ジョルジュ・クルターク(György Kurtág) の Portraitkonzert Salzburg 10.8.1993 を聴く
続けてクルターク(Gyorgy Kurtag, 1926/2/19 - )の Portraitkonzert Salzburg(1993-8/10) のライヴですね。残念ながらザルツブルク・ポートレイト音楽祭?を知らないのでどの様な内容のコンサートかはわかりません。でもせっかくですから、お気に入りの一人クルターグの連続紹介です。
楽曲構成については、ライナーノートに "Ein Komponiertes Programm" Werke Aus Den Jahren 1961-1992 とあり、「"構成プログラムは" 1961年から1992年の作品」との事です。従って教授職中の作品メインとなりますね。
Portraitkonzert Salzburg 10.8.1993 / György Kurtág
コンサート用の組み合わせで楽曲が下記のリストになります。殆どは極小曲からなる楽曲ですね。
◇ 1. Einführung zu Opus 27
・Pracludium und Choral (1961/81年) Für Klavier
・Tamàs Blum in memoriam (1992年) Für Viola
・Antiphone in fls (1973/76年) Für Klavier
・Vier Mikroludlen Op.13/4, 6, 10, 5 (1977-78年) Für Streichquartett
・Il pleut sur la ville (1981年) Für Sopran Und Klavier
・Lebewohl Op. 26/4 (1986/87年) Für Sopran Und Klavier
・Les Adieux Op. 12/7 (1975年) Für Sopran Und Violine
・János Pilinszky: Gérard de Nerval (1986年) Für Violoncello
・The Answered Unanswered Question Op.31b-Message-Hommage á Frances-Marie Uitti (1989年)
古典的な点描的音列配置を感じるPracludium und Choralは、表現主義傾倒時代の名残でしょう。そこから1992年へのクルターグの音楽変遷が聴けるのが、このコンポジットな曲です。作曲年は前後しますが、静と烈のコントラストになるまでの変化が楽しいですね。1977年あたりに今の楽風への変化ポイントがある様な感じです。
◇ II. Doppelkonzert Op.27 Nr.2 (1989/90年)
ピアノとチェロと二つのアンサンブルの為のコンチェルトです。神経質なチェロの音色とパルス的なピアノ、そしてアンサンブルがポリフォニーを奏でます。静的な展開と強音展開はクルターグらしいですね。各声部を統合する方向性が垣間見えていますが、やや中途半端的な感じです。
◇ Requiem po drugu (Requiem fur einen Freund) Op.26 (1986/87年)
-1. O Gott, wie plötzlich diese Stille, -2. Eine grausame Romanze, -3. Es war meine Stärke..., -4. Gott schütze Dich, mein Geliebter...
ゾルターン・コチシュ(Zoltan Kocsis) のピアノをバックに、エイドリアン・クセンジェリー(Adrienne Csengery) のソプラノのシュプレッヒゲザングです。多分に"月に憑かれたピエロ(Pierrot Lunaire)"の香りを感じますね。要はそんな曲です。煮え切れない気配は否めませんが。
◇ Samuel Beckett: What is the Word Op. 30b (1990/91年)
いきなりのトゥッティで入り、静かな語りに近い声楽になります。時々に現れるパルス的クラスター、そして狂気の語り。コントラストが強烈です。その辺りが前の曲との面白さの違いでしょう。
そもそもサミュエル・ベケットの演劇からクルターグは影響を受けていますから力作かもしれませんねw 面白いです。
歌詞は、言葉とは何だ!, 馬鹿げてる, ... といった徹底的にThe wordを問い詰める内容です。
★試しにYouTubeで観てみる?
本CDとは落差がありますが、降矢美彌子(Miyako Furiya)指揮&ピアノ、福島コダーイ合唱団(Fukushima Kodaly Choir)による演奏です。前振りが5分半もありますので、飛ばして下さいw
日本では知られていませんが、ハンガリーではWikipediaにも載っています!!
◇ III. Grabstein für Stephan in memoriam Stephan Stein Op. 15c (1989年)
M7だかm7の様なギターコードから、忍び足の様に潜んでオケが進み絡んできます。そしてクラスターの炸裂。全体を占める陰鬱さと、閃光の様な衝撃音。そのコントラストが大自然を感じさせますね。クルターグらしさを感じられる好きなパターンです。
◇ Játékok (Spiele) - Auswahl (Seit 1973年)
表現主義の残像、ポストセリエルな、10の小曲からなるピアノ連弾曲です。ここではクルターグ夫妻によるピアノの共演です。小曲の中には奥さんのマルタさんに捧げた曲も入りますが、興味は薄い音楽になりますね。最後にバッハのカンタータNo.106が入るあたりも、余計に音列主義を彷彿??
◇ Drei alte inschriften Op. 25 (1986年) Für Sopran Und Klavier
-1. Blume, Du sollst wissen, -2. Geschnitzte Szekler Wäschemangel (1792年), -3. Grabkreuz auf dem Friedhof von Mecseknadasd
再び、Zoltan Kocsis のpf と Adrienne Csengery の無調シュプレッヒゲザングです。似たような感じですが、より短く没個性的です。
◇ ...quasi una fantasia... Op. 27 Nr. 1 (1987/88年) Für Klavier
-1. Introduzione: Largo, -2. Presto minaccioso e lamentoso (Wie ein Traumeswirren): Molto Agitato, -3. Recitativo: Grave, disperato, -4. Aria - Adagio molto: Lontano, calmo, appena sentito
ピアノの単音がゆっくり静かに下降進行し、小さな鈴の音が続きます。残響が生かされて空間音響系になりますね。そして渦巻く様なポリフォニー展開になり、ヴァレーズの様なクラスターが現れます。
代表作の一つで、空間を埋める静音パートの煌めきと烈のコントラストは この後のクルタークの音楽の礎になっている感じですね。これはいい感じです。
・・・・・
個人的には1990年以降が好きなので、やや古い楽曲が並ぶアルバムです。特に'70年代まではベースが表現主義の音列配置になるので古(いにしえ)の現代音楽に感じますね。
とはいえ、'80後半からの素晴らしい楽曲も入っています。声部を統合する様な楽風はまだ現れていませんね。
楽曲構成については、ライナーノートに "Ein Komponiertes Programm" Werke Aus Den Jahren 1961-1992 とあり、「"構成プログラムは" 1961年から1992年の作品」との事です。従って教授職中の作品メインとなりますね。
コンサート用の組み合わせで楽曲が下記のリストになります。殆どは極小曲からなる楽曲ですね。
◇ 1. Einführung zu Opus 27
・Pracludium und Choral (1961/81年) Für Klavier
・Tamàs Blum in memoriam (1992年) Für Viola
・Antiphone in fls (1973/76年) Für Klavier
・Vier Mikroludlen Op.13/4, 6, 10, 5 (1977-78年) Für Streichquartett
・Il pleut sur la ville (1981年) Für Sopran Und Klavier
・Lebewohl Op. 26/4 (1986/87年) Für Sopran Und Klavier
・Les Adieux Op. 12/7 (1975年) Für Sopran Und Violine
・János Pilinszky: Gérard de Nerval (1986年) Für Violoncello
・The Answered Unanswered Question Op.31b-Message-Hommage á Frances-Marie Uitti (1989年)
古典的な点描的音列配置を感じるPracludium und Choralは、表現主義傾倒時代の名残でしょう。そこから1992年へのクルターグの音楽変遷が聴けるのが、このコンポジットな曲です。作曲年は前後しますが、静と烈のコントラストになるまでの変化が楽しいですね。1977年あたりに今の楽風への変化ポイントがある様な感じです。
◇ II. Doppelkonzert Op.27 Nr.2 (1989/90年)
ピアノとチェロと二つのアンサンブルの為のコンチェルトです。神経質なチェロの音色とパルス的なピアノ、そしてアンサンブルがポリフォニーを奏でます。静的な展開と強音展開はクルターグらしいですね。各声部を統合する方向性が垣間見えていますが、やや中途半端的な感じです。
◇ Requiem po drugu (Requiem fur einen Freund) Op.26 (1986/87年)
-1. O Gott, wie plötzlich diese Stille, -2. Eine grausame Romanze, -3. Es war meine Stärke..., -4. Gott schütze Dich, mein Geliebter...
ゾルターン・コチシュ(Zoltan Kocsis) のピアノをバックに、エイドリアン・クセンジェリー(Adrienne Csengery) のソプラノのシュプレッヒゲザングです。多分に"月に憑かれたピエロ(Pierrot Lunaire)"の香りを感じますね。要はそんな曲です。煮え切れない気配は否めませんが。
◇ Samuel Beckett: What is the Word Op. 30b (1990/91年)
いきなりのトゥッティで入り、静かな語りに近い声楽になります。時々に現れるパルス的クラスター、そして狂気の語り。コントラストが強烈です。その辺りが前の曲との面白さの違いでしょう。
そもそもサミュエル・ベケットの演劇からクルターグは影響を受けていますから力作かもしれませんねw 面白いです。
歌詞は、言葉とは何だ!, 馬鹿げてる, ... といった徹底的にThe wordを問い詰める内容です。
★試しにYouTubeで観てみる?
本CDとは落差がありますが、降矢美彌子(Miyako Furiya)指揮&ピアノ、福島コダーイ合唱団(Fukushima Kodaly Choir)による演奏です。前振りが5分半もありますので、飛ばして下さいw
日本では知られていませんが、ハンガリーではWikipediaにも載っています!!
◇ III. Grabstein für Stephan in memoriam Stephan Stein Op. 15c (1989年)
M7だかm7の様なギターコードから、忍び足の様に潜んでオケが進み絡んできます。そしてクラスターの炸裂。全体を占める陰鬱さと、閃光の様な衝撃音。そのコントラストが大自然を感じさせますね。クルターグらしさを感じられる好きなパターンです。
◇ Játékok (Spiele) - Auswahl (Seit 1973年)
表現主義の残像、ポストセリエルな、10の小曲からなるピアノ連弾曲です。ここではクルターグ夫妻によるピアノの共演です。小曲の中には奥さんのマルタさんに捧げた曲も入りますが、興味は薄い音楽になりますね。最後にバッハのカンタータNo.106が入るあたりも、余計に音列主義を彷彿??
◇ Drei alte inschriften Op. 25 (1986年) Für Sopran Und Klavier
-1. Blume, Du sollst wissen, -2. Geschnitzte Szekler Wäschemangel (1792年), -3. Grabkreuz auf dem Friedhof von Mecseknadasd
再び、Zoltan Kocsis のpf と Adrienne Csengery の無調シュプレッヒゲザングです。似たような感じですが、より短く没個性的です。
◇ ...quasi una fantasia... Op. 27 Nr. 1 (1987/88年) Für Klavier
-1. Introduzione: Largo, -2. Presto minaccioso e lamentoso (Wie ein Traumeswirren): Molto Agitato, -3. Recitativo: Grave, disperato, -4. Aria - Adagio molto: Lontano, calmo, appena sentito
ピアノの単音がゆっくり静かに下降進行し、小さな鈴の音が続きます。残響が生かされて空間音響系になりますね。そして渦巻く様なポリフォニー展開になり、ヴァレーズの様なクラスターが現れます。
代表作の一つで、空間を埋める静音パートの煌めきと烈のコントラストは この後のクルタークの音楽の礎になっている感じですね。これはいい感じです。
個人的には1990年以降が好きなので、やや古い楽曲が並ぶアルバムです。特に'70年代まではベースが表現主義の音列配置になるので古(いにしえ)の現代音楽に感じますね。
とはいえ、'80後半からの素晴らしい楽曲も入っています。声部を統合する様な楽風はまだ現れていませんね。