マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 150CD聴き比べ! [#10 / CD:141-150]

グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860/7/7 - 1911/5/18)の交響曲第5番(Symphony No.5)の聴き比べも今回10CDで150CD(含DVD)まで来ました。まだありますね。
いい加減、ABC順に並べ直すとか 目次でも作らないとランダムではそろそろ限界がありそうです。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.5 の聴き較べです (現在 #10回 150CDまで)
 #10:10CD 今回紹介分です
 #9:15CD
 #8:15CD
 #7:10CD
 #6:14CD
 #5:5CD アバド追悼
 #4:20CD
 #3:25 26CD
 #2:20CD
 #1:15CD




本当は#1に1枚だけ入っていたゲルギエフですが、DVDが出たりしたのでオーケストラ違い3枚の聴き比べをここへ持ってきました。
ゲルギエフ / Kirov O
[DIRIGENT] 2007-8/19
 非正規盤になりますが、ヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)が1988年から音楽監督(1996年から総裁)を務める現マリインスキー劇場(管弦楽団)の演奏です。キーロフは本来ソヴィエト時代の呼び名ですね。ちなみにゲルギエフはテミルカーノフの助手として1977年にキーロフ劇場の指揮者になっています。
 鳴りの良い管楽器のファンファーレとゆったりとしてクールな葬送行進曲で始まる第一楽章。第二主題では明るく華やかに転換しますね。第2トリオ前後も色合い豊かです。第二楽章は激しい序奏第一主題で入り、シックな美しさの第二主題へと移ると以降も興奮を抑え気味にバランス良く演じます。それでもラスト前の金管の山場は最終楽章の締めを期待させますね。
第三楽章は優美なスケルツォそしてレントラー、ゲルギエフの得意とするところでしょう。第2トリオも明瞭さを押し出しながら主題の変奏や展開を進めます。生き生きとしたホルンも含めて、厄介なこの楽章を見事な演奏でコーダへ。優美にして優雅、指折りの第二部=第三楽章でしょう。
アダージェットは心持ち速めで、甘美さよりも静音と重厚のバランスと対比を感じます。もっと薄く透明感があると嬉しかったですが。最終楽章は軽快リズミカルに主題を絡ませながら上げていきますが痩せた演奏ではありません。速めの流れで展開部の山場から再現部の山場、コーダまで一気に走ります。
・・・・・
過度の興奮を抑えながら締まりがあり優美さが特長的なマーラー5です。演奏は多少の不安定さもありますが意向に合っていますね。特に第三楽章は出色です!


ゲルギエフ / World Orchestra For Peace
[Unitel Classica] 2010-8/5
 DVDです。2010年のBBCプロムスでワールド・オーケストラ・フォア・ピースを振った映像・録音ですね。ゲルギエフは平和活動に積極的で、国連創設50周年を記念して設立された同楽団に1997年から指揮者になっています。
第一楽章は歯切れの良いファンファーレ、続く葬送行進曲は緩やかで感情を抑えたクール流れです。第二主題も激しさは押さえ気味に入り激情よりも鳴りの良い音です。その後も激情を避けてクールさと色合いのバランスの良さを感じます。第二楽章も第一楽章に続く抑えの効いた第一主題から第二主題をシックな色合いで奏で、その対比を崩さずに纏まりの良い演奏ですね。激烈を避けてシャープさと美しさとの整合を図るような第一部です。
第三楽章はやや華やかさの薄めなスケルツォから優美なレントラーへ、そして第2トリオ以降もやや薄めに感じました。やや丸くなりすぎの第三楽章です。
第四楽章は緩やかで表情よりも重厚パートでのコントラストを強く見せます。第五楽章は速めでリズミカルに、そして軽快に上げていきます。心地よいペースで展開して展開部の山場流すように過ぎて再現部に向かいます。再現部山場からコーダは、揃いの良い迫力で流れるようなアッチェレランドです。hrとtp二人には大拍手!
・・・・・
上記キーロフとの演奏を研ぎ澄ました様なマーラー5です。オケの管楽器レベルも上がったのですが、全体として上品(薄味まろやか)になりすぎかも?!


ゲルギエフ / LSO
[LSO live] 2010-9
 2007年から首席指揮者に就任しているロンドン響とのマーラー5で、上記プロムスのWOFPとの録音の翌月の演奏です。
第一楽章は やや重厚さを増したファンファーレと例によって感情を抑えた葬送行進曲です。第二主題も激情抑えめですが、その後の第一主題を極度にスロー展開するなど陰影が深まっています。第二楽章も序奏はやや強めになっていますが、第二主題もやや明るめに演奏されます。少し平均化されて来た感のある第一部です。
第三楽章は落ち着いたスケルツォから線の細めのレントラーへと続きます。静的パートをスローに落としたりとゲルギエフらしい展開を見せますが今ひとつ締まりません。
アダージェットはやや遅くなり静音パートの透明感が増しています。そして重厚パートを控えめにしているので、全体として澄んだ空間が出来上がりました。このパターンは好きですね。最終楽章は緩やか軽やかな足取りです。かなり軽くなりました。そして展開部も見晴らし良く山場へ向かいます。山場も一番切れ味が良く、コーダも華やかな見事さで締めくくります。第三部はこれが一番いいですね。
・・・・・
強音パートの炸裂感を強めたりと、個性が薄まった感じのマーラー5です。第三部はそれでもいいのですが、第一部と第二部の魅力は欠けますね。


★☆ ラトル / Belriner Philharmoniker
[EMI] 2002-9/7-10
 Simon Rattle といえば今でもバーミンガム市響のイメージですが、BPOの首席指揮者(兼芸術監督)も2018年で終えるそうですね。個人的にはイギリス人指揮者Sir サイモン・ラトルも我儘ヴィルトゥオーゾ軍団BPOも興味は薄いですが。
第一楽章は微妙で特徴的なアゴーギクで入り、葬送行進曲はもったいぶったクセがあります。第二主題(第一トリオ)でも揺さぶりますね。弱いティンパニーから続く第二トリオでも傾向は同じです。第二楽章は約束通りに激しく進みますが、第一楽章で感じたクセはありません。第二主題のチェロや展開部でも同様ですね。
第三楽章 スケルツォからレントラーでは音色が今ひとつの感があり跳ねる様な明るさに欠けます。全体としても平凡な感じですがあっさりと仕上げているのかもしれません。
アダージェットは大甘ではなく静的冷的で影を感じる美しさですね。好きなパターンです。最終楽章は緩く第一第二主題を絡ませながら見晴らし良く上げていきます。展開部の山場は見事に決めて、ラストの山場からコーダは迫力を増してアッチェレランドで駆け抜けます。流石BPO。(笑)
・・・・・
なんとここまでラトルBPO盤をインプレしていなかったとは驚きでしたw ラトルのBPOデビューLive、BPOの演奏なのかラトルの意図なのか例によって不明ですが、揺さぶりを少し入れて構えた王道マーラー5番です。大喝采だったでしょうね。Applauseをカットせずに残して欲しかったです。


ジークハルト / The Arnhem PO
[EXTON] 2010-11/3-5
 オーストリア人指揮者 マルティン・ジークハルト(Martin Sieghart) が2008年に常任指揮者を退き名誉指揮者となったアーネムフィルとの演奏です。2010年はマーラー生誕150周年で、録音も増えた年です。
かなりスローですが王道な葬送行進曲の第一楽章。第二主題も変化は少なく、第一主題回帰後の第2トリオも含めて緩い第一楽章です。第二楽章も当然の様にやや緩めの第一主題で入り、静かに第二主題を奏しますが 展開部でも切れ味不足は否めません。間伸びでもっそりと歯切れ悪い第一部です。
第三楽章でも基本は変わらずでスケルツォからレントラーでもスッキリしません。第2トリオあたりでペースアップし一般的なリズムに戻しますが、演奏に締まりがなく 長〜く感じます。
アダージェットは"そ〜っと"弾いている感じですが一番まともですね。まぁ弦楽奏曲ですから。でも静音スローで情感が落ちて好みの方向性、ですが これも10分とは思えない長さ。最終楽章の提示部は基本通りに緩やかに上げていきます。展開部はもたもたしますが、山場はそれなりに盛上り再現部へ。再現部山場から妙なスローを経て、コーダの音出しは見事! アッチェレランドで駆け抜けて帳尻合わせは成功です。
・・・・・
見晴らしの良くないマーラー5でしょうか。あ〜眠アーネムPOの演奏も切れがなくやや怪しげw、冷たいシャワーでも浴びてやり直し!? って感じ。所有している中でもワースト5を狙えるでしょう。


ロンバール / Orchestre National de Bordeaux-Aquitaine
[Forlane] 1991-6
 歌劇の指揮の印象が強いフランス人指揮者アラン・ロンバール(Alain Lombard)はバーンスタインの助手を務めていましたね。これはボルドー・アキテーヌ国立管の音楽監督時代の録音になります。
強音の迫力を持たせつつ重さを引きずらない葬送行進曲から、弾ける様な第1トリオは派手な第二主題で好きなパターンです。第2トリオでも丁寧で流麗な流れを見せます。第二楽章はマーラーの指示通りの激しさを見せる序奏で入り一転テンポを落とした第二主題を美しく奏でます。展開部以降もそのバランスをうまく対比させて彫りの深い演奏でラスト前の山場も見事です。見晴らしの良い第一部ですね。
第三楽章はスケルツォを良いリズムでこなし、第1トリオの第二主題レントラーで優美さを見せます。主題の変奏を色合いよく進めながら第2トリオに続き、その後も緩急つけた展開し見事なコーダです。やや特徴に欠ける感はありますが、締まりがあり悪くありません。ホルツクラッパーの音色が変わってます。(この標準的テンポで演奏時間16'28"は短い気がします。カットあり?!)
第四楽章はアゴーギクを使って情感のこもる演奏です。音の厚みがあるパートはやや速めに振っているのですが甘美な演奏ではあります。揺さぶりを感じる珍しいアダージェットですね。最終楽章は特徴的に速めに各主題・各楽器が絡ん上げていきますが、軽快感が弱いです。ハイスピードで展開部の山場で突入、再現部も山場の回帰以降コーダまで大突進です。それまでの楽章との違和感がすごいです。最後は大爆裂と大アッチェレランドです。考え方を変えると、変で面白い?!
・・・・・
第五楽章以外は、完成度高く悪くありません。でも全体を通して聴いた時に、その最終楽章以外の印象が薄いのはなぜでしょうか? 変なマーラー5の一枚に参加ですか。下のマデルナと比べればまだまだ普通?!w


マデルナ / Orchestra Sinfonica di Milano della RAI
[ARKADIA] 1973-2/23 [mono]
 現代音楽家また指揮者としても好きな ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna)。指揮は かのシェルヘンに師事しています。(そこが問題なのですがw) この5番はマデルナが亡くなった年に録音されたものになりますね。当時首席指揮者を務めていたミラノ・イタリア放送響(現:RAI国立交響楽団)による演奏です。
第一楽章、スローでクセの強い揺さぶりの葬送行進曲には派手なtpがセットです。いきなりマデルナらしさが炸裂ですね。第二主題は派手にかつ暴れます。すごいコントラストです。第2トリオ前のティンパニーもすごく変です。第二楽章第一主題は猛烈に速いです。急ブレーキでスローの第二主題ですが、美しさよりも変な間をとったり そっけないです。その後も荒れたり間伸びしたり金管の山場は大爆裂、予想通り変わっている第一部になります。(笑)
第三楽章は速めのスケルツォ、弦がガサゴソ変です。レントラーも初めはいいのですが回帰するスケルツォで弦五部がグダグダの大暴れです。展開部のピチカートも超極解? 変で時に暴れて速いですから絶対に飽きない第二部です。
第四楽章はスローでとても美しく大きなアダージェットです。あまりに普通に美しくて、かえって違和感が大きいですね。最終楽章は約束通りに主題を絡めながら上りますが、途中で極端なスローテンポを入れたり目が離せません。山場は例によってグジャグジャ大暴れになりますが、一呼吸した後コーダは見事にビシッと決めてくれました。
・・・・・
考え方の次元の異なるマーラー5です。演奏も暴れているのか下手なのか?わかりませんが、全然嫌いじゃありません。一風変わった作品は多いですが、せっかくならここまでやらないと!!?
とは言え、狂気の先端を行く師匠の最後の作品には及びませんw。mono録音でもあり、普通は絶対に必要ありませんね。



リーパー / Orquesta Filarmónica de Gran Canaria
[Arte Nova] 1995-9/20-24
 英人指揮者エイドリアン・リーパー(Adrian Leaper) が1980年創設のカナリア諸島のオーケストラ、グラン・カナリア・フィルハーモニー管の首席指揮者を務めていた時代の録音ですね。
第一楽章は正攻法を感じさせる堂々たる第一主題葬送行進曲から、第二主題は華々しさが生きています。第二楽章も基本通りの迫力で第一主題をこなして、テンポダウンの第二楽章を優美に演奏します。その後も安心感あるメリハリです。
第三楽章は優美に舞うスケルツォから始まり、広がりと穏やかさと優雅さで通します。クセは全く感じられず、演奏の破綻もなく実に見事です。が、何か足りない気がします。
第四楽章アダージェットは美しさと甘美さのバランスのとれた演奏で穏やかな美しさですね。第五楽章も予想通りに緩やかに上げて行き、山場は抑え気味に乗り越えてコーダーは派手で大きく広げて足並み揃える様にフィニッシュします。
全楽章通して人間業とは思えない完璧な演奏です。
・・・・・
一点の曇りもない保守本流王道教科書演奏です。演奏のエラー・乱れ一切なし、極端な解釈・表現なし、演奏時間(68')遅早なし、録音のバランス等悪さなし。ただし、特徴も個性も情熱もなし。
指揮者・オケの練習だけでなく、recordingとmixing技術の粋も最大限生かした制作意図を感じる作品でしょう。(カラヤンの亡霊かと思いましたw)



ヒルシェ / La Jeune Philharmonie
[Cypres BANQUE] 1994-9/8
 ケルン生まれでM.ギーレンに師事したペーター・ヒルシェ(Peter Hirsch)が、ベルギーのユースオケ?、ラジュンヌ管弦楽団を指揮したマーラー5です。
ゆったりとした葬送行進曲から、スピード感ある第二主題の組み合わせで安心感がある第一楽章です。まるでアタッカで繋がるように入る第二楽章も、スピード感ある第一主題と優美さの第二主題でスムーズです。迫力を削いでいますがクセの少ない第一部ですね。
第三楽章はスケルツォとレントラーともに軽妙さで入り、その後も軽快さを前面に出してリズミカルな第二部になっています。
アダージェットは速めなので甘美さは緩めですね。速めと言うこと以外 抑揚はごく普通でしょう。第五楽章の入りはこのパターン、軽量軽快さが最大限生きますね。小気味よく上がって行き、山場で初めて荒い迫力を漂わせながらコーダは鬱憤を晴らすように見事なアッチェレランドを効かせて駆け抜けます。この最終楽章は素晴らしいです。
よくあることですが、指揮者ヒルシェの唸り声がけっこう強く入ってますw
・・・・・
スマートな軽量スピード感のマーラー5です。演奏も悪くありませんが、薄味です。そこが判断の分かれ目でしょう。


山田 一雄 / NHK SO
[NHK Classical] 1985-2/13
 故ヤマカズ(73才)とN響のマーラー5、当然?DVDですね。(笑)
第一楽章は重厚な葬送行進曲から勇壮な第二主題へ。重めのパターンの典型ですね。第二楽章、縺れる様なアゴーギクとディナーミクを入れたクセの強い第一主題に対し抑え気味の第二主題、展開部もその両面をもっと見せれば面白いのですが やや平凡に終わります。
第三楽章、スケルツォとレントラーを標準的に流して、第三主題部(第2トリオ)から展開部 再現部へと各主題をスローと重めに絡ませて進みコーダをビシッと締めます。
第四楽章は情感豊かで甘美、密度の高い空気です。DVDならではの指揮者の気持ちの込め方が伝わりますね。迫力さえ感じます。最終楽章は急がずに主題を並べて進んで行きます。展開部の山場を華やかに迎えて、再現部の山場からコーダはスローでズッシリ!!
・・・・・
典型的な重量級マーラー5。時折見せるヤマカズ・アゴーギクや管楽器のミスさえも、今となればスパイスです。



古い録音を中心に、まだありますねぇ。指揮者ABC順の並び替えを検討しないといけませんね。(汗)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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