ホルスト=シンフォニエッタ(アンサンブル)




リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly (2録音)

日本でも人気のシャイー。イメージはロイヤル・コンセルトヘボウとゲヴァントハウスですね。その両オケとマーラーの5番を残しています。



(#1)

Royal Concertgebouw Orchestra
[Decca] 1997-10


常任指揮者(1988-2004)を勤めていた時代のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とのマーラー5ですね。


【第一部】
晴れやかなファンファーレからスローでディナーミクの葬送行進曲、第一トリオも激しさより華やかな鳴り、第二トリオの哀愁も美しさを感じますね。
第二楽章第一・第二主題の対比は標準的ですが、音に艶やかさがあります。展開部"烈→暗→明"のコントラストも、再現部第二主題のピークも、鳴りの良さと落ち着きが光ります。

【第二部】
スケルツォ主題はゆったり大きく、レントラー主題は緩やか優美そのもの。第三主題も美しさと僅かに感じる哀愁、変奏パートもアゴーギクがフィット。展開部ではテンポアップでスッキリさせて、再現部は華やかな第三主題からコーダを派手派手しく飾り立てます。優美なスケルツォを代表する素晴らしい第三楽章ですね。

【第三部】
第四楽章は落ち着いて甘美さを抑えたクールな美しさのアダージェットです。イイですね。
最終楽章提示部二つの主題をスッキリと見晴らし良く、展開部も入りから派手に速めに進みピークを快感に鳴らします。再現部山場からコーダは盛大です。見晴らし良い第三部です。


晴れやか華やかなマーラー5です。激しさも哀愁も、それ以上に鳴りの良さが際立ちますね。その手の方向性が好きな方にはベスト・マッチでしょう。

落ち着いて音が華やかなのはコンセルトヘボウらしさが発揮されているのでしょう。やっぱりでしょうかねェ






(#2)
Gewandhausorchester Leipzig
[Accentus] 2013-2/21,22 DVD


RCOから16年後、カペルマイスター(2005-2016)を務めたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との映像付き録音になります。


【第一部】
葬送行進曲は少し速くなっていますね。第一トリオは程よい激しさになり、第二トリオ哀愁も落ち着いた流れになっています。
アタッカで入った第二楽章第一主題は切れ味鋭く、第二主題はやや速めながら哀愁はマイルドです。展開部・再現部も基本の流れがシャープさになって、コントラストが明快です。気持ち良い主流派の第一部になりました。

【第二部】
スケルツォ主題はリズムカル華やかに、そしてレントラーの優美さへ繋ぐ流れの良さ。第三主題オブリガートホルンは朗々と、ここはRCOより見事。変奏パートもシャープなアゴーギクです。続く展開部と再現部も三主題の間に切れ味でコントラストを付けています。もちろんコーダはハイスピード疾走です。RCOの優美さから 締まってシャープなスケルツォになっています。

【第三部】
主部は速めで甘美さを避け感情抑え気味、途中アゴーギクとディナーミクで濃厚な流れも見せる少し変則的なアダージェットです。
最終楽章も提示部でフーガ的良い流れを上手く作り、展開部は終始切れ味良く、再現部の山場、そしてコーダ・フィニッシュをキレキレに仕留めます。(シャイーはプレストを生かすためにラストのアッチェレランドを否定していますね。それでもしっかり走らせていますが)


王道で完成度の高いマーラー5ですね。明らかにドイツ・オケのマーラーらしい切れ味の演奏で快感を味えます。

RCOとゲヴァントハウス、二つのオケの個性を見事に引き出したシャイーの素晴らしさですね。指折りの二つなのにを付け難いのは、独自の個性(クセ?!)を感じないからかもしれません。

このセットで2014年に来日、マーラー第7番良かったですね。




アレクサンドル・スラドコフスキー, Alexander Sladkovsky

Tatarstan National Symphony Orchestra
[Melodiya] 2016

7CDsetで、マーラーの1, 5, 9番をコンドラシンとの聴き比べBOXです。コンドラシンの第5番がモスクワ・フィルになっていますが間違いで、ロシア国立交響楽団が正解です。(by Kaplan Foundation)

ロシア人指揮者スラドコフスキーが首席指揮者・芸術監督を務めるタタルスタン国立交響楽団を振ったマーラー5ですね。


【第一部】
少し揺さぶりを入れたファンファーレから淡々とした葬送行進曲も僅かなアゴーギクを感じます。第一トリオはスタンダードな激しさ、哀愁の第二トリオは速めあっさりから揺さぶります。
第二楽章第一主題は速めで強音主体、第二主題はあっさり風味です。展開部は第二主題の揺さぶり、すんなり行くかと思った再現部も山場に揺さぶりでクセを見せますね。不安定な流れで落ち着かない第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は微妙なリズムを与え、レントラーは優美ですが僅かに揺さぶりを入れています。すでに耳が疑って素直に聴けなくなっています。第三主題は変奏パート含めクセが無いのですが、短い展開部はテンポ変化を付けます。再現部の三つの主題も強いテンポ変化になり、コーダは猛烈。何が焦点なのか不明な第三楽章です。

【第三部】
第四楽章はスローで奇妙〜な揺らぎと、山場・ラスト大音響の超変則アダージェットです。これはかなり変わってますねェ。
第五楽章はまず第二主題が速くコデッタでスローにと中途半端、展開部では不自然な揺さぶりをトッピング、再現部は見事に正攻法でコーダはしっかりアッチェレランド、なんとも中途半端な最終楽章です。


方向性がバラバラで落ち着かないマーラー5です。随所に振られたテンポ変化から、丸々スタンダードなパートもあったりディナーミクも利かせたりと、流れが定まらりません。

そんな中アダージェットだけは強烈なクセで魅せてくれましたw





ソン・シーヨン, Shiyeon Sung

Gyeonggi Philharmonic Orchestra
[DECCA] 2016-6/9


韓国人女性指揮者シーヨンが首席指揮者を務める京畿道立オーケストラを振った演奏です。残念ながら両者知見がありません。


【第一部】
僅かにアゴーギクを感じる葬送行進曲、第一トリオは速めでややバランスに不安を残し、スタンダードな第二トリオからの静的収束はどこかまとまりの弱さが残ります。
第二楽章は提示部の第一・第二主題も、展開部"烈→暗→明"のコントラストも、再現部の両主題も ほぼ標準仕様ですが、何処かオケの不安定さが気になる第一部です。

【第二部】
スローなスケルツォ主題は間延び感、レントラー主題はスロー揺さぶりです。第三主題オブリガート・ホルンの音色がこのオケを象徴している感じで、それなりに聴こえる中に何処か不安定さを感じさせます。一部スロー以外は概ね標準的ですが何処か不安感の第三楽章です。

【第三部】
第四楽章は染み入る様な美しさですが、不安定なスローが落ち着かないアダージェットです。
第五楽章は第一主題スローから第二主題でテンポを戻しますが、一体感を欠く慎重さを感じます。展開部は標準的ですがモッソリ、再現部山場からコーダはこの曲らしさです。最後まで気持ち良く聴かせてくれませんでしたね。


不安感を残す慎重な運転のマーラー5です。流れは標準仕様に多少のスローをスパイスにしていますが、特徴的なものはありませんね。あるとすれば全て一体感の弱さに集束されている感じです。

至る処に心許なさが残り、スカッとした見晴らしの良さが欲しいと思いました。





エド・デ・ワールト, Edo de Waart

Netherlands Radio Philharmonic
[RCA] 1992-10/17



(個人的所有は下の全集になりますね)
mahler-EdoDeWaart.jpg

オランダ人指揮者エド・デ・ワールトがオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めていた時のマーラー・チクルスからの演奏です。


【第一部】
スローで憂いのある葬送行進曲から第一トリオではバランス良い派手さ力感に、第二トリオは哀愁感が強めになっています。
第二楽章は手堅く鳴らす第一主題と落ち着いたスロー第二主題であっさりとした提示部。展開部も"烈→暗→明"をクセなくコントラスト弱めに、と 淡白でスローが気になる第一部です。

【第二部】
スローで軽妙なスケルツォ主題、レントラー主題は優美さがピッタリとフィットしています。第三主題はオブリガートホルンと弦楽が緩やかに、変奏パートもスロー基調、その流れを締める展開部はしっかり鳴らして上手いコントラストです。再現部からコーダも締めるパートは切れ味を見せますが、スローな平坦さが今ひとつのスケルツォです。

【第三部】
第四楽章主部は緩やかなアゴーギクで澄んだ音色、中間部は透明感が光ります。全体リタルダンドの心地良いアダージェットで今回一の楽章です。
最終楽章は両主題を程よいテンポで絡める本道的、安心しますね。でも展開部は緩く入るでのガクッw 再現部山場からコーダはスローで高らかに、ラストはアッチェレランドでビシッと締めます。


スロー&淡白のパートがもどかしいマーラー5です。ワールトらしく興奮を避けたのがこの曲では裏目に出ている感じでしょうか。もちろん急所は締めているのですが…

以前はこの穏やかさとのコントラストが良いと思った事もあるのですが、やっぱりもう少し弾けた締まりが欲しいですね。





クリストフ・エッシェンバッハ, Christoph Eschenbach

North German Radio Symphony Orchestra
[ELS] 2001-1/12

ピアニストにして指揮者、エッシェンバッハが北ドイツ放送交響楽団(現:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)の首席指揮者(1998–2004)を務めていた時のマーラー5です。所有は残念ながら非正規盤ですが、他に正規録音盤を2枚出しています。(未所有です)


【第一部】
引っ張る様なアゴーギクのファンファーレから鬱の葬送行進曲ですが、微妙なアゴーギクでファンファーレが入ると暴れます。第一トリオは約束通りのテンポアップ、第二トリオもクセのない哀愁になっていて安定感があります。その間の主部回帰は揺さぶっていますが。
第二楽章第一主題は少し荒っぽさも見せて面白さがあり、第二主題は穏やかな哀愁です。展開部ではvc動機の静スローを強調、再現部はSTDな印象。標準的流れにアゴーギクの色添えの第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題は軽快で舞踏的、レントラー主題は軽妙洒脱でバランス良く、第三主題のオブリガートホルンと弦楽はスローで落ち着いた流れと、コントラストが良い提示部です。展開部は一気に明るさを増して弾け、再現部は落ち着いた流れ。コーダは炸裂です!!三主題のコントラスト付けが上手い第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は透明感あるスロー静美、中間部も繊細さが光ります。感情を抑えたクールで好きなアダージェットです。
第五楽章は序奏を揺さぶって入り、テンポ速く二つの主題を絡ませてコデッタも速いです。展開部は入りから力感を入れて来るパターン。再現部冒頭第一主題回帰は変則的スローですが、山場からコーダは荒っぽさを生かして鳴らし、フィニッシュはアッチェレランドを決めます。


標準仕様+αで気持ちの良いマーラー5です。多少の荒っぽさやアゴーギクのトッピングがフィットして、その+α要因になっていますね。

DDDstereoとあって放送音源かもしれませんが、非正規盤としては十分な音質でしょう。





フランク・シップウェイ, Frank Shipway

Royal Philharmonic Orchestre
[RPM] 1996


所有盤とは異なりますが、同録音かと...(Kaplan Foudationにより録音は1996年一回です)

シップウェイがロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を振った英国セットの演奏です。


【第一部】
繊細さからディナーミクを振るコントラストある葬送行進曲、第一トリオはテンポアップで派手に鳴らし、第二トリオの哀愁は鋭さを感じます。
第二楽章第一主題は怒涛に、第二主題はスロー静に極端に落とします。展開部の"烈→暗→明"のコントラストは極端で、vc動機はppppくらいに感じますね。再現部第二主題のピークはキンキンする金管がすごいです。極端なコントラスト付けの第一部です。

【第二部】
管楽器が華やかに鳴らすスケルツォ主題は速め、レントラー主題は弦楽の静優美でホッとします。第三主題のオブリガートホルンはスロー静に鳴らし、弦楽との協調を上手く作っていますね。展開部は本領発揮のギラギラした激しさを見せ、再現部も金管群が目立ちます。コーダはもちろん爆裂キンキンです。スケルツォとは思えないド派手な管楽器が目立ちます。

【第三部】
第四楽章主部は静スローの冷たい空気感でgood!すが、ピークではスローでドッシリと構えます。12.5'かかりクセの強いアダージェットですね。
第五楽章は二つの主題が切れ味よく上げて進み、コデッタ主題も優美ながら速めです。展開部は予想通り華やかに進めて山場は管楽器がキンキンに鳴らします。再現部山場からコーダはタメを作って、フィニッシュのアッチェレランドです。


ギラギラ宝飾品的なマーラー5です。アゴーギクとディナーミクを最大限使い、管楽器が突き抜ける様に響き渡ります。演奏・録音の完成度も高く、類型の浮かばない面白さがあります。

個性派マーラー5の一枚ですね。ですか? それはないかと…
20bit録音32bit編集を売りにした作り込みによる多少の不自然さは我慢が必要ですから。





パーヴォ・ヤルヴィ, Paavo Järvi

Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[major BD] 2011-6/25,26


当時首席指揮者(2006-2014)だったパーヴォ・ヤルヴィがフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振ったマーラー5です。所有はBD(第6番とカップリング)で、DVDもありますがCD発売がありませんね。


【第一部】
標準的な葬送行進曲から、第一トリオはテンポアップを強めますが、第二トリオの哀愁は程々に戻します。
第二楽章第一, 第二主題は一楽章トリオ再現的、展開部はvc動機スロー強調的。通してSTDに僅かにテンポを振った第一部です。

【第二部】
スケルツォは真面目さ、レントラー主題も入りはスローで少し揺さぶります。両主題に欲しい洒脱さが見えませんね。第三主題はhrが美しく鳴らし、変奏パートはスローのアゴーギクです。*オブリガート・ホルンは指揮者横の起立演奏でソロの扱いですね。展開部冒頭でスローの個性を見せますが一瞬です。コーダは鳴らしますが炸裂感はありません。まとまり良くクセの少ないスケルツォ楽章ですね。
*オブリガートホルンをソロ風にコンマスの横に置いたのはメンゲルベルクが実施したわけですが着座でしたね。

【第三部】
第四楽章は暖色系の美しい流れで、夏の夕暮れに静かに夕焼けを見る様なアダージェットです。
最終楽章は極STDな流れの提示部、展開部もクセは皆無で気持ち良く鳴らして、再現部の山場からコーダは雄大。ラストのアッチェレランドも決めました。でも、まとまり過ぎでLIVEならではの一体感や熱狂がありませんね。


まとまり良い標準仕様のマーラー5です。完成度も高いのですが、惹きつけられる個性やコンサートの一体感・情熱が見当たりません。

作り込んだセッション録音みたいですが、初めて聴くなら絵付きでグッド・チョイスの一枚かも。





アンドリス・ネルソンス, Andris Nelsons

Lucerne Festival Orchestra
[accentus DVD] 2015-8/19, 20


(所有はDVDサイズのデジパック仕様ですが...)

ラトビア人指揮者ネルソンスが、2014年に亡くなったアバドの後を受けてルツェルン祝祭管弦楽団を振ったマーラー5ですね。所有はDVDでCDは出ていない様です。


【第一部】
力感のファンファーレから憂いを帯びたスローの葬送行進曲、第一トリオはテンポと切れ味を上げた心地良い広がりになりますね。第二トリオの哀愁は静美に鎮めて入って広げます。
第二楽章は第一主題の激しさに始まり第二主題では緩やかな哀愁を奏でます。展開部はバランス良い序奏・vc動機・第二主題のコントラストで、再現部はコントロールされた激しさがイイですね。バランス良く鳴りの美しい第一部ですね。

【第二部】
スケルツォ主題は速め優美、レントラーは緩いアゴーギクで美しさが溢れます。第三主題オブリガート・ホルンの鳴りも良く、穏やかさの提示部です。展開部も激しさほどほどで広がりある快適さ、再現部も三つの主題を優美に並べる感じです。心地良さが印象的なスケルツォ楽章です。コーダはコントロールある切れ味がフィットしていますね。

【第三部】
第四楽章主部は緩やかなアゴーギクが作るスロー静美、山場も抑えて中間部は一層澄んだ透明感、静でクールな美しさのアダージェットです。
第五楽章も第一・二主題は優美さを感じる絡みで、もちろんコデッタ主題はより優美に。展開部も程良い力感でゆったりと昇り、山場は鳴り良く広げます。再現部主題部はスロー、テンポアップで山場からコーダは急がず高らかに、フィニッシュは力感抑え気味ながらアッチェレランドを決めました。

拍手喝采、最後はスタンディングオベーションで、指揮者への拍手では演奏者は起立を譲り足踏みで答えるという最高のコンサートの姿がありました。


鳴りが良く広がりを感じるマーラー5です。管楽器を始めとする演奏も程良くまとまり、音質の良さもあって心地良さが味わえますね。

激しさよりも心地良さで、その手の演奏が好きな方にはおすすめ出来る一枚です。

BD盤もあります。えっ、高いですねェ。




マイケル・スターン, Michael Stern

Rundfunk Sinfonieorchester Saarbrücken
[SR] 1997-7/12


米人指揮者スターンが*ザールブリュッケン放送交響楽団の首席指揮者に就任して1年後の演奏ですね。*現 ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(Deutsche Radio Philharmonie Saarbrücken Kaiserslautern)


【第一部】
葬送行進曲は速めながら落ち着いて、第一トリオでは適度な激しさ、第二トリオも速めの哀愁ですがいずれも違和感はありません。
第二楽章も速い第一主題から、第二主題もマイルドな哀愁ながら速め。基本速めの中、展開部のvc動機はやっぱり静音スローですね。それでも少し速いかも。丁寧で速い流れの第一部です。

【第二部】
スケルツォ主題はhrも朗々とした心地良さ、レントラー主題も優美な弦楽奏、いずれも速めですね。第三主題のオブリガート・ホルンと弦楽のバランスがgood、弦楽はアゴーギクを利かせます。展開部は速めがフィットしてスカッとしていますが、再現部は各主題のコントラスト付けにもう少しメリハリが欲しい気がしますね。コーダもまとまり過ぎの感じです。全体速めながらしっかりスケルツォしている第三楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は一人静かに森林の温泉を楽しむ穏やかさ、中間部もクールな美しさに決めています。流れ一転のスロー、暖色系の美しいアダージェットです。
最終楽章は速めのリズムで二つの主題をフーガ風に絡めコデッタは優美に、見晴らし良い提示部です。展開部は管楽器を良く鳴らして気持ち良く進め、山場は大きく。再現部山場からコーダはまとまり良く派手に鳴らし、アッチェレランドもビシッと決めます。LIVEとは思えない完成度ですね。


速めですが丁寧にまとめられて心地良いマーラー5です。完成度も高く、スロー&クールのアダージェットもイイですね。地味に好きな一枚です。

スケルツォのコーダや最終楽章コーダで気持ちの入った激しさがあれば見事なマーラー5になった気がします。





ジェームズ・デプリースト, James DePreist

London Symphony Orchestra
[NAXOS] 2005-4/29,30


日本でもお馴染みだった米人指揮者デプリーストとロンドン交響楽団のマーラー5です。


【第一部】
葬送行進曲はとても自然な流れに、第一トリオは程よいテンポアップと切れ味ですが、微妙なアゴーギクをふっていますね。途中でスロー強調の変わり種です。主題回帰でも揺さぶって、第二トリオ抑えた哀愁です。ラストの管楽器が変です。
第二楽章第一主題はナチュラルな緊迫感、第二主題も殊更の哀愁は避けて落ち着いていますね。展開部vcのソロもあっさりと、再現部の第一主題も厳しさはあるのですがあっさりイメージが勝ちますね。

【第二部】
スケルツォ主題はスローでモワッとした流れ、レントラー主題も同じ流れになっていますね。チェンジペースが欲しい第三主題も明確さが不足してわかりづらいです。そこから最後までスロー化して見晴らしが悪くなるのはいただけません。長〜ぃ19'半です

【第三部】
第四楽章主部は終始淡泊ですが、中間部と主部回帰はユルユルのスローです。
第五楽章第一・第二主題は軽妙に絡んで上げて行きます。コデッタ主題も展開部も再現部も標準的に進んで、一番まともな流れを作りますが淡泊。コーダはしっかり締めますが、時すでに遅し…です。


スロー側アゴーギクで締まりに欠けるマーラー5です。また、全体的にディナーミク不足の流れもそう言った印象を与えているでしょうね。

この曲に欲しいシャキッとした流れが無いのが辛い処です。







1960年代以前の古い録音です。古いからといってパスするにはもったいない「故きを温ねて新しきを知る」録音が隠れています。(録音はmono主体で、その良し悪しを問うのは意味がないでしょう)

圧倒的個性を放つシェルヘンの4CDは#2で紹介済みですw

ブルーノ・ワルター, Bruno Walter


New York Philharmonic
[Sony] 1947-2/10


(右はCBS録音のセット物です)

ワルターはマーラーがハンブルク歌劇場の音楽監督(1891ー97)時代に合唱指揮(1994-96)として在籍、その後マーラーが芸術監督のウィーン宮廷歌劇場では副指揮者として活動しています。
そんなワルターが唯一残した第5番(全曲)。ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽顧問(Music Advisor)時代の録音です。


【第一部】
若干速くクセのない葬送行進曲から第一トリオもテンポ速めで激しさへの変化は適度、ごく僅かな揺さぶりが散見出来ます。第二トリオも叙情を利かせますがテンポ変化は付けませんね。
第二楽章第一主題は激しさを増し、第二主題でも叙情性を濃い目に鳴らして来ます。展開部"烈→暗→明"のコントラストはその延長上ですが時代を反映した速さですね。再現部も殊更に激しさを強調する事は無く、ラスト前コラールでそれを披露します。速い流れは時代、これぞ王道です

【第二部】
軽快なスケルツォから優美な弦楽レントラー、速めですね。第三主題はマーラーの「より遅く、落ち着いて」が速さの中に見事に現れます。変奏から展開部も走りますが、流れに違和感は全くありません。注目のコーダはしっかりと鳴らしてまとめ上げます。
今聴き直すととても速い感じですが約15'はこの時代STDタイムかも。(この後の古い録音でもわかります)

【第三部】
第四楽章はマーラー本人と同じ7'台。10分くらいの今の時代よりかなり短いのですが速く感じる違和感はなく、ゆったりと冷静なアダージェットで好みですね。
最終楽章は軽量軽快な第一主題と第二主題が絡みながら上げて行き、展開部と再現部の山場はキッチリ盛り上げてコーダのフィニッシュまで迫力いっぱい。アッチェレランドを強烈に決めます


今の時代の指揮者が繰り出すアゴーギクとディナーミクを剥ぎ取れば この演奏が現れます。全体的に速いのはこの時代らしさ、今は何でもスロー重厚方向と実感しますね。

まさに真髄でマーラー5番ファンは必聴でしょう。(いきなり聴くと呆気なく速いだけに感じるかもしれません。少し聴き込んでからですね)
久しぶりに聴きましたが、聴き終わってから心に余韻が残りますね。

ワルターはアダージェットのみですが更に古い1938年録音をVPOと残しています。#1(参考資料)にインプレしています。





ディミトリス・ミトロプーロス, Dimitris Mitropoulos


New York Philharmonic
[delta] 1960-1/2


ワルターの後ニューヨークフィルの首席指揮者(1949-1958)だったミトロプーロスがその職席を退いた後の録音ですね。ワルターの13年後、バーンスタインの3年前のニューヨークフィルとのマーラー5です。


【第一部】
少し不思議な'間'のファンファーレとゆったりながら微妙な揺さぶりの葬送行進曲、第一トリオは派手で鋭くキレキレに、第二トリオの哀愁は緩やかさで濃厚さは避けています。
第二楽章第一・第二主題は第一楽章の二つのトリオのパロディ、しっかり類型性を見せますね。展開部も激しい序奏から静のvc動機、そして行進曲のコントラストがきっちり成立、再現部も第一主題を派手にコラールもキラキラに鳴らします。構えの大きな正統派第一部ですね。

【第二部】
速めで揺さぶりのスケルツォ主題は優美ではなく暴れ気味、レントラー主題では微妙なアゴーギクで優美さを表現。第三主題主部も速めアゴーギク強めです。短い展開部は緩い第二主題から一気に爆走、再現部第一主題の鳴りはとにかく派手派手、勿論コーダは一呼吸入れてガッツリ!!
速くて揺さぶって華々しいジェットコースターの様な凄いスケルツォ楽章です。速めなのはこの時代のSTDかもしれませんね。

【第三部】
第四楽章主部はスローで"間"を挟む様な揺さぶりを入れて、素直には聴かせない変則アダージェットですね。スローの退屈さは否めませんがw
第五楽章は二つの主題がスローで妙な揺さぶり、展開部は入りから山場のごとくですが途中でスローに揺さぶって来ます。再現部冒頭をスローで入り山場からコーダはガッツリ鳴らして大喝采ですw
聴いた事が無い変な揺さぶりで落ち着かない最終楽章です。


"正統的"な第一部、"個性"の第二部、"奇妙"な第三部、ミトロプーロスNYPの"何だって出来るぞ!!"のマーラー5です。

その中で芯の通った華々しくキレキレなパワーパートが聴き処ですね。似たり寄ったりの今の時代とは違う楽しさが味わえます。





ルドルフ・ケンペ, Rudolf Kempe

Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
[ARCHIPEL] 1948-11/3


(ジャケット写真です)
kempe-mahler5.jpg

ケンペとライプツィヒ放送交響楽団の1940年台の古い演奏です。これもシェルヘンと同じ様にカット短縮盤です。シェルヘンの初録音(1953)よりさらに5年古く、当時の流れでしょう。1970年代くらいまでカット演奏はありましたね。


【第一部】
やたらスローなファンファーレと葬送行進曲、第一トリオもモッタリ、第二トリオも何処かスカッとしません。
第二楽章第一主題はややテンポアップですがそれでもスローでヌケが悪く、第二主題のflは躓きそうな音を出します。その後もフラットスローでモタモタ〜ッと長〜ぃ第一部です。ラストは派手に鳴らしますがw

【第二部】
STD優美なスケルツォ主題、緩やか優美のレントラー主題、ですがフラットなスローに寄り掛かってモッサリ。第三主題主部はSTDスロー、変奏パートは殆どカットで、いきなり展開部ですw 再現部も途中カットで、突然コーダになる不自然さが凄い!!
そして切れ味の無さが光る?!スケルツォ楽章です。

【第三部】
ワルターと比べたら2分近く長いのですが、他の楽章のスローが強烈なのでアダージェットは速く感じます。意外や普通に聴ける唯一の楽章ですね。
第五楽章は序奏のホルンが超怪しげ、第一・第二主題もモワモワ〜っと見晴らしの悪さ抜群!? 展開部は前半カットしていきなり山場へ向かいます。最終楽章も冒頭の主題を一部カット、山場とコーダ・フィニッシュは普通に派手に炸裂させていて残念!?徹底してスローの方が面白かった!? 変なカットで流れが良くわからない最終楽章ですw


演奏も怪しげなら流れもスローモタモタ〜っと怪しげ、怪しげマーラー5の代表です。第四楽章だけはごく普通ですから、全てケンペの意図と言う事になるでしょう。

第三・第五楽章カットもあり、怪しげマニアの貴方には必携盤?!
1948年録音としたら音は充分でしょう。





ハンス・ロスバウト, Hans Rosbaud

Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
[ica] 1951-10/22


大戦前後に活躍した現代音楽が得意な指揮者ロスバウトが、ケルン放送交響楽団(現:ケルンWDR交響楽団 WDR Sinfonieorchester Köln)を振ったマーラー5ですね。


【第一部】
スロー重厚な葬送行進曲から第一トリオは激しさと強烈な速さに表情を一変、第二トリオは哀愁を美しく響かせます。
第二楽章二つの主題は第一楽章の二つのトリオのパロディ、展開部も折り目正しく"烈→暗→明"のコントラストを作ります。再現部第一主題の厳しさは見事で、ラスト前コラールをスローからファストに華やかに鳴らします。ビシッと締まりのいい第一部です。

【第二部】
速くて優美なスケルツォ主題、レントラー主題もリズム強調でスローは避けています。第三主題主部はスローに落として優美さ、変奏パートは速く。展開部は駆け足で、再現部も緩みないハイテンポで駆け抜けます。もちろんコーダは爆演です!!
全体16’弱と速い流れにスロー優美は第三主題のみと言う類を見ない硬派のスケルツォ楽章です。

【第三部】
第四楽章主部は速めの甘美さ、中間部も速く殊更の甘美強調はありません。速め濃いめの一風変わったアダージェットですね。
第五楽章も第一・第二主題を速いテンポで鋭く進め、コデッタで少し優美に。展開部は当然力感ある流れからアゴーギクで山場を怒涛に作り上げます。再現部冒頭で一息、山場はガツッと鳴らして壮大、コーダのアッチェレランドもビシッと決めます。


全楽章ピシッとしたテンポ設定と表情の"硬派のマーラー5"です。つまらない揺さぶりなど無縁ですね。

音も1951年mono録音としては悪くありません。もし今の時代の録音ならですねェ。
もちろん現状でも一聴の価値あり!!です。





ポール・パレー, Paul Paray


Detroit Symphony Orchestra
[TAHRA] 1959-11/12


フランス人指揮者ポール・パレーが音楽監督(1952-1963)を務め鍛えた時代のデトロイト交響楽団とのマーラー5です。


【第一部】
クセのない葬送行進曲ですがファンファーレは荒れます。第一トリオは荒っぽさ、第二トリオの哀愁はスルッと流れる感じ。
第二楽章も同じく第一主題を荒っぽく、第二主題はスルリと。展開部もvc動機がそっけないのが印象的、再現部も第一主題は荒々しくと構成感が明確です。パワーパートがポイントですね。

【第二部】
速くて演奏が不安定なスケルツォから速くて奇妙な揺らぎのレントラー、第三主題も速めアゴーギクと変化球の提示部。展開部は得意の荒っぽさ、再現部も三つの主題は乱暴に、当然コーダは荒く、ですw カットなし15'と速くて変で面白い第三楽章ですw

【第三部】
第四楽章主部は音厚があって濃く、中間部も色濃いですね。ガッツリ濃厚で"間"の薄いアダージェットです。
第五楽章第一・二主題は荒々しく乱暴さが一段ギヤアップ!! コデッタ主題は音が変です。展開部も予想通りに頭から強引で速く山場炸裂、再現部冒頭三主題はあっけなく山場を目指します。力技的に山場を鳴らしまくり、コーダからラストは溜めを作ってアッチェレランドで飛ばし上げます。期待通り一気怒涛の最終楽章です!!


パワーパートの荒々しさが面白いのマーラー5です。おまけに超変則のスケルツォ楽章も見せたりと、レベルです。ただ音はボチボチでmono、パレーの口ずさみがよく聞こえます。好事家の貴方向きですね。

2CDでグレン・グールドのベートーヴェン"ピアノ協奏曲第二番"LIVE(1960年)も入っています。





ヤッシャ・ホーレンシュタイン, Jascha Horenstein

Berliner Philharmoniker
[Edinburgh International Festival] 1961-8/31

フルトヴェングラーの助手を務めた事もあるホーレンシュタインが、1961年のエディンバラ国際フェスティバルでベルリンフィルを振ったマーラー5です。劣悪録音のプライベート非正規盤ですが。


【第一部】
スロー気味でディナーミク強めの葬送行進曲、パワーとスピード感の第一トリオでBPOらしさが出て、第二トリオは静に鎮めている様です。
第二楽章第一主題はかなり揺さぶっている感じです。録音が悪過ぎて…

【第二部】
スケルツォ主題は速く軽妙というよりも華麗で重厚な感じです。それ以上はこの録音ではコメントが難しいですね。

【第三部】
アダージェットは意外やクール? いや濃厚?…この録音ではなんとも言えません。最終楽章はやや飽きが来る展開(録音が悪すぎてフラットになってる?)で、コーダはスローでモッソリ。なおかつ録音が乱れて尻切れとんぼになっています。


演奏は勿体ぶったBPOらしさで悪くなさそうですが、音質は劣悪超酷くインプレは難しいレベルです。まぁ、こんな録音もあると言うことで。





エーリヒ・ラインスドルフ, Erich Leinsdorf

Boston Symphony Orchestra
[RCA] 1963-11/17, 23, 26


ワルターやトスカニーニの助手を務めた辛辣さで知られるラインスドルフが音楽監督を務めた時代のボストン交響楽団とのマーラー5です。この二代後が小澤征爾さんですね。


【第一部】
哀しみと美しさが高バランスの葬送行進曲、一気にハイテンポに上げてシャープな第一トリオ、憂いを軽め速めに聴かせる第二トリオと流れの美しい第一楽章です。
第二楽章は第一楽章の二つのトリオのイメージを再現します。展開部はvc動機から第二主題が聴き処、再現部は主題に激しさのトッピングです。
速め主体で鳴りの良い第一部です。

【第二部】
円舞曲的で表情あるスケルツォ、優美なレントラー、第三主題はhrと弦楽の美しさで変奏パートの速めの流れはフィットですね。展開部はもちろん軽快、再現部は鳴りの良さが光り、コーダは派手派手しく仕上げます。全体速めの美しさで通しています。

【第三部】
第四楽章主部は速めで緩やかなアゴーギク、中間部も揺さぶりを利かせます。8'半と速めで少し濃いアダージェットですね。
第五楽章は軽やか速めに二つの主題を絡め上げていき、展開部も当然の速めで始めから力感を込めています。再現部山場からコーダは一気にハイテンポで気持ち良くまとめます。もちろんアッチェレランドは快感です!!


録音に3日かけてしっかり作り込まれた速めで鳴りの良いマーラー5です。出来過ぎ感が気にはなりますが、すっきりとして一聴の価値ありですね。

現在の一部作品に見られる録音技術で作り込まれた不自然さがないのがいいですね。'63年のステレオ録音ですがADDでD.リマスター、音もバランスも鑑賞レベルでしょう。





カレル・アンチェル, Karel Ančerl

Toronto SO
[TAHRA] 1969-11/4


カレル・アンチェルが小澤征爾さんの後を継いでトロント交響楽団の常任指揮者に就任した年の録音ですね。


【第一部】
少し揺さぶりを入れた葬送行進曲、一気に元気な第一トリオでコントラストを付けていますね。第二トリオは哀愁ですが鎮むよりも流れの良さがあります。
第二楽章第一主題はしっかり強く、第二主題は一楽章第二トリオ再現風で上手い流れですね。展開部は強音パートを荒っぽく鳴らして、再現部でも強音が勝りますが録音の問題かもしれません。不自然なアゴーギクが処々で気になる第一部です。

【第二部】
やたらとスローな超間延びスケルツォ主題、レントラー主題の優美さはまだフィットしている?! 第三主題主部は普通ですが、変奏パートはダラダラ締まりないスロー。テンポアップ必須の展開部も鳴らしますが遅い!! 再現部もゆるゆるズルズルのスローメイン、コーダは鳴らしますが拾っている音のバランスが変です。
全体的に締まりなく20'を超えるダラダラした第三楽章です。(普通は17分くらいです)

【第三部】
第四楽章主部はやや速めで淡々と、中間部も清涼感が見えて意外やクールなアダージェットです。
第五楽章はクセのない序奏、第一・第二主題も標準的に進んでコデッタ主題まで違和感ありませんね。展開部も締まり良く聴かせて、山場前では上手くアゴーギクを使っています。再現部冒頭主題部も表現力を見せて、山場からコーダはビシッと鳴らしてラストはアッチェレランドを決めました。
第三部は見晴らし良い気持ち良い流れが伝わりますね。(録音の見晴らしは酷いですがw)


酷い第一・二部と気持ち良い第三部のマーラー5です。一部・二部はアンフィットなアゴーギクやスローの違和感が強烈。録音も足を引っ張る要因でしょう。

それでも第三部は充分聴かせるので録音が主犯ではありませんね。ただ '69年録音でmono-AAD、音もかなり酷くオーディエンス録音非正規盤レベルで鑑賞には耐えません。





ルドルフ・シュワルツ, Rudolf Schwartz

London Symphony Orchestra
[EVEREST] 1958-11/10,11


オーストリアから英国に移り、英オケの主席指揮者を多く務めたシュワルツがロンドン交響楽団を客演したマーラー5ですね。古いですね、何せ作曲はR.シュトラウスに師事していたそうですから。


【第一部】
葬送行進曲はごく標準的、第一トリオはテンポは抑え気味ですが、適度な激しさのコントラスト付けですね。第二トリオも標準的に哀愁を奏でます。
第二楽章第一主題も適度な激しさで、第二主題は一楽章第二トリオ回帰的、流れは第一楽章の延長線上になっていますね。展開部vc動機も程よい荒れからの静です。再現部も多少のアゴーギクはありますがクセのない流れですね。

【第二部】
スケルツォ主題は緩やか、というよりも少しhrが緩いかもしれません。レントラー主題は小刻み風の流れで速めの優美さです。第三主題はhrが緩やかに鳴らし、穏やかに展開部に入ってスローからファストは標準的ですね。再現部も安定した流れです。オブリガート・ホルンは少し怪しい感じですけどね。

【第三部】
第四楽章は速く、時代を感じさせますね。7'半ですからメンゲルベルクの録音に近いので1958年なら標準でしょうね。くどい甘美ではなく、今の時代の流れを速くしただけの印象です。
第五楽章の第一・二主題もスロー気味のテンポで絡んで、コデッタ主題は優美。展開部から再現部も多少のアゴーギクがあるもののクセなく進んで、コーダは約束通りに締めます。


年代を感じない標準的なマーラー5です。多少の不安定さがある今の時代の流れです。若干のスローのアゴーギクも、時代的な速めのアダージェットもクセ物とまでは行かきませんね。

裏ジャケットに"The Giant"とサブタイトルがあるのが笑えます。録音は1958年とは思えないRemasteringです。






クロイツェル / Königlich Dänisches SO
[CANTUS CLASSICS] 1972

MahlerNo5-Joseph_Kreutzer.jpg

どうもわからない Joseph Kreutzer という指揮者。同名で18-19世紀!の音楽家は存在しています。デンマーク王立交響楽団?、あまり使われない表記?
Kaplan Foundationで確認したところ、上記R.シュヴァルツ指揮ロンドン交響楽団の1958年録音と同一音源でした。
・・・・・
こういう意味不明のCDもあると言う事でw







そろそろ先が見えて来ましたね。次あたりでストック分は終了でしょう。



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