マーラー 交響曲 第6番 「悲劇的」 名盤・珍盤 20CD聴き比べ! [#1 / CD:5-20]

マーラーの5番、6番、9番はコンサートで聴く機会が多いので、CD(DVD含め)も徐々に増えますね。
第6番は今までバルビローリの4枚のCDを紹介していますが、これからも少しづつ備忘録としてインプレしていこうと思います。
5番は160枚くらいですが、9番は70枚くらいで6番も50枚くらいしかありません。枚数が少ないですから、すぐに終わってしまいますね。

交響曲 第5番 (150CDまで) 聴き比べ
交響曲 第9番 (40CDまで) 聴き比べ

今回は大物を中心に16CDをインプレします。これで20CDになりますね。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.6 の聴き較べです (現在 #1回 20CDまで)
 #1:16CD (本投稿)
 #0: 4CD バルビローリ聴き比べ




バーンスタイン / New York PO
[CBS (Sony)] 1967-5/2, 6
 やっぱりマーラーと言えばレニー(Leonard Bernstein)。今更素人が何をインプレしても始まらないでしょうが、お約束と言う事でCBS時代から。
 第一楽章第一主題行進曲は切れ味抜群の立ち上がり、第二主題でもシャープです。速めの提示部からの展開部も穏やかさを見せますが、緊張感が漂うのは速めという事もあるかもしれません。再現部はまさに提示部の切れ味の回帰です。スピード感あるコーダで締めくくります。
第二楽章はスケルツォ。一楽章のコーダに続くようにかなり速い入りです。スケルツォも踊る様なリズムでもありません。緩急も強く、マーラーの指示"重々しく"という感じよりも忙しない感じでしょうか。
第三楽章アンダンテも前楽章の沈む様な終わりから繋がりよく緩やかな哀愁で入ります。悲しみに近い情感を引きずる様に進んで、そのままクライマックスを迎えて消え入る様に終えます。
第四楽章は序奏から提示部へ、暗闇からスピードある行進曲に乗り移ります。そのまま大きな広がりを見せて鎮まる様に展開部へ入ると華やかな第二主題を展開してハンマーを打ちます。そこからはこの曲らしく主題や動機を折り重ねながら登り上がり、暗転して再現部は明暗表情を変化させながら走り抜けます。静まり、そして一撃です。

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とにかく速いです。スピード感と切れ味のマーラー6ですね。



★☆ バーンスタイン / Wiener Philharmoniker
[DG] 1988-9
 言わずと知れたバーンスタインVPOのマーラー6ですね。今更中の今更ですが…w
 迫力と切れ味の第一主題、そして同じ様に華やかさというよりも迫力漲る第二主題で提示部を過ぎると、穏やかな顔つきの展開部につなげます。そして再現部では主題の激しさと広がりを組み合わせて、パワーとスピード漲るコーダで締めくくります。
第二楽章はスケルツォ。ここでは重々しさで入りますね。スピードを抑えて重厚感の展開で進みスケルツォらしいリズムを刻みと、全体が表情豊かに作り込まれています。一番厄介なスケルツォですが、聴きごたえがありますね。
第三楽章アンダンテはスローで哀愁漂う美しさを見せます。この辺りはVPOの真骨頂かもしれません、美しさに惹かれますね。ラストの山場は感情の高まりを壮大に見せます。
第四楽章は闇の様な陰鬱な緊張感ある序奏がいきなり現れ、トゥッティのモットーから提示部は派手派手しく進みます。ペースダウンからの展開部は出し入れを強く表情を変化させ、行進曲や山場のハンマー2発を含めて鮮やかな流れです。一度鎮めて入る再現部は激しい山場作った後は第一主題回帰後も激情的に進みバーンスタインらしく三発目のハンマーを打って隠的に静まりラストの一撃を迎えます。

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迫力や切れ味、そして全体楽章のバランスの良さ。特に面倒なスケルツォとアンダンテの良さが光ります。これが基本となると、コンサートで満足できる演奏が減るので困ります。(笑)

マーラーと言えばバーンスタインですからセットがオススメですが、枚数を減らすために楽曲がCDに分割されているのは困りものです。こちらならベターで歌曲入り、少しだけお高いですが。



アバド / Chicago Symphony Orchestra
[DG] 1979-2
 クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)とシカゴ響との演奏です。この年アバドはロンドン響の首席指揮者に就任ていますね。アバドの6番の所有は次のBPOと2枚のCD、ルツェルンでのDVDです。
 第一楽章第一主題は気持ち速めの行進曲でppでは大きく落とし、アルマの主題で戻して提示部全体的には適度な重さです。展開部の第一主題は勇壮に、挿入パートは提示部同様弱音効果を強めます。再現部は激しさを強調しています。
速めの第二楽章スケルツォ主部は切れ味、ここでもトリオは弱音スローでコントラストを強めます。
第三楽章は第5番アダージェットを思わせる様な美しい緩徐楽章ですが、長く感じます。
第四楽章の序奏は表情変化薄め、提示部行進曲はパターン通りに速めの勇壮感で第二主題も速めです。展開部・再現部も同様のメリハリで重厚感よりも勇壮爽快感があります。

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重厚さは避けています。基本は速め勇壮で、静音パートをスローに落とすのが特徴的ですね。スローに締まりがあれば面白いマーラ−6番です。



★☆ アバド / Berliner Philharmoniker
[DG] 2004-6
 2002年にBPOの首席指揮者・芸術監督を退任した後の録音になりますね。この前年2003年にルツェルン祝祭管弦楽団の音楽監督に就任しています。
 シカゴ響に比べてクセの減った第一楽章第一主題、情感豊かなアルマの主題の王道提示部です。展開部挿入部でも自然な流れで静音パートに繋げます。再現部も迫力と切れ味です。
第二楽章、ここではアンダンテを持ってきました。流れの良い優美さの第一主題で第二主題でも哀しみをたたえる美しさが光ります。緩やかな美しさの中間部から山場の迫力は見事です。
第三楽章の主題は第一楽章の回帰をイメージする様な切れ味ですが、流れとしてはトリオでの優美さが勝ちますね。
第四楽章は序奏から迫力です。提示部行進曲から経過句は切れ味よく、第二主題は清々しい流れです。中心的な展開部は彫りが深く表情豊かな重厚さと迫力、そして揺らぎです。再現部は白眉、アゴーギクを強めて迫力いっぱいの流れから輝くコラールです。コーダは静的緊張感でラスト一撃を迎えます。

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欠点もなくBPOらしい迫力も見事にみせるマーラー6番です。

マーラーを聴くなら後期のアバドはハズレやクセがなく、全集を購入するのがベターかも。(2番のルツェルン、これも名盤ですね、以外はBPOです)



☆ アバド / Lucerne Festival Orchestra
[EuroArts DVD] 2006-8/10
 BPOの2年後、ルツェルン祝祭管弦楽団の音楽監督時代の映像付き音源。アバドが設立したマーラー室内管弦楽団をベースにしたオケですね。
 第一楽章提示部の二つの主題は王道、アルマがやや強めでしょうか。展開部の緩急、再現部の切れ味も見事です。
第二楽章はここでもアンダンテです。第二主題は後半で哀しみを覚え、全体として美しい緩徐楽章になっていますね。もちろん山場は見事です。
第三楽章スケルツォ主部主題は勇壮にトリオでは優美に、トリオでのスケルツォらしさが光りますね。
第四楽章序奏では必要以上の揺さぶりを避け、提示部行進曲から経過句、第二主題と見晴らしの良い流れです。主役パートの展開部は騎行も含めて興奮より華々しさ、再現部は緩急を生かし、コーダで鎮めてラスト一撃を迎えます。

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BPOと似た流れですが、余分な陰影を削って完成度の高いマーラー6です。個人的にはこちらを押しますが、この完成度がアバドの好みを左右するのかもしれませんね。

ラストはアバドが息を整えるのを待つ長い間の後に拍手喝采とスタンディングオベーション、団員の足踏み、素晴らしいコンサートに付き物のアプローズでした。アバドの嬉しそうな顔、そして吉井瑞穂さんが第二オーボエで入っているのも楽しいですね。




カラヤン / Belriner Philharmoniker
[DG] 1975-1, 4
 Herbert von Karajan/BPOのマーラー6番です。カラヤンでマーラーと言われると、今ひとつピンと来ない感じはありますね。
 第一楽章第一主題の行進曲はもちろん勇壮に、第二主題も大きな広がりを見せます。提示部はもちろん「反復あり」ですが雄大です。展開部のチェンジペースはカラヤンらしく明確に穏やかで清涼に変化させて、再現部は第一二主題を迫力で戻して変奏します。コーダの第一主題はアッチェレランドよく入り、華々しい第二主題で締めくくります。
第二楽章はスケルツォを採用。重厚さよりもスピード感で、特徴は薄くやや間伸び的に感じてしまいます。第三楽章は従ってアンダンテです。スローで静かな佇まいの演奏ですね。中間部の穏やかさも含めて好きな演奏なのですが、ここでは第二楽章との流れで両者やや締まりに欠ける流れに感じます。
第四楽章序奏はモットー和音の展開も含めてスローで抑えめです。提示部第一主題もやや抑えめで、第二主題は軽やかに、そして重厚に華々しく進みます。展開部はやや緩め、山場を派手に盛り上げてハンマーの後は激しさを見せながらやや暴れる様に進み再びハンマー、締まりのある演奏です。再現部は激しいモットー和音から落ち着きを見せ、切れ味のある第二主題から派手な第一主題へ。後半序章再現からは暗くスローとなりラストの一撃を迎え、余韻も明確です。

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長い第四楽章を迫力と見晴らしの良さで聴かせてくれますが、第二三楽章は今ひとつに感じてしまいます。なんとなく飲み込みずらさを感じるマーラー6番でしょうか。



(★)☆ カラヤン / Belriner Philharmoniker
[eternities] 1977-6/17

 非正規盤ながら評判の高いパリ・シャンゼリゼ劇場のライブですね。DGの録音から二年後で演奏時間は少し長くなり、カラヤンの9番(非正規5/1録音)ほどの狂気興奮はありませんが名演奏の誉れ高い盤です。
 第一楽章第一主題の行進曲から壮絶激情です。第二主題も情感が強いですね。展開部では一転緩やかですが影を纏った様に進み、再現部は激情さが戻ります。主題が表情を変える様に変奏されてコーダの第一主題は激しさで入り派手で華やかな第二主題で大きく終わります。
第二楽章スケルツォ、緊張感のある刺激的な主題を維持して演奏も実に見事で、古典の調べの中間部トリオも清々しく切り替えます。明らかに第一楽章の延長線上ですね。
第三楽章アンダンテ、緩やかな流れが生きるのは第二楽章との変化落差が生きているのは間違いありませんね。穏やかさと美しさ、そして大きな山場の迫力のコントラストです。
第四楽章は間をとったスローの入りの序奏から、迫力の提示部第一主題と広がりの大きな第二主題とつながります。展開部へは穏やかに乗り移り、モットー和音を介した出し入れ強い展開で激しさを見せます。再現部は激しいモットー和音から間をとったコントラストのある静的流れになり、第二主題でペースを上げながら激しく第一主題が戻ります。華々しい流れから暗いコーダ、そしてラスト一撃。余韻のピチカートも明確です。

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基本は激情的な流れで通した演奏です。こうなるとアンダンテの優しさが生きて、その後半の迫力も全体を締めます。
正規セッション録音とは異なるカラヤンのもう一つの顔、本人が認めなかったLiveのCD化。情熱のこもった(非正規盤)マーラー6番。困った事ですが、やっぱり一押しです




ハイティンク / Berliner Philharmoniker
[DECCA] 1989-4/6-8
 マーラー振りというと浮かぶ一人、今年88歳になるベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink)。まずは60歳の時に我がまま軍団ベルリンフィルを振った演奏です。
 第一楽章第一主題から第二主題はまさに王道的な重厚さ、展開部も重厚勇壮な第一主題からスローパートは心地よい流れを作ります。再現部も劇的です。
第二楽章スケルツォ主部は過度の重さは否定して切れ味、トリオは一転して軽量優美です。
第三楽章第一主題はゆったりとしたテンポで緩徐さをもたせます。そこへオーボエが哀しみをみたす様な第二主題で受ける美しい流れです。
第四楽章序奏は旋律の変化を切れ味よく前面に出します。提示部第一主題行進曲は勇壮に、落ち着いたホルンの経過句を経て第二主題までは抑え気味です。展開部は出し入れの強いインパクトさで彫りの深い演奏ですがコントロールは効いています。再現部もコントラストは強いですが興奮を抑え落ち着いてます。コーダは色合いを見せながらラスト一撃を迎えます。第四楽章は抑えが効きいています。

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BPOとハイティンクの波長がマッチした王道演奏のマーラー6番です。出来過ぎでワクワク感には欠けますが...w



ハイティンク / Chicago Symphony Orchestra
[CSO] 2007-10/18,19,20 and 23
 ハイティンクのマーラー6番は他にも数枚出ていますが、所有はこの2枚です。上記BPOとの18年後のシカゴ響との演奏です。
 ゆったりとしたリズムとテンポの緩い第一楽章第一主題、アルマの第二主題ではややテンポを戻します。展開部の第一主題も同じ様な緩い流れから挿入部はトーンを落として暗めです。再現部でも締まりに欠ける感じです。
第二楽章スケルツォ第三楽章アンダンテではややテンポを戻しますが、緩い流れは同じです。
第四楽章...細かくインプレする必要もないですね。他の楽章に比べると多少アゴーギクを振りますが、とにかく締まりに薄くダルです。

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全体で何と90'を超すひたすらスローで緩い流れ。間延び感が拭えない退屈なマーラ−6番です。BPOとの落差が大きすぎますね。



ゲルギエフ / London Symphony Orchestra
[LSO] 2007-11
 ヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)が、2007年から2015年まで主席指揮者を務めたロンドン交響楽団とチクルスを進めた時の6番ですね。
 第一楽章第一主題の行進曲は速く軽めですが、第二主題で情感を高めます。提示部の繰り返しで第一主題の重厚さは増しますね。展開部の挿入部スローパートはややそっけない感じ、再現部は重量級ですが速めなのが落ち着きません。
第二楽章はアンダンテを持ってきています。ペースを戻して第一主題は標準的ですが第二主題は哀しみの伝わる流れで その気配を保ち中間部、そして山場へとつなげる好きな流れです。
第三楽章スケルツォの主部はクリーンな印象で第一楽章のつながりを殊更強めてはいませんね。トリオは優美ですが華麗さは抑え目です。
第四楽章序奏は特徴的な事はなく、提示部行進曲は速くて軽めの流れから同じく速めの第二主題に続きます。展開部での特徴である出し入れも興奮は抑え気味、再現部も同傾向ですが少しだけ暴れて面白いです。面白くなった処でコーダを迎えてラストの一撃です。

・・・・・
ゲルギエフの考えた速めの展開が今ひとつ生かされたなかった感じのマーラー6番でしょうか。



☆ ダーリントン / Duisburger Philharmoniker
[Acousence] 2008-6/18.19
 このブログで超ご贔屓の管弦楽セット、ジョナサン・ダーリントン(Jonathan Darlington)とデュイスブルク・フィルハーモニー管弦楽団(Duisburger Philharmoniker)です。マーラーは第5番でも素晴らしい演奏を残していますね。→ このブログ内のダーリントンの投稿記事

 重厚オーソドックスな第一主題の行進曲、そしてアルマの主題(第二主題)は情熱溢れる美しさです。展開部の二つの主題は重厚ですが、挿入部では不安感を隠す様なスローの静寂さに。再現部も響の良い華々しさです。
第二楽章はアンダンテを採用しています。緩やかで優しさを感じる第一主題に哀しみをたたえる様な第二主題、中間部はその流れから山場へ向かいますが全体として穏やかさを重視した緩徐楽章です。
第三楽章は従ってスケルツォ、主部は第一楽章の回帰的で華やかさ。トリオはスケルツォらしい優美さになります。
第四楽章序奏は極端な揺さぶりは使いませんがややスロー。提示部第一主題は跳ねる様なリズムで第二主題に続きます。この曲の難解パート展開部ではスローとコントロールの効いた激しさで落ち着いた表現です。再現部でも同様に過度の興奮を避けながら山場を盛り上げます。コーダは暗さ控え目、ラストの一撃は約束通りです。

・・・・・
重厚にして華々しい第一・四楽章、穏やかさと優美さの第二・三楽章、このコントラストの付け方がダーリントンの音楽ですね。Liveですが、録音も素晴らしくクールなマーラー6番でおすすめです。



小澤 征爾 / Boston Symphony Orchestra
[DECCA] 1992/1/30 - 2/4
 第一楽章第一主題リズムの良い行進曲、アルマの主題は華やかさです。展開部でも主題に変化は付けずにスロー静音パートに入ります。再現部も必要以上の主題の興奮は避けて、キレの良いコーダからフィニッシュです。
第二楽章スケルツォ、主部主題はテンポを上げますが重厚さは付けません。トリオは緩やかです。
第三楽章第一主題は美しく流れ良く、第二主題も同様のニュアンスで中間部に繋げます。山場はドラスティックに作ります。
第四楽章の序奏は陰影をあまり付けず、提示部行進曲から経過句を気持ち良く進み、第二主題も流れが合っています。展開部は静的パートからの山場のコントラストが良く、途中の行進曲も締まりがあります。再現部も同様に流れてコーダへ入ります。ラストは暗い流れからの一撃です。テンポも良く、見晴らしの良い最終楽章ですね。

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流れにクセはなく安心感がありますが、感情移入は少ないです。正攻法のマーラー6番ですね。



井上 道義 / Royal Philharmonic Orchestra
[CANYON] 1988-5/3.4
(所有盤とは異なりますが同録音盤になります)
 ミッキーこと井上道義氏(1946/12/23 - )が41歳の時にロンドン・ロイヤルフェスティバルホールでタクトを振った演奏ですね。
 第一楽章第一主題はややスローに、第二主題は標準的なテンポで、表現はごく普通でしょう。展開部のスローはどこか不安感を感じさせる良い気配、再現部は提示部の回帰的です。
第二楽章スケルツォの主部はスローです。マーラーの指示通り重さが感じられますが、第一楽章第一主題の様な迫力は控え目ですね。トリオも決して軽くありませんしコーダ前の山場は暴れます。
第三楽章第一主題はソフト、第二主題もスローで哀しみを感じます。中間部はその流れで、山場は哀しみに満ちた盛り上がりです。
第四楽章序奏は陰影強い表現で素晴らしい流れです。提示部の行進曲(第一主題)は少し落として、経過句からスピードを上げて第二主題につなげます。展開部は勇壮さよりも雄大さで、訪れる山場や行進曲も極度の興奮を避けて自然です。再現部はスローからスピード感溢れる展開で山場へ駆け上がります。コーダからはお約束通りの流れで最後の一撃を迎えます。

・・・・・
スローを重視した落ち着いた流れですが、よく練られた感じが強いマーラ−6番です。



☆ 井上 道義 / 新日本フィルハーモニー交響楽団
[EXTON] 2000-3/9
 ミッキーがRPOとの録音から2年後、演奏時間がさらに伸びています。(第二楽章を除く)
 ・第一楽章 23:50 → 24:58
 ・第二楽章 14:04 → 13:58
 ・第三楽章 15:07 → 15:51
 ・第四楽章 30:20 → 31:28
 第一楽章入りの第一主題は標準的、第二主題はやや情感強く、展開部のスローは澄んだ空気の気配、再現部は提示部の濃厚的回帰です。
第二楽章スケルツォ主部はスローで揺さぶりがあり堂々と、トリオでは優美になっています。
第三楽章は緩徐で優しさの第一主題、哀しみたたえる第二主題、中間部は緩徐な流れを保ちながら山場を大きく作ります。
第四楽章の序奏は細かいパートをうまく組合せて一つの完成系です。提示部行進曲は抑えの効いたシャープさ、第二主題が伸びやかに出て展開部へつなぎます。展開部は美しさを感じる流れと繋がりの良い山場(ハンマー)を作ります。一部騎行パートで荒れますが流れはごく自然、面白い展開です。再現部も見事で、第二主題動機の緩やかな流れから壮大に山場へ向う良い流れです。コーダからは息を整える様にしてラストの一撃に繋げます。

・・・・・
演奏時間が伸びただけでなく、より彫りが深くなりました。スローを基本に興奮を避けた研ぎ澄まされたマーラー6番です。



○ プレートル / Wiener Symphoniker
[WEITBLICK] 1991-10/10
 今年一月に亡くなったフランス人指揮者ジョルジュ・プレートル(Georges Prêtre)は不思議な存在だった気がします。大騒ぎしたマーラーの5番での印象だけで、それ以外で聴くことはなかったですね。
 第一楽章は行進曲明瞭な第一主題、美しく柔らかなアルマの第二主題、展開部と再現部の第一主題とラストでは少々暴れます。
第二楽章スケルツォの第一主題はかなり速く第一楽章からの流れを拒否し、トリオで一般的スローに戻します。
第三楽章は緩やかに第一主題第二主題が続き、山場も含めて落ち着いた演奏です。
第四楽章序奏はややもっそりから急テンポ、提示部第一主題の勇壮さは第二主題で落ち着きます。展開部と再現部は荒れて面白いですが明らかな揺さぶりはありません。あった方が面白かったかも...

・・・・・
荒々しさと所々にアゴーギクの揺さぶりのあるマーラー6番で、コンサートだったら興奮モノでしょう。非正規録音の様な音で際物的印象は拭えませんが悪くはありません。



ワールト / Netherlands Radio Philharmonic
[RCA] 2003-12/19,21-23
EdoDeWaart-Mahler6.jpg
 オランダ人指揮者エド・デ・ワールト(Edo de Waart)がオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めていた時のマーラー・チクルスからの演奏ですね。
 第一楽章提示部第一主題は締まり良く、転じて第二主題アルマの主題は情感高くと正攻法です。展開部迫力いっぱいの主題から緩やかな澄んだ長閑さに転じます。再現部は迫力増した提示部と言った風情で派手に〆ますが、コーダ前のスローは特徴的です。
第二楽章スケルツォはやや遅めの主部主題が重厚さを見せながら進み、トリオではテンポを落とした優美さを見せてくれます。ただ、スローでの揺さぶりが気になりますね。
第三楽章は肩の力が抜けた安心感のある第一主題からより落として第二主題、特に哀しみの色合いはありませんが通して心にしみる流れです。適度にスローで揺さぶりもなく中間部での中だるみも感じません。見事なアンダンテです。
第四楽章の序奏はスローながら自然な流れを作り、一気に提示部に突撃します。第一主題は高らかな行進曲、第二主題は呼吸を整える様に現れ、再び高揚して展開部へ入ります。ややスローパートが気になりますが、心地よい緩急で勇壮な行進を挟み二度の山場を見事に登ります。再現部もスローから流れを作り、管楽器の鳴りの良いコーダからラスト一撃です。

・・・・・
見晴らし良く完成度の高い華やかなマーラー6番です。揺さぶりのスローパートが好みを分けそうです。☆を付けてもいいかも。




直近のコンサートですと、先々週 2017年5/18のサロネン/フィルハーモニア管の第6番は良かったですね。ハッとする様な新鮮な演奏に出会いたいですね。



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