トリスタン・ミュライユ Murail の gondwana, desintegrations, time and again を聴く

このblogではお馴染みのスペクトル楽派を代表する一人、フランスの現代音楽家トリスタン・ミュライユ(Tristan Murail, 1947/3/11 - ) は グリゼーに比べると聴き易い作風に感じますね。
ジャチント・シェルシやブーレーズ IRCAMからの影響や展開は今更言わずもがなでしょう。このアルバムには代表作のゴンドワナが入っていますね。

gondwana, désintégrations, time and again / Tristan Murail

このアルバムは1980年以降、ミュライユがIRCAMへの参加で音響解析を進め始めた時代以降の管弦楽作品集になります。
スペクトル解析に関しては「グリゼー:音響空間(Les Espaces Acoustiques)」のページで紹介しています。

Gondwana (1980年) for orchestra
 鐘の音を音響解析したこの手法は、この21年前に黛敏郎がNHK電子音楽スタジオを使って同じ手法(カンパノロジー・エフェクト)を試み 涅槃交響曲を作っている事は知られていますね。
もちろん鐘の音をスペクトル解析で単音に分解して楽曲を作っているので、鐘の音が聴こえるわけではありません。当然ですが黛敏郎さんよりも空間音響系なので、それらしい気配が感じるのかもしれません。音的には静的ドローンな空間音響が支配しますが、中盤以降でアゴーギクとディナーミクが現れ山場を作ります。それでも 今となると平板な感じは否めないかもしれません。

Désintégrations (1983年) for 17 instruments and computer-generated tape
 楽器の響きとその音響合成を合わせた初めての作品です。17の楽器と 事前にコンピューターが音響合成(IRCAMが対応)したテープとの音楽です。
ゴンドワナに比べるとドローンだけでなく表情が強く現れている感じで、各楽器の一音の響きを強調する様な音並びです。もちろん特殊奏法でも即興的でもありませんし、ましてや微分音のわけもありません。テープもノイズ系ではありません。途中からキラキラとした音を交えたり拍子変化を付けたりと, 陰影を強く表現した 今の時代にも繋がる空間音響系音楽ですね。
 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

Time and again (1986年) for orchestra
 バーミンガム響の為に書かれた曲です。よりメリハリが強くなりトゥティというかクラスターというか、処々で衝撃音が現れます。ドローン的な要素は影を潜めて出し入れの強い音色です。このパターンでの進化が、以降の時代の作品にも反映されて行きますね。

ミュライユが空間音響系の音楽を発展させた時代の管弦楽曲で、今の時代の現代音楽の源流の一つである事が良くわかりますね。3曲の音楽の変遷だけでも後半になるにつれて今らしさが強くなるのがわかります。
現在では、これに特殊奏法や視覚への展開を含めたインスタレーション系のコンプレックスな流れが主流ですが。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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