今の時代の現代音楽 ドナウエッシンゲン音楽祭(Donaueschinger Musiktage) 2015年 を聴く

毎年楽しみなドナウエッシンゲン音楽祭(Donaueschinger Musiktage)のアルバムです。今年はCD2枚組になりました。毎年組み方が変わるのが不思議ですね。昨年はDVDx1, CDx3の4枚組でヴィジュアルも見られたのでインスタレーション系も楽しめ最高でしたが…
とはいえ今の時代の欧州エクスペリメンタリズムが楽しめるのは嬉しいです。

一曲目(Oktett für 8 Posaunen)を除きSWR委嘱の世界初演ですね。演奏もSWRに指揮はペーテル・エトヴェシュやフランソワ=グザヴィエ・ロトと良い顔ぶれです。

Donaueschinger Musiktage 2015

Oktett für 8 Posaunen (2015) / Georg Friedrich Haas
 Trombone Unit Hannover (Frederic Belli, Mateusz Dwulecki, Karol Gajda, Lars Karlin, Angelos Kritikos, Tobias Schiessler, Mateusz Sczendzina, Yuval Wolfson)
ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953/8/16 - )はオーストリアの現代音楽家で、フリードリヒ・チェルハに学び、ダルムシュタットやIRCAMで習っています。ミクロポリフォニー(リゲティが使い命名した技法)、ミクロインターバルを使うスペクトル楽派の一人ですね。
 この作品はミクロメロディー?!のために書かれたそうです。とにかくトロンボーンの8重奏曲ですから個性的です。混沌なポリフォニーやノイズではありません。旋律と音の組み合わせ、tbらしいグリッサンドを生かしたロングトーンの面白さ、まさにスペクトル楽派らしい音の鳴りが楽しめます。

 ★試しにYouTubeで観てみる?


Sérac (2014 / 2015) for orchestra / Johannes Boris Borowski
 SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
 Peter Eötvös, conductor

ドイツ人現代音楽家ヨハネス・ボリス・ボロウスキ(1979 - )はドイツとフランスで学び、その作品はアンサンブル·アンテルコンタンポランやアンサンブル·モデルンといった著名どころに取り上げられています。
 静の間を強調する様な音楽で、時に静音で時にクラスターです。そしてブレーキを踏んで立ち止まって歩き出す。そんな感じ。もちろん無調ですが、旋律や動機が存在します。即興的ポリフォニーではなく、対位法的で構成感がありますね。その楽風は、今の時代の現代音楽の保守的流れかもしれません。

Mirror Box Extensions (2014 / 2015) for ensemble, live electronics & live video / Stefan Prins
 [Scene1] Hybrid spaces #1, [Scene2] WYSI(N)WYG, [Scene3] You will only be allowed to express yourself if you become a hologram, [Scene4] Hybrid spaces #2
 Nadar Ensemble (Elisa Medinilla-piano, Yves Goemaere-piano, Thomas Moore-trombone/stage manager/production, Bertel Schollaert-saxophone, Dries Tack-clarinet, Katrien Gaelens-flute, Marieke Berendsen-violin, Pieter Matthynssens-cello/artistic director, Kobe Van Cauwenberghe-guitar)
 Culture Crew (Vincent Jacobs)-video software, Wannes Gonnissen-sound/electronics, Stefan Prins-artistic director, Rebecca Diependaele-general manager

シュテファン・プリンス(1979/5/20 - )はベルギーの現代音楽家でパフォーマー。ハーグ、アントワープで作曲を学び、ハーバード大で博士号を取得しています。電子音楽技術も会得していますね。ドナウエッシンゲン音楽祭2012年でも紹介しています。
 この楽曲はインスタレーション系でありヴィジュアルも採用されています。従って音だけ聴いても狙いはわかりづらいでしょう。音楽はライヴエレクトロニクスを含めた前衛のノイズ系カオスです。ギリギリギリ…ビビビビ…ガン!! って感じw [Scene4]が面白い

 ★是非YouTubeでご覧下さい! ミラーボックスの意味もわかるでしょう。
  for 7 musicians になっています。



„über“ (2015) for clarinet, orchestra and live electronics / Mark Andre
 Jörg Widmann, clarinet
 SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
 François-Xavier Roth, conductor
 EXPERIMENTALSTUDIO des SWR

マーク・アンドレ(仏表記Marc André, 1964/5/10 - )はドイツ在住のフランス人現代音楽家で、パリでグリゼーに、シュトゥットガルトでラッヘンマンに師事しています。強音から静音に、そして微分音へと作風変化は大きく、パラメーター表記の難解さはファーニホウの「新しい複雑性(New Complexity)」と興味深いです。プロテスタントのフランス・ユグノー派に傾倒して、宗教的作品も多いですね。
 この作品は今のアンドレの楽風である超静音(ppppp)ドローンの世界で入ります。そこからイェルク・ヴィトマンのクラリネットが一筋の糸のように、そしてロングトーンで、またトレモロで流れます。後半は等拍パルスや強音パートが現れますが、全体は残響音のような空間音響系です。
音は単純ですが、楽譜は五線譜を使っていない可能性が大きいかもしれません。

Killing Bach (2015) for orchestra / Francesco Filidei
 SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
 François-Xavier Roth, conductor

イタリア人現代音楽家でオルガニストのフランチェスコ・フィリデイ(1973 - )はサルヴァトーレ・シャリーノに師事していますね。2005年のIRCAM委嘱以降、数々の賞を受賞しています。
 題名が穏やかでありませんw 曰く「どうバッハに対応したらいいか? …グロテクスクに、凶暴に…」とあります。
無音の中にクラスター、ミュージック・コンクレート、引用(多分?)、が強烈に発生します。また、コミカルな旋律やパロディが、からかう様に現れたりもします。パンドラの箱を開けた様な音楽?、こういうのは好きですねぇ

Pulsus alternans (2015) for orchestra / Yoav Pasovsky
 SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
 Peter Eötvös / Gregor Mayrhofer, conductors

イスラエル人現代音楽家ヨアフ・パソフスキー(1980 - )は、ダニエル・オットやヴァルター・ツィンマーマンに師事しています。以前もドナウエッシンゲン音楽祭2012年で紹介している電子音響音楽ですね。
 2012年のアンビエントから一転してミニマル系です。速いテンポの単音反復のミニマルで、ディナーミクを強くして陶酔感を感じさせる様です。後半は凶暴で欧的ミニマルです。



なんでもありの様なFrancesco Filideiから、生真面目なJohannes Boris Borowski、そしてインスタレーションのStefan Prinsと今の現代音楽を網羅した感じですね。もちろんノイズや空間音響系、ミニマルも入れてあります。
これがドナウエッシンゲン音楽祭の楽しさでしょう。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA


ものずき、おっさん じいさん、わがままきまま、すきほうだい、しななきゃなおらない.

 kokotonPAPAのブログ  ホームページtop  メールtop



1.このblogで言う現代音楽
2.マーラー交響曲第5番 150CD
 (名盤・珍盤 聴き比べ)

カテゴリ
個人的お奨め度*
★   こんなもん?
★★  悪くないね
★★★ 最高です!
☆   +0.5
お友達ブログ
kokotonPAPAカウンター
unique-access