藤倉大 Dai Fujikura の Ice を聴く

昨日に続き藤倉大さんのCDインプレです。
藤倉大 (Dai Fujikura, 1977/4/27 - ) と言えば、エトヴェシュやブーレーズとの関係が印象にありますよね。今年始めのブーレーズ逝去にあたってはTVにも出演があったりして、英London在住ですが日本人現代音楽家として欧州は勿論、国内でも注目の一人に違いありません。

電子音楽を含めた前衛的スタイルは今の時代の現代音楽ですが、どこかに美しさを感じられるのが特徴的ですね。そして本CDがKAIROSレーベルから出ているというのが素晴らしいです。

Ice / 藤倉大

1. Sparks (2011) for solo guitar
 不安定な double-stop harmonics による演奏とありますが、金属音の様なハーモニックスの響きが主体の生ギターの小曲です。無調ですが美しい響きがするのは藤倉大の曲ですね。

2. Ice (2009-10) for ensemble
 ソロパートは演奏者であるInternational Contemporary Ensemble(ICE) のメンバーのパーソナリティを前提に書かれているそうです。
速いトレモロ、トリルによる各楽器の絡みから入り、中盤では長音の空間音響系になります。グリッサンドの中にギターの単音が響く展開も面白いですね。クラスターやポリフォニックではなく同期と対位法的な端正は流れで、時折 東洋や中近東和声も感じられる とても綺麗な楽曲です。

3. Phantom Splinter (2009) for ensemble and live electronics
 クラリネットとオーボエ、バスーンによる微分音(microtonal)の展開だそうです。
聴く限りでは、そこまで不安定要素が大きく感じられません。単音の響きを重視したパートから入り、構成順序をIceと変えていますが似ています。いずれ静的な中の響きを重視した空間音響系の展開です。
ライヴエレクトロニクス処理はフライブルクのSWR EXPERIMENTALSTUDIOですが、どの様な処理なのかはわかりません。

4. Abandoned Time (2004-06) for solo electric guitar and ensembles
 ディストーションされたロックギターを現代音楽の中に展開した、とあります。右手のタップ、それにチューブアンプのオーバードライブのギター。アンサンブルはグリッサンド、ビブラート、そしてトリルで対応するとありますね。
その通りの展開ですw e-guitarは上記の古典的ロックギターの音色で展開しています。もっとエフェクターで音色の変化を付けてしまっても面白そうですが、そこは意図があるのでしょう。
なるほど、後半は明らかにRock調の意識が入っています。それでAbandoned Time?!
ここではノイズ的な表情やパルスも見せる展開がありますね。

5. I dreamed on singing flowers (2012) for prerecorded electronics
 電子音楽だけの曲です。prerecorded electronics とは事前録音した音との合成のようです。(間違っていたら教えて下さい)
重低音アンビエント系ドローンのロングトーン、約4分の小曲です。ケンジントンガーデンをポータブル・ミュージック・プレイヤーとヘッドホンで聴きながら歩く事を考えて書かれている小曲とか。地響きと勘違いしないといいけど…w

6. Sparking Orbit (2013) for solo electric guitar and live electronics
 Sparksの引用のe.guitarでスタートし、ライヴエレクトロニクスでスペース的に展開し、中盤では叙情的なメロディーライン、終盤はディレイとリヴァーブ処理されているそうです。
Sparks引用のハーモニックスは速くなっていますね。それ以外はライナーノートの通りですが、ディレイとリヴァーブ処理はノイズ系サウンドです。それにしても基本ソロ・ギターとは思えないほどのサウンド(timbre?)の厚みです。
この曲はICEのギタリストであるDaniel LippelとライヴエレクトロニクスSWR EXPERIMENTALSTUDIOの為に書かれた曲だと、リップル本人は言っていますね。
 試しにYouTubeで聴いてみる?

・・・・・
無調の空間音響系ですが、静的で美しさを感じる音楽です。その中にノイズ系の展開が見られるのも特徴的ですね。BGMとして聴いても問題ない感じでアンビエントに近いサウンドです。ポスト・クラシカル系の方向性も感じられますね。2010年以前の曲とは変化を感じます。
ここではエトヴェシュにもブーレーズにも似ていません。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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