シェーンベルク(Arnold Schönberg)の「ペレアスとメリザンド」聴き比べ:カラヤン、ブーレーズ、ダーリントン

アルノルト・シェーンベルク(Arnold Schoenberg, 1874/9/13 - 1951/7/13) の後期ロマン派時代の名曲ですね。今までも紹介済みですが、11/19(土)の都響/大野和士のコンサートを前に聴き比べしてみましょう。

ペレアスとメリザンド(Pelleas und Melisande)はOp.5の初期作品で、唯一の交響詩(Symphonische Dichtung)ですね。技術的には全体を自由なソナタ形式で、四度和音を含む進んだ対位法、といった話もありますが、ポイントは次の事でしょうか。

◆標題音楽で、メーテルランク*の原作「ペレアスとメリザンド」のストーリー通りに音楽ができています。ドビュッシーのオペラでおなじみですから、シーンと照らし合わせると良いですね。
 *最近はメーテルンクではなく、より原語に近いメーテルンクと書くそうです。真似てみました ヾ^^;
◆ライトモティーフが使われて、旋律が人物や状況と関連付けられています。諸にワグナーの影響ですね。
 ・ゴロー:重厚で美しい上昇音階です
 ・メリザンド:可憐で不安な下降音階です
 ・ペレアス:軽妙な流れる様な音階です
 ・運命のモティーフ:短く印象的な音階です
◆一楽章構成ですが、概ね四部構成になっているようです。(くぎれ目はありません)

そのあたりを頭に入れながら、三人の指揮者(ブーレーズは2CD)で聴いてみましょう。



Herbert von Karajan w/Berliner Philharmoniker [DG]
 言わずとしれたカラヤンBPO、計算された オペラの様なストーリー性を感じる演奏ですね。もちろん重厚壮大ですw 各楽器の役割も明確ですね。初めて聴くなら良いかも。
第一部では暗い森からメリザンドのテーマとゴローのテーマを暗く美しく奏でながら「運命のモティーフ」を重厚激情的に演奏します。そしてペレアスのテーマは一転、軽妙に表現しますね。この隙のないドラスティックな変化展開が、このセットの真骨頂でしょうね。
第二部のフルートのスケルツォは軽く優美。暗いゴローの"疑いと嫉妬のテーマ"に続く 有名な「城の塔」のシーンは清廉なる美しさです。緩徐楽章になる第三部は甘美さよりも不安を残すような美しさですね。
そして第四部はメリザンドの死までをゴローの心情とコントラストをつけた表現で表します。



Pierre Boulez w/Chicago SO [ERATO]
 ブーレーズ、CSOとの1991年12月録音盤は、やや速めで重厚さよりも落ち着きを感じる演奏です。ストーリー展開も薄味で、今ひとつ...かな。
第一部はやや速めで重厚さを避けて森は入りながら、ゴローとメリザンドのシーンから運命のモティーフで管楽器が華やさが特徴的です。ペレアスは控えめな軽妙さですね。
第二部のフルートのスケルツォ、そして泉で指輪を弄ぶシーンは重めですね。ゴローの"疑いと嫉妬のテーマ"から「城の塔」へは美しさが透明感強く表現されますね。第三部も延長線上の展開で、殊更の緩徐的展開ではありません。ペレアスの最後も緩い感じで、その分印象が薄くなるかもしれませんね。第四部への繋がりもナチュラルで変化にやや乏しいかもしれません。死を迎えるメリザンドも割とあっさりです。



Pierre Boulez w/Gustav Mahler Jugendorchester [DG]
 ブーレーズがグスタフ・マーラー・ユーゲント管と、2003年4月にサントリーホールで行ったライヴ盤です。ディナーミクとアゴーギクを生かした透明感と煌めく色彩感でストーリー性を味わえる演奏ですね。
感情移入しないで聴きましょうw
 第一部は速めながら色合いや表情を感じる演奏です。ゴローとメリザンドのシーン、そして運命のモティーフからペレアス登場はアゴーギクとディナーミクを振って情感豊かです。第二部のスケルツォから泉の指輪のシーンはリズミカル、ゴローの"疑いと嫉妬のテーマ"は陰鬱激情に、「城の塔」では会話の様にと感情表現を強く奏します。第三部も緩徐的な流れで美しく二人のシーンを感じさせてくれながら、ペレアスの死まで表現豊かです。第四部でも死の淵のメリザンドと嫉妬のゴローのコントラストを強く出します。死を迎える 10.In gehender Bewegung の展開は格別な美しさで、11.Breit のゴローのテーマとの対比が素晴らしいです!



Jonathan Darlington w/Duisburger Philharmoniker [acousence classics]
 個人的イチオシの指揮者&オケのセット、ジョナサン・ダーリントン/デュースブルク フィルです。ストーリー性に感情移入したような、生き生きとした音楽性を強く感じる演奏です。濃い味ですw
ダーリントンは今までも色々と紹介済みで、本アルバムも単独インプレしてあります。
 第一部、森に入るゴローの暗さはやや強め、各楽器の音色が生きてゴローとメリザンドのテーマも美しく響きます。運命のモティーフが響き渡る様に鳴り、ペレアスのテーマとのコントラストも良いですね。第二部、スケルツォは明るく。メリザンドが泉で指輪を遊ぶシーンでは、落とすまでの中の微妙な心の揺れも感じます。ゴローの疑念を表すコントラバスは色濃く、その後の短いビオラとチェロは美しく、そして「城の塔」の二人のシーンは繊細です。そして地下の洞窟でのゴローとペレアスのシーンも強いです。第三部は「愛に目覚めたメリザンド」の美しく緩徐楽章的流れから激情さへと、二人の感情シーンを表しています。訪れるペレアスの死は炸裂的です。第四部はゴローとメリザンドのコントラストですね。メリザンドの死はややくどいかもしれません。
(本CDはカップリングでフォーレの"ペレアスとメリザンド"も入っています)




ズバリ、③ブーレーズ/グスタフ・マーラー・ユーゲント管盤がCDイチオシですね。コンサートで聴きたいならダーリントン/デュースブルグ フィル④です!!

11/19(土)の都響/大野和士のコンサートでは、予想はカラヤンBPOの方向性ですが どうなるでしょう。楽しみです。^^


【PS】当日演目の他に曲も聴き比べしました
  ・フォーレの「ペレアスとメリザンド」聴き比べ
  ・デュティユーのヴァイオリン協奏曲「夢の樹」聴き比べ




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