心に響く ギャヴィン・ブライアーズ Gavin Bryars の Jesus' Blood Never Failed Me Yet

フリージャズのベーシストとして活躍したギャヴィン・ブライアーズ(Gavin Bryars, 1943/1/16 - )は、イギリス・スコットランド生まれの興味深い現代音楽家ですね。
ミニマリズムでワークス・イン・プログレスを採用し空間音響の傾向も見られます。また一方でエレクトロニカやテクノといったアンビエント系やポップな影響も受けていますね。無調の前衛ではありません。

これは初期のブライアーズの代表作『イエスの血は決して私を見捨てたことはない』ですね。1971年に作者不明のホームレスの歌(元は讃美歌)を元に作られています。オリジナルは Brian Eno* の Obscure label から1975年にLPで発売されました。というと傾向を感じられる人もいるでしょう。古く懐かしい作品ですが、いつかはこの曲をアップしようと思っていました
*ちょっと脱線するとイーノは初期ロキシー・ミュージック時代のファンで、当時はちょっと変わったロック…的な印象で聴いていましたね。
1993年再録音の本アルバムはExectiveProducerにフィリップ・グラス、そしてなんとトム・ウェイツ(Tom waits)が参加して、ロングヴァージョン化しています。

Jesus' Blood Never Failed Me Yet / Gavin Bryars

  "Jesus' blood never failed me yet
  Never failed me yet
  Jesus' blood never failed me yet
  There's one thing I know
  For he love me so..."

  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  決して見捨てたことはない
  イエスの血は決して私を見捨てたことはない
  一つ知っていること
  私を愛してくださる...


この唄が延々と呟くように74'間歌われ、バックに弦楽四重奏、弦楽、フルオケ、と途切れ目なく展開していきます。
ホームレスの口ずさむ歌はテープによる反復(今で言うならサンプリングでループ処理ですね)、サウンドもアンビエントな変奏と反復、それがマッチして優しさに溢れます。ポストミニマルな環境音楽です。

Alan Powerのドキュメンタリーのサウンドとして、ホームレスの老人の唄をテープにしているそうです。曲名はそのまま「Tramp with Orchestra」で、バックの演奏変化で4曲(string quartet, low strings, no strings, full strings)、最後の二曲が「Tramp and Tom Waits with full Orchestra」「Coda: Tom Waits with High Strings」になります。
ラスト二曲はトム・ウェイツが遠くから入りながらテープとのduoとなり、最後はコーダとある通り一人になって歩き去る様にフェードアウト終了します。トム・ウェイツを入れたのは賛否両論あるでしょうが、私はこの再録音盤が好きですね。
ちなみに歌った老人は音源化される前に亡くなったそうです。R.I.P.

 ★試しにYouTubeで聴いて見る?

CD化されたObscure labelのオリジナル録音**も所有していますが、そちらにはもう一曲の代表作「タイタニック号の沈没 The Sinking of the Titanic」がカップリングされているので、また紹介します。
**guiter, organ, violin, tuba, double bass がバックで、演奏時間25'57"です。

・・・・・

前衛現代音楽ではなくアンビエントの方向性です。
ただ凹んだ気分の時など、この曲の素晴らしさが心を満たしてくれるでしょう。こんなコメントはこのブログらしくありませんが、それしかコメントは浮かびません。懐かしさいっぱいですが、前衛やアンビエントと今になってブログのネタとして繋がってくるとは不思議な事です。


[PS] ブライアーズが編集テープをかけたまま、コーヒーを注ぎにいった際の出来事を以下の様に書いています。それがこの曲の全てを言い表しているでしょう。
I left the tape copying, with the door open, while I went to have a cup of coffee. When I came back I found the normally lively room unnaturally subdued. People were moving about much more slowly than usual and a few were sitting alone, quietly weeping.

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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