カティア・ブニアティシヴィリの カレイドスコープ Kaleidoscope / アリス=紗良・オット と スティーヴン・オズボーン と「展覧会の絵」 の聴き比べ

カティア・ブニアティシヴィリ(Khatia Buniatishvili, b.1987/6/21) の ニューアルバム「Kaleidoscope」が出ました。前作のMotherlandは、NHKで放送されたアルバムへの思い「森の中のピアノ・コンサート」がとても印象深かったので予約購入してみました。
ブニアティシヴィリはコンサートでは今ひとつの感があったのですが、あの放送で "なるほど!" と感じましたね。

アリス=紗良・オット(Alice Sara Ott, b.1988/8/1) も2013年に「Pictures」のアルバムを出しているので、聴き比べしてみる事にしました。
同世代、まだ20代の二人は日本のコンサートでもお馴染みですけど、演奏も体格も気配も異なりますね。さて、タイトルは異なりますが両者 ムソルグスキー「展覧会の絵」です。聴き比べたらどんな感じでしょう。

そう言えばスティーブン・オズボーン(Steven Osborne, b.1971)も2013年に出していましたね。今や中堅どころで人気・実力共に評価の定まったオズボーン、脂の乗り切った45歳は彼女達よりちょっと上の年代。一緒に聴き比べてみますね。

Kaleidoscope / Khatia Buniatishvili


 緩やかでエモーショナルな展覧会の絵ですね。入りのプロムナードは優しさで包まれる様な演奏です。この曲の中で印象的なffパートを持つグノームサムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ も切れ味に対する緩やかさの対比が明確で、激しさよりも優しさのパートが際立ちます。バーバ・ヤーガは流石にハードさを見せてくれますね。
プロムナードもエモーショナルさが強く、特に#4は素晴らしいです。#5はやや揺る過ぎかもしれませんが。
古城は優しさや愛おしさが全体に流れる様なタッチでブニアティシヴィリらしさ全開です。思わず涙が浮かびそうになるくらいの情感です。卵の殻をつけた雛の踊り は特徴的で仏印象派の様な気配が漂いますし、リモージュの市場 のハイテンポの表情も楽しいです。
そしてリモージュの市場 以降はアタッカで繋がり、ムソルグスキーの指示通りの演奏ですね。(当然各プロムナード後もアタッカです)
ラストのキエフの大門は、出し入れの強い曲の印象を最大限に表して、強音パートと弱音パートの二面をとても明確に弾きます。ラストの強音パートは優しさ感じます。それこそがブニアティシヴィリの神髄かもしれません。


Pictures / Alice Sara Ott


 硬質シャープ・激情の展覧会の絵ですね。入りのプロムナードからディナーミクを振って切れ味を主張しています。緩急の出し入れが強くグノームサムエル・ゴールデンベルクとシュムイレバーバ・ヤーガはキレキレです。特にバーバ・ヤガーはアゴーギク、ディナーミクを強烈に振って来ます。ちょっとゾクッと来ますね。
途中に挟まるプロムナードの表情は基本シャープで次の曲に繋げます。古城などはエモーショナルに弾きますし、卵の殻をつけた雛の踊り も表情豊かです。でも その芯にあるのは切れ味でしょうね。もちろん、アタッカでの繋がり演奏パートはムソルグスキー指示通りですね。
ラストのキエフの大門は将に全体を表現する様に華やかに弾き、締めくくります。
プロムナードは#5の切れ味が好きなのですが、まさにピッタリの迫力と切れ味です。


Pictures from An Exhibition, Visions fugitives / Steven Osborne


テンポの揺さぶりと弾ける様な展覧会の絵です。グノームカタコンベバーバ・ヤーガは思い切り揺さぶりを掛けて来ますね。陰影を強く演奏するのはオズボーンらしさでしょうね。このパターンを全面に押し出してくれたら良かった気がします。特にカタコンベから#6プロムナード変奏(Cum mortuis in lingua mortua)の展開は魅力的です。
一つのポイントである古城は、最後まで静的に淡々と無表情を装い、逆にビドロは強音から弱音への変化ですが やはり表情は薄いです。ラストを締めるキエフの大門 ではバーバ・ヤガーからの繋がりに期待したのですが、面白い展開は処々にあっても 揺さぶりを広げた手堅さの範疇を感じました。


小ホールでピアノの細やかな音を最大限に生かすブニアティシヴィリ。大ホール・コンチェルト向きで、ピアノに対峙的なオット。おおよそ対極にいる両者ですが、それぞれ特徴的で素晴らしいです!!
ブニアティシヴィリの包まれる様な優しさ、オットの力感溢れる情熱。両方とも持っていて良かったと思う聴き比べでした。
一方 通好みのオズボーン、技巧的で一つ一つの音切れの良さは素晴らしいのですが 通ではない素人なので今ひとつ印象が薄いです。プロコフィエフについても同様に感じますね。


[P.S]
ブニアティシヴィリのアルバムには「ラ・ヴァルス」が入っていますが、これが素晴らしいです。アゴーギク、ディナーミクを生かして彼女らしい優しさが生きています。アルゲリッチはじめ名演が並ぶわけですが、これは侮れないかと。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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