ザド・ムルタカ Moultaka の Où en est la nuit を聴く

レバノン生まれの現代音楽家ザド・ムルタカ(Zad Moultaka, 1967/6/4 - ) はベイルート国立音楽学校の後 パリ国立高等音楽院(CNSMP)でアルド・チッコリーニらに習い、現在はベイルートやパリ、マルセイユ等で活躍中です。

ムルタカは西洋現代音楽をベースにアラブの民族音楽との融合を進めて来たそうです。興味深いのはアンサンブルや合唱といった形式の他にも、電子音響をベースに現代美術に近い sound installations も範疇に入れている事でしょう。(もちろんIRCAMとの関係も持っています)
今の現代音楽の流れで電子音響のインスタレーション系(勝手に呼んでいるだけで正式には不明ですw)の統合的な芸術方向は一つの大きな潮流であり楽しい限りです。残念ながら音だけでは意味をなさない可能性が大きいですが。

このアルバムではアンサンブルの音楽が並びます。


Où en est la nuit (2013) pour ensemble
 打楽器や特殊奏法を用いた空間音響系の音楽です。今やフランスに限らない訳ですが、やっぱりこの手の楽曲はIRCAM等のベースがあるフランスらしいと感じるのは私だけではないでしょう。クラスターの様な音密度の高さではなく、静的な中の個別の音の響きが主役です。低く連打される太鼓の響きなど、ちょっとブーレーズを思わせますね。(ブーレーズ逝去前に聴いた感想です)

Fanàriki (2004) concerto pour cymbalum & ensemble
 7つの小曲からなる、Alexandru Sura(cymbalum: ツィンバロム*)をフィーチャーしたツィンバロム協奏曲です。ツィンバロムとは琴の様なスティック使用のイスラム圏の打弦楽器です。空間音響音楽ですが、語りの様な声楽が入ります。詩は散文的で尖った内容です。
構成的には響きだけでなく、中近東音楽を折り込みながら民族音楽和声を浮き立たせた感じです。音数も増えていて時折ディナーミクが大きく振られるパートが出て来ますね。他に二曲に比べると少し古い作品になります。
 *ハンガリーの民族楽器ツィンバロン(cimbalom)との違いはよくわかりません(汗) チェンバロ→ピアノの元とも言われているようですが

Hanbleceya (2012) concerto pour guitare & ensemble
 ギター協奏曲でギターはPablo Màrquezです。ギターの単音にアンサンブルが同期する様に響かせる音楽ですね。細かく刻んだ音を小さく背後に置く手法はムルタカの特徴の様です。共鳴を主体とした空間音響系音楽ですね。どの程度の倍音なのか不明ですがスペクトル楽派と言っても間違いではない様な響きです。強音パートが多くなりクラスター的です。

演奏は ロレーヌ・ヴァイアンクールLorraine Vaillancourt指揮、Nouvel Ensemble Moderne で他にもムルタカの楽曲を演奏している様です。

三曲共に同傾向ですが、顔つきが異なります。今の時代の前衛現代音楽で、楽しい一枚ですね。お勧めです。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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