サボンリンナ音楽祭2016 ヤナーチェクの歌劇「死者の家から」を NHKプレミアム・シアターで観る

今年のフィンランドのサヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル(Savonlinnan oopperajuhlat/Savonlinna Opera Festival)から、ヤナーチェク(Leoš Janáček, 1854/7/3 - 1928/8/12)の最後のオペラ「死者の家から(Z mrtvého domu/From the house of death) 全3幕」ですね。

原作はドストエフスキーのシベリア収容所を舞台にした小説『死の家の記録』で 初演は1930-4/12、ヤナーチェク死後2年を経ていました。
ヤナーチェクは民族音楽色の強い音楽ですが、クールで特徴的ですね。

超あらすじ
[第一幕] 政治犯ゴリャンチコフはシベリアに投獄されて鞭打たれながらも、タタール人の少年アリイェイヤに読み書きを教える様になります。[第二幕] 復活祭の休日には囚人による演劇やパントマイムが行われますが、アリイェイヤが怪我を負ってしまいます。[第三幕] 囚人の一人シシコフが恋人を殺した罪を語ると、その恋の宿敵モロゾフが目の前で獄中死したクズミッチだとわかり驚愕します。そして最後はゴリャンチコフが釈放され、アリイェイヤが感謝を表し「あなたは父だ」と呼びます。

明確な主役や起承転結のあるストーリー性は極薄く、全てが唐突で脈絡不明です。一連の流れの中に、囚人たちが自らの犯した内容を語ります。それが多くを占め、その内容こそが主役の様です。

2016SavonlinnaOperaFestival-FromTheHouseOfDeath.jpg

は、今回の再演を受けてキャロライン・クレッグが担当しているそうです。囚人のリアリティを出すために鉄の枷を使ったりしているとの事ですが、その割には 状況の悲惨さや凶暴さを印象付ける脚色は感じられません。

台・は暗いレンガ風の崩れたような作業獄に年代考証に準じた感の衣装で、今の時代のオペラとしては平凡です。悪くはないのですが、生かされていない感じです。
プロジェクションマッピングは少し使われていましたが、今や普通でしょう。

ではゴリャンチコフ役のルサネン、少年兵アリイェイヤの"ズボン役" メゾソプラノのハンナ・ランタラがメインかもしれませんが、いずれ出番が少なすぎですw
囚人のクズミッチは大柄のポホヨネンで、ドラマティコなテノールがとてもマッチしていました。シシコフ役オッテリのバリトンも良かったですね。出演者全体として、風貌・声ともに良かった感じです。

は音の揃いが良く、クールで悪くありません。音楽だけで聴いても、舞台を生かした控えめさはあるかもしれませんが、十分に良かったのでは?!

・・・・・

全体としては、ストーリー展開が薄くわかりづらい内容に違いありません。演出や舞台も今ひとつで、煮え切れません。特に演出でしょう。そこに強烈な主張がないと「シベリア収容所」の厳しさが伝わらない感じです。荒くれ者の酒場の舞台に変えても同じ様に見える気がしました。自由の象徴"鷲"のシーンも印象が薄いです。
唯一良かったのはシシコフのシーンでしょうが、決着が見えず浮いていましたね。ラストも突然の釈放で、意味不明の感が拭えません。もっと狂気の様なモノが必要では…
これなら現代音楽のオペラ、例えばツィンマーマンの「兵士たち」、の方がクドさが見栄えがしますね。

とは言え、歌手や演奏は楽しめたわけで、またもや自分の感性の無さが証明されただけ?! これまたオペラ・クラシック通向きの作品なのでしょうか。
^^ゞ


<出 演>
 アレクサンドル・ペトロヴィチ・ゴリャンチコフ(政治犯):ヴィッレ・ルサネン[Ville Rusanen]
 アリイェイヤ(タタール人の少年囚):ハンナ・ランタラ[Hanna Rantala]
 ルカ・クズミチ(実はフィルカ・モロゾフ):ミカ・ポホヨネン[Mika Pohjonen]
 シシコフ:クラウディオ・オテッリ[Claudio Otelli]
 スクラトフ:アレシュ・ブリスツェイ[Ales Briscein]
 シャプキン:エイドリアン・トンプソン[Adrian Thompson]
 他

<合 唱> サボンリンナ音楽祭合唱団
<管弦楽> サボンリンナ音楽祭管弦楽団
<指 揮> トマーシュ・ハヌス(Tomas Hanus)

<演 出> デーヴィッド・パウントニー(David Pauntney)
<再演演出> キャロライン・クレッグ
<舞台装置&衣装> マリア ビヨルンソン(Maria Bjornson)
<照明> クリス エリス(Chris Ellis)
<合唱指揮> マッテイ ヒョオキ(Matti Hyokki)


収録:2016年7月26、28日 オラヴィ城中庭 特設会場(フィンランド)

NHKプレミアム・シアターで最新のオペラを見られるのはとても嬉しいのですが、一般的に使われている名称を変えますよねぇ。「パルファル→パルファル(NHK)」とか、今回も「サヴォンリンナ→サンリンナ(NHK)」ですし。
何か意図があるのでしょうかねぇ。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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