ジャチント・シェルシの Chamber Music を聴く
今までもインプレしている好きな現代音楽家の一人、イタリアのジャチント・シェルシ(Giacinto Scelsi, 1905/1/8 - 1988/8/9) は、何と言っても '70年代の倍音の音響音楽が特徴ですね。
でも'40年代は十二音技法でデビューしており、その特徴が現れたのは療養生活から回復した'50年代からになります。
'70年代に焦点が当たるのはミュライユとグリゼーが、その影響からスペクトル楽派の基礎を築いた事も無縁ではないでしょうね。
このアルバム「Chamber Music」は1953年から1976年までの室内楽を集めた物です。静的な中に音の響きを中心に置いた曲がメインで、通して美しいとさえ思わせてくれますね。
この時代の現代音楽としては独特のスタンスだったかもしれません。
□ Ko-Lho (1976年) for flute and clarinet
二つの楽器の微分音(microtonality, シェルシは四分音?)を使った単音音階がエコーの様に響きます。共鳴している様な音が耳から脳に反響するかの音楽ですね。静的で反響・共鳴音、まさにシェルシの世界ですね。脳が聴く音楽です。^^
★試しにYouTubeで観てみる?
□ Quattro Illustrazioni (1953年) for piano solo
数多くのピアノ曲が書かれた'50年代の作品ですね。創造神(ヒンズー教)の変容 と言うサブタイトルが付いています。聴くと無調の現代音楽にしか聴こえませんが、この年代から音の響きと共鳴を意識しているのはピアノの音色と残響音が表していますね。ベースに音列配置的傾向がある気がしますが、シェルシの場合は実際の作曲は共同者かもしれないのでなんとも言えません。
□ Dithome (1957年) for violoncello solo
現代音楽のチェロ曲でブルネロあたりが弾きそうな曲です。って言ってもわからないかなぁ…
(実際、ブルネロはシェルシの曲を録音・演奏しますね)
特殊奏法主体ではなく、テクニカル的パートもあり、チェロ・ソロとして充分に楽しむ事が出来ますね。生で聴きたいです。
□ Hyxos (1955年) for flute and percussion
打楽器がちょっとブーレーズを思わせる様な楽曲です。打楽器と言ってもシンプルな音をフルートに添える様に持って来ます。だからかもしれません。楽風から言ってもヴァレーズ方向じゃありませんから、打楽器がその様になるのは予想の範疇ですね。フルート自体はもちろん音色と響きを聴かせてくれます。
★試しにYouTubeで観てみる?
パーカッションの構成がわかりますね。
□ Xnoybis (1964年) for violin solo
微分音を使った細い音色のノイズに近いヴァイオリン・ソロです。シェルシの弦楽曲に近い感じで複雑化した気配です。特徴的に二つの弦の音が半音階以下の音に移行するので、静的ですが心地良さは感じられないかもしれませんね。
□ To the Master (1976年) improvisation for violoncello and piano
チェリストの Victoria Parr とのコラボ作品です。vcは主旋律で機能和声に近い音律を奏でながら、pfは無調の短音階のバックにまわって奏されます。類似したものが浮かばない、とても不思議な楽曲です。
vcは微分音展開はしませんしpfは当然ながら鍵盤を弾いている限りでは微分音は出せません。pfはは音の響きを重視しているのがわかります。スローで浮遊的です。面白いです!!
シェルシ色全開のアルバムでお勧めです。
ライナーノートにはシェルシが作曲に使った四分音の微分音を出すことが出来る電気鍵盤楽器「オンディオーラ Ondiola」が画像で紹介されていますね。
でも'40年代は十二音技法でデビューしており、その特徴が現れたのは療養生活から回復した'50年代からになります。
'70年代に焦点が当たるのはミュライユとグリゼーが、その影響からスペクトル楽派の基礎を築いた事も無縁ではないでしょうね。
このアルバム「Chamber Music」は1953年から1976年までの室内楽を集めた物です。静的な中に音の響きを中心に置いた曲がメインで、通して美しいとさえ思わせてくれますね。
この時代の現代音楽としては独特のスタンスだったかもしれません。
□ Ko-Lho (1976年) for flute and clarinet
二つの楽器の微分音(microtonality, シェルシは四分音?)を使った単音音階がエコーの様に響きます。共鳴している様な音が耳から脳に反響するかの音楽ですね。静的で反響・共鳴音、まさにシェルシの世界ですね。脳が聴く音楽です。^^
★試しにYouTubeで観てみる?
□ Quattro Illustrazioni (1953年) for piano solo
数多くのピアノ曲が書かれた'50年代の作品ですね。創造神(ヒンズー教)の変容 と言うサブタイトルが付いています。聴くと無調の現代音楽にしか聴こえませんが、この年代から音の響きと共鳴を意識しているのはピアノの音色と残響音が表していますね。ベースに音列配置的傾向がある気がしますが、シェルシの場合は実際の作曲は共同者かもしれないのでなんとも言えません。
□ Dithome (1957年) for violoncello solo
現代音楽のチェロ曲でブルネロあたりが弾きそうな曲です。って言ってもわからないかなぁ…
(実際、ブルネロはシェルシの曲を録音・演奏しますね)
特殊奏法主体ではなく、テクニカル的パートもあり、チェロ・ソロとして充分に楽しむ事が出来ますね。生で聴きたいです。
□ Hyxos (1955年) for flute and percussion
打楽器がちょっとブーレーズを思わせる様な楽曲です。打楽器と言ってもシンプルな音をフルートに添える様に持って来ます。だからかもしれません。楽風から言ってもヴァレーズ方向じゃありませんから、打楽器がその様になるのは予想の範疇ですね。フルート自体はもちろん音色と響きを聴かせてくれます。
★試しにYouTubeで観てみる?
パーカッションの構成がわかりますね。
□ Xnoybis (1964年) for violin solo
微分音を使った細い音色のノイズに近いヴァイオリン・ソロです。シェルシの弦楽曲に近い感じで複雑化した気配です。特徴的に二つの弦の音が半音階以下の音に移行するので、静的ですが心地良さは感じられないかもしれませんね。
□ To the Master (1976年) improvisation for violoncello and piano
チェリストの Victoria Parr とのコラボ作品です。vcは主旋律で機能和声に近い音律を奏でながら、pfは無調の短音階のバックにまわって奏されます。類似したものが浮かばない、とても不思議な楽曲です。
vcは微分音展開はしませんしpfは当然ながら鍵盤を弾いている限りでは微分音は出せません。pfはは音の響きを重視しているのがわかります。スローで浮遊的です。面白いです!!
シェルシ色全開のアルバムでお勧めです。
ライナーノートにはシェルシが作曲に使った四分音の微分音を出すことが出来る電気鍵盤楽器「オンディオーラ Ondiola」が画像で紹介されていますね。