マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 160CD聴き比べ! [#11 / CD:151-160]

グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860/7/7 - 1911/5/18)の交響曲第5番(Symphony No.5)の聴き比べも今回の10CDで160CD(含DVD/BD)まで来ました。まだありますね。
そのうち、indexでも作ろうかと思っています。^^ゞ



後日追記【新譜インプレ】2017年7月発売の2CDは個別にインプレしています
マリス・ヤンソンス / バイエルン放送交響楽団 [2016-3/10,11]
オスモ・ヴァンスカ / ミネソタ管弦楽団 [2016-6]



【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.5 の聴き較べです (現在 #11回 160CDまで)
 #11:10CD 本投稿
 #10:10CD
 #9:15CD
 #8:15CD
 #7:10CD
 #6:14CD
 #5:5CD アバド追悼
 #4:20CD
 #3:25 26CD
 #2:20CD
 #1:15CD




★ シャイー / Royal Concertgebouw Orchestra
[Decca] 1997-10
 リッカルド・シャイー(Riccardo Chailly)が常任指揮者を勤めていた時代のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏ですね。
 スローで重々しい葬送行進曲、第一トリオも激しさより重厚さの第一楽章。第二楽章第一・第二主題はコントラストを標準的に付けています。落ち着き払った第一部です。
第三楽章スケルツォは緩めですが、レントラーは優美です。第二トリオ以降も今ひとつ切れが感じられないのは主役のオブリガート・ホルンの音色と抜けがすっきりしないのもあるでしょう。ややもっそりとした第二部です。
アダージェットはスローですが甘美さは抑えられクールな良い流れです。最終楽章ロンド-フィナーレは途中で微妙な気配はありますがバランスの良い演奏を展開し、山場からコーダ・フィニッシュを迫力で乗り切ります。

・・・・・
丁寧な演奏ですが何か吹っ切れないマーラー5です。個人的には演奏も含めて何かスカッとした感が欲しいところです。



シャイー / Gewandhausorchester Leipzig
[Accentus DVD] 2013-2/21,22
 2005年から2016年までカペルマイスター(音楽監督でいいでしょうね)を務めたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とのDVDになります。
 第一楽章葬送行進曲は少し抑えて、第一トリオ(第二主題)は標準的な変化を見せます。アタッカで入った第二楽章第一主題は切れ味良く、第二主題はやや速めながらマイルドでクセのない主流派の第一部です。
第三楽章スケルツォ主題はリズムカルに、そしてレントラーの優美さへ繋ぐ流れの良さ。第三主題はオブリガートホルンと弦楽器のバランス良く、続く展開部と再現部の心地よさ、シャイーらしさが発揮された第二部と思います。
心持ち速めで甘美さを避け、澄んだ美しさのアダージェットは良いですね。最終楽章も提示部でフーガ的良い流れをうまく作り、展開部・再現部の山場、そしてコーダ・フィニッシュを冷静に仕留めます。(シャイーはプレストを生かすためにラストのアッチェレランドを否定していますね)

・・・・・
音の揃いも良く、クセの少ないマーラー5ですね。人気のシャイーで映像付き、失敗のない選択肢です。
このセットで2014年に来日、マーラー第7番でしたが良かったですね。



スラドコフスキー / Tatarstan National Symphony Orchestra
[Melodiya] 2016
 ロシア人指揮者アレクサンドル・スラドコフスキー(Alexander Sladkovsky)が首席指揮者・芸術監督を務めるタタルスタン国立交響楽団を振った演奏ですね。
7CDsetで、マーラーの1, 5, 9番をコンドラシンとの聴き比べBOXです。コンドラシンの第5番がモスクワ・フィルになっていますが間違いで、ロシア国立交響楽団が正解です。(by Kaplan Foundation)
 第一楽章序奏ファンファーレから揺さぶります。スローな葬送行進曲、第一・第二トリオはやや速めで揺さぶりますね。第二楽章第一主題は速め、第二主題は標準的に、展開部以降も同じです。
第三楽章スケルツォ主題はリズム良く、レントラーは優美で両者クセはありませんね。第三主題以降もクセは少なめ、ただ摑みどころが弱く感じますが。
第四楽章は当然スローでかつ微妙〜な揺らぎ、しっくりきませんねぇ。第五楽章は一番クセがありませんね。

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スローか速めか標準的か。はたまた揺さぶりは? 何がやりたいのメインかよくわからないマーラー5です。



ソン・シーヨン / Gyeonggi Philharmonic Orchestra
[DECCA] 2016-6/9
 韓国人女性指揮者 Shiyeon Sung が首席指揮者を務める京畿道立オーケストラを振った演奏です。
 第一楽章は派手なファンファーレから緩い葬送行進曲へ、第二主題(第一トリオ)はクセはなく第三トリオからの静的収束は尻切れトンボ感が残ります。第二楽章では第一主題は適度な激しさ、第二主題以降は緩さが支配します。緩さが気になる第一部です。
第三楽章スケルツォ主題はスローで優美、レントラー風主題は超緩です。第三主題以降も緩さのアゴーギクが間延び感を強めユルユルの第二部です。
第四楽章アダージェットは染み入る様な美しさですが、圧倒的静音スロー強調でやりすぎですw 第五楽章は軽快さで主題をからめて上げていきます。途中間延び感は残りますが、展開部山場を経て再現部は締まりを見せてコーダは華々しく、ラストは適度なアッチェレランドです。

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静音スロー大重視、強烈な間延び感のマーラー5です。



☆ ワールト / Netherlands Radio Philharmonic
[RCA] 1992-10/17


(個人的所有は下の全集になりますね)
mahler-EdoDeWaart.jpg
 オランダ人指揮者エド・デ・ワールト(Edo de Waart)がオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めていた時のマーラー・チクルスからの演奏です。
 第一楽章は遅めながら締まりある葬送行進曲から一転第一トリオ(第二主題)で派手にと、緩急があります。第二楽章は強い第一主題と落ち着いた第二主題でソナタを構成しますが、激しさより落ち着いた印象の第一部です。
第三楽章は重厚なスケルツォ主題から優美なレントラーへ、展開部・再現部・コーダともコントラスト良く気持ちの良い第二部です。
第四楽章アダージェットは僅かなアゴーギクを使い澄んだ音色の好きなパターンです。最終楽章は見晴らし良く両主題をフーガ風展開して展開部の山場は適度に、そして再現部の山場を大きく盛り上げてコーダのコラールに繋げます。ラストはアッチェレランドでビシッと締めます。

・・・・・
ワールトらしくスローの美しさと迫力が好バランスのマーラー5です。いいですよね



エッシェンバッハ / North German RSO
[ELS] 2001-1/12

 ピアニストにして指揮者、クリストフ・エッシェンバッハ(Christoph Eschenbach)が北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者を務めていた時の演奏です。残念ながら非正規盤ですが、他に正規録音CDを2枚出しています。(未所有)
 第一楽章スローな第一主題の強音は暴れます。第二主題(第一トリオ)は適度にテンポアップですが、ここでも少々荒れる気配を見せて面白いです。第二楽章第一主題は荒々しく一転美しく第二主題へ繋げて、全体としては荒れる強音とスローのコントラストの第一部です。
第三楽章スケルツォはそれらしく流れ良く、レントラーも優美で心地よいです。展開部・再現部も緩急で表情豊か、見晴らしの良い第二部ですね。コーダからフィニッシュはシャープです。
アダージェットは12'と長め、アゴーギクが振られて緩急強めですが悪くありません。第五楽章はテンポ速く主題を絡ませて展開部山場は荒れ気味に、そして壮大に再現部山場を築きます。ラストはそのままコーダからフィニッシュへ駆け上がります。

・・・・・
スローパートはともかく、緩急と荒れる強音パートが楽しいマーラー5です。DDDstereoとある通り非正規録音としては音もいいですね。



シップウェイ / Royal Philharmonic Orchestre
[RPM] 1996

所有盤とは異なりますが、同録音かと...(Kaplan Foudationにより録音は1996年一回)
 フランク・シップウェイ(Frank Shipway)がロイヤル・フィルハーモニー管を振った英国セットの演奏です。
 派手さと陰鬱さの第一楽章葬送行進曲、華々しい第二主題と目一杯鳴らします。第二楽章も派手な第一主題からソフトな第二主題へと目まぐるしさの第一部です。
第三楽章は華やかすぎるスケルツォから静的に引いたレントラー、このコントラストが全体を通していますがそれ以外の変化に乏しく長く感じます。ラストは激走ですがw
第四楽章はスローで冷たさを感じる美しい流れですが、強音パートの響きは大きすぎ。第五楽章は二つの主題がシャープな音色で上げていき、自然な流れで展開部山場を迎えます。再現部山場からラストまでは派手で華々しいです。

・・・・・
20bit録音32bit編集を売りにしてます。それだけでなくミキシング・マスタリングでの作意が大きく反映されていますね。
派手でキラキラ、不自然さが個人的には気になるマーラー5です。




P.ヤルヴィ / Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[major BD] 2011-6/25,26
 当時首席指揮者だったパーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi)がフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振った演奏です。所有はBD(第6番とカップリング)で、DVDもありますがCD発売がありませんね。
 落ち着いた葬送行進曲で始まる第一楽章、第二主題(第一トリオ)もテンポアップはしますが攻撃的ではなく、第二トリオも殊更に落としません。第二楽章第一主題は切れ味良く、第二主題は丁寧さを感じます。展開部のチェロパートは美しく、通して興奮よりも耽美な第一部ですね。
第三楽章、スケルツォはスローで入り、レントラー主題も入りはスローでまさに優美です。第二トリオもスローで美しく、*オブリガート・ホルンは指揮者横の起立演奏でソロの扱いです。厄介なこの楽章をうまくこなして、流麗な第二部ですね。
アダージェットは暖色系の流れですね。もうちょっと薄く細く演奏してもらえると嬉しかったですね。最終楽章はうまく間をとった入りで緩やかに上げていきます。展開部山場を広がり良く盛り上げて、再現部の山場からコーダは雄大で見事。ラストのアッチェレランドもビシッと決めました。
*オブリガートホルンをソロ風にコンマスの横に置いたのはメンゲルベルクが実施したわけですが着座でしたね。

・・・・・
hr響の演奏も丁寧でまとまりが素晴らしく、流れの美しいマーラー5です。アダージェットが好みなら☆です。BDの録音の良さもあるでしょう。



☆ ネルソンス / Lucerne Festival Orchestra
[accentus DVD] 2015-8/19,20

(所有はDVDサイズのデジパック仕様ですが...)
 ラトビア人指揮者アンドリス・ネルソンス(Andris Nelsons)がアバドの後を引き継いたルツェルン祝祭管弦楽団の音楽監督時代の演奏ですね。所有はDVDでCDは出ていない様です。
 第一楽章ファンファーレから第一主題へは大きく落とします。憂いを帯びた葬送行進曲から第一トリオへはテンポと切れ味を上げた展開になりますね。第二楽章は第一主題の激しさに始まり第二主題ではトーンを落として展開部・再現部も癖のない流れでコーダ前の雄大感が良いですね。
第三楽章スケルツォ主題は優美、レントラーは美しさが溢れますね。第三主題オブリガート・ホルンの鳴りも良く、優しを感じる提示部です。展開部もスローを美しく描きます。コーダの切れ味とのコントラストも見事です。
第四楽章は、それまでの良さを最大限生かした流れで山場の甘美さも殺し透明感の静音をクールに奏でます。屈指のアダージェット、好きなパターンです。第五楽章も序奏・第一主題・第二主題が優美に流れます。その後の二つの山場を見事に超えて、コーダは切れ味、そしてラストは見事なアッチェレランドでした。

拍手喝采、最後はスタンディングオベーションで、指揮者への拍手では演奏者は起立を譲り足踏みで答えるという最高のコンサートの姿がありました。(DVD/BDでapplauseを最後まで見たのは初めてですw)
・・・・・
スロー静音の美しさを生かし、激しさよりも憂いと優美、広がりを感じる一味違うマーラー5番ですね。演奏もまとまりが良く、おすすめの一枚。ネルソンス侮れず!
BD盤もあります。えっ、高いですねぇ。



スターン / Rundfunk Sinfonieorchester Saarbrücken
[SR] 1997-7/12

(所有はCDですが…)
 米人指揮者マイケル・スターン(Michael Stern)が*ザールブリュッケン放送交響楽団の首席指揮者に就任して1年後の演奏ですね。*現 ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(Deutsche Radio Philharmonie Saarbrücken Kaiserslautern)
 第一楽章葬送行進曲は落ち着いて、第二主題(第一トリオ)では適度な激しさ、第三主題からトーンを強めに落とします。第二楽章は速めな第一主題から、第二主題も陰鬱ながら速めに変化させます。基本速めの中、特徴的なのは展開部のトリオ?の静音スローですね。ややアゴーギクにクセのある第一部です。
第三楽章第一主題はスケルツォらしさ、第二主題レントラーも優美ですが、いずれ速めです。その後も同展開で、時折静音パートでスローになります。落ち着かない感の第二部ですね。
第四楽章は予想通りにスロー、あっさり風味は良いのですがフラットです。最終楽章は良いリズムで主題をフーガで絡めます。山場、コーダは見事。この楽章が一番クセがありません。

・・・・・
速めベースで一部静音ではスロー、落ち着かないマーラー5です。ここまで感情を殺したアダージェットも珍しいかも。



次はいよいよ残しておいた、ワルターやメンゲルベルク(アダージェットのみCDあり)と言ったマーラーを知っている人、米国にマーラーを紹介しバーンスタインにバトンタッチしたミトロプーロスと言った古い音源のインプレをしようと思います。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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